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魔獣鎮静化のための遠征の出発日。
遠征は何度かに分かれて行うらしく、今日がその第1回目。
見送りにはいかなかった。
それでも、屋敷まで届く歓声が気になって、窓の外を見る。
広場では、騎士団が出発の列を作っていた。
ルシアンの銀髪を見つけた。
その隣には、聖女の金髪が並んでいる。
二人とも白に近い髪色で、遠目にはお似合いに見えた。
窓から目を離して、カーテンを閉める。
胸が、少し痛い。
もし、あの夢の女性が聖女なのだとしたら……。
夢の中で、ルシアンは私を殺した後、彼女を抱きしめた。
「もう大丈夫だ」と。
そしてパーティーで、彼女は言った。
「闇を葬る」と。
(まさか……世界を救うために、私が?)
背筋が凍る。
「そんなの、おかしいわ」
思わず声に出していた。
私も父も、国のために働いている。
それなのに、滅ぼされる対象になるなんて——
ルシアンが遠征に出た翌日から、私は王立図書館に通った。
三日間、古い文献を読み漁ったが、詳しい記録は見つからない。
聖女の奇跡については書かれているが、具体的に何が起きたのかは不明。
誰かが意図的に隠しているようにさえ思えた。
図書館で探すことを諦めて帰る途中、聖女の話が聞こえてきた。
「聖女様が立ち寄った街で、病気で寝たきりの人を救ったって!」
「車いすの人も歩けるようになったらしいわよ!」
街の人の声は、希望に満ちている。
でも、次の瞬間――
「ねぇ、魔獣の凶暴化に闇魔法が関係してるって、本当かしら」
その言葉に、心臓が跳ねた。
(そんな噂まで広まっているの……!?)
私はフードを深く被り、急ぎ足で家路についた。
それから二週間。
私は屋敷に引きこもった。
外に出れば、聖女を讃える声ばかり。
そして、闇魔法への恐怖を煽る噂。
(ルシアンが帰ってくれば、闇魔法が関係してるなんて誤解は解けるはず)
彼は騎士団長だ。
現地で真実を確かめているはず。
私たちが何も悪いことをしていないと、証明してくれるはず——
そう、信じたかった。
ルシアン達が王都を離れて三週間。
彼が戻ってきた。
だが、彼の様子がおかしい。
私を前より避けるようになり、目が合えば憎しみの目を向けられる。
(なぜ……?)
夜、喉が渇いて部屋を出ると、書斎の明かりが付いていた。
こんな時間まで仕事をしているのかと気になった。
書斎に近づくと、少し空いた扉から声が聞こえた。
「——セレナが、全ての元凶だったのか」
書斎から聞こえたルシアンの呟き。
元凶?
心臓が嫌な音を立てる。
扉の隙間から、もう一つ声が聞こえた。
「えぇ。聖女様が仰るには、魔獣が凶暴化している地域には、すべて闇魔法の痕跡があったと」
「……そうか」
ルシアンの声が、重く沈む。
(闇魔法の痕跡……?それって、私たちノクスフィア家のこと?)
足が震える。
もう、聞いていられなかった。
あの夢が、また頭をよぎる。
遠征は何度かに分かれて行うらしく、今日がその第1回目。
見送りにはいかなかった。
それでも、屋敷まで届く歓声が気になって、窓の外を見る。
広場では、騎士団が出発の列を作っていた。
ルシアンの銀髪を見つけた。
その隣には、聖女の金髪が並んでいる。
二人とも白に近い髪色で、遠目にはお似合いに見えた。
窓から目を離して、カーテンを閉める。
胸が、少し痛い。
もし、あの夢の女性が聖女なのだとしたら……。
夢の中で、ルシアンは私を殺した後、彼女を抱きしめた。
「もう大丈夫だ」と。
そしてパーティーで、彼女は言った。
「闇を葬る」と。
(まさか……世界を救うために、私が?)
背筋が凍る。
「そんなの、おかしいわ」
思わず声に出していた。
私も父も、国のために働いている。
それなのに、滅ぼされる対象になるなんて——
ルシアンが遠征に出た翌日から、私は王立図書館に通った。
三日間、古い文献を読み漁ったが、詳しい記録は見つからない。
聖女の奇跡については書かれているが、具体的に何が起きたのかは不明。
誰かが意図的に隠しているようにさえ思えた。
図書館で探すことを諦めて帰る途中、聖女の話が聞こえてきた。
「聖女様が立ち寄った街で、病気で寝たきりの人を救ったって!」
「車いすの人も歩けるようになったらしいわよ!」
街の人の声は、希望に満ちている。
でも、次の瞬間――
「ねぇ、魔獣の凶暴化に闇魔法が関係してるって、本当かしら」
その言葉に、心臓が跳ねた。
(そんな噂まで広まっているの……!?)
私はフードを深く被り、急ぎ足で家路についた。
それから二週間。
私は屋敷に引きこもった。
外に出れば、聖女を讃える声ばかり。
そして、闇魔法への恐怖を煽る噂。
(ルシアンが帰ってくれば、闇魔法が関係してるなんて誤解は解けるはず)
彼は騎士団長だ。
現地で真実を確かめているはず。
私たちが何も悪いことをしていないと、証明してくれるはず——
そう、信じたかった。
ルシアン達が王都を離れて三週間。
彼が戻ってきた。
だが、彼の様子がおかしい。
私を前より避けるようになり、目が合えば憎しみの目を向けられる。
(なぜ……?)
夜、喉が渇いて部屋を出ると、書斎の明かりが付いていた。
こんな時間まで仕事をしているのかと気になった。
書斎に近づくと、少し空いた扉から声が聞こえた。
「——セレナが、全ての元凶だったのか」
書斎から聞こえたルシアンの呟き。
元凶?
心臓が嫌な音を立てる。
扉の隙間から、もう一つ声が聞こえた。
「えぇ。聖女様が仰るには、魔獣が凶暴化している地域には、すべて闇魔法の痕跡があったと」
「……そうか」
ルシアンの声が、重く沈む。
(闇魔法の痕跡……?それって、私たちノクスフィア家のこと?)
足が震える。
もう、聞いていられなかった。
あの夢が、また頭をよぎる。
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