異世界のんびり料理屋経営

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第9章 新たに集まるお客様!

第194話 アラクネ達、まさかの性欲より食欲が勝る?

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グラデュース達が、アラクネ達を乗せて村まで飛ぶ。まさか竜だとは知らなかったアラクネ達は、なんてことを口走ってしまったのかと頭を抱えている。女王も同じく好きになってしまった相手が古龍と知り、別の意味でどうしたらいいのだと頭を抱えていた。

「村に着いたら人化してくれ。その体じゃ店に入れないからな」

「承った。お前たちもわかったであろう?」

全員が「はい」と元気よく答える。アラクネ達は、もう絶対に逆らうようなことはしないぞと誓うのだった。

そして、村に着き着陸するグラデュース達。
アラクネ達は、先程とは違い全員がグラデュース達に「送って頂きありがとうございます」と礼儀正しく言う。
グラデュースも、これなら村に入れても大丈夫だろうと思うのであった。
それから、暫く歩いて憩い亭に着く。

カランカラン

「いらっしゃいませ~」

「今日は、新しく客を連れてきたんだが、席は空いているか?」

全員合わせて13人という多さに心配するグラデュース。店を見渡しても13人が座れそうな場所が見当たらないのだ。

「少々お待ち下さいね。お父さん、組み立てはやるから外にテーブルと椅子出して欲しいです」

「わかった。今行くよ」

拓哉は頼まれた折りたたみ式のテーブルと椅子をアイテムボックスから出す。ラリサが手慣れた手付きで組み立てていく。

「外で申し訳ないですが、料理はいつも通り絶品ですので許して頂けるとありがたいです」

「気にするな。夜は比較涼しいし、偶には夜風に当たりながら酒を呑むのもいいものだ。まずは、ビールを人数分と適当に料理を頼む」

「は~い。畏まりました」

ラリサはビールと注文を伝えに店に戻る。

「ここはお主たちが気に入っている場所であろうか?」

アラクネの女王は、グラデュースに任せたままあれよあれよとわからないまま、ここに辿り着いてしまったので、どういうところなのか気になり尋ねる。

「そうだな。ここは今まで食べたことがないうまい酒と料理があるんだ。そして、俺達はこの村の住人でもある」

「それは楽しみで仕方ない。古龍様にうまいと言わしめた酒と料理楽しみであるな」

そんな話をしていると、ラリサがビールと餃子を持ってやってくる。

「餃子のタレはお好みで作ってくださいね。ってすでにグラさん達が作り始めてますね。ではごゆっくりどうぞ」

率先してグラデュースとテオフィロとドゥルシッラがタレを作って回していく。しかも、酢とラー油は少しだけにして、お好みで足すようにと、ちゃんと教えている。

「乾杯をするぞ。俺の乾杯の後に皆も乾杯と言ってくれ。では、俺達の出会いとこれからに乾杯!!」

グラデュースの乾杯に続いてみんなが「乾杯」と言う。そして、グラデュース達が呑み始めたので、それを真似てアラクネ達も呑み始める。

「ぷはぁ~仕事の後のビールは最高だな。それに月明かりの下で呑むのも風情があっていい」

グラデュースが、のんびり風情を楽しみながら呑んでいる側でアラクネ達は何故かワナワナしている。そして、次の瞬間一斉に「おいしいぃぃぃ」と天界に届くのではないかという声で叫ぶ。

「妾は妾は...こんなおいしい酒を生まれて呑んだことがない。なんという喉越しとキレ!それに冷やすと酒とはこんなにおいしいとは知らなかった。妾は、もうヌルいエールや甘ったるいだけのミードなんか呑めないであろう...これからどうすれば良いのだ~」

ビールのあまりのおいしさに虜となる女王。周りでもアラクネ達が大盛り上がりしている。

「女王様、この餃子を食べてからビールで流し込んでみてください!お願いします」

普段見せないような眼力で訴えかけてくるアラクネ達に女王はどうしたのだとなるが、言われた通りに餃子をタレに付けてから口に運ぶ。

「お、おいしい...野菜とお肉がちょうどいい具合に混ざり合ってお互いの旨味を最大限に引き出している。それに、このモチッとした外側の生地はなんなのだ。食べたことがない。そのモチを感じたらジュワーっと溢れる肉汁...あぁぁ幸せ...これにビールが合わないわけないであろう。ぷはぁ~おいし過ぎる。本当に妾をどこまで虜にし誘惑するのであろうな」

終始笑顔の女王...いやアラクネ達全員が笑顔なのである。その後も続々と現れる料理とお酒の虜になり、性欲よりも食欲が勝ってしまうアラクネ達であった。
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