再利用率が見える俺の異世界工房〜再利用チートで村も町も豊かにします〜

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
4 / 9
ゴミ捨て場から始まる仕事

第2話 再利用率92%

しおりを挟む
「もう一本、壊れてるのがある。見てくれないか」

ボルフにそう言われ、レントは小さくうなずいた。

「分かった。どこにある?」

「こっちだ」

男はそう言うと、ゴミの山の奥へと歩き出した。
レントも後に続く。
歩きながら、周囲の景色を改めて見回した。
すると、壊れた農具、折れた刃物、割れた鍋が散乱している。
どれも昨日まではただの廃棄物だったはずなのに、今は違って見える。
視線を向けるたびに、数字が浮かび上がる。

【鉄製農具(破損)】
再利用効率:88%

【鍋(変形)】
再利用効率:73%

全部に出るのかと内心驚いてしまう。
この能力が何なのかは分からない。だが一つだけ確かなことがある。
“直せる可能性”が、目に見える。
ボルフが立ち止まり、足元の山を崩した。

「これだ」

取り出したのは、刃が欠け、柄がぐらついた鎌だった。
レントが、鎌に視線を向ける。

【鎌(欠け)】
再利用効率:84%
修復推定成功率:72%

直せると確信したレントは鎌を受け取り、欠けた刃を指でなぞる。
前世で何度も見た状態だ。小さな欠けなら、形を整えればまだ使える。

「少し時間がかかる」

「構わねえ」

ボルフは腕を組み、少し離れて見守った。
レントは近くの平たい石を拾い、刃先をゆっくりと擦り始める。
力を入れすぎない。角度を一定に保つ。
削るたびに、刃のラインが少しずつ整っていく。
単純な作業だが、嫌いじゃない。
手を動かしている間は、余計な不安を考えなくて済む。
しばらくして、レントは刃先を光にかざした。

「こんなもんかな」

振り返り研ぎ直した鎌をボルフへ渡す。
男は半信半疑の顔で受け取り、近くの草を軽く刈った。
ざくり、と気持ちのいい音がした。

「おお~」

もう一度、振る。
今度は少し強めに。刃は引っかからず、草を素直に切り裂いた。

「信じられねえが、見事に直ってるな」

ボルフは感心したように息を吐き、レントを見た。

「お前、本当に職人じゃねえのか?」

「違う。ただ、前に似たような仕事してただけ」

完全な嘘ではない。
工場でやっていたのは機械の部品調整や簡単な修理作業だったが、感覚は近い。
ボルフは鎌を腰に差し、少し考えるように言った。

「他にも、直せるか?」

レントは周囲の山を見渡した。
表示される数字。高いものもあれば、低いものもある。

「成功率が高いものなら」

「成功率?」

ボルフは、成功率とは何だといった様子で首を傾げた。

「直せる可能性が高いってこと」

ボルフは難しそうな顔をしたが、深くは聞かなかった。
代わりに、もう一度ゴミの山を崩し、いくつかの農具を取り出した。

「じゃあ、これも頼む」

レントはそれらを一つずつ確認する。

【鍬(歪み)】
再利用効率:91%
修復推定成功率:87%

【小型斧(刃欠け)】
再利用効率:69%
修復推定成功率:52%

斧は数値的に微妙だと感じ、レントは先に可能性のある鍬を手に取った。

「まずこれからやる」

ボルフは満足そうに頷いた。
作業を始めてすぐ、背後から別の声が聞こえた。

「ボルフ、それどうしたんだ?」

振り向くと、農夫らしい男が二人、こちらを見ている。

ボルフは鎌を軽く掲げた。

「こいつが直した」

二人の視線が一斉にレントへ向いた。
値踏みするような、しかし興味を隠しきれない目だ。

「直した?」

「少し叩いたり削ったりしただけ」

男の一人が半歩近づき、言った。

「俺の包丁も欠けてるんだが......見てくれるか?」

レントは少し迷った。
まだ自分の能力が完全に分かったわけではない。失敗すれば、信用を失うかもしれない。
だが、ここで断れば、次はないと感じた。

「見てみるよ」

その言葉に、男の顔がぱっと明るくなった。
ボルフが、小さく笑った。

「どうやら、お前忙しくなりそうだな」

レントは、思いがけないことの連続で苦笑した。

「まだ分からないよ」

けれど、胸の奥では、確かに何かが動き始めていた。
ここで生きていくための、最初の仕事。
それが、思ったよりも早く転がり始めている。
そして、遠くで、また鐘の音が鳴った。

「とりあえず、作業できる場所を探さないとな」

レントがそう呟くと、ボルフはすぐに言った。

「空き小屋がある。案内してやる」

レントは、目を見開き、顔を上げた。

「本当か?」

「村はずれだが、屋根はある。雨はしのげるはずだ」

それだけで十分だった。
雨風をしのげる場所。それは、この世界で仕事を始めるための第一歩だ。
レントは大きく息を吸い、頷いた。

「頼む」

ボルフは、ニカッと笑い、背を向け、歩き出した。

「ついて来い」

レントは、直したばかりの鍬を肩に担ぎ、その後を追った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界味噌料理人』〜腹を満たす一杯から、世界は動き出す〜

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
事故をきっかけに異世界へ転移した料理人タクミ。流れ着いた小さな村で彼が目にしたのは、味も栄養も足りない貧しい食事だった。 「腹が満ちれば、人は少しだけ前を向ける。」 その思いから、タクミは炊事場を手伝い、わずかな工夫で村の食卓を変えていく。やがて彼は、失われた発酵技術――味噌づくりをこの世界で再現することに成功する。 だが、保存が利き人々を救うその技術は、国家・商人・教会までも動かす“戦略食料”でもあった。 これは、一杯の料理から始まる、食と継承の長編異世界物語。 【更新予定】 現在ストックがありますので、しばらくの間は毎日21時更新予定です。 応援いただけると更新ペースが上がるかも?笑

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...