番になんてなりませんっ!

あいう

文字の大きさ
8 / 22

8話

しおりを挟む
その後は晴人が手配してくれたΩ専用のタクシーで帰宅。
ポコポコ鳴るメッセージに手もつけず、ぶり返してきた熱にうなされながら八雲はベッドで布団をかぶっていた。

(叶兄さんには連絡しておかないとな……)

叶だってαだ。Ωのフェロモンに当てられることもある。Ωの生徒を相手にすることも多いだろうから薬は持っているだろうし、あらかじめ飲んでおいてもらおう。
メールを打つのも面倒だし電話でいいかな、留守録に入れておけば確実に聴くだろうし。八雲はそう思い火照った身体で通話ボタンを押す。
建前上は業務中だと言うのに、叶はスリーコールもいかないくらいに早く通話に出た。

「……あ、もしもし、……兄、さん?」
「八雲?!さっき明屋くんから報告があった。ヒートが来たって本当か?!」
「本当、だから悪いけど……薬飲んで、帰ってきて」
「早退して帰る」
「そんな重度じゃないから」
「心配なんだよ」

叶の珍しく切実な声にドキッとする。

「……側にいさせてくれ」

高鳴る胸を落ち着かせながら溜まった唾を飲み込むと八雲は声を絞り出して答えた。

「…………待ってる」

(な、なんか落ち着かないな)

あんな声、聞いたことない。少し掠れた、真剣な声。
それを思い出すとなんだか下半身が熱くなってきた。
お腹のあたりが熱い。ジンジンして変な感じがする。
こんなの初めてだ。

(……一発、抜いといたほうがいいかな?)

鎌首をもたげる様に緩く勃ち上がった下腹部を慰める様に撫でる。下着の中で途端に硬さを持つそれを衣服から解放してやると、子供の腕ほどのそれが勢いよく飛び出した。

(わ、わ……)

ティッシュを近くに寄せると八雲は恐る恐るそれに触れる。まだ触れていないというのに微熱を持ったそれを軽く扱くと先端からじわりと先走りが溢れた。

「……っ……」

ビク、と体が震えるような感覚がした。まるで電流が流れたような。
それを皮切りに八雲は自分のものを強く扱く。

「は……、……っ!」

八雲は無意識に叶の枕へと手を伸ばしていた。
顔に擦り付けるように枕に顔を埋めると、叶の匂いが肺いっぱいに広がる。
体臭に混じった甘い香りに促されるかの様に擦り付ける手のスピードを速めると滴り落ちた液体が滑りを良くし、更に情欲を掻き立てた。

「ぅ……、ぐ……ぁ… …」

気づけば八雲は『それ』に随分と夢中になっていた。
次から次へと溢れ出す先走りに付随する快感。
鼻腔には情欲を煽るαのーー、叶の体臭が香り、Ωである八雲を本能的に後押ししていた。

「ひ……ぁ……にいさ……、叶にいさん……っ!」

段々と上下する速度が早くなっていく。
性に関心の薄い八雲には珍しく、目の前のことが辞められない。
叶の香りに包まれてそうすることは、八雲にどうしようもないくらいの多幸感を与える。
これがΩの性だとしたら笑ってしまう。まるで猿みたいじゃないか。
そんなことを頭の隅で考えながらも湧き上がってくる射精感には抗えず、頭が真っ白になっていく。

「ぁ、う、うぅ……っ!」

込み上げるものをティッシュに受け止めると、部屋の中には八雲の上ずった呼吸と性液を受け止めた手元だけが残された。
段々と冷静になっていく頭が早速後悔を連れてくる。

「……俺、ついに叶兄さんで抜いちゃった……」

晴人ならまだしも(晴人は神聖なのでそんな対象にするなど不敬の極みだが)どうして叶で……。八雲はしばらく立ち直れず、後片付けもおざなりに布団に包まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...