雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

14 side悠

 俺は今、那と父上と宰相との四人で話し合いをしている。もちろん王位継承権についてだ。しかし、話はなかなか思うように進まない。父上が納得されていないからだ。それもそうだろう。いきなり那に権利を譲ることを言い出し、理由は弟の方がふさわしいと思ったから。もし俺が父上の立場でもおかしいと思うだろう。しかし、せっかく薫が俺や葉に心を開きつつあると言うのに、またチョーカーを操られたら、と思うと那に従うしかなかった。そういえば、昨日、レターセットを買いに行く約束をした後に俺がガッツポーズをすると薫は初めて笑ってくれた。まるで彼の周りに花が咲いたように美しく、俺も葉も一瞬言葉を失った。あの整った顔で優しく微笑まれたら、どんな奴でもドキドキするに違いない。あぁ、早く良くなって買い物に連れて行きたいなぁ、どこの店がいいだろうか?、などと考えていると、椅子を引く音が聞こえて、話し合いが終わったことがわかった。そもそも、父上が納得すれば話し合いはしなくていいので、ただほとんど那が父上に話しているだけだった。結局最後の方は何も聞いていなかったが、父上が、

「次の話し合いは明日だ。」

と言っていたから、まだ納得していないのだろう。疲れたなぁと思いながら、自室へ向かう。今はちょうど正午頃だ。薫を誘ってご飯を外で食べようと思いつく。自然とゆるむ頬を戻しつつ、歩みを早めた。



 部屋の扉をノックし、中に入ると、薫はベットの上で上半身を起こした状態で葉と話していた。

「おはよう。」

と言うと、

「おはよう、というよりこんにちは、だね。」

と言って笑う。つられて俺も笑う。なんだか薫と話していると、なんとなく優しい雰囲気につつまれるなぁと思う。

「確かに。ところで、まだ昼食は食べていないよな?」

葉に確認すると、ハッと今気づいた様子で、

「お話に夢中で気づきませんでした。薫様、すみません。」

と言う。薫も葉と同じように時計を見て、もうこんな時間…、と呟き、

「いや、僕も気づかなかった…」

と葉に驚いた表情で、言った。そしてお互いに顔を見合わせながら、びっくりだ…、と言っている。もうずっと前から知り合いだったかのような二人の様子に、ホッとする。

「まだなら、一緒に外で食べないか?ずっと部屋にいると外に出たくなるだろう?もし調子が良ければだが。」

「ありがとう。調子、良さそうだからぜひ行きたい!」

そう言って立ちあがる薫。しかし、ここ数日寝たきりだったせいか、バランスを崩すのを見て、慌てて支える。

「ありがとう。」

俺を見つめる空色と翡翠色の瞳が綺麗だ、と思いながら手を離すと、準備があるからと部屋の奥へ行った。葉もすぐに昼食を作ると言い、部屋を出て行った。俺も服を着替えようと思い、唯一整理されているクローゼットを開けた。
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