異世界屋台経営-料理一本で異世界へ

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第4章 次なる目的地へ

第19話 行き倒れた鬼人とホットドッグ!

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そろそろ次の街へ行こうとしていることを、ルーベンとサリルとダニーに伝えた。すると、追いかけて行くということだ。
それから、バド達にもお別れの挨拶を済ませて次の街に向かう。その時、相変わらずバド達は、泣きまくりなかなか離してくれないのでだった。出会った時のイメージがどんどん壊れて行くやつらである。

「最近は、護衛出来ずに悪かったな」

「気にしなくていいよ。バド達を成長させる為だったんだろ?それより次の街は、どんなところだろうな?」

バド達を成長させるとはいえ、屋台にいる間、一切護衛出来なかったことを悔やむトンボだったが、危ない街ではなかったし、トンボをずっと拘束する気もない真人は、自由にしてくれていいと考えていた。

「それなんだが、ギルドで聞いた話によると傭兵の街だと。正直荒くれ者が多いから立ち寄らない方が賢明だと言われたぞ。どうする?通り過ぎるのもありだと思うが...」

「う~ん?そうだな...行ってみたい気もするしなぁ。もしなんかあったらトンボに助けてもらう。駄目かな?」

「マサトならそう言うと思ったぜ。任せな。俺がまとめて相手してやるさ」

「頼りにしてますよ。トンボ様」

「褒めてもなんもでねぇよ」

道中そんな話をしていると、道端に誰かが倒れているのを発見したトンボ。

「誰か倒れてるな。助けに行くぞ」

馬車を止めて近付いて見ると筋肉隆々の全身真紅の色をして角が生えた人物だった。

「こいつは...鬼人だな。下手に声をかけて襲われることも...っておい!マサト危ねぇって」

真人は、気にせず近寄って声をかけていたのだ。

「お~い!大丈夫か?生きてるなら返事してくれ」

声をかけるが反応はなく、揺すってみるとピクッとして「腹が...減った...食い物くれ」と掠れるような声で訴えてきたのだ。

ちょうど昼に食べようと思っていたホットドッグがあったのを思い出した真人は、アイテムボックスから取り出す。

「お~い!ホットドッグだぞ。口を開けろ」

鬼人は言われるがままに、大きな口を開ける。そこに、ホットドッグを入れると器用にモグモグと食べ始める。そして、一本食べ終わると、おもむろに立ち上がり大声を出して「うめぇぇぇ」と叫ぶのであった。あまりの声にトンボも真人も思わず耳を塞ぐ程であった。

「おい!まだこの食い物ねぇか?あったらくれ!頼む」

鬼人は、手を合わせてお願いしてくる。真人は、アイテムボックスからホットドッグを出して渡すと両手に持ちムシャムシャと食べ始める。それが、何度も繰り返されて気づけばストックで作っておいた物も食べられてしまい、合計20本を平らげたのだ。

「うまかったぁぁぁ。って見ず知らずの人間になんてことをしてしまったんだ。本当に申し訳ない」

腹が減りすぎて我を失っていた鬼人は、腹を満たすと、自分がなんて失礼なことをしたのだと悔いているのだ。

「いや、困っていたらお互い様だし、病気や怪我で倒れていたんじゃなくてよかった。それより、空腹はもう大丈夫かな?」

「おぉ~なんて優しい人間なんだ。ありがとうありがとうありがとう!それに、この食べ物はなんなんだ?今までで1番うまかった。パンはふわふわだし、腸詰めはパリッとしていて中からジュワッと肉汁が溢れ出てくるし、この赤いソースの甘酸っぱさと黄色い少しピリッとくるソースは?全てが、うますぎる」

今にも踊りだしそうな表情をする。それ程、美味であったのだろう。

「そんな喜んで貰えてよかったよ。ちなみにホットドッグという食べ物だな。それより、何故行き倒れていたんだ?」

「鞄の底が破れていて中身が全部なくなっていたのだ。とりあえず街に戻って今回の報酬で飯を食おうとしたが、あと少しの所で力尽きてしまった...」

「もし良ければ馬車に乗っていくか?ちょうど、この先の街に行く予定だったし」

「本当にいいのか?どこまでいい人間なんだ」

鬼人は、真人の手を取りブンブン振り回して喜びをあらわにする。

「トンボも構わないよな?」

「あぁ、わりぃやつじゃなさそうだし構わねぇよ」

「お~そっちの人間もいいやつだな。俺は、バキュというんだ。よろしく」

「俺は真人!こいつは、トンボ。よろしくな」

トンボも、「よろしく」と挨拶する。
それから、バキュも馬車に乗り次の街へと向かうのであった。
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