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櫓(やぐら)の中は静寂が訪れている。
本多正信は呆然と、その人物の横顔を眺めていた。でも櫓内の蝋燭(ろうそく)の灯りが弱く、しかも井伊直政の影となってしまって、顔の表情を読み取ることができない。
そして直政が口を開いた。
「あなたは徳川家に仕えながら、徳川家に恨みを抱いています。それは十年前に、大殿が北条との同盟を断ち切って、豊臣と共に小田原を攻めたからですね。徳川と北条の同盟は、大殿の娘・督姫を北条氏直殿に嫁がせた強固な同盟でした。そしてあなたのお父上は、北条家の重臣で江戸城代だった遠山直景殿です。徳川は豊臣と共に、この関東の北条家を攻めて、滅ぼしてしまいました。もし徳川が同盟を断ち切らず、北条と共に豊臣と戦っていたら、北条家も遠山家も生き残っていたとお思いになっているのでしょう。徳川と北条は、陸奥の伊達殿とも強固な同盟関係にありましたからね」
直政は静かに諭(さと)すように言った。言われた「容疑者」は黙ったままだ。その静寂を破ったのは、直政である。
「でも、大殿の名誉のために申しておきます。小牧・長久手の戦いのあと、徳川が豊臣に恭順の意を示してから、大殿は北条氏政殿に対して、豊臣の軍門に下るように、何度も説得しておりました。氏直殿も一緒になって、父親の氏政殿を説得したと、それがしは聞き及んでおります。北条家が惣無事令を破った時も、大殿は少しでも北条家に有利な条件で、豊臣の配下になれるよう苦心したと聞いております。それはひとえに、本能寺の変のあと、旧織田家をすっかり吸収した豊臣家の力が、この国で唯一無二のものになり、抗(あらが)うことができないと、大殿が判断したからでございます。しかしながら結局、氏政殿は大殿の提言を聞き入れなかった。それは最後まで太閤殿下を農民出身の成り上がり者と見下して、認めなかったからでしょう」
確かに直政の言うとおりであった。小牧・長久手の戦の前、東海の徳川、関東の北条、東北の伊達の三家は、強固な同盟関係で結ばれていた。特に徳川と北条は、家康の次女である督姫が北条氏直に嫁いで、関係が強化されていたのである。しかし小牧・長久手の戦いで秀吉の実力を知った家康は、秀吉と和議を結び、徳川は豊臣に恭順する形になった。それからは家康も北条を説得したのだが、五代目当主となった氏直は賛成するも、父親で四代目当主の氏政とその弟の氏照の兄弟が、最後まで反対して十年前の小田原の役が起きてしまったのだ。そこで秀吉の圧倒的な兵力を見せつけられた北条家は、関東の諸城をことごとく奪われて、小田原城は重臣の裏切り者が出て、戦うことなく内部から崩壊し、落城したのだ。氏政と弟の氏照は切腹、氏直は家康の嘆願によって命だけは助けられたが、小田原の役の翌年、病気で命を落としてしまった。
ようやく、その人物は口を開いた。
「直政殿。どうしてこの私めが敵に内通しているとお思いになったのか?」
直政の言うとおり、敵と内通しているのなら、その人物は切腹では済まされないだろう。しかし直政の言葉を否定することもなく、堂々としている。
直政は一つ大きく頷いた。
「決定打は、先ほどそれがしが牛込あたりの様子がおかしいと申し上げたところ、あなたが真田に気付かれても輝元の首が取れると申されたことです。牛込門の辺りには、他に安国寺軍と佐竹軍の陣所があります。だのに、牛込と聞いて、真田と断定するのはおかしいと思いませんか?」
正信は唾を飲み込んだ。確かに、先ほど、そんなやり取りがあった。すると、内通者は真田と通じていたのだろうか。
内通者は答えない。直政は続けた。
「あなたは真田と通じていましたね。その真田の狙いは、この徳川家を弱体化させることです。それは、今回の和議で分かることでしょう。城の外堀を埋めるという約束でしたが、真田は最初から内堀も埋めるつもりだったのです。内堀まで埋められたら、江戸も小田原も兵力が圧倒的に勝る敵方によって、落とされてしまうことでしょう。そこが真田の狙いなのです。
それでもし大殿が生きておられたら、江戸城が敵の大軍に囲まれる事態などは生まれなかったでしょうが、大殿が亡くなられても、もし秀康様が生きておられたら、この和議自体を突っぱねていたのは間違いないと思います。それで、あなたは秀康様を亡き者にしてしまったのです」
直政の衝撃的な言葉に、正信は言葉を失った。正信の隣で、血の気の多い本多忠政も、視線がただ茫然と宙に浮いているのが分かった。
「来ぬか……」
真田昌幸は前方の闇を凝視して、呟いた。闇の向こうに江戸城がある。城の中に松明の灯りは多くなり、それから一刻(いっとき)以上経過したが動きはない。
「父上。夜襲を仕掛けるのであれば、そろそろ仕掛けぬと……」
信繁の言葉に、昌幸は大きく頷いた。明るくなってしまえばそれで終わりだ。宵のうちに仕掛けなければ、うまくいかない。それも敵は分かっているはずだ。
「どうやら今宵は無さそうだな」
「無いのですか?」信繁は肩を落として尋ねた。ここで徳川が夜襲を仕掛けてくれれば、夜襲が失敗に終わるだけでなく、江戸城を攻める口実ができるからだ。
昌幸は大きく頷いた。
「こちらの動きに気付いたかもしれぬ。そして内通者がいることも」
「そこまで気付かれてしまいましたか?」
「おそらく」昌幸は再び大きく頷いた。「もし内通者がいることまで気付かれていないのなら、何らかの報せが来るはずだ」
確かに昌幸の言うとおりである。夜襲中止の報せが、内通者が無事であれば来るであろう。この時間になっても動きがなく、その報せが来ないとなれば、城内にいる内通者の身に何かあったとしか思えない。
だけれども信繁は、その内通者が誰だのかは父から知らされていない。
「ところで、父上。その内通者とはいったいどなたなのでしょうか?」
「徳川家に仕えておきながら、徳川家に恨みを持つ人物だ」
そうとだけ昌幸は答えた。徳川に恨みを持つ徳川家家臣。となると井伊直政であろうか。井伊家はもともと今川家の家臣だった。今川家が桶狭間で敗れ、今川の影響力が弱まったところで、徳川家に仕えるようになったと聞いている。本多家・榊原家・酒井家といった他の徳川四天王の家は家康の前代からの旧臣であるが、そういう意味で井伊家だけは新参者である。でも直政が徳川に恨みを持っているのかは分からない。
「だとしたら、父上。その内通者は処罰されてしまうのではないでしょうか?」
「そんなことよりも、今後どうやって、徳川に対応するかだ」昌幸は険しい表情でそう言った。そして近習を呼びつける。
「今宵は敵の夜襲もなさそうだ。上杉殿と石田殿の陣所にその旨を伝え、今夜はゆっくり休まれるよう、伝えてくれ」
昌幸はそう伝えて、陣所の中に入って行った。
「どうしたのか。まだ動きはないか?」
石田三成は苛立っていた。そろそろ敵が動いても良さそうなものだ。逆に動かなければ夜も明けてしまう。だけれども、毛利からも真田からも、何の報せもない。
「はい。今しばらく待つのがよろしいかと存じます」
島左近の言葉に、三成は頷いた。そして、闇の向こうを凝視する。
闇の向こうは四ツ谷方面だ。そこには毛利の陣所が置かれている。陣所の主である毛利輝元、そして秀元はすでに上杉の陣所に避難している。兵の多くも水道橋や新宿方面に退いていて、毛利の陣所自体は蛻(もぬけ)の殻だ。そこに夜襲を仕掛けた徳川軍に、三方から襲い掛かるというのが、こちらの作戦だ。真田昌幸の立てたその作戦は、実に見事なものでうまくいくはずだ。そしてそれを口実に、江戸城に攻め込むこともできる。
「ところで、殿」
振り返ると、左近は恭しく頭を下げて、三成を伺っている。
「そんなに改まって、どうした?」
「はい。前々から、それがしが気になっていることをお尋ねいたしたいと存じます」
「気になっていること?」
言われて三成はあることを思い出して、胸を突かれた。それはずっと自分の中で封印して、忘れていたことだ。
あることとは秀頼のことだ。左近の身体が三成に近づく。
「殿。秀頼公の御父上は、太閤殿下ではございませんね?」
やはりそのことだ。三成の身体が硬直する。否定も、肯定もできない。否定すれば嘘になるし、肯定すれば世の中が変わってしまう大事件だ。それくらいの認識は、三成にもある。
「もう一度、伺います。秀頼公は太閤殿下のお子ではございませんね?」
もう左近の目を直視できない。三成は目を逸らした。すると、左近は静かに笑う。
「殿は本当に分かりやすい御仁です。本当に愚直なまでに正直で、嘘の付けないお方です」
「う、嘘をついたことくらい、ある」
三成は左近の顔を見ずに言った。左近は静かに笑っている。
「秀頼公は殿のお子でございますな?」
言われて三成は動けなくなった。そして口の力を振り絞って言う。
「そんな、馬鹿な。茶々がそれがしなど相手にするはずがない」
言って、しまったと思った。淀君のことを茶々と幼名で呼んでしまったからだ。三成は二人きりの場でしか、今まで茶々と呼んだことはない。
それを聞いて、左近は吹き出した。
「何がおかしい?」
三成が問い質(ただ)すと、左近は畏まった。
「殿は本当に正直なお方だと。でもご安心ください。このことは決して口外いたしませぬ」
と左近が言ったところで、近習が入ってきた。
「申し上げます。今夜は敵の夜襲もない様子でございます。真田様から、ごゆるりと休まれてくださいとのことです」
そうだ、なぜもっと早く気付かなかったのか。正信は苦虫を噛み潰した。
小田原に出陣したとき、敵のいる興国寺城を攻めるよう提案したのも容疑者だった。もし容疑者の言うとおりにしていたら、敵と繋がっているからこちらは大損害を被ったかもしれない。その後も、秀康の退却の提案に、容疑者が山中城に残って殿(しんがり)を務めると立候補した。これも危ないところだった。要害の山中城を無傷のまま敵に渡すところだった。
そしてその容疑者が、秀康も殺害していたなんて……
「フフフ」と、櫓の中に低い笑い声が聞こえた。そして悪びれずに反論する。
「井伊殿は、この私が徳川を裏切ったばかりか、秀康様まで殺害したと、たわけたことを申すものよ」
「秀康様が亡くなった時、いかにしてお茶ではなく、饅頭の中に毒が盛られていたと分かったのですか?」
「お茶でなければ、饅頭に盛られているのは当然であろう」
顔の表情は伺えないが、その口調は直政を嘲(あざけ)ているように聞こえる。正信はその時の状況を思い出す。秀康が殺害される前に、秀忠のお茶に毒が混入されていたのが発覚した。それを発見したのはお梶だった。そのような密告があったとか言って。
そのことを直政が突っつく。
「では伺いますが、なぜお茶でなくて饅頭だと分かったのですか? 若殿はお茶なのに、秀康様は饅頭です。それがしが見たとき、秀康様はお茶も饅頭も、両方ともお召しになられていました」
「そ……それは……」
容疑者が口ごもった。すかさず直政が言い放つ。
「それは簡単です。最初からあなたは若殿のお茶と、秀康様の饅頭に毒を盛っていたのです。特に秀康様の饅頭に毒を盛るのは造作ないことだったでしょう。何しろあなたが用意した饅頭でしたから。ひょっとすると、若殿のお茶には毒を盛っていなかったかもしれません。いや、盛っていなかったのでしょう。それで、若殿のお茶に毒が混入されていたかのようにしたのです。それは簡単です。毒の入っていない若殿のお茶を取り上げて、庭園の池に毒と一緒に捨てれば良かったのですから。それで自分で暴いて見せたのは、秀康様が亡くなった疑惑を、自分に向けさせないためです。そのとき、それがしはお方様とあなたを疑っていました。でもお方様は、秀康様の飲むものに毒を盛ったのは自分ではないと仰せになったのです。それでお方様は違う、犯人は饅頭に毒が盛られていると言い当てたあなただと思ったのですよ。お梶さん」
そのとき、正信にもお梶の顔が見えた。彼女は悪びれる様子もなく、唇に笑みをたたえている。
その身体を本多忠勝が取り押さえた。それでもお梶は薄笑いを浮かべている。
「井伊殿。なぜそれを早く申されぬ。我々は敵の術中に嵌ってしまうところだったではござらぬか」
「秀康様を殺害した犯人を突き止めよと、若殿から承ったときから、八割ほどお梶殿の仕業と心得ておりました。でも確信は持てませんでした。でもお梶殿の出生と、真田の目的が分かり、結びついたのです。
まず、お梶殿の出生は最初に申し上げたとおりです。十年前の小田原の役の際、徳川と北条の強固な同盟関係が崩れて、お梶殿の生家で北条家の重臣であった遠山家が滅びました。それで徳川に対する恨みがあったのです。
真田の策略は、この徳川を潰すことです。そのためには、江戸と小田原の内堀まで埋めてしまうことと、秀康さまを殺害することです。先日の上田原の合戦では、徳川をもっと打ちのめすことはできたでしょう。彼が本気を出せば、若殿のお命もじゅうぶんに狙えたことと存じます。でもそこまではしなかった。それは秀康様を殺害するからです。秀康様を亡き者にして、若殿の徳川家を残すためです。
そのためには若殿には生きてもらわなくてはなりません。若殿が何者かに襲われ足を挫(くじ)かれたときも、お梶殿が助けました。それも自分から容疑を逸らすための自作自演だったのでしょう。そのときの下手人(げしゅにん)も逃がしていますので。
そして、大野治長とともに、大殿まで殺害し、徳川を弱体化する計画を立てたのではないですか。お梶殿?」
正信は胸を突かれたような気分だった。美濃で家康が討ち死にした急変を聞いて、東山道を江戸に戻るときのお梶の言葉を思い出したからだ。真田領内を通るとき、秀忠は馬を降りて進軍したらどうか話していたら、お梶は騎乗して堂々としていれば良いと進言した。これは真田が秀忠の命を狙わないということを予(あらかじ)め分かっていたからだったのだ。さらに、秀忠が曲者(くせもの)に襲われたところをお梶が助けたことがあった。これもお梶の自作自演だったかもしれない。
「そこまでお見通しなら、仕方ないわ」お梶は嘲笑しているように見える。「そう。私と真田昌幸殿、大野治長殿は通じていたのよ。山中城の戦いでは、島左近殿とも連絡を取ったわ。あのときは結城秀康にまんまとやられてしまったけれど、私が内通したことが暴露されなくて安堵したのよ。それで、この江戸では真田殿に城内の様子を逐一(ちくいち)報告して、美濃では治長殿と私とで家康の警護をしていたから、家康を襲うのも楽だったわ。家康も、まさかこの私が裏切るとは夢にも思っていなかったみたいね。
美濃では敵の夜襲があって、大殿を危険なほうに導かせたのは私よ。池田輝政の陣所にと大殿に申したけど、そちらには敵が押し寄せていて、おまけに治長殿が待ち構えていたわ。反対側に逃さなければいけなかったのにね。そちらに逃れれば、まだ本多忠勝殿の軍がいたの。でも逆側を申し上げたのはこの私。家康は私に溺れていたから、私の言うことならなんでも聞いたから」
お梶はそう言って吹き出した。
「この莫連(ばくれん)(※あばずれ)め」
お梶の頬を忠勝が叩いた。それでも高笑いを止めない。
直政は腰を屈めた。お梶の顔と向き合う。
「美濃で敵の夜襲を仕向けたのも、お梶か?」
お梶は首を横に振った。
「それは治長殿よ。彼と石田家の島左近とは昵懇(じっこん)の中だから。大垣から石田家の佐和山を抜けて大阪を突くことを、私が大殿に提案したのだけど、それも発案者は治長殿。そして敵方にその噂を流したのも、治長殿なのですから」
「それで、あの夜襲があったわけか?」
直政の問い掛けに、お梶は大きく頷いた。
「そうね。あの夜襲が治長殿の提案なのか、それとも敵方の提案なのかは、私にはよく分からないわ。でも、私は治長殿が考案したものだと思っている。徳川軍が佐和山を抜けて大阪に向かうという噂が流れれば、三成の性格上、大阪を守るために大垣城から出るだろう、と治長殿が申されたの。城を出るというのを、私は大垣城を出て佐和山までのどこか、具体的には小早川が布陣していた東山道の関が原あたりで、徳川軍を待ち伏せにするのだろうと勝手に思い込んでいたわ。しかし、大垣城に噂を流した後で、治長殿に呼び出されたときに、石田軍の夜襲の話を聞いて、私も驚いたわよ。そして、これで裏切り者の家康を討つことができると喜んだわ。そして、討って、徳川が滅んだ後は、晴れて治長殿と結ばれると」
灯りで浮き上がったお梶の頬が、紅潮しているのが分かった。唇に笑みを湛えている。それは恋心に満ちた女の笑みであると、正信は思った。
「今から、お梶を引っ立てる。すべては若殿のご判断になろう」
静かな口調で直政は伝えた。
お梶は切腹も許されず、磔刑(たっけい)となった。磔(はりつけ)にされたお梶は、これから処刑されるというのに、薄笑いを浮かべている。たいした女だと徳川秀忠は心の中で感心した。
「この徳川家も、北条家や遠山家のように、もうじき滅びるわ」
「黙れ!」と、どこからか声が上がった。だけれどもお梶は、上座に座る秀忠を眺めた。そして声をあげて笑い始める。
その笑いはしばらく続いた。髪を振り乱して、大仰に笑う。その姿は才色兼備の面影がまったくなく、どこかの遊郭にいるような蓮(はす)っ葉な女に見えてしまう。
「何がおかしい?」
堪らずに秀忠は聞いた。しかしお梶はまだ髪を乱して笑い続けている。
「何がおかしいと、若殿がお聞きになっている」
本多忠勝が問い質してくれた。するとお梶は秀忠を見据える。
「奢(おご)れる者も久しからず。徳川だけでなく、豊臣もそれほど長くはありますまい」
「豊臣も長くないと?」
秀忠の問い掛けに、お梶はかすかな笑みを作った。そして秀忠の隣に座る、お江の顔を眺めて、はっきりと頷いた。
「秀頼君(ぎみ)は、太閤殿下のお子ではござりませんので」
秀忠は耳を疑った。死ぬのを目の前にして、気が狂ったのかと思った。しかし、そうではないようだ。笑みを止めて、お江の顔を見据えている。
「秀頼君は、いや秀頼と申した方がよろしいでしょう。彼は、お方様の姉上と、太閤殿下の間に産まれた子ではございません。あの治部少輔との間に産まれた子です」
「治部少輔……」
あまりのことに、言葉に出来なかった。これが本当なら、大変なことになる。
「戯言(たわごと)を申すものではない。わらわの姉上がそのような不埒(ふらち)なことをするはずがなかろう」
お江の言葉が怒りに震えていた。しかしお梶は真顔で頷いた。
「大野殿から伺った話ですから信憑性がございます。鶴松君を失ってから、太閤殿下はすっかり気落ちしてしまい、淀君を抱くことが無くなったようでございます。それで大野殿が太閤にさらなる子作りを進言したそうですが、太閤は拒絶され、淀の方は大野治長と石田三成をたいそう気に入っているから、そのどちらかが淀君と枕を交わせば良いことと言ったそうです。それで大野殿がお断り申し上げたので、秀頼は治部少輔の子だということらしいです」
秀頼が三成の子。それはにわかには信じられぬことだ。でも、それがもし本当のことなら、大変なことになる。それくらいは秀忠にも想像がつく。
「そのような大事なこと、なぜもっと早く我らに申し上げないのか?」
忠勝の怒声が響いた。お梶は「フフフ」と低い声で笑った。
「徳川も豊臣も、私にとっては敵でございます。どちらも滅ぼすのが、私の本望ですので」
「そのようなことはございません。豊臣家と殿を陥れようとする敵の罠でございます」
佐竹義宣の使者に、島左近は丁寧に答えた。このような使者が、石田三成の陣所に来たのは、佐竹家で八家めである。まだ来ていないのは上杉家くらいである。
このような噂が流れたのは、敵方からであるのは明白である。最初に来た毛利家の安国寺恵瓊は「完全に我々の結束を乱そうとしているのは明白であるが」と前置きして、真実を確認してきた。三成は心の中でひどく狼狽したが、左近がうまく対応してくれた。そして次々と駆け付ける使者に、左近は場を取り繕っていた。
上杉家から来たのは、三成の親友である直江兼続である。兼続は浮かない顔をしていた。
「直江殿。どうなされましたか?」
左近が惚(とぼ)けた質問を投げかけた。惚けたというのも、どうして三成の陣所に来たのか、そんなことくらいは誰がどう見ても分かるからだ。
「ここだけの話でござるが」兼続は三成の顔をまっすぐに見据えた。眼力がより強くなっている。「左近殿がおられて、この話をしてもよろしいか?」
見ると、左近が三成に目で合図をして、腰を浮かしていた。やはり今後の対応として、左近にも知っておいてもらった方が良い。三成はそう判断した。
「構わない。左近もそこで話を聞いていてほしい」
三成の言葉で、左近は会釈をして腰を下ろした。それを聞いて、兼次は口を開いた。
「それでは治部少輔殿に単刀直入にお尋ねいたす。秀頼公はそなたのお子であるな?」
それは三成が予想していた質問である。さすが、三成の人となりを熟知した兼続だ。しかし質問されると、三成は動揺した。何しろ、あの真田でさえ、三成の言葉を信じて帰ったのである。
「秀頼公は、太閤殿下のお子ではなく、そなたの子であろう?」
三成が答えずにいると、重ねて兼続が聞いてきた。三成は意を決して、黙って頷いた。
すると、兼続は下唇を噛んで大きく頷く。
「で、他家の確認にはいかに答えたのか?」
「そんなことは事実ではないとお答えいたした」
三成が答えると、兼次は再び頷く。
「それで良いと存ずる。とにかく我らは打倒徳川で一致団結するのみ。それまでは崩してはならないと存ずる」兼続はそう言った後で、顔をしかめた。そして話を続ける。「しかしこのことが諸大名の耳に入れば、こともうまくいかなくなると存じる。ここは早めに江戸城を攻めて、徳川を討っておいた方が良かろう」
兼続の言うととおりだった。秀頼のことは三成が否定したものの、江戸城を囲むすべての部隊が知ることとなった。江戸城を囲んでいる吉川・小早川などはもともと徳川に通じていた。そしていま小田原を囲んでいる福島・黒田・浅野などの耳に入れば、彼らは特に三成憎しが強いため、敵に寝返るかもしれない。ここは、早いところ一気に攻め込んだ方が良さそうだ。それくらい、三成にも分かる。
「それで、何か良い口実があるのですか?」
左近の質問に、兼続は唇の端を緩めて頷いた。
「実は先ほど、堀を埋めていた土工数人が、本多忠勝の兵によって殺害された。それを口実に、一気に攻めたいと思うが、いかがか?」
「申し上げます。榊原康政殿の万世橋が破られました!」
「四ツ谷の本多忠勝殿の軍隊、奮戦するも壊滅!」
「井伊直政殿の牛込門が突破され、西の丸に敵が乱入しております!」
徳川秀忠と本多正信のもとに届くのは悪い報せばかりである。一時は毛利軍と対峙していた井伊直政の赤備えの精鋭部隊が、直政の甲冑を身にまとい、「我こそは井伊直政なり」と叫びながら、もう一歩で総大将の毛利輝元の本陣というところまで迫ったが、反撃もそこまでだった。何しろ多勢に無勢。それに城は丸裸である。南部を守っていた結城軍が崩れると、それまで奮戦していた各部隊が、瞬く間に崩れ始め、劣勢に追い込まれていた。
大久保忠隣がわずかな兵で守っていた小田原城は、敵の攻撃を受けてすでに落城している。これまでよく戦ったと秀忠は思っている。
「若殿。そろそろお方様を。この正信が万事、安全に毛利へお届け申し上げます」
正面に控えている正信が言った。お江を敵方に引き渡すように進言しているのだ。もう落城寸前だからだ。
秀忠はお江の顔を見た。お江と目が合う。彼女は唇を噛み締めって、顔を横に振った。
「わらわは徳川に嫁いだ身。身も心も徳川の人間です」そして正信に顔を向けた。「いくら姉上がいるとはいえ、豊臣に下ることはせぬ。わらわもこの城に残ります」
お江は強い言葉で言った。そして再び秀忠に顔を向けて畏まる。
「わらわは小谷城そして一条谷と、二度の落城を経験しております。三度目があるのなら、本当に好いたお方と共にと、ずっと思っておりました」
お江の目が潤んでいる。秀忠は驚いた。こんなに綺麗なお江を見たのは、初めてだ。そして彼女が嫁いでから、初めて可愛いと思った。
秀忠は無意識のうちに頷いた。
「分かり申した。それでは、それがし、敵を蹴散らして参ります。若殿、お方様、これにてご免!」
そう言って、正信は二人の前から消えて戦場に向かった。敵の砲撃の音が大きくなっている。堀が埋められてしまった城は脆弱(ぜいじゃく)だ。もう北の丸と吹上、それに三の丸あたりは敵に落とされて、あとは正信の守る西の丸と、秀忠本隊の守る本丸・二の丸しか残っていない。落城も時間の問題である。
「お江。悔いはないか?」
秀忠はお江の顔を眺めて聞いた。お江ははにかむような笑みを見せる。
「悔いといえば一つだけございます」
「それは何か?」と聞くと、お江は頬を紅潮させた。
「徳川家の三代目を産めなかったことでございます」
感極まって、秀忠はお江の身体を抱き締めた。そしてとめどなく涙が出てきた。
「誰かある。天守に火を放て!」
秀忠が震える声で叫ぶと、「ははっ!」と、一人の近習の張り上がった声が秀忠の耳に入ってきた。
櫓(やぐら)の中は静寂が訪れている。
本多正信は呆然と、その人物の横顔を眺めていた。でも櫓内の蝋燭(ろうそく)の灯りが弱く、しかも井伊直政の影となってしまって、顔の表情を読み取ることができない。
そして直政が口を開いた。
「あなたは徳川家に仕えながら、徳川家に恨みを抱いています。それは十年前に、大殿が北条との同盟を断ち切って、豊臣と共に小田原を攻めたからですね。徳川と北条の同盟は、大殿の娘・督姫を北条氏直殿に嫁がせた強固な同盟でした。そしてあなたのお父上は、北条家の重臣で江戸城代だった遠山直景殿です。徳川は豊臣と共に、この関東の北条家を攻めて、滅ぼしてしまいました。もし徳川が同盟を断ち切らず、北条と共に豊臣と戦っていたら、北条家も遠山家も生き残っていたとお思いになっているのでしょう。徳川と北条は、陸奥の伊達殿とも強固な同盟関係にありましたからね」
直政は静かに諭(さと)すように言った。言われた「容疑者」は黙ったままだ。その静寂を破ったのは、直政である。
「でも、大殿の名誉のために申しておきます。小牧・長久手の戦いのあと、徳川が豊臣に恭順の意を示してから、大殿は北条氏政殿に対して、豊臣の軍門に下るように、何度も説得しておりました。氏直殿も一緒になって、父親の氏政殿を説得したと、それがしは聞き及んでおります。北条家が惣無事令を破った時も、大殿は少しでも北条家に有利な条件で、豊臣の配下になれるよう苦心したと聞いております。それはひとえに、本能寺の変のあと、旧織田家をすっかり吸収した豊臣家の力が、この国で唯一無二のものになり、抗(あらが)うことができないと、大殿が判断したからでございます。しかしながら結局、氏政殿は大殿の提言を聞き入れなかった。それは最後まで太閤殿下を農民出身の成り上がり者と見下して、認めなかったからでしょう」
確かに直政の言うとおりであった。小牧・長久手の戦の前、東海の徳川、関東の北条、東北の伊達の三家は、強固な同盟関係で結ばれていた。特に徳川と北条は、家康の次女である督姫が北条氏直に嫁いで、関係が強化されていたのである。しかし小牧・長久手の戦いで秀吉の実力を知った家康は、秀吉と和議を結び、徳川は豊臣に恭順する形になった。それからは家康も北条を説得したのだが、五代目当主となった氏直は賛成するも、父親で四代目当主の氏政とその弟の氏照の兄弟が、最後まで反対して十年前の小田原の役が起きてしまったのだ。そこで秀吉の圧倒的な兵力を見せつけられた北条家は、関東の諸城をことごとく奪われて、小田原城は重臣の裏切り者が出て、戦うことなく内部から崩壊し、落城したのだ。氏政と弟の氏照は切腹、氏直は家康の嘆願によって命だけは助けられたが、小田原の役の翌年、病気で命を落としてしまった。
ようやく、その人物は口を開いた。
「直政殿。どうしてこの私めが敵に内通しているとお思いになったのか?」
直政の言うとおり、敵と内通しているのなら、その人物は切腹では済まされないだろう。しかし直政の言葉を否定することもなく、堂々としている。
直政は一つ大きく頷いた。
「決定打は、先ほどそれがしが牛込あたりの様子がおかしいと申し上げたところ、あなたが真田に気付かれても輝元の首が取れると申されたことです。牛込門の辺りには、他に安国寺軍と佐竹軍の陣所があります。だのに、牛込と聞いて、真田と断定するのはおかしいと思いませんか?」
正信は唾を飲み込んだ。確かに、先ほど、そんなやり取りがあった。すると、内通者は真田と通じていたのだろうか。
内通者は答えない。直政は続けた。
「あなたは真田と通じていましたね。その真田の狙いは、この徳川家を弱体化させることです。それは、今回の和議で分かることでしょう。城の外堀を埋めるという約束でしたが、真田は最初から内堀も埋めるつもりだったのです。内堀まで埋められたら、江戸も小田原も兵力が圧倒的に勝る敵方によって、落とされてしまうことでしょう。そこが真田の狙いなのです。
それでもし大殿が生きておられたら、江戸城が敵の大軍に囲まれる事態などは生まれなかったでしょうが、大殿が亡くなられても、もし秀康様が生きておられたら、この和議自体を突っぱねていたのは間違いないと思います。それで、あなたは秀康様を亡き者にしてしまったのです」
直政の衝撃的な言葉に、正信は言葉を失った。正信の隣で、血の気の多い本多忠政も、視線がただ茫然と宙に浮いているのが分かった。
「来ぬか……」
真田昌幸は前方の闇を凝視して、呟いた。闇の向こうに江戸城がある。城の中に松明の灯りは多くなり、それから一刻(いっとき)以上経過したが動きはない。
「父上。夜襲を仕掛けるのであれば、そろそろ仕掛けぬと……」
信繁の言葉に、昌幸は大きく頷いた。明るくなってしまえばそれで終わりだ。宵のうちに仕掛けなければ、うまくいかない。それも敵は分かっているはずだ。
「どうやら今宵は無さそうだな」
「無いのですか?」信繁は肩を落として尋ねた。ここで徳川が夜襲を仕掛けてくれれば、夜襲が失敗に終わるだけでなく、江戸城を攻める口実ができるからだ。
昌幸は大きく頷いた。
「こちらの動きに気付いたかもしれぬ。そして内通者がいることも」
「そこまで気付かれてしまいましたか?」
「おそらく」昌幸は再び大きく頷いた。「もし内通者がいることまで気付かれていないのなら、何らかの報せが来るはずだ」
確かに昌幸の言うとおりである。夜襲中止の報せが、内通者が無事であれば来るであろう。この時間になっても動きがなく、その報せが来ないとなれば、城内にいる内通者の身に何かあったとしか思えない。
だけれども信繁は、その内通者が誰だのかは父から知らされていない。
「ところで、父上。その内通者とはいったいどなたなのでしょうか?」
「徳川家に仕えておきながら、徳川家に恨みを持つ人物だ」
そうとだけ昌幸は答えた。徳川に恨みを持つ徳川家家臣。となると井伊直政であろうか。井伊家はもともと今川家の家臣だった。今川家が桶狭間で敗れ、今川の影響力が弱まったところで、徳川家に仕えるようになったと聞いている。本多家・榊原家・酒井家といった他の徳川四天王の家は家康の前代からの旧臣であるが、そういう意味で井伊家だけは新参者である。でも直政が徳川に恨みを持っているのかは分からない。
「だとしたら、父上。その内通者は処罰されてしまうのではないでしょうか?」
「そんなことよりも、今後どうやって、徳川に対応するかだ」昌幸は険しい表情でそう言った。そして近習を呼びつける。
「今宵は敵の夜襲もなさそうだ。上杉殿と石田殿の陣所にその旨を伝え、今夜はゆっくり休まれるよう、伝えてくれ」
昌幸はそう伝えて、陣所の中に入って行った。
「どうしたのか。まだ動きはないか?」
石田三成は苛立っていた。そろそろ敵が動いても良さそうなものだ。逆に動かなければ夜も明けてしまう。だけれども、毛利からも真田からも、何の報せもない。
「はい。今しばらく待つのがよろしいかと存じます」
島左近の言葉に、三成は頷いた。そして、闇の向こうを凝視する。
闇の向こうは四ツ谷方面だ。そこには毛利の陣所が置かれている。陣所の主である毛利輝元、そして秀元はすでに上杉の陣所に避難している。兵の多くも水道橋や新宿方面に退いていて、毛利の陣所自体は蛻(もぬけ)の殻だ。そこに夜襲を仕掛けた徳川軍に、三方から襲い掛かるというのが、こちらの作戦だ。真田昌幸の立てたその作戦は、実に見事なものでうまくいくはずだ。そしてそれを口実に、江戸城に攻め込むこともできる。
「ところで、殿」
振り返ると、左近は恭しく頭を下げて、三成を伺っている。
「そんなに改まって、どうした?」
「はい。前々から、それがしが気になっていることをお尋ねいたしたいと存じます」
「気になっていること?」
言われて三成はあることを思い出して、胸を突かれた。それはずっと自分の中で封印して、忘れていたことだ。
あることとは秀頼のことだ。左近の身体が三成に近づく。
「殿。秀頼公の御父上は、太閤殿下ではございませんね?」
やはりそのことだ。三成の身体が硬直する。否定も、肯定もできない。否定すれば嘘になるし、肯定すれば世の中が変わってしまう大事件だ。それくらいの認識は、三成にもある。
「もう一度、伺います。秀頼公は太閤殿下のお子ではございませんね?」
もう左近の目を直視できない。三成は目を逸らした。すると、左近は静かに笑う。
「殿は本当に分かりやすい御仁です。本当に愚直なまでに正直で、嘘の付けないお方です」
「う、嘘をついたことくらい、ある」
三成は左近の顔を見ずに言った。左近は静かに笑っている。
「秀頼公は殿のお子でございますな?」
言われて三成は動けなくなった。そして口の力を振り絞って言う。
「そんな、馬鹿な。茶々がそれがしなど相手にするはずがない」
言って、しまったと思った。淀君のことを茶々と幼名で呼んでしまったからだ。三成は二人きりの場でしか、今まで茶々と呼んだことはない。
それを聞いて、左近は吹き出した。
「何がおかしい?」
三成が問い質(ただ)すと、左近は畏まった。
「殿は本当に正直なお方だと。でもご安心ください。このことは決して口外いたしませぬ」
と左近が言ったところで、近習が入ってきた。
「申し上げます。今夜は敵の夜襲もない様子でございます。真田様から、ごゆるりと休まれてくださいとのことです」
そうだ、なぜもっと早く気付かなかったのか。正信は苦虫を噛み潰した。
小田原に出陣したとき、敵のいる興国寺城を攻めるよう提案したのも容疑者だった。もし容疑者の言うとおりにしていたら、敵と繋がっているからこちらは大損害を被ったかもしれない。その後も、秀康の退却の提案に、容疑者が山中城に残って殿(しんがり)を務めると立候補した。これも危ないところだった。要害の山中城を無傷のまま敵に渡すところだった。
そしてその容疑者が、秀康も殺害していたなんて……
「フフフ」と、櫓の中に低い笑い声が聞こえた。そして悪びれずに反論する。
「井伊殿は、この私が徳川を裏切ったばかりか、秀康様まで殺害したと、たわけたことを申すものよ」
「秀康様が亡くなった時、いかにしてお茶ではなく、饅頭の中に毒が盛られていたと分かったのですか?」
「お茶でなければ、饅頭に盛られているのは当然であろう」
顔の表情は伺えないが、その口調は直政を嘲(あざけ)ているように聞こえる。正信はその時の状況を思い出す。秀康が殺害される前に、秀忠のお茶に毒が混入されていたのが発覚した。それを発見したのはお梶だった。そのような密告があったとか言って。
そのことを直政が突っつく。
「では伺いますが、なぜお茶でなくて饅頭だと分かったのですか? 若殿はお茶なのに、秀康様は饅頭です。それがしが見たとき、秀康様はお茶も饅頭も、両方ともお召しになられていました」
「そ……それは……」
容疑者が口ごもった。すかさず直政が言い放つ。
「それは簡単です。最初からあなたは若殿のお茶と、秀康様の饅頭に毒を盛っていたのです。特に秀康様の饅頭に毒を盛るのは造作ないことだったでしょう。何しろあなたが用意した饅頭でしたから。ひょっとすると、若殿のお茶には毒を盛っていなかったかもしれません。いや、盛っていなかったのでしょう。それで、若殿のお茶に毒が混入されていたかのようにしたのです。それは簡単です。毒の入っていない若殿のお茶を取り上げて、庭園の池に毒と一緒に捨てれば良かったのですから。それで自分で暴いて見せたのは、秀康様が亡くなった疑惑を、自分に向けさせないためです。そのとき、それがしはお方様とあなたを疑っていました。でもお方様は、秀康様の飲むものに毒を盛ったのは自分ではないと仰せになったのです。それでお方様は違う、犯人は饅頭に毒が盛られていると言い当てたあなただと思ったのですよ。お梶さん」
そのとき、正信にもお梶の顔が見えた。彼女は悪びれる様子もなく、唇に笑みをたたえている。
その身体を本多忠勝が取り押さえた。それでもお梶は薄笑いを浮かべている。
「井伊殿。なぜそれを早く申されぬ。我々は敵の術中に嵌ってしまうところだったではござらぬか」
「秀康様を殺害した犯人を突き止めよと、若殿から承ったときから、八割ほどお梶殿の仕業と心得ておりました。でも確信は持てませんでした。でもお梶殿の出生と、真田の目的が分かり、結びついたのです。
まず、お梶殿の出生は最初に申し上げたとおりです。十年前の小田原の役の際、徳川と北条の強固な同盟関係が崩れて、お梶殿の生家で北条家の重臣であった遠山家が滅びました。それで徳川に対する恨みがあったのです。
真田の策略は、この徳川を潰すことです。そのためには、江戸と小田原の内堀まで埋めてしまうことと、秀康さまを殺害することです。先日の上田原の合戦では、徳川をもっと打ちのめすことはできたでしょう。彼が本気を出せば、若殿のお命もじゅうぶんに狙えたことと存じます。でもそこまではしなかった。それは秀康様を殺害するからです。秀康様を亡き者にして、若殿の徳川家を残すためです。
そのためには若殿には生きてもらわなくてはなりません。若殿が何者かに襲われ足を挫(くじ)かれたときも、お梶殿が助けました。それも自分から容疑を逸らすための自作自演だったのでしょう。そのときの下手人(げしゅにん)も逃がしていますので。
そして、大野治長とともに、大殿まで殺害し、徳川を弱体化する計画を立てたのではないですか。お梶殿?」
正信は胸を突かれたような気分だった。美濃で家康が討ち死にした急変を聞いて、東山道を江戸に戻るときのお梶の言葉を思い出したからだ。真田領内を通るとき、秀忠は馬を降りて進軍したらどうか話していたら、お梶は騎乗して堂々としていれば良いと進言した。これは真田が秀忠の命を狙わないということを予(あらかじ)め分かっていたからだったのだ。さらに、秀忠が曲者(くせもの)に襲われたところをお梶が助けたことがあった。これもお梶の自作自演だったかもしれない。
「そこまでお見通しなら、仕方ないわ」お梶は嘲笑しているように見える。「そう。私と真田昌幸殿、大野治長殿は通じていたのよ。山中城の戦いでは、島左近殿とも連絡を取ったわ。あのときは結城秀康にまんまとやられてしまったけれど、私が内通したことが暴露されなくて安堵したのよ。それで、この江戸では真田殿に城内の様子を逐一(ちくいち)報告して、美濃では治長殿と私とで家康の警護をしていたから、家康を襲うのも楽だったわ。家康も、まさかこの私が裏切るとは夢にも思っていなかったみたいね。
美濃では敵の夜襲があって、大殿を危険なほうに導かせたのは私よ。池田輝政の陣所にと大殿に申したけど、そちらには敵が押し寄せていて、おまけに治長殿が待ち構えていたわ。反対側に逃さなければいけなかったのにね。そちらに逃れれば、まだ本多忠勝殿の軍がいたの。でも逆側を申し上げたのはこの私。家康は私に溺れていたから、私の言うことならなんでも聞いたから」
お梶はそう言って吹き出した。
「この莫連(ばくれん)(※あばずれ)め」
お梶の頬を忠勝が叩いた。それでも高笑いを止めない。
直政は腰を屈めた。お梶の顔と向き合う。
「美濃で敵の夜襲を仕向けたのも、お梶か?」
お梶は首を横に振った。
「それは治長殿よ。彼と石田家の島左近とは昵懇(じっこん)の中だから。大垣から石田家の佐和山を抜けて大阪を突くことを、私が大殿に提案したのだけど、それも発案者は治長殿。そして敵方にその噂を流したのも、治長殿なのですから」
「それで、あの夜襲があったわけか?」
直政の問い掛けに、お梶は大きく頷いた。
「そうね。あの夜襲が治長殿の提案なのか、それとも敵方の提案なのかは、私にはよく分からないわ。でも、私は治長殿が考案したものだと思っている。徳川軍が佐和山を抜けて大阪に向かうという噂が流れれば、三成の性格上、大阪を守るために大垣城から出るだろう、と治長殿が申されたの。城を出るというのを、私は大垣城を出て佐和山までのどこか、具体的には小早川が布陣していた東山道の関が原あたりで、徳川軍を待ち伏せにするのだろうと勝手に思い込んでいたわ。しかし、大垣城に噂を流した後で、治長殿に呼び出されたときに、石田軍の夜襲の話を聞いて、私も驚いたわよ。そして、これで裏切り者の家康を討つことができると喜んだわ。そして、討って、徳川が滅んだ後は、晴れて治長殿と結ばれると」
灯りで浮き上がったお梶の頬が、紅潮しているのが分かった。唇に笑みを湛えている。それは恋心に満ちた女の笑みであると、正信は思った。
「今から、お梶を引っ立てる。すべては若殿のご判断になろう」
静かな口調で直政は伝えた。
お梶は切腹も許されず、磔刑(たっけい)となった。磔(はりつけ)にされたお梶は、これから処刑されるというのに、薄笑いを浮かべている。たいした女だと徳川秀忠は心の中で感心した。
「この徳川家も、北条家や遠山家のように、もうじき滅びるわ」
「黙れ!」と、どこからか声が上がった。だけれどもお梶は、上座に座る秀忠を眺めた。そして声をあげて笑い始める。
その笑いはしばらく続いた。髪を振り乱して、大仰に笑う。その姿は才色兼備の面影がまったくなく、どこかの遊郭にいるような蓮(はす)っ葉な女に見えてしまう。
「何がおかしい?」
堪らずに秀忠は聞いた。しかしお梶はまだ髪を乱して笑い続けている。
「何がおかしいと、若殿がお聞きになっている」
本多忠勝が問い質してくれた。するとお梶は秀忠を見据える。
「奢(おご)れる者も久しからず。徳川だけでなく、豊臣もそれほど長くはありますまい」
「豊臣も長くないと?」
秀忠の問い掛けに、お梶はかすかな笑みを作った。そして秀忠の隣に座る、お江の顔を眺めて、はっきりと頷いた。
「秀頼君(ぎみ)は、太閤殿下のお子ではござりませんので」
秀忠は耳を疑った。死ぬのを目の前にして、気が狂ったのかと思った。しかし、そうではないようだ。笑みを止めて、お江の顔を見据えている。
「秀頼君は、いや秀頼と申した方がよろしいでしょう。彼は、お方様の姉上と、太閤殿下の間に産まれた子ではございません。あの治部少輔との間に産まれた子です」
「治部少輔……」
あまりのことに、言葉に出来なかった。これが本当なら、大変なことになる。
「戯言(たわごと)を申すものではない。わらわの姉上がそのような不埒(ふらち)なことをするはずがなかろう」
お江の言葉が怒りに震えていた。しかしお梶は真顔で頷いた。
「大野殿から伺った話ですから信憑性がございます。鶴松君を失ってから、太閤殿下はすっかり気落ちしてしまい、淀君を抱くことが無くなったようでございます。それで大野殿が太閤にさらなる子作りを進言したそうですが、太閤は拒絶され、淀の方は大野治長と石田三成をたいそう気に入っているから、そのどちらかが淀君と枕を交わせば良いことと言ったそうです。それで大野殿がお断り申し上げたので、秀頼は治部少輔の子だということらしいです」
秀頼が三成の子。それはにわかには信じられぬことだ。でも、それがもし本当のことなら、大変なことになる。それくらいは秀忠にも想像がつく。
「そのような大事なこと、なぜもっと早く我らに申し上げないのか?」
忠勝の怒声が響いた。お梶は「フフフ」と低い声で笑った。
「徳川も豊臣も、私にとっては敵でございます。どちらも滅ぼすのが、私の本望ですので」
「そのようなことはございません。豊臣家と殿を陥れようとする敵の罠でございます」
佐竹義宣の使者に、島左近は丁寧に答えた。このような使者が、石田三成の陣所に来たのは、佐竹家で八家めである。まだ来ていないのは上杉家くらいである。
このような噂が流れたのは、敵方からであるのは明白である。最初に来た毛利家の安国寺恵瓊は「完全に我々の結束を乱そうとしているのは明白であるが」と前置きして、真実を確認してきた。三成は心の中でひどく狼狽したが、左近がうまく対応してくれた。そして次々と駆け付ける使者に、左近は場を取り繕っていた。
上杉家から来たのは、三成の親友である直江兼続である。兼続は浮かない顔をしていた。
「直江殿。どうなされましたか?」
左近が惚(とぼ)けた質問を投げかけた。惚けたというのも、どうして三成の陣所に来たのか、そんなことくらいは誰がどう見ても分かるからだ。
「ここだけの話でござるが」兼続は三成の顔をまっすぐに見据えた。眼力がより強くなっている。「左近殿がおられて、この話をしてもよろしいか?」
見ると、左近が三成に目で合図をして、腰を浮かしていた。やはり今後の対応として、左近にも知っておいてもらった方が良い。三成はそう判断した。
「構わない。左近もそこで話を聞いていてほしい」
三成の言葉で、左近は会釈をして腰を下ろした。それを聞いて、兼次は口を開いた。
「それでは治部少輔殿に単刀直入にお尋ねいたす。秀頼公はそなたのお子であるな?」
それは三成が予想していた質問である。さすが、三成の人となりを熟知した兼続だ。しかし質問されると、三成は動揺した。何しろ、あの真田でさえ、三成の言葉を信じて帰ったのである。
「秀頼公は、太閤殿下のお子ではなく、そなたの子であろう?」
三成が答えずにいると、重ねて兼続が聞いてきた。三成は意を決して、黙って頷いた。
すると、兼続は下唇を噛んで大きく頷く。
「で、他家の確認にはいかに答えたのか?」
「そんなことは事実ではないとお答えいたした」
三成が答えると、兼次は再び頷く。
「それで良いと存ずる。とにかく我らは打倒徳川で一致団結するのみ。それまでは崩してはならないと存ずる」兼続はそう言った後で、顔をしかめた。そして話を続ける。「しかしこのことが諸大名の耳に入れば、こともうまくいかなくなると存じる。ここは早めに江戸城を攻めて、徳川を討っておいた方が良かろう」
兼続の言うととおりだった。秀頼のことは三成が否定したものの、江戸城を囲むすべての部隊が知ることとなった。江戸城を囲んでいる吉川・小早川などはもともと徳川に通じていた。そしていま小田原を囲んでいる福島・黒田・浅野などの耳に入れば、彼らは特に三成憎しが強いため、敵に寝返るかもしれない。ここは、早いところ一気に攻め込んだ方が良さそうだ。それくらい、三成にも分かる。
「それで、何か良い口実があるのですか?」
左近の質問に、兼続は唇の端を緩めて頷いた。
「実は先ほど、堀を埋めていた土工数人が、本多忠勝の兵によって殺害された。それを口実に、一気に攻めたいと思うが、いかがか?」
「申し上げます。榊原康政殿の万世橋が破られました!」
「四ツ谷の本多忠勝殿の軍隊、奮戦するも壊滅!」
「井伊直政殿の牛込門が突破され、西の丸に敵が乱入しております!」
徳川秀忠と本多正信のもとに届くのは悪い報せばかりである。一時は毛利軍と対峙していた井伊直政の赤備えの精鋭部隊が、直政の甲冑を身にまとい、「我こそは井伊直政なり」と叫びながら、もう一歩で総大将の毛利輝元の本陣というところまで迫ったが、反撃もそこまでだった。何しろ多勢に無勢。それに城は丸裸である。南部を守っていた結城軍が崩れると、それまで奮戦していた各部隊が、瞬く間に崩れ始め、劣勢に追い込まれていた。
大久保忠隣がわずかな兵で守っていた小田原城は、敵の攻撃を受けてすでに落城している。これまでよく戦ったと秀忠は思っている。
「若殿。そろそろお方様を。この正信が万事、安全に毛利へお届け申し上げます」
正面に控えている正信が言った。お江を敵方に引き渡すように進言しているのだ。もう落城寸前だからだ。
秀忠はお江の顔を見た。お江と目が合う。彼女は唇を噛み締めって、顔を横に振った。
「わらわは徳川に嫁いだ身。身も心も徳川の人間です」そして正信に顔を向けた。「いくら姉上がいるとはいえ、豊臣に下ることはせぬ。わらわもこの城に残ります」
お江は強い言葉で言った。そして再び秀忠に顔を向けて畏まる。
「わらわは小谷城そして一条谷と、二度の落城を経験しております。三度目があるのなら、本当に好いたお方と共にと、ずっと思っておりました」
お江の目が潤んでいる。秀忠は驚いた。こんなに綺麗なお江を見たのは、初めてだ。そして彼女が嫁いでから、初めて可愛いと思った。
秀忠は無意識のうちに頷いた。
「分かり申した。それでは、それがし、敵を蹴散らして参ります。若殿、お方様、これにてご免!」
そう言って、正信は二人の前から消えて戦場に向かった。敵の砲撃の音が大きくなっている。堀が埋められてしまった城は脆弱(ぜいじゃく)だ。もう北の丸と吹上、それに三の丸あたりは敵に落とされて、あとは正信の守る西の丸と、秀忠本隊の守る本丸・二の丸しか残っていない。落城も時間の問題である。
「お江。悔いはないか?」
秀忠はお江の顔を眺めて聞いた。お江ははにかむような笑みを見せる。
「悔いといえば一つだけございます」
「それは何か?」と聞くと、お江は頬を紅潮させた。
「徳川家の三代目を産めなかったことでございます」
感極まって、秀忠はお江の身体を抱き締めた。そしてとめどなく涙が出てきた。
「誰かある。天守に火を放て!」
秀忠が震える声で叫ぶと、「ははっ!」と、一人の近習の張り上がった声が秀忠の耳に入ってきた。
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