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一章
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「大丈夫ですか? 主人?」
「あ、うん」
死ぬかと思った。正直、何か見た気がするが、まぁ何かあったのだろう。気にしたら負けだ。
「主人。それより、あの服が着せられなかったので、その、着てください」
「ん? あ、ああああああああぁぁ! ふっ服。服持ってきて!」
「え、あ、あはい。これです」
僕は袖に手を通す。しかし、彼女同様に腕と一緒に管が袖に通り、裾から出るといった形になってしまう。仕方ないことだが。
「ふう。仕方ない事だけど。腕に管が触れて気持ち悪いな。生ぬるいし」
「確かに。気持ちは悪いですね。波打って生ぬるいですし、手首が冷たくもなりますし。本当に最悪ですね。付いてない時は一時もないですが」
冷たい? それはダメだな。それが原因で、体温が低下して、無駄なエネルギー及び栄養を持ってかれたら、死んでしまう。何かカバーのような保温ができる物を作くならないと。
「それはそうと、お腹空かない?」
「私は空かないですが」
そういえばそうだった。彼女は消化器官を持たないんだ。だが、謎だな。唾液の行き場はどうなっているのだろう。通常は大抵飲み込まれるが彼女の場合飲み込んだ先がない。だとすれば、どこに。そもそも唾液は出ているのだろうか?
「それもそうか、でも一つ思った事があるのだが、唾ってどうしてる? もしや飲み込んでいる?」
すると彼女は不思議そうな顔をして口を開いた。
「唾ですか。口の中に溜まったら、飲み込んでいますが。それがどうかしましたか?」
飲み込んでいる? もしや消化器官があるのだろうか? だが、彼女のお腹の凹み具合から備わっているとは到底思えない。ならなぜ。だが今考えていても仕方ない。もういいとする。
疑問が溢れ出てくるが、いちいち考えていたら底無しに床にはまってしまうようなものだ。
「いや何も。じゃぁキッチンに行って何か食べようか」
「はい!」
と、差し出された彼女の手をとり、ベットから降りる。そして、自室の扉を開けキッチンに向かう。
「まぁクフィーどうしたの?こんな時間に降りてきて。ってその子は?」
とキッチンに立っていた母が目を丸くして尋ねてきた。
「母上この子は僕が作った。子です。名前はまだ無いですが今後、世話になります」
「はぁ。作った。そう。あの血属性魔法で?」
「はいその通りです」
不思議そうな顔で彼女を見つめる。
「これから家族の一員になるのなら、名前は決めておいてちょうだいね。呼ぶな名に困るわ」
「わかりました。それでお腹が空いてしまいまして、何か食べる物をと」
「おやつなら、あの机にあるアップルパイを食べるといいわ」
と、食卓の上にのっかている皿を指さした。
「ありがとうございます」
僕は、彼女を連れてその机に向かう。
うわ、何これ美味しそう。
僕の目に飛び込んできたのは、切り出されたアップルパイだった。香ばしい匂いと独特の酸味ががった甘い匂い。僕の大好物だ。これほど美味しい物が食べられない彼女は心底可哀想だと思う。
「ごめんね。食べられるように作ってあげられなくて」
「あ、全然大丈夫ですよ」
と、明るく言った。
「では、いただきます」
それでは一口。
「サクッ」
ゴロッとした、ジャム状のリンゴが口の中に入ってきた。パリパリとした生地の食感も最高。甘酸っぱいリンゴは下でもすり潰せるほど柔らかくとても美味しい。
ん? 何故か左手首が生暖かい。それにそれが上腕を通って肩の辺りまで登ってくる。
「なんか手首、に違和感があるんだけど、ってえ?」
僕の目に写ったのは、紅茶を飲む彼女の姿だった。
「お母様。このお茶美味しいですね」
「そうでしょ? お高いんですから」
そんな会話が聞こえてくる。
「ちょ、ちょっと、もしや液体は飲めるの?」
「そうっぽいですね。わかりませんけど」
は?
「あ、うん」
死ぬかと思った。正直、何か見た気がするが、まぁ何かあったのだろう。気にしたら負けだ。
「主人。それより、あの服が着せられなかったので、その、着てください」
「ん? あ、ああああああああぁぁ! ふっ服。服持ってきて!」
「え、あ、あはい。これです」
僕は袖に手を通す。しかし、彼女同様に腕と一緒に管が袖に通り、裾から出るといった形になってしまう。仕方ないことだが。
「ふう。仕方ない事だけど。腕に管が触れて気持ち悪いな。生ぬるいし」
「確かに。気持ちは悪いですね。波打って生ぬるいですし、手首が冷たくもなりますし。本当に最悪ですね。付いてない時は一時もないですが」
冷たい? それはダメだな。それが原因で、体温が低下して、無駄なエネルギー及び栄養を持ってかれたら、死んでしまう。何かカバーのような保温ができる物を作くならないと。
「それはそうと、お腹空かない?」
「私は空かないですが」
そういえばそうだった。彼女は消化器官を持たないんだ。だが、謎だな。唾液の行き場はどうなっているのだろう。通常は大抵飲み込まれるが彼女の場合飲み込んだ先がない。だとすれば、どこに。そもそも唾液は出ているのだろうか?
「それもそうか、でも一つ思った事があるのだが、唾ってどうしてる? もしや飲み込んでいる?」
すると彼女は不思議そうな顔をして口を開いた。
「唾ですか。口の中に溜まったら、飲み込んでいますが。それがどうかしましたか?」
飲み込んでいる? もしや消化器官があるのだろうか? だが、彼女のお腹の凹み具合から備わっているとは到底思えない。ならなぜ。だが今考えていても仕方ない。もういいとする。
疑問が溢れ出てくるが、いちいち考えていたら底無しに床にはまってしまうようなものだ。
「いや何も。じゃぁキッチンに行って何か食べようか」
「はい!」
と、差し出された彼女の手をとり、ベットから降りる。そして、自室の扉を開けキッチンに向かう。
「まぁクフィーどうしたの?こんな時間に降りてきて。ってその子は?」
とキッチンに立っていた母が目を丸くして尋ねてきた。
「母上この子は僕が作った。子です。名前はまだ無いですが今後、世話になります」
「はぁ。作った。そう。あの血属性魔法で?」
「はいその通りです」
不思議そうな顔で彼女を見つめる。
「これから家族の一員になるのなら、名前は決めておいてちょうだいね。呼ぶな名に困るわ」
「わかりました。それでお腹が空いてしまいまして、何か食べる物をと」
「おやつなら、あの机にあるアップルパイを食べるといいわ」
と、食卓の上にのっかている皿を指さした。
「ありがとうございます」
僕は、彼女を連れてその机に向かう。
うわ、何これ美味しそう。
僕の目に飛び込んできたのは、切り出されたアップルパイだった。香ばしい匂いと独特の酸味ががった甘い匂い。僕の大好物だ。これほど美味しい物が食べられない彼女は心底可哀想だと思う。
「ごめんね。食べられるように作ってあげられなくて」
「あ、全然大丈夫ですよ」
と、明るく言った。
「では、いただきます」
それでは一口。
「サクッ」
ゴロッとした、ジャム状のリンゴが口の中に入ってきた。パリパリとした生地の食感も最高。甘酸っぱいリンゴは下でもすり潰せるほど柔らかくとても美味しい。
ん? 何故か左手首が生暖かい。それにそれが上腕を通って肩の辺りまで登ってくる。
「なんか手首、に違和感があるんだけど、ってえ?」
僕の目に写ったのは、紅茶を飲む彼女の姿だった。
「お母様。このお茶美味しいですね」
「そうでしょ? お高いんですから」
そんな会話が聞こえてくる。
「ちょ、ちょっと、もしや液体は飲めるの?」
「そうっぽいですね。わかりませんけど」
は?
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