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第5話 反日女優の本音
しおりを挟むフィンランド・ヘルシンキ。
ガブリエラ・リーンは、自宅の書斎で日本から届いたオファーレターを丸め、ゴミ箱に投げ入れた。
「日本? 冗談じゃない」
テレビには日本のニュースが流れている。
そこではいつものように「反日女優」として彼女が紹介されていた。
日本を嫌っている――それが彼女の世間的なイメージだった。
だが、その憎悪の奥には誰も知らない真実が隠されていた。
---
十年前。
まだ駆け出しの子役だった彼女は、日本で行われた炭酸飲料「サファルビ」の大型イベントに出演していた。
慣れない日本語で必死にステージに立ち、緊張で震えていた。
その舞台裏で、一人俯く青年――倉木と出会った。
「ユメ、やめる?」
片言の日本語で声をかけた。
倉木は驚き、そして苦笑した。
「……でも君は夢をやめないのか?」
「ワタシ、ニホンが好き。だから夢、信じたい」
その短い会話が、倉木を救った。
そしてガブリエラ自身も、日本を心から愛するようになった瞬間だった。
---
だが、その後。
彼女は日本の芸能界で理不尽な仕打ちを受けた。
「外人枠」としてステレオタイプの役ばかりを押し付けられ、差別的な言葉も浴びせられた。
夢を踏みにじられた痛みは、やがて愛を裏返しにして憎しみに変えた。
だから彼女は言い続けた――「日本が嫌いだ」と。
---
ガブリエラは、くしゃくしゃになったオファーレターを拾い上げた。
『律』のナオミ役。すべての国の言葉を操り、仲間を守るメンタリスト。
それは、かつての自分の姿そのもののように思えた。
「……なぜ、今になって私を呼ぶの?」
その問いは、やがて彼女を再び日本へと導くことになる。
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