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24【最終話】
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「……つ、疲れた……!」
流石に疲労困憊だ。
皇帝陛下ばんさーい!かーらーの、大騒ぎな王宮からやっとのことで大公領に帰還した。ドラゴン輸送便すごい。レフの腕の中でウトウトしているうち大公領についてた。
イヴォンはまだ居て欲しいと渋ったけど、後片付けはテオドールがいるから大丈夫だろう。
ただちょっと食い下がられたので晩餐までは一緒して帰ってきた。誰かに似てるな、ってテオドールにからかわれたけど。まあ離れていても双子は似るっていうしね!
ドラゴン輸送があるからいつでも来れるし、自室で休みたいから我が家に帰るよって言って出てきた。
そうそう、あのクソ芋虫どもは城門にぶら下げておくように指示を出した。
見た目が真っ黒になってしまって誰だか判別がつかないから、首から名札をさげてわかるようにしておいた。その方がみんな、石とか投げやすいでしょう。あいつ懲らしめたよ!って言われても納得いかない人はいるだろうし、回復薬をかけつつ一週間くらいは吊るしとこうかって約束になってる。
で、屋敷に戻ってすぐに、レフを一回よしよしとケアしてから、俺の護衛騎士達を一人ずつ呼んだ。
名前も知らなかった俺の騎士達。1人ずつ名前を聞いて、呼びながらたくさん撫でて褒めてあげた。今日は大活躍だったしね。イケメンマッチョが多くてこのSub騎士団は顔で選んでないか?って心配になったけど。まあ可愛いから役得役得。
そしたらいきなり半数以上がサブスペースに入りかけてしまって焦ったけど、なんとか正気付かせて部屋に帰した。
それからレフのターンだ!イチャイチャするぞ!と思って意気込んできたのに。自室に入るなりレフのご飯が待っていた。うわぁ、嬉しい。レフのゴハンだ!俺もホントにチョロイなと思う。
実は王宮の晩餐ですごい豪勢な、料理人が張り切って作ったやつが振舞われたんだけど。……ちょっと無理だった。俺は今、胃をやられているんだよね。スープと、焼きたてパンにだけ手を出したけどメインは肉だったので無理だった。
王宮の豚どもを切り刻んだからじゃないよ。ただ本当にいまの胃腸がね、だめなんだ。
冷や汗垂らして肉をナイフで切るだけの作業をしていたら、後ろで控えてたレフが、甘えるみたいに俺に絡んできてご褒美をねだり、食事を片付けてくれた。普段そんなことしないくせに。テオドールにイチャつきやがってまあ、とか揶揄われるの嫌なくせに。でも俺が食欲ないのとかイヴォンに心配かけたくなかったから、有り難かった。
ヒナの餌やりみたいに、レフの口にフォークで肉を運ぶと、厚めの唇が開いてそれを受け入れる。咀嚼して動く口元、ぺろっと一瞬覗く舌、そういうのが全部えっちでヤバかった。
食事の後にこっそり、ありがとう、って囁いたら見惚れるほどの男前な笑顔でご褒美を期待してると言われてしまった。それはその、ご褒美ってアレですかね。えっちなご褒美ですかね!?
レフとの練習は指二本で止まっていて、前立腺刺激でイク練習は別途で合格、なぜか潮吹きだけ何度か経験させられている。兎にも角にもルシェールの身体が敏感すぎるせいだ。
しかし懸念材料がここにひとつある。
転生オジサンは今までえっちの時は壁になっていたんだ。ルシェールがレフに抱かれていれば美男美女……じゃない美男にさらに美男の掛け合わせ!眼福!とか思っていた。
ギリギリ頭の中でなんとか切り離して羞恥心とかを紛らわせていたわけで。それがだよ、ルシェールと俺が本当に一緒に混ざり合ってしまって、誤魔化しがきかなくなった。これ、どうなっちゃうんだろう。
「閣下、湯船の用意が出来ました」
「う、うん……」
「閣下?」
レフに促されて部屋を移動して、いつものように服を脱がされているだけなのに妙に落ち着かない。うろうろと視線を彷徨わせていると、レフは俺の動揺が落ち着くまでそっとしておいてくれた。服を脱がし終えたら台の上で湯をかけられてマッサージ。いつもの流れなのにレフの手は少し遠慮気味だ。俺が声を上げたり勃起したりしない、絶妙な力加減で揉んでくれた。
この動揺状態で変な声上げたりナニが勃ったりしたら恥ずかしくなって風呂から逃亡するかもしれないからね。そういう気配を感じ取るのかな、レフは本当に優秀だ。
「閣下、湯船に降ろします」
「あ、……ありがとう」
起き上がって自分で降りれば良かったのに、レフが抱き上げて湯船に降ろしてくれた。たっぷりの湯に良い匂いの香油、成人男性が一人でゆったり入れるくらいのお風呂は俺専用。たぶんレフが一人で入るとはみ出るよ。
洗った髪を櫛で梳いてくれるレフの手をぼんやり見つめながら、ぬるめの湯にゆっくり浸かった。
何か話題ないかな、このままベッドにいったらアレが……あのあの、アレがはじまってしまうよ。
「レフは、ルシェールが好きだったんじゃないの」
「……敬愛はしておりました」
うわ、オジサンの話題選びダメ過ぎない?
自分でドン引きしながらも、話し始めたのは俺なので止められずに続ける。一応これは、ずっと聞きたかったけど聞けなかった事だ。今のうちにハッキリさせておかないと。
「ずっと聞けなかったんだけど、俺はレフの好きな『ルシェール様』ではないよね」
「……は、」
キョトンとした顔でこちらを見たレフは、俺の顔がウーンッて悩み気味なのを見るとしばしの躊躇いのあと口を開いた。
「私が、Subの本能と己の肉欲をもって、お慕いしているのは今の閣下です。ルシェール様へは他の護衛騎士と同様、崇拝の気持ちが強かったので」
「にくよく……。え、いつから?」
「――初めて閣下に手を引かれ、く、口の中を……探らせて頂いた時、です」
「……」
「私の腕の中で、嘔吐くのと同時に震える身体が愛おしくて、恥ずかしながら欲情してしまいました。……あの頃から隠すのには必死で。薬の量は倍以上に増えていきました」
へぇ~、レフってなんか特殊な性癖の人……?
俺の胡乱げな目つきに気がついたのか、レフは慌てたように言い訳をした。
「閣下が、……私の手を口に含むなど、……そんな事をされるからです」
ふーん、そっかあ。そういうのにまでキュンときちゃうタイプかあ。
いやキュンとか可愛い話じゃないな。ギュンかな。何しろシレッと『欲情した』とか言っているわけだし。
そういえば、とふとレフの方を仰ぎ見て、やっぱり薄着ながら服を着ているのを確認する。レフは、微妙にはだけたりはするものの全裸というのを俺に見せたことがない。
俺なんかいつでも素っ裸にされて丸洗いされてるのに。不公平じゃない?俺もレフの裸が見たい。
「レーフ」
「……はい?」
「俺が今から湯をバシャバシャしてお前をずぶ濡れにするのと、自分から服を脱ぐのとどっちがいい?」
「……。……閣下のお世話が終わりましたら、脱ぎますので……」
「ブー。はい時間切れー。食ーらーえーーー!!」
両手で掬った湯を、バッシャバッシャとレフにぶっかける。ずぶ濡れになるまでそうはかからない。顔を背けて湯の直撃は避けたものの、レフの服はビシャビシャで張り付いてるし、上げていた髪もへなっとして降りている。
うわー水も滴る男前だー。オジサンいい仕事したなあ。
「レフ~。レフ、かわいいなあ。……おいで、レフ。だっこで、いいこいいこしよう」
上機嫌でレフを呼んで両腕を広げたら、こちらをチラと見たレフは、湯の滴る髪を荒っぽく掻き上げるとザブンと湯船に降りてきた。ええぇ?とビックリして見上げていたら、さっさと湯から抱き上げられて運ばれる。ど、何処行くんだよレフ!!
「え、え、怒った?……あの、レフ?レフー?」
「怒ってはいません」
「じゃあなんでベッド……え、ベッド?」
たくさんのタオルをベッドに乱雑に広げ、レフは片腕で支えていた俺をその上に降ろした。自分だってびしょ濡れのくせして、俺の足なんか拭いている。まてまて、風邪引くでしょう。
「レフ、脱いで」
「閣下を拭き終わってからです」
「じゃあもう拭かなくていい」
「……閣下」
途方に暮れたようにこちらを見つめるレフは、髪も降りてるし服も濡れてて本当に雨の中の子犬状態だった。可愛すぎてもうダメだ。主さんはもうダメだよ。
「……レフ、『脱いで』」
「ッ……」
コマンドでとろんと蕩けた青の瞳が、欲情した色を滲ませて俺を見つめている。
無言のままレフはシャツのボタンを外し、濡れて張り付く布をゆっくり取り払った。惚れ惚れするほど逞しい上半身が目の前に晒されて、俺は無意識にこくっと喉を動かしてしまった。前世でもほとんど見た事ないような胸板の厚さだ。筋肉の付き方は格闘家とか、そういう感じかな。ボディービルで見せるだけの筋肉と違うのだけはちょっと判る。
「下も脱いで」
「……はい」
「うん。いいこ。おいでレフ、褒めてあげよう」
下半身の服も下着ごと脱ぎ払ったレフは、所在なさげにしていた。でも呼んで抱き締めたらホッと安堵したように身体を弛緩させる。何をそんなに緊張してたんだろう。俺に裸を見せたくない理由でもあったのかな。
「レフ、いいこ。たくさんナデナデしよう。……さて、なんで脱ぎたくなかったのか聞きたいな」
「ッ……その、……避けられたく、なかったので」
「ええ?なんで俺が避けるの?」
「私の体格を見れば、受け身であるのが嫌だと思われるでしょう。……ですが私は、快楽で煙に巻いてでも閣下を抱きたかった」
「……煙に巻いてたのかぁ」
俺を抱きたいっていうのは理解した。そこ重要だよ。俺はレフにアナル処女を捧げましょうねと一応決心したつもりなのでそこんとこは問題ない。
でも身体を見たら怖じ気づくとまで思われていたとは。……レフの逸物はどんなのなの?と、首を傾げながら覗き込むように視線を移動する。
「……ウワァ……エグい……」
「閣下……」
「入るまで頑張ってねレフ……」
「……閣下!」
開発任せたのはレフにだからね。俺は知らないよ。
怯えて逃げられるとでも思っていたのか俺がそう言ったらレフは飛びつくように抱きついてきた。そのままタオルの敷き詰められたベッドへ押し倒される。
「誠心誠意、努めます」
「あ、あ、でも、お手柔らかに」
「……閣下?もう何度も練習は……」
ブンブン、と首を橫に振って俺はレフを見上げた。ちょっと涙目になっている自覚はある。これからお相手するのは純粋なるルシェールではなくて、半分がオジサンだからだよ。
「中の『俺』はいつも遠巻きにしてたから、今日が初めて……だから」
「……ルシェール様は感度が高いので難しいことはないと思われます」
「うう、初めてでそんなに感じるというのもソレはそれで複雑……エッチすぎない?レフはドン引きしない?」
「それは男冥利に尽きますので、問題ありません」
そっかあ。じゃあ俺がひたすら羞恥にさえ耐えられればいいのか。頑張ってみよう。
宜しくお願いします、とレフに手を伸ばしたら、恭しく片手を取られて手の甲にキスされた。誓いを立てる騎士みたいだ。ぼうっと見惚れているうちに、俺はあれよあれよと準備を整えられ――数分後にはレフの手でとろっとろにされていた。
えっ、えっ、待って待って。頭がついていかないんだけど。
香油を使ってジュプジュプ音を立ててるアナルには指が三本挿入されている。中指と薬指と、小指。器用にぐにぐにと内壁を押して、前立腺を掠めてくるから甘ったるい声が引っ切りなしに上がってしまう。
これもの凄い既視感。あれだ即落ち2コマ!!こんなことありましたね前にもね!
レフのテクニックを舐めてるからこういうことになるんだよ。ああもう、思考も上手く回らない。
「……閣下」
「うう、……ルシェ……って、呼んで」
「ル、……ルシェ様」
中指の腹で優しく前立腺を撫でられるたび、もどかしい快感に身悶える。嫉妬で少し勢いがついてたくらいがレフには丁度良かったのかもしれない。俺はレフにギュウッと抱きつきながら耳元で『さわって』とコマンドを囁いた。びく、と震えたレフの指が、力加減を間違えたみたいに強く押し込まれる。
「――ひ、ッ……ぁっ……」
ビリビリと脳を痺れさせるみたいな快感が走り抜けて、俺は身体を跳ねさせた。頭の中では泣きが入ったオジサンが『ヤバイヤバイもうダメだってもうムリだって止めようよヤバイよ』と延々首を横に振っている。下手すると口から止めさせるコマンドでも出てきたりしそう。
それはなんとか阻止しないと、と思って俺はレフを見上げた。
「レフ、お願いが」
「はい」
「何か布で、俺の口、縛って」
「……はい?」
「俺がイヤとかダメとか言っても、やめないで。あと、コマンドで止めさせたらいけないから口も縛って」
「お、お待ち下さい……閣下」
そのへんの布を掴もうとするのを、レフが止めてくる。何でだよ、とじっとりした視線を向けて問い掛けると、レフは動揺したように視線を彷徨わせた。
「そんな事をしては、……その、私が堪えられません」
「縛られた俺を見ると興奮しちゃうの?やっぱりそういう性癖?」
「……。……否定、できないのが辛いところです。どんな閣下も全て愛おしいだけなのですが……そんなことをするくらいなら私が抑制剤を飲みます」
「え、身体に悪いでしょアレは。じゃあ俺がDomの抑制剤を飲――……」
「……閣下」
売り言葉に買い言葉?俺が、いや俺が、みたいな奪い合いをしてたらいつの間にかレフの地雷を踏み抜いていた。あ、これヤバイやつ。今でも宮廷錬金術師産のDom抑制剤は捨てろと事あるごとに言われてるのに。
俺が持ったままのやつね。レフは奪い取りたくて仕方ないんだよね。
「そんなもの必要ありません」
「でも、俺が暴れてグレア出したりするかもだし」
「好きなだけ暴れてください」
「――え?」
スウッ、と目を細めたレフの青い瞳は、瞳孔が僅かに縦長になっているような、気がした。ゾクッと背が震えて、あれこの目って幼ドラゴンの目と似てるなーーなんて、冷や汗流しながら思う。
「竜騎士は身体が丈夫なだけが取り柄ではありません。竜を従えるだけの怪力、繊細な魔力操作、そういった力が操れなければ死ぬだけです。――閣下が全力で抵抗しても、おそらく抑え込むだけなら可能でしょう」
え、マジで。レフすごい。グレアが出たらどうなるかはまあ、ちょっと判んないけど。俺もルシェールも、戦闘以外だと怒りがスイッチでしかグレア出してないからな。レフに対して、俺がそんな怒る事はまずないだろう。
「ほんとに?」
「はい。……決して閣下の意に沿わないことはしないと誓いますが」
「レフのくれるもので俺の嫌なものなんかひとつもないよ」
「……閣下、また貴方は……」
ふ、と目を細めたレフは慈愛に満ちた目で俺を見つめた。それにしても帝国の英雄を一時的とはいえ抑え込めると言うんだから、竜騎士ってのは凄いんだね。惚れ直しのターンだよ。
さて。
俺は開発を再開しなければなりません。うーん、アナルを弄られてる時って本当に居たたまれなくて、どうしたらいいのか判らない。喋って、とかいうムードでもないしなあ。
「……閣下」
「んっ、……ぁ、んっ……うん?」
あ、何でか指で穴の入口をふにふにしながらレフが話しかけてきた。対面座位のカタチになるように膝に抱き上げられて、ちゅ、と目尻に口付けられる。
ナカに入り込んできている指は、先程とは違い人差し指と中指。太くて両方とも繊細な動きが出来るから、ちょっと怖いんだよな。フゥ、と息を吐いて緊張を解こうと思うけど中々上手くいかない。
「ルシェール様の仰られた『言動の変わる時』というのが、あの時だと私にはすぐ判りました。ルシェール様は今までSubを近くに置かないばかりか、頑なに触れようともされなかったのですから。穢れは簡単な接触からでも入ってしまうものなのかもしれません」
「穢、れ……? んっ、ぁ、……レフ、そこっ……あう、っああっ」
「はい。閣下が野営の天幕で倒れた時、テオドール卿より教えられました。閣下は幼い頃から徹底的にSubから離れるよう、強迫観念を植え付けられていると。香と暗示により自らは絶対にSubに近寄らず、また、性的な事をSubとするというような考えに至ると目眩を起こして倒れられるとか」
あれ、なんか凄く重要そうなことレフが話してるんだけど。
でも俺はいま穴の開発をされているところで。聞いて考えてる余裕がないんだけど!
「んっ、レフ、そこ、ぁっ……ひ、ぁっ」
「――ですが、抑制剤で衝動を消した私が近寄っても、Sub判定が下らなかったのか閣下は嫌がりませんでした。それが嬉しくて、天にも昇る気持ちで、私は毎日の閣下のお世話が幸せでなりませんでした」
前立腺を二本の太い指でふにふにと押したり摘まんだり、擦ったりしてきて俺はすぐに絶頂に押し上げられてしまった。性器から吹き出した精液は、レフの手の平に全て受け止められてしまう。イッたのにレフの指は止まらず、奥へと進み始めた。
「ですが、異世界の魂を持つ閣下はいつも遠くを見ていらっしゃいました。ルシェール様のように遠見をされているのではなく、今すぐにでも何処かに逃げて身を隠してしまうのではないかと、私は不安になりました」
ギクリと背が震えた。イッたばかりで休まず快楽を与えられて、息も絶え絶えなのにレフの指摘が鋭すぎて驚いてしまった。
隠居生活したいなとか、平凡なお嫁さん貰って平和に生きたいとか、思ってた。レフが、……レフだけがSubの中でただ一人好ましい相手だったから、逃げなかったけど。
でも、そっか。Subに対するルシェールの態度は、幼い頃に植え付けられたものか。それが良い感じに俺と混ざり合って少しずつ緩和していったのかな。今はSubと交流しても震えたり頭が痛くなったりしないしね。
「ど、こにも、……いかない、よ」
「閣下……」
「レフが俺を繋ぎ止めたんだ。もう逃げようなんて思ってない。……だからほら、そろそろもう、いいんじゃない?」
促すようにレフの頬に口付けると、ちゅ、ちゅ、とまた唇を吸われてべろりと厚い舌で口の中をなめ回される。蹂躙される、というのが正しいみたいな激しいキスだ。いつもこれをされると、レフに食べられちゃう妄想に浸ってうっとりしてしまう。
「閣下、……入れます」
「う、んっ……ぁ、……ふっ、ぅ、……っく、……――ッ!!」
指とは比べものにならない太さの亀頭が、アナルをこじ開けて入ってくる。熱い杭に身体を割られているようで、全身から冷や汗が吹きだした。息が出来なくて口をはくはくと動かしていたら、労るようなキスが何度も落ちてくる。
レフもつらいだろうに。こんなに入れるのが困難だとは思わなかった。
一番太い亀頭の部分が過ぎればもう少し楽かな?どうしようもなく身体に力が入ってしまうのを放って、俺はレフの腰に足を巻き付けた。
「ゆっくり、……きて、レフ」
「っ……閣下」
「呼んで…ルー、シェ」
「ルシェ様ッ!!」
甘い、睦言に混ぜてコマンドを流す。レフの性器がぐんと反り返って俺の腹の中で暴れていた。二人してフゥ、フゥ、と息を継ぎながら汗だくになって身体を繋げていく。入り込んだのは、半分くらいだろうか。ごり、と奥にぶつかる感じがして、俺は『ぅんっ』と甘ったるい声を上げた。
レフの与えてくる快楽が、痛みを凌駕しているから、辛くはない。
「ルシェ様……」
「すこし、まって。……もうすこし馴染むまで、待って」
欲にギラギラとした青い瞳が俺を狙うように見つめている。コマンドで待てをさせたから、動けないんだろう。コマンドは封じたほうがいいかと思ったけど、プレイの途中みたいなこういう風に使うんなら、いいのかも。
「待てが出来て、いいこ。レフ。……動いて」
「っ……ルシェさま、……ルシェール様……ッ」
対面座位からベッドにそっと降ろされ、ゆさゆさと突き上げられる。奥をコツコツとするだけで大きくストロークはしなかった。レフの太い逸物で内壁がゴリゴリ擦り上げられて、視界が白く飛ぶほどの快感が走る。
コマンドは俺の意志だけで使っているわけじゃない。
レフが、乞うように見つめる視線や仕草で俺を誘導もしている。
コマンドはDomが発するものだけど、受け取る側のSubの気持ちを理解して出すものだ。だからこれが正しいやり方なんだろう。Subの誘導に任せてコマンドを使って、Domも気持ち良くて幸せな気持ちになれる。それで良いんだと納得することが出来た。
ずっと悩んでたDomとSubの関係に、ようやくカタチが出来たんだ。
「……レフ、……っぁ、もっと、……いっぱい」
「ルシェ……」
「きもち、いい、……もっといっぱい、触って」
上からギュウッと抱き締められたまま、突き上げられる。息が苦しいはずなのに俺は充足感でいっぱいで、レフの重みさえ心地良かった。もっと、とねだってしまうのは、声が枯れるまで、続けた。
「――ッ!!」
「……ッく、……――ッ!」
覆い被さるみたいに俺にのしかかっていたレフが、びくんと震えて俺の中に射精した。とく、とく、と中出しされた感覚にふわっと頭の中が幸せでいっぱいになる。レフが蕩けた目で俺を覗き込んできて、ぱた、と俺の横に身体を横たえた。おや、と思ってたら横抱きのまま尻を掴まれ、またぬくぬくと性器を中で揺らされる。
「レフー?」
「……」
「あー……レフ」
挿入したままサブスペースに入るのは、待って欲しかったなあ……。
恍惚とした表情のレフはぼうっとしていて、年相応の26歳の顔をしていた。いつもが背伸び状態なんだなって判って面白くて、まだ少し濡れてる髪を撫でて抱き寄せる。ぎゅう、と頭を両腕で抱き締めたら、入ってたレフの性器はそのまま抜けてしまった。あ、と思った時にはとろりと穴から精液が滴ってしまう。
「……あ、……待っ、……レフ~?」
俺の腰に抱きついて、ぎゅむっと胸筋に顔を埋めたレフは、片手で俺の尻を揉んでいた。おっぱいに埋もれて尻を揉むとは、なんとエロ仕様のスペース状態なのか。実はフリだけで自我が生きてたりしないか?それとも今の状態が通常のレフの願望状態なの?
「……うーん……まあいいか。やっと、約束果たせたからね」
腕の中に愛しいSubを抱き締めながら、俺はふふっと笑い声を零した。レフに着ける予定のCollarはまだ作成中なので、ベッドの横の引き出しに入れて置いた交流会の時の黒革の首輪を取り出す。
「レフ、いいこ。目が覚めたら最初に首輪をつけて。……それで俺におはようって言って。まだまだ開発途中なんだから、責任もって最後まで入れられるようにしてね」
金色の前髪の隙間から、額にチュッとキスを落す。額、鼻筋、頬、こめかみ、キスの雨を降らせているとなんだか既視感だなと思う。いつもはレフがたくさんキスしてくれるから。
「――レフ・シュヴェト。俺の竜騎士、俺の可愛いSub。お前を愛してるよ」
きっとキスしてる時のレフは、今の俺みたいな気持ちだったんだろうな。
※
【せいれいのこ、ふたりめのこが、会いたがってたよ】
「……んー。それは朝イチに俺の部屋の窓から顔を出して言うほどのことかなあ」
【だって、おひさまたかいのに ぜんぜんでてこないんだもの おねぼうさん、せいれいのこ】
お寝坊さんっていうか、腰が、腰がガタガタっていうか?
昨夜はとりあえずここまでで挿入は限界だろうってことで、あれ一回で終わっていた。先の開発をお楽しみに!みたいな引きになってて怖いんですけど。どうなっちゃうの俺のアナルは。
で、スペースから回復したレフが大人しくしているはずがない。俺の声はスペースに入ってても何となく聞こえたらしく、レフは持てる全てのテクニックを使って俺の身体に快楽を教え込んだ。今までだって即落ち二コマだったのに、あれでも手加減されていたんだなと初めて気がついた。
前立腺だけでなくナカを撫でられるとすぐ感じるようになってしまったし、胸は豊かな胸筋があっただけなのに、弄られた乳首がポツッと赤くて本当に卑猥だ。もうレフ以外にお風呂に入れて貰えない。
性器は擦られなくても深くイクようになってしまって、いわゆる中イキで射精した時よりずっと絶頂が長引くんだ。メスイキってやつだね。それをずーっと、ずーっと朝方近くまで続けられた。俺はもうふにゃふにゃで、最後はレフの肩に引っ付いたまま泣いて『もうやだぁねむいよぉ』と駄々をこねた。
レフが笑いながら『おやすみなさい』って額にキスしてくれた時には心底ホッとした。
それなのにだよ?目覚めたらまたレフの逸物が後ろから、ガッチリ、入ってるんですわ。両腕で抱き締められてて動けないし、横向いて窓辺のドラゴンに手を伸ばすくらいしかできない。
【けいやくのいとし子、せいれいのこを食べちゃダメだよ】
「食べてはいません。食んでいるだけです」
【あじみってこと?】
「味見でもありません。……とても美味でした」
【やっぱりたべてる~。ダメだよせいれいのこは いっしょに でかけるんだからあ~】
ふしゅふしゅ、と幼ドラゴンの鼻息が風になって入ってくる。
あのーレフ先生、そろそろ抜いてもらってもいいですかね。
「……レフ」
「閣下、陛下のところへ行かれるのですか」
「それより普通に執務があるだろ。……いつまで入れてるんだ、抜いてくれ」
「……はい」
はあ、と小さくため息をついた俺は半分だけ収まっていたレフの逸物が抜けるのを、声を堪えて待った。ずるるるーっ、と抜けていく感覚にゾクゾクと背が震える。
抜くだけで酷く感じてしまって、身体に力が入らなくなった。ううーん、これから着替えて執務室に行かないとなのに。
「レフ、起きるまで入れておくのは、禁止」
「……ダメですか」
「当たり前だ。……中までレフのカタチになっちゃうだろうが」
「――、……閣下」
すい、と伸びてきた太い腕に腰を引き寄せられる。するりと鼠蹊部を撫でられただけで、『ひぁっ』と濡れた声が漏れた。撫でられるだけでレフの与える快感を思い出してしまう。
ああ、なんでtouchなんてコマンド思いついた。あれが一番危険なコマンドになってしまった。
【あ~またせいれいの子 たべるきだ~。ふたりめのこにいいつけちゃおー】
いや待て、言いつけないで。こんなの赤裸々に兄ちゃんに教えることじゃないから!!
レフもちょっと落ち着いて、俺が悪かったから。なにが琴線に触れたのか判んないけど俺の発言が悪かったんだなっていうのはわかった!!
「閣下。……際限なくヒトも魔物も竜までをも魅了する、その悪癖をどうにかされませんと」
「言うようになったなレフ。魅了された筆頭の竜騎士なのにね」
レフとにらみ合いつつ、俺は窓の外にキラッと光る合図に気づき、シーツを巻き付けたままベッドから飛び降りた。ひょい、とドラゴンが俺を軽く咥えて窓の外に出て行く。
裸にシーツを巻き付けただけの俺を、ドラゴンは専用コンテナにポイッと入れてしまう。これは少人数用のドラゴン輸送のハコだ。運ぶだけじゃなくて風景が楽しめるよう窓がついてたり中に絨毯やソファがあったりする。最新式だよ。アダムがとっても頑張りました、って聞いている。
「閣下、ダメですよレフを甘やかし過ぎです」
「まさかこんな時間まで拘束されてるとは思いませんでした」
「……」
レン、ミュゼ、アダムがコンテナに一緒に乗っている。
ミュゼの手には俺の着替えもあるから、このまま行けそうだ。
【せいれいのこ、いくよ~】
「ああ。頼んだ」
【あっはは。けいやくのいとし子がね、おいかけてこようとしたけど ムリだった】
「お前の飛ぶ速度に敵う者はいないからな」
【そうでしょ、でしょー。ふふんっ】
イヴォンの待つ王宮についた俺は、一日ぶりの再会にそこで暫くキャッキャと遊んで時間を過ごしていたんだけど。
数時間後に静かな怒りを漂わせたレフが、天馬に鞍をつけて操り王宮に現れたのには驚いた。天馬って馬車に使ってたアレだよね。えええ騎乗に向かない魔獣だって言ってたじゃん~!!
危険な魔獣まで乗りこなすレフがめちゃくちゃイケメン。俺のSubが世界一格好良い!……とか思っている場合ではなかった。
せっかくの大団円、何もかもが上手くいったようにおもったけど。まだDom歴も赤ちゃんな俺と、Subとして俺とのプレイしか知らないレフ。やっとパートナー契約とcollarをあげるまではいったけど、アーノルドのくれた絵本だけでなく、もっと色々学ぶことが多いようだ。DomとSubの関係性っていうのは、酷く難しい。
――そんなわけで帝国を取り戻した大公閣下だけど、今日も憂鬱です。
流石に疲労困憊だ。
皇帝陛下ばんさーい!かーらーの、大騒ぎな王宮からやっとのことで大公領に帰還した。ドラゴン輸送便すごい。レフの腕の中でウトウトしているうち大公領についてた。
イヴォンはまだ居て欲しいと渋ったけど、後片付けはテオドールがいるから大丈夫だろう。
ただちょっと食い下がられたので晩餐までは一緒して帰ってきた。誰かに似てるな、ってテオドールにからかわれたけど。まあ離れていても双子は似るっていうしね!
ドラゴン輸送があるからいつでも来れるし、自室で休みたいから我が家に帰るよって言って出てきた。
そうそう、あのクソ芋虫どもは城門にぶら下げておくように指示を出した。
見た目が真っ黒になってしまって誰だか判別がつかないから、首から名札をさげてわかるようにしておいた。その方がみんな、石とか投げやすいでしょう。あいつ懲らしめたよ!って言われても納得いかない人はいるだろうし、回復薬をかけつつ一週間くらいは吊るしとこうかって約束になってる。
で、屋敷に戻ってすぐに、レフを一回よしよしとケアしてから、俺の護衛騎士達を一人ずつ呼んだ。
名前も知らなかった俺の騎士達。1人ずつ名前を聞いて、呼びながらたくさん撫でて褒めてあげた。今日は大活躍だったしね。イケメンマッチョが多くてこのSub騎士団は顔で選んでないか?って心配になったけど。まあ可愛いから役得役得。
そしたらいきなり半数以上がサブスペースに入りかけてしまって焦ったけど、なんとか正気付かせて部屋に帰した。
それからレフのターンだ!イチャイチャするぞ!と思って意気込んできたのに。自室に入るなりレフのご飯が待っていた。うわぁ、嬉しい。レフのゴハンだ!俺もホントにチョロイなと思う。
実は王宮の晩餐ですごい豪勢な、料理人が張り切って作ったやつが振舞われたんだけど。……ちょっと無理だった。俺は今、胃をやられているんだよね。スープと、焼きたてパンにだけ手を出したけどメインは肉だったので無理だった。
王宮の豚どもを切り刻んだからじゃないよ。ただ本当にいまの胃腸がね、だめなんだ。
冷や汗垂らして肉をナイフで切るだけの作業をしていたら、後ろで控えてたレフが、甘えるみたいに俺に絡んできてご褒美をねだり、食事を片付けてくれた。普段そんなことしないくせに。テオドールにイチャつきやがってまあ、とか揶揄われるの嫌なくせに。でも俺が食欲ないのとかイヴォンに心配かけたくなかったから、有り難かった。
ヒナの餌やりみたいに、レフの口にフォークで肉を運ぶと、厚めの唇が開いてそれを受け入れる。咀嚼して動く口元、ぺろっと一瞬覗く舌、そういうのが全部えっちでヤバかった。
食事の後にこっそり、ありがとう、って囁いたら見惚れるほどの男前な笑顔でご褒美を期待してると言われてしまった。それはその、ご褒美ってアレですかね。えっちなご褒美ですかね!?
レフとの練習は指二本で止まっていて、前立腺刺激でイク練習は別途で合格、なぜか潮吹きだけ何度か経験させられている。兎にも角にもルシェールの身体が敏感すぎるせいだ。
しかし懸念材料がここにひとつある。
転生オジサンは今までえっちの時は壁になっていたんだ。ルシェールがレフに抱かれていれば美男美女……じゃない美男にさらに美男の掛け合わせ!眼福!とか思っていた。
ギリギリ頭の中でなんとか切り離して羞恥心とかを紛らわせていたわけで。それがだよ、ルシェールと俺が本当に一緒に混ざり合ってしまって、誤魔化しがきかなくなった。これ、どうなっちゃうんだろう。
「閣下、湯船の用意が出来ました」
「う、うん……」
「閣下?」
レフに促されて部屋を移動して、いつものように服を脱がされているだけなのに妙に落ち着かない。うろうろと視線を彷徨わせていると、レフは俺の動揺が落ち着くまでそっとしておいてくれた。服を脱がし終えたら台の上で湯をかけられてマッサージ。いつもの流れなのにレフの手は少し遠慮気味だ。俺が声を上げたり勃起したりしない、絶妙な力加減で揉んでくれた。
この動揺状態で変な声上げたりナニが勃ったりしたら恥ずかしくなって風呂から逃亡するかもしれないからね。そういう気配を感じ取るのかな、レフは本当に優秀だ。
「閣下、湯船に降ろします」
「あ、……ありがとう」
起き上がって自分で降りれば良かったのに、レフが抱き上げて湯船に降ろしてくれた。たっぷりの湯に良い匂いの香油、成人男性が一人でゆったり入れるくらいのお風呂は俺専用。たぶんレフが一人で入るとはみ出るよ。
洗った髪を櫛で梳いてくれるレフの手をぼんやり見つめながら、ぬるめの湯にゆっくり浸かった。
何か話題ないかな、このままベッドにいったらアレが……あのあの、アレがはじまってしまうよ。
「レフは、ルシェールが好きだったんじゃないの」
「……敬愛はしておりました」
うわ、オジサンの話題選びダメ過ぎない?
自分でドン引きしながらも、話し始めたのは俺なので止められずに続ける。一応これは、ずっと聞きたかったけど聞けなかった事だ。今のうちにハッキリさせておかないと。
「ずっと聞けなかったんだけど、俺はレフの好きな『ルシェール様』ではないよね」
「……は、」
キョトンとした顔でこちらを見たレフは、俺の顔がウーンッて悩み気味なのを見るとしばしの躊躇いのあと口を開いた。
「私が、Subの本能と己の肉欲をもって、お慕いしているのは今の閣下です。ルシェール様へは他の護衛騎士と同様、崇拝の気持ちが強かったので」
「にくよく……。え、いつから?」
「――初めて閣下に手を引かれ、く、口の中を……探らせて頂いた時、です」
「……」
「私の腕の中で、嘔吐くのと同時に震える身体が愛おしくて、恥ずかしながら欲情してしまいました。……あの頃から隠すのには必死で。薬の量は倍以上に増えていきました」
へぇ~、レフってなんか特殊な性癖の人……?
俺の胡乱げな目つきに気がついたのか、レフは慌てたように言い訳をした。
「閣下が、……私の手を口に含むなど、……そんな事をされるからです」
ふーん、そっかあ。そういうのにまでキュンときちゃうタイプかあ。
いやキュンとか可愛い話じゃないな。ギュンかな。何しろシレッと『欲情した』とか言っているわけだし。
そういえば、とふとレフの方を仰ぎ見て、やっぱり薄着ながら服を着ているのを確認する。レフは、微妙にはだけたりはするものの全裸というのを俺に見せたことがない。
俺なんかいつでも素っ裸にされて丸洗いされてるのに。不公平じゃない?俺もレフの裸が見たい。
「レーフ」
「……はい?」
「俺が今から湯をバシャバシャしてお前をずぶ濡れにするのと、自分から服を脱ぐのとどっちがいい?」
「……。……閣下のお世話が終わりましたら、脱ぎますので……」
「ブー。はい時間切れー。食ーらーえーーー!!」
両手で掬った湯を、バッシャバッシャとレフにぶっかける。ずぶ濡れになるまでそうはかからない。顔を背けて湯の直撃は避けたものの、レフの服はビシャビシャで張り付いてるし、上げていた髪もへなっとして降りている。
うわー水も滴る男前だー。オジサンいい仕事したなあ。
「レフ~。レフ、かわいいなあ。……おいで、レフ。だっこで、いいこいいこしよう」
上機嫌でレフを呼んで両腕を広げたら、こちらをチラと見たレフは、湯の滴る髪を荒っぽく掻き上げるとザブンと湯船に降りてきた。ええぇ?とビックリして見上げていたら、さっさと湯から抱き上げられて運ばれる。ど、何処行くんだよレフ!!
「え、え、怒った?……あの、レフ?レフー?」
「怒ってはいません」
「じゃあなんでベッド……え、ベッド?」
たくさんのタオルをベッドに乱雑に広げ、レフは片腕で支えていた俺をその上に降ろした。自分だってびしょ濡れのくせして、俺の足なんか拭いている。まてまて、風邪引くでしょう。
「レフ、脱いで」
「閣下を拭き終わってからです」
「じゃあもう拭かなくていい」
「……閣下」
途方に暮れたようにこちらを見つめるレフは、髪も降りてるし服も濡れてて本当に雨の中の子犬状態だった。可愛すぎてもうダメだ。主さんはもうダメだよ。
「……レフ、『脱いで』」
「ッ……」
コマンドでとろんと蕩けた青の瞳が、欲情した色を滲ませて俺を見つめている。
無言のままレフはシャツのボタンを外し、濡れて張り付く布をゆっくり取り払った。惚れ惚れするほど逞しい上半身が目の前に晒されて、俺は無意識にこくっと喉を動かしてしまった。前世でもほとんど見た事ないような胸板の厚さだ。筋肉の付き方は格闘家とか、そういう感じかな。ボディービルで見せるだけの筋肉と違うのだけはちょっと判る。
「下も脱いで」
「……はい」
「うん。いいこ。おいでレフ、褒めてあげよう」
下半身の服も下着ごと脱ぎ払ったレフは、所在なさげにしていた。でも呼んで抱き締めたらホッと安堵したように身体を弛緩させる。何をそんなに緊張してたんだろう。俺に裸を見せたくない理由でもあったのかな。
「レフ、いいこ。たくさんナデナデしよう。……さて、なんで脱ぎたくなかったのか聞きたいな」
「ッ……その、……避けられたく、なかったので」
「ええ?なんで俺が避けるの?」
「私の体格を見れば、受け身であるのが嫌だと思われるでしょう。……ですが私は、快楽で煙に巻いてでも閣下を抱きたかった」
「……煙に巻いてたのかぁ」
俺を抱きたいっていうのは理解した。そこ重要だよ。俺はレフにアナル処女を捧げましょうねと一応決心したつもりなのでそこんとこは問題ない。
でも身体を見たら怖じ気づくとまで思われていたとは。……レフの逸物はどんなのなの?と、首を傾げながら覗き込むように視線を移動する。
「……ウワァ……エグい……」
「閣下……」
「入るまで頑張ってねレフ……」
「……閣下!」
開発任せたのはレフにだからね。俺は知らないよ。
怯えて逃げられるとでも思っていたのか俺がそう言ったらレフは飛びつくように抱きついてきた。そのままタオルの敷き詰められたベッドへ押し倒される。
「誠心誠意、努めます」
「あ、あ、でも、お手柔らかに」
「……閣下?もう何度も練習は……」
ブンブン、と首を橫に振って俺はレフを見上げた。ちょっと涙目になっている自覚はある。これからお相手するのは純粋なるルシェールではなくて、半分がオジサンだからだよ。
「中の『俺』はいつも遠巻きにしてたから、今日が初めて……だから」
「……ルシェール様は感度が高いので難しいことはないと思われます」
「うう、初めてでそんなに感じるというのもソレはそれで複雑……エッチすぎない?レフはドン引きしない?」
「それは男冥利に尽きますので、問題ありません」
そっかあ。じゃあ俺がひたすら羞恥にさえ耐えられればいいのか。頑張ってみよう。
宜しくお願いします、とレフに手を伸ばしたら、恭しく片手を取られて手の甲にキスされた。誓いを立てる騎士みたいだ。ぼうっと見惚れているうちに、俺はあれよあれよと準備を整えられ――数分後にはレフの手でとろっとろにされていた。
えっ、えっ、待って待って。頭がついていかないんだけど。
香油を使ってジュプジュプ音を立ててるアナルには指が三本挿入されている。中指と薬指と、小指。器用にぐにぐにと内壁を押して、前立腺を掠めてくるから甘ったるい声が引っ切りなしに上がってしまう。
これもの凄い既視感。あれだ即落ち2コマ!!こんなことありましたね前にもね!
レフのテクニックを舐めてるからこういうことになるんだよ。ああもう、思考も上手く回らない。
「……閣下」
「うう、……ルシェ……って、呼んで」
「ル、……ルシェ様」
中指の腹で優しく前立腺を撫でられるたび、もどかしい快感に身悶える。嫉妬で少し勢いがついてたくらいがレフには丁度良かったのかもしれない。俺はレフにギュウッと抱きつきながら耳元で『さわって』とコマンドを囁いた。びく、と震えたレフの指が、力加減を間違えたみたいに強く押し込まれる。
「――ひ、ッ……ぁっ……」
ビリビリと脳を痺れさせるみたいな快感が走り抜けて、俺は身体を跳ねさせた。頭の中では泣きが入ったオジサンが『ヤバイヤバイもうダメだってもうムリだって止めようよヤバイよ』と延々首を横に振っている。下手すると口から止めさせるコマンドでも出てきたりしそう。
それはなんとか阻止しないと、と思って俺はレフを見上げた。
「レフ、お願いが」
「はい」
「何か布で、俺の口、縛って」
「……はい?」
「俺がイヤとかダメとか言っても、やめないで。あと、コマンドで止めさせたらいけないから口も縛って」
「お、お待ち下さい……閣下」
そのへんの布を掴もうとするのを、レフが止めてくる。何でだよ、とじっとりした視線を向けて問い掛けると、レフは動揺したように視線を彷徨わせた。
「そんな事をしては、……その、私が堪えられません」
「縛られた俺を見ると興奮しちゃうの?やっぱりそういう性癖?」
「……。……否定、できないのが辛いところです。どんな閣下も全て愛おしいだけなのですが……そんなことをするくらいなら私が抑制剤を飲みます」
「え、身体に悪いでしょアレは。じゃあ俺がDomの抑制剤を飲――……」
「……閣下」
売り言葉に買い言葉?俺が、いや俺が、みたいな奪い合いをしてたらいつの間にかレフの地雷を踏み抜いていた。あ、これヤバイやつ。今でも宮廷錬金術師産のDom抑制剤は捨てろと事あるごとに言われてるのに。
俺が持ったままのやつね。レフは奪い取りたくて仕方ないんだよね。
「そんなもの必要ありません」
「でも、俺が暴れてグレア出したりするかもだし」
「好きなだけ暴れてください」
「――え?」
スウッ、と目を細めたレフの青い瞳は、瞳孔が僅かに縦長になっているような、気がした。ゾクッと背が震えて、あれこの目って幼ドラゴンの目と似てるなーーなんて、冷や汗流しながら思う。
「竜騎士は身体が丈夫なだけが取り柄ではありません。竜を従えるだけの怪力、繊細な魔力操作、そういった力が操れなければ死ぬだけです。――閣下が全力で抵抗しても、おそらく抑え込むだけなら可能でしょう」
え、マジで。レフすごい。グレアが出たらどうなるかはまあ、ちょっと判んないけど。俺もルシェールも、戦闘以外だと怒りがスイッチでしかグレア出してないからな。レフに対して、俺がそんな怒る事はまずないだろう。
「ほんとに?」
「はい。……決して閣下の意に沿わないことはしないと誓いますが」
「レフのくれるもので俺の嫌なものなんかひとつもないよ」
「……閣下、また貴方は……」
ふ、と目を細めたレフは慈愛に満ちた目で俺を見つめた。それにしても帝国の英雄を一時的とはいえ抑え込めると言うんだから、竜騎士ってのは凄いんだね。惚れ直しのターンだよ。
さて。
俺は開発を再開しなければなりません。うーん、アナルを弄られてる時って本当に居たたまれなくて、どうしたらいいのか判らない。喋って、とかいうムードでもないしなあ。
「……閣下」
「んっ、……ぁ、んっ……うん?」
あ、何でか指で穴の入口をふにふにしながらレフが話しかけてきた。対面座位のカタチになるように膝に抱き上げられて、ちゅ、と目尻に口付けられる。
ナカに入り込んできている指は、先程とは違い人差し指と中指。太くて両方とも繊細な動きが出来るから、ちょっと怖いんだよな。フゥ、と息を吐いて緊張を解こうと思うけど中々上手くいかない。
「ルシェール様の仰られた『言動の変わる時』というのが、あの時だと私にはすぐ判りました。ルシェール様は今までSubを近くに置かないばかりか、頑なに触れようともされなかったのですから。穢れは簡単な接触からでも入ってしまうものなのかもしれません」
「穢、れ……? んっ、ぁ、……レフ、そこっ……あう、っああっ」
「はい。閣下が野営の天幕で倒れた時、テオドール卿より教えられました。閣下は幼い頃から徹底的にSubから離れるよう、強迫観念を植え付けられていると。香と暗示により自らは絶対にSubに近寄らず、また、性的な事をSubとするというような考えに至ると目眩を起こして倒れられるとか」
あれ、なんか凄く重要そうなことレフが話してるんだけど。
でも俺はいま穴の開発をされているところで。聞いて考えてる余裕がないんだけど!
「んっ、レフ、そこ、ぁっ……ひ、ぁっ」
「――ですが、抑制剤で衝動を消した私が近寄っても、Sub判定が下らなかったのか閣下は嫌がりませんでした。それが嬉しくて、天にも昇る気持ちで、私は毎日の閣下のお世話が幸せでなりませんでした」
前立腺を二本の太い指でふにふにと押したり摘まんだり、擦ったりしてきて俺はすぐに絶頂に押し上げられてしまった。性器から吹き出した精液は、レフの手の平に全て受け止められてしまう。イッたのにレフの指は止まらず、奥へと進み始めた。
「ですが、異世界の魂を持つ閣下はいつも遠くを見ていらっしゃいました。ルシェール様のように遠見をされているのではなく、今すぐにでも何処かに逃げて身を隠してしまうのではないかと、私は不安になりました」
ギクリと背が震えた。イッたばかりで休まず快楽を与えられて、息も絶え絶えなのにレフの指摘が鋭すぎて驚いてしまった。
隠居生活したいなとか、平凡なお嫁さん貰って平和に生きたいとか、思ってた。レフが、……レフだけがSubの中でただ一人好ましい相手だったから、逃げなかったけど。
でも、そっか。Subに対するルシェールの態度は、幼い頃に植え付けられたものか。それが良い感じに俺と混ざり合って少しずつ緩和していったのかな。今はSubと交流しても震えたり頭が痛くなったりしないしね。
「ど、こにも、……いかない、よ」
「閣下……」
「レフが俺を繋ぎ止めたんだ。もう逃げようなんて思ってない。……だからほら、そろそろもう、いいんじゃない?」
促すようにレフの頬に口付けると、ちゅ、ちゅ、とまた唇を吸われてべろりと厚い舌で口の中をなめ回される。蹂躙される、というのが正しいみたいな激しいキスだ。いつもこれをされると、レフに食べられちゃう妄想に浸ってうっとりしてしまう。
「閣下、……入れます」
「う、んっ……ぁ、……ふっ、ぅ、……っく、……――ッ!!」
指とは比べものにならない太さの亀頭が、アナルをこじ開けて入ってくる。熱い杭に身体を割られているようで、全身から冷や汗が吹きだした。息が出来なくて口をはくはくと動かしていたら、労るようなキスが何度も落ちてくる。
レフもつらいだろうに。こんなに入れるのが困難だとは思わなかった。
一番太い亀頭の部分が過ぎればもう少し楽かな?どうしようもなく身体に力が入ってしまうのを放って、俺はレフの腰に足を巻き付けた。
「ゆっくり、……きて、レフ」
「っ……閣下」
「呼んで…ルー、シェ」
「ルシェ様ッ!!」
甘い、睦言に混ぜてコマンドを流す。レフの性器がぐんと反り返って俺の腹の中で暴れていた。二人してフゥ、フゥ、と息を継ぎながら汗だくになって身体を繋げていく。入り込んだのは、半分くらいだろうか。ごり、と奥にぶつかる感じがして、俺は『ぅんっ』と甘ったるい声を上げた。
レフの与えてくる快楽が、痛みを凌駕しているから、辛くはない。
「ルシェ様……」
「すこし、まって。……もうすこし馴染むまで、待って」
欲にギラギラとした青い瞳が俺を狙うように見つめている。コマンドで待てをさせたから、動けないんだろう。コマンドは封じたほうがいいかと思ったけど、プレイの途中みたいなこういう風に使うんなら、いいのかも。
「待てが出来て、いいこ。レフ。……動いて」
「っ……ルシェさま、……ルシェール様……ッ」
対面座位からベッドにそっと降ろされ、ゆさゆさと突き上げられる。奥をコツコツとするだけで大きくストロークはしなかった。レフの太い逸物で内壁がゴリゴリ擦り上げられて、視界が白く飛ぶほどの快感が走る。
コマンドは俺の意志だけで使っているわけじゃない。
レフが、乞うように見つめる視線や仕草で俺を誘導もしている。
コマンドはDomが発するものだけど、受け取る側のSubの気持ちを理解して出すものだ。だからこれが正しいやり方なんだろう。Subの誘導に任せてコマンドを使って、Domも気持ち良くて幸せな気持ちになれる。それで良いんだと納得することが出来た。
ずっと悩んでたDomとSubの関係に、ようやくカタチが出来たんだ。
「……レフ、……っぁ、もっと、……いっぱい」
「ルシェ……」
「きもち、いい、……もっといっぱい、触って」
上からギュウッと抱き締められたまま、突き上げられる。息が苦しいはずなのに俺は充足感でいっぱいで、レフの重みさえ心地良かった。もっと、とねだってしまうのは、声が枯れるまで、続けた。
「――ッ!!」
「……ッく、……――ッ!」
覆い被さるみたいに俺にのしかかっていたレフが、びくんと震えて俺の中に射精した。とく、とく、と中出しされた感覚にふわっと頭の中が幸せでいっぱいになる。レフが蕩けた目で俺を覗き込んできて、ぱた、と俺の横に身体を横たえた。おや、と思ってたら横抱きのまま尻を掴まれ、またぬくぬくと性器を中で揺らされる。
「レフー?」
「……」
「あー……レフ」
挿入したままサブスペースに入るのは、待って欲しかったなあ……。
恍惚とした表情のレフはぼうっとしていて、年相応の26歳の顔をしていた。いつもが背伸び状態なんだなって判って面白くて、まだ少し濡れてる髪を撫でて抱き寄せる。ぎゅう、と頭を両腕で抱き締めたら、入ってたレフの性器はそのまま抜けてしまった。あ、と思った時にはとろりと穴から精液が滴ってしまう。
「……あ、……待っ、……レフ~?」
俺の腰に抱きついて、ぎゅむっと胸筋に顔を埋めたレフは、片手で俺の尻を揉んでいた。おっぱいに埋もれて尻を揉むとは、なんとエロ仕様のスペース状態なのか。実はフリだけで自我が生きてたりしないか?それとも今の状態が通常のレフの願望状態なの?
「……うーん……まあいいか。やっと、約束果たせたからね」
腕の中に愛しいSubを抱き締めながら、俺はふふっと笑い声を零した。レフに着ける予定のCollarはまだ作成中なので、ベッドの横の引き出しに入れて置いた交流会の時の黒革の首輪を取り出す。
「レフ、いいこ。目が覚めたら最初に首輪をつけて。……それで俺におはようって言って。まだまだ開発途中なんだから、責任もって最後まで入れられるようにしてね」
金色の前髪の隙間から、額にチュッとキスを落す。額、鼻筋、頬、こめかみ、キスの雨を降らせているとなんだか既視感だなと思う。いつもはレフがたくさんキスしてくれるから。
「――レフ・シュヴェト。俺の竜騎士、俺の可愛いSub。お前を愛してるよ」
きっとキスしてる時のレフは、今の俺みたいな気持ちだったんだろうな。
※
【せいれいのこ、ふたりめのこが、会いたがってたよ】
「……んー。それは朝イチに俺の部屋の窓から顔を出して言うほどのことかなあ」
【だって、おひさまたかいのに ぜんぜんでてこないんだもの おねぼうさん、せいれいのこ】
お寝坊さんっていうか、腰が、腰がガタガタっていうか?
昨夜はとりあえずここまでで挿入は限界だろうってことで、あれ一回で終わっていた。先の開発をお楽しみに!みたいな引きになってて怖いんですけど。どうなっちゃうの俺のアナルは。
で、スペースから回復したレフが大人しくしているはずがない。俺の声はスペースに入ってても何となく聞こえたらしく、レフは持てる全てのテクニックを使って俺の身体に快楽を教え込んだ。今までだって即落ち二コマだったのに、あれでも手加減されていたんだなと初めて気がついた。
前立腺だけでなくナカを撫でられるとすぐ感じるようになってしまったし、胸は豊かな胸筋があっただけなのに、弄られた乳首がポツッと赤くて本当に卑猥だ。もうレフ以外にお風呂に入れて貰えない。
性器は擦られなくても深くイクようになってしまって、いわゆる中イキで射精した時よりずっと絶頂が長引くんだ。メスイキってやつだね。それをずーっと、ずーっと朝方近くまで続けられた。俺はもうふにゃふにゃで、最後はレフの肩に引っ付いたまま泣いて『もうやだぁねむいよぉ』と駄々をこねた。
レフが笑いながら『おやすみなさい』って額にキスしてくれた時には心底ホッとした。
それなのにだよ?目覚めたらまたレフの逸物が後ろから、ガッチリ、入ってるんですわ。両腕で抱き締められてて動けないし、横向いて窓辺のドラゴンに手を伸ばすくらいしかできない。
【けいやくのいとし子、せいれいのこを食べちゃダメだよ】
「食べてはいません。食んでいるだけです」
【あじみってこと?】
「味見でもありません。……とても美味でした」
【やっぱりたべてる~。ダメだよせいれいのこは いっしょに でかけるんだからあ~】
ふしゅふしゅ、と幼ドラゴンの鼻息が風になって入ってくる。
あのーレフ先生、そろそろ抜いてもらってもいいですかね。
「……レフ」
「閣下、陛下のところへ行かれるのですか」
「それより普通に執務があるだろ。……いつまで入れてるんだ、抜いてくれ」
「……はい」
はあ、と小さくため息をついた俺は半分だけ収まっていたレフの逸物が抜けるのを、声を堪えて待った。ずるるるーっ、と抜けていく感覚にゾクゾクと背が震える。
抜くだけで酷く感じてしまって、身体に力が入らなくなった。ううーん、これから着替えて執務室に行かないとなのに。
「レフ、起きるまで入れておくのは、禁止」
「……ダメですか」
「当たり前だ。……中までレフのカタチになっちゃうだろうが」
「――、……閣下」
すい、と伸びてきた太い腕に腰を引き寄せられる。するりと鼠蹊部を撫でられただけで、『ひぁっ』と濡れた声が漏れた。撫でられるだけでレフの与える快感を思い出してしまう。
ああ、なんでtouchなんてコマンド思いついた。あれが一番危険なコマンドになってしまった。
【あ~またせいれいの子 たべるきだ~。ふたりめのこにいいつけちゃおー】
いや待て、言いつけないで。こんなの赤裸々に兄ちゃんに教えることじゃないから!!
レフもちょっと落ち着いて、俺が悪かったから。なにが琴線に触れたのか判んないけど俺の発言が悪かったんだなっていうのはわかった!!
「閣下。……際限なくヒトも魔物も竜までをも魅了する、その悪癖をどうにかされませんと」
「言うようになったなレフ。魅了された筆頭の竜騎士なのにね」
レフとにらみ合いつつ、俺は窓の外にキラッと光る合図に気づき、シーツを巻き付けたままベッドから飛び降りた。ひょい、とドラゴンが俺を軽く咥えて窓の外に出て行く。
裸にシーツを巻き付けただけの俺を、ドラゴンは専用コンテナにポイッと入れてしまう。これは少人数用のドラゴン輸送のハコだ。運ぶだけじゃなくて風景が楽しめるよう窓がついてたり中に絨毯やソファがあったりする。最新式だよ。アダムがとっても頑張りました、って聞いている。
「閣下、ダメですよレフを甘やかし過ぎです」
「まさかこんな時間まで拘束されてるとは思いませんでした」
「……」
レン、ミュゼ、アダムがコンテナに一緒に乗っている。
ミュゼの手には俺の着替えもあるから、このまま行けそうだ。
【せいれいのこ、いくよ~】
「ああ。頼んだ」
【あっはは。けいやくのいとし子がね、おいかけてこようとしたけど ムリだった】
「お前の飛ぶ速度に敵う者はいないからな」
【そうでしょ、でしょー。ふふんっ】
イヴォンの待つ王宮についた俺は、一日ぶりの再会にそこで暫くキャッキャと遊んで時間を過ごしていたんだけど。
数時間後に静かな怒りを漂わせたレフが、天馬に鞍をつけて操り王宮に現れたのには驚いた。天馬って馬車に使ってたアレだよね。えええ騎乗に向かない魔獣だって言ってたじゃん~!!
危険な魔獣まで乗りこなすレフがめちゃくちゃイケメン。俺のSubが世界一格好良い!……とか思っている場合ではなかった。
せっかくの大団円、何もかもが上手くいったようにおもったけど。まだDom歴も赤ちゃんな俺と、Subとして俺とのプレイしか知らないレフ。やっとパートナー契約とcollarをあげるまではいったけど、アーノルドのくれた絵本だけでなく、もっと色々学ぶことが多いようだ。DomとSubの関係性っていうのは、酷く難しい。
――そんなわけで帝国を取り戻した大公閣下だけど、今日も憂鬱です。
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自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
惚れ薬をもらったけど使う相手がいない
おもちDX
BL
シュエは仕事帰り、自称魔女から惚れ薬を貰う。しかしシュエには恋人も、惚れさせたい相手もいなかった。魔女に脅されたので仕方なく惚れ薬を一夜の相手に使おうとしたが、誤って天敵のグラースに魔法がかかってしまった!
グラースはいつもシュエの行動に文句をつけてくる嫌味な男だ。そんな男に家まで連れて帰られ、シュエは枷で手足を拘束された。想像の斜め上の行くグラースの行動は、誰を想ったものなのか?なんとか魔法が解ける前に逃げようとするシュエだが……
いけすかない騎士 × 口の悪い遊び人の薬師
魔法のない世界で唯一の魔法(惚れ薬)を手に入れ、振り回された二人がすったもんだするお話。短編です。
拙作『惚れ薬の魔法が狼騎士にかかってしまったら』と同じ世界観ですが、読んでいなくても全く問題ありません。独立したお話です。
給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!
永川さき
BL
魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。
ただ、その食事風景は特殊なもので……。
元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師
まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。
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