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魔王アムダール復活編
第13話
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「らっしゃい!金魚掬いやってるよー」
「りんご飴はいかがー?」
人狼族の隠れ里による、年に一度のお祭り。この日は数多くの屋台や露店が一斉に集う。
「あ、エドガーさんじゃないですか!今晩は!」
黒い髪の高身長の青年は、エドガーに向かって挨拶をした。
「おお、アルフォンスか!」
「はい!人間の僕らが場違いだとは思いますが、この人狼の里にお邪魔させて頂いてます!」
「うむ、良いぞ。今日は存分に楽しむが良い」
「長、この人は….?」
パトリックが少し不安そうにエドガーの影に隠れて目の前の人間を見つめる。
「安心しろパト。こやつはアルフォンス。わしの仕事仲間じゃよ」
「あっ、君がパトリックくんかな?はじめまして、僕はアルフォンス。エドガーさんの仕事仲間としてお世話になってます」
「どうも…」
「そんなに心配しなくてもいいよ。僕は魔族を差別したりなんかしないから。って言っても、言葉だけじゃ信じないよね」
「あ、ああいえ、ボク、人狼とクルースニクのハーフなんです。だから怖がられるんじゃないかなって」
「あはは!怖がったりなんかしないよ!僕は人狼をはじめとする魔族達と一緒に毎日働いているからね!貿易都市カルナールってところは知ってるかな?」
「カルナールって、長が野菜とかを納品しに行ってる都市ですよね?」
「そうそう!そこでは魔族と人間が共存しているんだ!オーガとか、オークなんかもいるよ!」
「そうなんですか…」
「うん!だからね、ここに今来ている人間達は魔族に対して有効的なんだ!僕も含めてさ!だからさ、パトリックくん!君の事ももっと知りたいなって!」
パトリックの人間に対する凍りついた心は、次第に溶けていく。
「はい!ボクもアルフォンスさんの事…もっと知りたいです!」
「ふふ、良かったな、パト」
それに応じて、長も自然と笑みがこぼれた。その時、遠くで大きな音が鳴った。
「あっ!花火だ!」
パトリックは花火に目をキラキラと輝かせている。
「おお、今宵の花火は一段と美しい…」
「ふふ、うちの知り合いの花火職人が気合を込めて火の魔法や火薬を調合してましてね、今年の花火は一段と美しいですよ」
「そうだな。さて、この後はキャンプファイヤーを囲んでケバブみたいな肉料理を食べるのだが、パトももちろん参加するよな?」
「うん!ボクお肉大好き….あっ」
パトリックは突然照れ出した。
「ん?どうしたんだいパトリックくん」
「あいや、その、お肉食べれるって聞いた瞬間喜んだのは少し幼稚だったかなって」
「そんな事はないさ!僕だってケバブを楽しみにしてたんだ!一緒に食べようじゃないか!」
「はいっ!あ、ジーリオとシェーンも一緒に誘っても良いよね、長?」
「もちろんだとも。さ、キャンプファイヤーは東側の広場で行われる。そこに向かおうか」
アルフォンスとパトリックとエドガーはキャンプファイヤーが行われる広場へと向かった。
キャンプファイヤーが行われる広場では、人間も人狼も関係なく和気藹々とした空気が流れていた。パトリック達の元にジーリオとシェーンも加わって、穏やかな時間が流れる。
「それでだな、そいつったら見事に酔い潰れてやんの!だからあんだけ俺が酔うまで飲むのをやめとけってさー」
「あはは、人狼でもアルコール耐性が強いとか弱いとか個人差があるんだね」
「そうだなー。ま、俺は上戸だけどな!」
ジーリオはそう言うと、ジョッキに注がれたビールを一気に飲み干す。
「これジーリオ、あまり飲みすぎるんじゃないぞ」
「んだよ長~、年に一度の飲酒できる機会なんだから良いじゃねえか、クオリアス教の影響で飲酒もこういう場でしか出来ないんだからさ」
「しかしだな、クオリアス教に帰属する事で我ら人狼は人間と共存が出来ている。それを無碍にするわけには…」
「だから!そのクオリアス教が今日は酒飲んでもいいよって言ってんじゃんか!もっと飲ませろ~、次はワイン持ってこーい」
ジーリオは久々の酒に酔いしれている。ソーセージやカマンベールチーズのようなつまみと合わせてかれこれもう8杯目だ。
「いくら人狼でもこの飲みっぷりは流石に…パト、シェーン、お前達からも注意してくれないか」
「うん!ジーリオ、もうお酒飲むのやめよ?」
「そうですよ!これ以上は胃に悪いですって」
パトリックとシェーンはジーリオを心配そうに見つめる。それに答えるように、ジーリオは8杯目で酒を飲むのをやめた。
「わーったよ、もうこれで止めだ。後は緑茶でも飲んでるよ」
「うむ、そうしておけ。パトとシェーンの言う事は素直に聞くんだな」
「何だかんだジーリオはボクらの言う事は聞いてくれますからね!だよね、シェーン?」
「はい!パトくんの言う通りです!わからず屋ですけどわたし達の言う事は聞いてくれるんですよね!」
「わからず屋は余計だろが、ヒック」
「あはは、人狼って最初は怖かったけど、これじゃ人間と変わらないな」
アルフォンスはにこやかに4人のやり取りを見つめていた。
「それにしても、どうしてアルフォンスさんは人狼を怖がらないで接してくれるの?」
「ああ、僕はね。もう人間が信用できないんだ」
「え?」
「人間ってね。君達が思っている以上に汚いんだよ。金の為に魔物や魔族を平気で殺して魔石を奪い取ろうとするし、官僚みたいな権力者の汚職事件も絶えないし、魔術を悪用した犯罪だって多い。僕は人間の汚さに絶望したんだ」
「でもね、君達は違う。みんな協力し合って生きてる。もちろん、力が強い者に従うべきという厳しい掟も存在する。でも、日々研鑽して、身体を鍛えて。必死で自分達とは違うものを理解しようとする。そんな人狼の姿に僕は惚れたんだ」
「そんな…ボクらだって争いは絶えませんよ!なんでも力で解決しようとするところとか野蛮だなって思ってますし」
「わたしは人間の方が羨ましいです。弱き者にも手を差し伸べるじゃないですか」
「ううん、違うよ。人間は愛だの正義だののたまうくせに、結局弱者から搾取してる。いつの世も、弱者が選べるのはどんな苦痛を受けるか、だけなんだよ」
「あ….」
パトリックはアルフォンスの言葉にたじろぐ。その表情は、悲哀に満ちていた。
「….なんか、しみったれた話をしちゃったね。今のは忘れて。でもこれは忘れないで。僕は人狼が好きだ。君達が好きだ。どんな時でも、君達の味方でありたいんだ」
「アルフォンスさん…」
パトリックはアルフォンスを見つめると、身体に力を込めて狼の姿へと獣化した。身長165cm程だったパトリックの身体は膨張し、巨大化し、灰色と白の毛並みの2m以上の大きさの狼獣人となる。
「わっ….凄い…!人狼が変身するところ、初めて見たなぁ…」
「ボクで良ければ、いくらでもモフモフしてください。こんな事しか出来ませんが…」
「良いのかい?じゃあお言葉に甘えて…」
アルフォンスはパトリックの毛皮をこれでもかと言うくらい堪能した。
「ふふ、パトくんの毛並み、つやつやで綺麗だね」
「そんなー、照れますよ」
人狼の姿から人間の姿へと戻ったパトリックは、アルフォンスのモフモフレビューに照れていた。
「ふああ…なんか眠いですね…」
直後、パトリック達を強烈な睡魔が襲う。
「わしもじゃ。今日の朝は早くから作業をしてたからかの…」
「….?僕は全然眠くないけど」
「ん…?アルフォンスさんはこの睡魔に耐えられるなんて凄いです….ね….」
「ぐごー」
気付けば、アルフォンスを残して人狼達はいつの間にか眠っていた。パトリックも、シェーンも、エドガーも、ジーリオも。いや、この4人だけではない。人狼の里に属するおよそ400人の人狼全てが、キャンプファイヤーを囲むように眠っていた。
「何だ….?これ….」
アルフォンスは嵐の前の静けさに身構える。すると、目の前に雪のように白い髪の、黒い軍服を着用した少女が現れた。
「人間の生体反応、そして、魔族の生体反応を4体感知。攻撃態勢に入りますが、人間が退避するのを待機します」
「なんだ….どういうことだ…」
「あれー?まだ人間がいたんだー?」
アルフォンスが声をした方向を見ると、そこには冒険者達がいた。軽装から重装備の者まで様々な格好をしていた。
「なんだ!?君達は!!」
「あのさ、邪魔だから早く里から避難してくれない?これから俺ら、人狼を殲滅して魔石を取らなきゃいけないんだよね」
軽薄そうな男の冒険者はそうアルフォンスに告げる。
「何…?人狼の魔石を!?まさか、人狼が眠っているのは!!」
「そうだよ。俺達が睡眠薬を仕込んだのさ。とびっきり強力なやつをな。あ、もしかしたら効き目強すぎてあの世行きかもなぁ?ヒヒヒヒ!!」
「なぜこんな事を…!!!魔族だって生きているんだぞ!!」
「魔族の命なんか知らねーよ。俺達みたいなC級の半端者が唯一成り上がるチャンスなんだ。さ、ヴァイスちゃん、やっちゃってー」
「かしこまりました。痛哭の調べ(フェイルノート)」
ヴァイスと呼ばれたホムンクルスが竪琴にも似た弓矢の弦を弾き鳴らすと、真空中の弓矢が爆睡しているジーリオの脚目掛けて飛んでいく。真空中の弓矢はジーリオの左脚に命中し、彼の脚の肉を裂いた。
「あっ….!」
しかし、ジーリオは目を覚さなかった。彼の左脚は真空によって切り裂かれ、ドクドクと血が流れ出している。
「やりい~!!!すげーじゃんヴァイスちゃん!!」
「お褒め頂き光栄です。しかし、あの人間は如何致しますか?」
「あっ、そうだ、お前早くこの場から消えろよ。こいつら全員殺すんだから」
「ふざけるな….!」
アルフォンスは懐から手袋を出し、両腕に装着した。
「あん?」
「お前らは….僕が止める…!」
「あ、何?お前魔族の味方すんの?ヴァイスちゃーん、やっぱこいつも殺しちゃって」
「かしこまりました。ですが、人間を殺しても良いのですか?」
「いいよ。魔族に加担するのが悪いんだから」
「御意。殺傷対象に人間を一人加えます」
こうして、冒険者達の人狼狩りが始まったーーー
「りんご飴はいかがー?」
人狼族の隠れ里による、年に一度のお祭り。この日は数多くの屋台や露店が一斉に集う。
「あ、エドガーさんじゃないですか!今晩は!」
黒い髪の高身長の青年は、エドガーに向かって挨拶をした。
「おお、アルフォンスか!」
「はい!人間の僕らが場違いだとは思いますが、この人狼の里にお邪魔させて頂いてます!」
「うむ、良いぞ。今日は存分に楽しむが良い」
「長、この人は….?」
パトリックが少し不安そうにエドガーの影に隠れて目の前の人間を見つめる。
「安心しろパト。こやつはアルフォンス。わしの仕事仲間じゃよ」
「あっ、君がパトリックくんかな?はじめまして、僕はアルフォンス。エドガーさんの仕事仲間としてお世話になってます」
「どうも…」
「そんなに心配しなくてもいいよ。僕は魔族を差別したりなんかしないから。って言っても、言葉だけじゃ信じないよね」
「あ、ああいえ、ボク、人狼とクルースニクのハーフなんです。だから怖がられるんじゃないかなって」
「あはは!怖がったりなんかしないよ!僕は人狼をはじめとする魔族達と一緒に毎日働いているからね!貿易都市カルナールってところは知ってるかな?」
「カルナールって、長が野菜とかを納品しに行ってる都市ですよね?」
「そうそう!そこでは魔族と人間が共存しているんだ!オーガとか、オークなんかもいるよ!」
「そうなんですか…」
「うん!だからね、ここに今来ている人間達は魔族に対して有効的なんだ!僕も含めてさ!だからさ、パトリックくん!君の事ももっと知りたいなって!」
パトリックの人間に対する凍りついた心は、次第に溶けていく。
「はい!ボクもアルフォンスさんの事…もっと知りたいです!」
「ふふ、良かったな、パト」
それに応じて、長も自然と笑みがこぼれた。その時、遠くで大きな音が鳴った。
「あっ!花火だ!」
パトリックは花火に目をキラキラと輝かせている。
「おお、今宵の花火は一段と美しい…」
「ふふ、うちの知り合いの花火職人が気合を込めて火の魔法や火薬を調合してましてね、今年の花火は一段と美しいですよ」
「そうだな。さて、この後はキャンプファイヤーを囲んでケバブみたいな肉料理を食べるのだが、パトももちろん参加するよな?」
「うん!ボクお肉大好き….あっ」
パトリックは突然照れ出した。
「ん?どうしたんだいパトリックくん」
「あいや、その、お肉食べれるって聞いた瞬間喜んだのは少し幼稚だったかなって」
「そんな事はないさ!僕だってケバブを楽しみにしてたんだ!一緒に食べようじゃないか!」
「はいっ!あ、ジーリオとシェーンも一緒に誘っても良いよね、長?」
「もちろんだとも。さ、キャンプファイヤーは東側の広場で行われる。そこに向かおうか」
アルフォンスとパトリックとエドガーはキャンプファイヤーが行われる広場へと向かった。
キャンプファイヤーが行われる広場では、人間も人狼も関係なく和気藹々とした空気が流れていた。パトリック達の元にジーリオとシェーンも加わって、穏やかな時間が流れる。
「それでだな、そいつったら見事に酔い潰れてやんの!だからあんだけ俺が酔うまで飲むのをやめとけってさー」
「あはは、人狼でもアルコール耐性が強いとか弱いとか個人差があるんだね」
「そうだなー。ま、俺は上戸だけどな!」
ジーリオはそう言うと、ジョッキに注がれたビールを一気に飲み干す。
「これジーリオ、あまり飲みすぎるんじゃないぞ」
「んだよ長~、年に一度の飲酒できる機会なんだから良いじゃねえか、クオリアス教の影響で飲酒もこういう場でしか出来ないんだからさ」
「しかしだな、クオリアス教に帰属する事で我ら人狼は人間と共存が出来ている。それを無碍にするわけには…」
「だから!そのクオリアス教が今日は酒飲んでもいいよって言ってんじゃんか!もっと飲ませろ~、次はワイン持ってこーい」
ジーリオは久々の酒に酔いしれている。ソーセージやカマンベールチーズのようなつまみと合わせてかれこれもう8杯目だ。
「いくら人狼でもこの飲みっぷりは流石に…パト、シェーン、お前達からも注意してくれないか」
「うん!ジーリオ、もうお酒飲むのやめよ?」
「そうですよ!これ以上は胃に悪いですって」
パトリックとシェーンはジーリオを心配そうに見つめる。それに答えるように、ジーリオは8杯目で酒を飲むのをやめた。
「わーったよ、もうこれで止めだ。後は緑茶でも飲んでるよ」
「うむ、そうしておけ。パトとシェーンの言う事は素直に聞くんだな」
「何だかんだジーリオはボクらの言う事は聞いてくれますからね!だよね、シェーン?」
「はい!パトくんの言う通りです!わからず屋ですけどわたし達の言う事は聞いてくれるんですよね!」
「わからず屋は余計だろが、ヒック」
「あはは、人狼って最初は怖かったけど、これじゃ人間と変わらないな」
アルフォンスはにこやかに4人のやり取りを見つめていた。
「それにしても、どうしてアルフォンスさんは人狼を怖がらないで接してくれるの?」
「ああ、僕はね。もう人間が信用できないんだ」
「え?」
「人間ってね。君達が思っている以上に汚いんだよ。金の為に魔物や魔族を平気で殺して魔石を奪い取ろうとするし、官僚みたいな権力者の汚職事件も絶えないし、魔術を悪用した犯罪だって多い。僕は人間の汚さに絶望したんだ」
「でもね、君達は違う。みんな協力し合って生きてる。もちろん、力が強い者に従うべきという厳しい掟も存在する。でも、日々研鑽して、身体を鍛えて。必死で自分達とは違うものを理解しようとする。そんな人狼の姿に僕は惚れたんだ」
「そんな…ボクらだって争いは絶えませんよ!なんでも力で解決しようとするところとか野蛮だなって思ってますし」
「わたしは人間の方が羨ましいです。弱き者にも手を差し伸べるじゃないですか」
「ううん、違うよ。人間は愛だの正義だののたまうくせに、結局弱者から搾取してる。いつの世も、弱者が選べるのはどんな苦痛を受けるか、だけなんだよ」
「あ….」
パトリックはアルフォンスの言葉にたじろぐ。その表情は、悲哀に満ちていた。
「….なんか、しみったれた話をしちゃったね。今のは忘れて。でもこれは忘れないで。僕は人狼が好きだ。君達が好きだ。どんな時でも、君達の味方でありたいんだ」
「アルフォンスさん…」
パトリックはアルフォンスを見つめると、身体に力を込めて狼の姿へと獣化した。身長165cm程だったパトリックの身体は膨張し、巨大化し、灰色と白の毛並みの2m以上の大きさの狼獣人となる。
「わっ….凄い…!人狼が変身するところ、初めて見たなぁ…」
「ボクで良ければ、いくらでもモフモフしてください。こんな事しか出来ませんが…」
「良いのかい?じゃあお言葉に甘えて…」
アルフォンスはパトリックの毛皮をこれでもかと言うくらい堪能した。
「ふふ、パトくんの毛並み、つやつやで綺麗だね」
「そんなー、照れますよ」
人狼の姿から人間の姿へと戻ったパトリックは、アルフォンスのモフモフレビューに照れていた。
「ふああ…なんか眠いですね…」
直後、パトリック達を強烈な睡魔が襲う。
「わしもじゃ。今日の朝は早くから作業をしてたからかの…」
「….?僕は全然眠くないけど」
「ん…?アルフォンスさんはこの睡魔に耐えられるなんて凄いです….ね….」
「ぐごー」
気付けば、アルフォンスを残して人狼達はいつの間にか眠っていた。パトリックも、シェーンも、エドガーも、ジーリオも。いや、この4人だけではない。人狼の里に属するおよそ400人の人狼全てが、キャンプファイヤーを囲むように眠っていた。
「何だ….?これ….」
アルフォンスは嵐の前の静けさに身構える。すると、目の前に雪のように白い髪の、黒い軍服を着用した少女が現れた。
「人間の生体反応、そして、魔族の生体反応を4体感知。攻撃態勢に入りますが、人間が退避するのを待機します」
「なんだ….どういうことだ…」
「あれー?まだ人間がいたんだー?」
アルフォンスが声をした方向を見ると、そこには冒険者達がいた。軽装から重装備の者まで様々な格好をしていた。
「なんだ!?君達は!!」
「あのさ、邪魔だから早く里から避難してくれない?これから俺ら、人狼を殲滅して魔石を取らなきゃいけないんだよね」
軽薄そうな男の冒険者はそうアルフォンスに告げる。
「何…?人狼の魔石を!?まさか、人狼が眠っているのは!!」
「そうだよ。俺達が睡眠薬を仕込んだのさ。とびっきり強力なやつをな。あ、もしかしたら効き目強すぎてあの世行きかもなぁ?ヒヒヒヒ!!」
「なぜこんな事を…!!!魔族だって生きているんだぞ!!」
「魔族の命なんか知らねーよ。俺達みたいなC級の半端者が唯一成り上がるチャンスなんだ。さ、ヴァイスちゃん、やっちゃってー」
「かしこまりました。痛哭の調べ(フェイルノート)」
ヴァイスと呼ばれたホムンクルスが竪琴にも似た弓矢の弦を弾き鳴らすと、真空中の弓矢が爆睡しているジーリオの脚目掛けて飛んでいく。真空中の弓矢はジーリオの左脚に命中し、彼の脚の肉を裂いた。
「あっ….!」
しかし、ジーリオは目を覚さなかった。彼の左脚は真空によって切り裂かれ、ドクドクと血が流れ出している。
「やりい~!!!すげーじゃんヴァイスちゃん!!」
「お褒め頂き光栄です。しかし、あの人間は如何致しますか?」
「あっ、そうだ、お前早くこの場から消えろよ。こいつら全員殺すんだから」
「ふざけるな….!」
アルフォンスは懐から手袋を出し、両腕に装着した。
「あん?」
「お前らは….僕が止める…!」
「あ、何?お前魔族の味方すんの?ヴァイスちゃーん、やっぱこいつも殺しちゃって」
「かしこまりました。ですが、人間を殺しても良いのですか?」
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