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【16】-2

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 ふはは、と短く笑った清正が、嬉しそうな顔のまま手早くジャージの上下を脱ぎ捨てた。
 光へのキスを続けながらワイシャツのボタンを外し、片袖ずつ器用に腕を抜いて、まとうもののない肌を晒す。

 見上げる身体は、高校時代の記憶よりもいくらか厚みを増していた。
 痩せて見えるのに、きっちりとお手本のような筋肉で覆われていて、思わず観察してしまう。

「おまえ……、綺麗な身体してるな……」

 造形美に対する率直な賛辞。
 清正は、「気に入ってくれた?」と嬉しそうな顔で光を見下ろした。

「ギリシャ彫刻とか、ルネッサンス期の彫像みたいだ」
「なんだそれ、ダビデ像みたいのか?」
「ダビデはもっと頭が大きいけど……」
「へえ、そうなんだ」
「見上げるものって、下から見た時にかっこよく見えるほうがいいだろ。だからだいたい頭が大きいんだ。鎌倉や奈良の大仏とかも……」

 するすると言葉を紡ぎ始めた唇を軽く啄まれる。
 邪魔をするなと視線を向ければ、熱のある目が見つめ返し、後で聞くから今はもう黙れと笑って唇を塞がれた。

 再び身体の上を指が滑り始める。
 短い吐息が零れる。
 清正に触られるのは気持ちいい。まるで自分が甘い砂糖菓子になったようだ。とろりと溶けてゆくような、あるいはふわふわと膨らんでゆくような、不思議な気持ちよさだ。
 ドキドキするのにすごく安心する。

 光も清正の肌に触れたくなった。自然に腕が上がり、滑らかな背中を抱きしめる。
 背中にするすると指を這わせて体温を確かめ、腰の位置まで自然に撫で下ろし、たどり着いたそこに下着があるのに気づいて眉をひそめた。

「パンツ、脱いでないぞ……」

 光はもう全部晒しているのに、清正だけ下着を付けているのはずるいと思った。

「え。脱いでいいの?」
「脱げ」
「……いいけど、俺のはダビデ氏のように慎ましやかではないよ?」

 何を言っているのだと眉間の皺を深くしたが、おもむろに下げられたボクサーパンツの中から勢いよく登場したものを目にした瞬間、光は慌てて目を逸らした。

 大きい。
 
 心臓が送り出す血液が自分をみるみる赤く染めてゆくのがわかった。

 清正はちょっと困ったように笑った。「やっぱりおまえ可愛い」と囁いて、横を向いてしまった光の耳にキスをした。
 頭を支えて正面を向かせ、唇にもキスをする。

 肌と肌を合わせて身体を重ねると、清正の体温が直に伝わってきた。心臓はドキドキと騒いで苦しいのに、心は穏やかに満ち足りていた。

 何度も口づけを交わした。
 その合間に「可愛い」と繰り返し囁かれた。ふだんならそんな言葉は少しも嬉しくないし、怒って殴る。なのに、なぜだか今は、ひどく幸せな気持ちになった。

 自分の手の中に清正の熱を握らされて慄いた。
 熱い、大きい、と言って放そうとするたびに、清正の指が強く握り直すように光の指を導く。

「このまま……。俺のことも気持ちよくして」

 光の昂ぶりを長い指で包んで、輪にしたそれを上下に動かす。

「あ、清正……」

 促されて光も清正のそれを上下に擦った。
 互いの呼吸が徐々に荒くなってゆく。

「あ、は……っ」
「光、ん……っ」

 気持ちいいのに、苦しい。このまま昇りつめてしまいたい。
 けれど、一人の時でもそんなに吐き出したことのない体液を、清正の前で放つことが怖かった。

「清正……、ダメ、だ……。イく……」
「イくとこ、見せて」
「や、だ……」

 あ、と小さな悲鳴が上がる。熱い先端同士が触れ合って、その瞬間、身体中にぞくぞくと鳥肌が立った。

「あ、ああ……っ」

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