再利用率が見える俺の異世界工房〜再利用チートで村も町も豊かにします〜

芽狐@書籍発売中

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ゴミ捨て場から始まる仕事

第3話 雑貨屋の娘

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空き小屋へ向かう途中、村の中心を通りかかったときだった。

「ちょっと待ってください、それ本当に直ったんですか?」

高い声が聞こえ、レントは足を止めた。
声のした方を見ると、小さな店の前に数人の村人が集まっている。
その中心で、茶色のポニーテールの少女が、誰かに何かを説明していた。

「だから、この鍬、さっき直してもらったんですって!」

少女はそう言いながら、鍬を持ち上げる。
見覚えがあった。さっき自分が修理したものだ。

「あれ、レントさん?」

少女がこちらに気づき、ぱっと表情を明るくした。

「この人です! 直したの!」

周囲の視線が一斉に集まる。
レントは少し居心地の悪さを感じながら、軽く手を上げた。

「大したことはしてないけど」

村人の一人が鍬を受け取り、試すように振る。
土を軽く削り、驚いたように目を見開いた。

「軽いな......新品より使いやすいかもしれん」

「だろ?」

ボルフがどこか誇らしげに腕を組む。
少女は鍬を受け取り直すと、改めてレントの方を向いた。

「私、リーナ・フェルンです。そこの雑貨屋の手伝いをしてます」

指差した先には、小さな木造の店があった。
棚には日用品や簡単な工具が並んでいる。

「直せるなら、うちの店の道具も見てもらえませんか? 包丁とか、鍋とか、売り物なのに使い物にならなくて......」

レントは少し考えた。
修理が仕事になるかもしれない。そんな予感はあったが、まだ自信はない。
だが、ここで断れば、機会も逃すと考えた。

「見てみる」

「ありがとうございます!」

リーナは嬉しそうに店の裏へ回り、レントたちを手招きした。
裏手には、欠けた包丁や、底が歪んだ鍋、柄の緩んだフライパンなどが箱にまとめられていた。
レントが包丁を手に取る。

【包丁(刃欠け)】
再利用効率:78%
修復推定成功率:69%

いつものように数値を見て、直せることを確認した。レントは近くにあった平たい石を借り、刃先を整え始めた。
角度を一定に保ち、ゆっくりと削る。
何度か往復させるうちに、刃のラインが整っていく。
リーナは横からじっと手元を見ていた。

「すごい......手つき、慣れてますね」

「前に似た仕事をしてたからな」

削り終えた包丁を軽く布で拭き、リーナに渡す。

「試してみて」

リーナは近くの野菜を持ってきて、そっと刃を当てた。
力を入れる前に、すっと刃が通る。

「え!?切れた」

驚いたように目を見開き、もう一度切る。

「改めて凄い!全然違う......」

その反応を見て、レントの胸の奥に小さな達成感が灯った。
派手なことをしたわけじゃない。だが、役に立ったという実感がある。
ボルフが横から言った。

「だから言ったろ。こいつ、直せるんだ」

リーナは何度も包丁を確かめたあと、真剣な顔でレントを見た。

「レントさん、こういう修理、仕事にしませんか?」

「仕事?」

「はい。村には壊れた道具が多いんです。でも、新しいの買うのは高いし、我慢して使ってる人も多くて」

少し言葉を選びながら、リーナは続けた。

「直せる人がいるんですが、その......レントさんが直してくれたら、もっと助かる人がたくさんいます」

レントは言葉を返せなかった。
前世では、部品を直しても、誰の役に立っているのかを実感することはほとんどなかったからだ。だが、ここでは違う。
直した道具を使う人の顔が、すぐ目の前にある。

「場所が必要だな」

ぽつりと呟くと、ボルフがすぐに言った。

「だから言ったろ。空き小屋があるって」

リーナは、激しく同意するようにうなずいた。

「掃除なら手伝います。帳簿もつけます。依頼も整理した方がいいと思うので」

「帳簿?」

「雑貨屋でやってますから」
自信ありげに胸を張る。
なぜ、会ったばかりの自分にここまで親身になってくれるのかと、レントは一瞬そう思った。
だが、理由を考えるのは後でいい。今はまず、目の前の仕事を形にすることが先だった。

「じゃあ、少しやってみるか」

リーナの顔がぱっと明るくなる。

「本当ですか!」

「ああ。いきなり大きなことはできないけど、できる範囲でやってみよう」

レントがやる気を見せると、ボルフが満足そうに頷いた。

「よし、じゃあ小屋を見に行くか」

三人は店を出て、村はずれの道へ向かって歩き出す。
まだ看板もない、ただの空き小屋。
けれどレントには、そこがただの建物には見えなかった。
(ここから、始まるかもしれない)と思い、胸の奥で、小さく何かが動き始めていた。
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