ふれて、とける。

花波橘果(はななみきっか)

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【14】ー3

 喧嘩が原因で退学になった。高校に行かない場合は施設を出る決まりだったので、そのまま退所したのだと言った。

「どのみち、いられるような場所じゃなかった……。それでも、出されたら出されたで、行くところはないし、仕事もないし……」

 すぐにどうにもならなくなって、悪い仲間とつるむようになった。
 人を脅して金を奪い、その金で、日々、食いつなぐ。喧嘩ばかりしていて、敵もどんどん増えていった。

 日水に拾われた時も大勢でめちゃくちゃに殴られて、空腹と怪我で一歩も動けなくなって、仕方なく植え込みの陰に隠れていたのだという。

「このまま死ぬのかと思っていたら、いきなりあの人に担がれて、気が付くと店で寝かされてた」

 日水の元で暮らすようになってからも、悪い仲間とはなかなか切れずにいた。まともになるまでに、ずいぶん迷惑をかけたのだと言った。

「あの人に受けた恩は、一生かかっても返しきれない。それも縁だったって言われたけど、あの人がいなかったら、俺は本当に、生きていなかったと思う」

 何も言えずに黙っていると、「ちょっと重かったか」と聞かれて、首を振った。
 その人がいてくれてよかったと、和希は小さく囁いた。
 今もここに慎一がいて、本当によかった。

「返しきれない恩は、次に会う誰かに返せばいい。いい縁に出会ったら、大事にしろって言われた」
「うん。……それで、慎一は、みるくや僕を助けてくれたんだよね」

 ならば、きっと、それが日水への恩返しになるだろう。みるくや和希は、その縁によって救われたのだから。

 毛布の上で丸くなっているみるくを片手で撫でて、慎一がため息を吐いた。

「……純粋に助けただけだったら、よかったんだけどな」

みるくの喉が小さくゴロゴロ鳴っていた。

「俺は、いつの間にか、ヨコシマな心を抱いてしまった」
「ヨコシマな心……?」
「そう、和希に」

 ごめんな、と囁く。
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