石炭と水晶

小稲荷一照

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蛮族の祝祭

ダビアス城

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 使者というものは、当然に口上を通達するのみで非常に一方的なものになる。
 だが、それにしても見事に一方的な内容である。
 決闘の申し入れという門前の物々しい響きとともに現れた使者の気迫に流石に騎士総長の立場といえ、瞬間身じろぎをして礼節に乗っ取り間を開けて使者に三度言葉を繰り返させた。
「マリールミラォスデゥラォンアシュレイを立会人にバリステラスラハルルテタブルがゲリエマキシマジンに決闘を申し込む。応じぬ場合、バリステラスラハルルテタブルとマリールミラォスデゥラォンアシュレイとの結婚を執り行う。またアーシュラエラゲリエアシュレイの親権に従ってゲリエ卿とアーシュラの接触の一切を拒絶する。またゲリエ卿のデゥラォン郷への立ち入りを禁ず。藩王国領内におけるローゼンヘン工業の一切の商業活動を禁ず」
 使者は堂々とした体格の威丈夫だった。
 こちらの土地の男性らしいと言える巻き上がり肩幅まで広がった兜の鍬形のような角先といい、その重たげな徴を支える首から肩のなだらかな太さといい、殴られたら痛そうな石割の玄能のような腕といい、こういう武夫が一万だかそこら山中に潜んでいるなら、如何な帝国軍でも易々と好きには出来まいという風情の人物らしく、太く豊かな声量は轟々としかし明瞭な言葉を告げた。
「ご返答や如何に」
 伝令の言葉に身なりを整えた騎士総長ダビアスは、礼則に従った身振りで発言の割り込みを示した。
「ゲリエ卿、当地の風習に縁なき卿に述べるなら、期日がないところを見ると卿が留保して立ち去るという返答もこの場合はある様子だ。一般的には返答は日没までまたは日の出までということになっている。それをすぎれば里の者は家に泊めることが許されん。返答の期限は日没までということで宜しいな、使者殿」
「如何にも」
 使者が短く答えた。
「返答を留保した場合には如何様に」
 一応留保という選択肢があることにマジンは城の主に尋ねた。
「次に卿がこの地に立ち入った時は自動的に決闘を受けるということになる。大方の場合は郷の者は軍勢として迎え撃つ準備をして出迎える。戦か決闘かということだな。当地での兵事とあれば当然余の預かるところの任になる」
 ダビアスは念を押すように手の内の赤と緑の玻璃の張られた騎士総長の軍配を示した。
 鋼張りの小手の中で軍配がかすれた鉦の音を静かに立てる。
「なかなか優雅だが物々しい。決闘の方法は聞いたとて留保は出来るのだろうか」
「木簡にて互いに望みの得物を書き、それを投げて選ぶ」
「得物がわからないのでは受けたとしてボクの苦労が増えるだけの気がする。……使者殿が立会人に伝言をお伝えいただくことを条件に受けよう」
「伝言承ろう」
 マジンが細かいところを気にせず受けたのを使者が頷いた。
「ゲリエマキシマジンがマリールミラォスデゥラォンアシュレイに決闘を申し込む。挙手空手にて十番勝負。立会人はそちらにお任せする。こちらが賭け求めるものは特にない。ただ覚悟のみ望む」
「ゲリエマキシマジンがマリールミラォスデゥラォンアシュレイに決闘を申し込む。挙手空手にて十番勝負。立会人はそちらにお任せする。こちらが賭け求めるものは特にない。ただ覚悟のみ望む。……確かに伝言承った。そちらはマリール姫殿下、こちらはゲリエ卿でよろしいな」
 使者は全く静かに復唱を返したが、内容に謁見の間にいた者たちが息をついたのがわかる。
「その通りに」
「しかと」
 使者はこういうこともあるという程度に全く落ち着いた様子で伝令の御役目の場を下がった。
 控えの間を経由して廊下を進むとダビアス老が窓の外を眺めて使者の背を見送っていた。
「だいぶ腹を立てているようじゃの」
「嵌められた、とは感じていますが、マリールであればやるかな、とも。つまりはアレはボクと使者殿との結婚を両天秤にかけたという意味ですね。当然に彼女はデカートでのボクの立場も理解している」
「それであの伝言か。ヌシも相当碌でなしよな」
 ダビアス老は責めるでもなく笑った。
「マリールも喜々としてかかって来ると思いますが」
「まぁそうじゃろう。ウチとアチラのそう云うところを煮詰めたような娘じゃ。聞けばそこそこに軍才もあるという。全く女でなければと思う」
「それで共和国軍にということですか」
 多少気になっていたことをマジンは訊ねてみた。
「半分はそう云うところだ。邦では腕がたっても女は騎士にはなれん。軍場に立つ女が過去にいなかったわけではないが、それはあくまで家の男の穴埋め代役であって、身分ある女が軍場に立つことは嫌われておった。兵糧矢玉の仕込みや馬具武具の手入れとか傷病弔いの世話とか工事の差配手当等、実のところ女の戦仕事はいくらでもあるわけで、軍場にあって女が忙しくしていないわけはないが、槍鉾を持って矢面に立たれると男仕事を奪うなということになる。といって、子供に最初に武芸を仕込むのも女の仕事だったりするので、並の男より腕の立つ女も多い。役目柄口には出せんが、わしより武芸達者なオナゴは十人では足りん。面倒くさい土地の因習と思ってくれて構わんよ。共和国と盟を結んだあと、ワシラが一族絶滅を気にしなくなった割合と最近の風習だというのも忘れている者も多いが事実だ」
 使者の姿が見えなくなったのを見送って、ダビアス老は皮肉げに笑っていた。
「聞いていた話ではマリールの父上は穏やかな方ということでしたが」
「性根は今も穏やかさね。ただ御役目の求めはそうはゆかぬものじゃから、天然と違って折り合いがつかぬ。そして全く難儀なことに得難く強く賢い御仁である上に公明と慈愛を尊ぶ天秤を得た宰領だからな。いささか気の毒ではあっても揺らいでもらっては困る。それに驚きもしたが、マリール嬢ちゃんが言い出したことだろうというのは有り得る話ではある。ワシラの一族の女どもの面倒くさい性を思えば、オヌシがそこそこ以上に腕の立つ賞金稼ぎというのはわかる。マリール嬢ちゃんを孕ませたというなら尚更よな。自分の男を見せびらかしたかったんじゃろ」
「面倒な性根ですな」
「それは仕方がない。それで尚子供が出来たというなら、そこはますます諦めるしかない。まぁ冗談でないと逃げるのも判断だが、そうする気もないのだろ」
 ダビアス老の言葉にマジンは頷いた。
「アーシュラがなんというか考えれば、子供に顔向け出来ない親というモノにはなりたくないですな」
 マジンの言葉にダビアス老も頷いて応えた。
「我が婿殿も似たようなことを考えたのだろう。身を削って子供を生んだ女が気楽というわけもなかろうが、男親というものもなかなかに面倒くさいものだよ」
「気楽そうにしているバカを殴りたいと考えるのはみっともない事だったでしょうか」
 先達の言葉を求めるようにマジンは尋ねた。
「その程度でバカの性根が治るとも思えんが、それでも殴りたい気分はわかる。孫娘のことだから手加減はして欲しいと思うが、殺すつもりもないのだろう」
「アーシュラの母親ですから」
 短いマジンの言葉にダビアス老は頷いた。
「片端になったらなったでうるさかろうから、殺すのでなければ半年ばかりおとなしくさせるくらいが関の山だろうが、夫婦の痴話喧嘩は適当に収めておくのが良いだろうな」
「むこうの申し出の決闘の内容がわかりませんが、そちら次第でしょうね」
 ダビアス老はマジンを城の一室に誘った。
 夫人方のいる閨房とは別の郭で南向きではあったが森の一角をそのまま郭で囲ったような棟になっている。
 城の中ではあまり戦闘向きでない作りになっていて、建物の印象も大きく違う。
 郭に囲まれた森はひどく丁寧に手入れをされた雰囲気で落ち葉や枯れ落ちた枝の見苦しさが棟からは見えない。
 つまりは相当に手を入れられた木々である。
 郭の中の森のせいで棟の作りがわかりにくい。
 登ったりおりたりということを繰り返している印象ばかりがあって、それほど広くない建物であるはずなのだが、わかりにくい道順でさっき登った階段を降りたりしている。
 そして広くはないが、明るく森の木立が見える一室にたどり着いた。
「ここはどういう場所ですか」
「まぁ、客分の保護や軟禁に使う区画だな。別段お前さんをどうしたいどうしようと云うこともないのだが、決闘騒ぎと相成ったからには屋上やら書庫やらをウロウロされるのも困る。人目があるところで騒ぎになるのもひと目がないところで何かされていると疑われるのも我らの本意ではないのでな。むこうから迎えが来るまでの逗留だ。オヌシの日課には様々足りないとは思うが、居心地は悪くないはずだ」
 老人は全く軽いことのように明かした。
「妻たちには会えますか」
「呼んで会うのは自由だが、客分の関係者は一回入れば出られない。そうなっている」
「それは魔法の仕掛けか何かですか」
「もちろんそういうものもある。そうでないものもある。まぁ我が家の立場を慮ってくれるなら、試さないでくれると助かる。というところか」
 秘密でもなんでもないことを藁草のようにバサリと積んでダビアス老は自分の立場を説明した。
「軟禁はどのくらい続くものですか」
「まぁ今頃アチラで決闘の道具立てを揃えているとして、普通は明日の昼前の食事のころには使者が来て、作法通りなら明後日中天正午に日が昇るまでに案内が進むだろう。天気次第というところはあるが、まぁそのくらいの場所に場を設えるくらいの様々はいくつかあるから、どこを選ぶかはわからん。だが、そう云う運びのはずだ。寝て起きたら使者が来るというくらいに構えていれば間違いはない。……何か決闘に際して準備はあるかね」
 決闘の内容も明かされていないも同然で手の打ちようがあるとも思えない。
「食事に肉とチーズを多めにしてくださると助かります。こちらの食事はひどく消化がよろしすぎるので身体には良いのでしょうが、明日は長丁場になると思いますので、少し太れる腹持ちの良い物をお願いします」
「そうしよう。この時期だと肉は冬の残りの乾物燻製塩漬けしかなくてな。どちらも量があるというわけでないし、家畜が子離れしていないこの時期に日頃盛大に振る舞うというわけにもゆかんが、客人の決闘ということで口実があれば皆も喜ぶ。家畜を捌くのも今からなら間に合うだろう」
 多くの兵を抱えた城主である老人はひどく明るく言った。


 雪が溶けきらず、そこここで溶け残った峰の雪崩が気になるこの時期は、食事が切り替わる微妙な時期だった。
 ローゼンヘン館では様々に四季を無視した様子があって、食べ物についてもここしばらくの鉄道のおかげである意味で季節を分かたずの調達ができるようになり始めていた。
 海への玄関口としては遠くやや頼りないスカローではあったが、そうであっても鉄道が接続したことでそして河川流通が堰堤工事で活性したことでローゼンヘン工業では地域や季節に縛られることなく、様々に手が打てるようになっていた。
 殆どの人々が全く理解していなかったが、ザブバル川の流域はおよそ南北に広がりを持っていてそれが素早く、馬車の歩み寄りも早く繋がるということは、それだけで四季を追い抜いた四季を先取りすることが出来る。
 如意自在と言うには物足りないが、ともかく手間とカネとをかければ幾らかの無理が押し通せるようになった。
 それは例えば、冬場の寒い時期に南方の乾燥した泥海の周辺に幾らかを運ぶことで、寒さに弱い家畜や出産前後の母子の親子の冬越しの管理を簡単にしたりという事業も回転していた。
 もちろんそんなことをすれば人員の手配が必要で人員には世話の手配が必要で、と手間と掛りは膨らむ。
 だが、そうであっても家畜を増やすほうが良いという判断も戦時繁忙期にはある。
 特に羊山羊の類や馬匹の類は、面倒少なく走らせる広さが必要で人の多いところよりは人が少なく、できれば馬たちが勝手に帰ってくるような土地のほうが望ましい。
 堰堤の浄水設備の更新試験運転がおこなわれているバルデンは、そう云う意味でなかなか悪くない土地だった。
 油井の天然ガスはもちろん材料に燃料に使えるものではあったが、今のところ運ぶのに面倒くさいものでもあったから、土地で使いきったほうが手間がかからなかった。
 そういうことであればと浄水設備の掛りは殆ど無く、汲み出した石油を適当に分溜する燃料と使ったあまりで浄水試験を兼ねて淡水化装置を動かし、それでバルデン一帯を緑化していた。
 設備の量産も数年を経た最近はだいぶ減ったが、浄水設備の濾材の計画外の劣化などで浄水に海水がそのまま交じることもあり、不良の発生した系列の緑地を塩で枯らしたりもしていたのでわかりやすく機能の確認もできたし、そういうことがあっても問題はなかった。
 家畜たちはそう云う小さな塩田を却って喜んだりもしていた。
 砂漠を緑化するという事業は大げさではあったが、ヒトが好きなときに好きなだけ馬匹を準備し肉を食い畜乳を得ようとすれば、土地が植物がそれらを支える様々な手順が必要になる。
 これまで砂漠と云うにも何もない砂野原だったバルデン一帯は僅かな遊牧民が極偶に風に流れてくるような土地であった。
 ぶちまけてしまえば所有という概念のあるわけもない無人の荒野と大差はなく、また海の水で土地を緑の牧場にするような大事業が誰なりどこなりと出来るというわけではない。
 だが、そう云う土地であれば様々が曖昧で好き勝手が出来る一方で揉め事も増え始めていた。
 これまでは単に近場の遊牧民がこぼれた緑と水とを求めて立ち寄るくらいの話だったが、こちらの手間も考えずに豊かになった土地を羨む愚か者がいる、というそれだけのことで次第に揉め事も増えてきていた。
 どちらも風来である故に善きにはからえ、というにはローゼンヘン工業の事業は大掛かりに徹底しすぎていた。
 生き物の食事の世話というものは様々に面倒が多いものであったから、帝国軍の気まぐれに付き合わされて専門家としての兵隊を一万も準備する手間というのは、魔法が多少便利に使えようと相応難渋であることは間違いない。
 鉄道がこの地デュラオッへ郷に着けばダビアス老の云う通り、鳥の尻に刃物を突き立てる容易さで内蔵が抜けるのは必然だろうとマジンには思えた。
 なにより、この郷の人々が文明を楽しむ風雅な質であることは既に分かっていた。
 事によれば、デカートの人々よりもはるかに文明というものの楽しみ方を熟知しているとさえ感じられた。
 そういう土地に何かを持ち込むということは、当然に土地の人々の有り様を一転させることになる。


 軟禁部屋と云うにはあまりに優雅な座敷牢は、林と云うに十分な厚みのある茂みを持った曲輪の一角に面していた。
 決闘ということであれば、一応得物と体の動きくらいを確認するのは礼儀でもある。
 段平を振るうのに部屋の中よりは戸外のなかのほうが落ち着けるとあって、庭に出ると春先の木立の中だというのに奇妙に暖かい雰囲気だった。奇妙に歩き方を求める森であることは間違いない。郭の広さを考えれば木々の数が百はありえても千は超えるはずがないのだが、ぼんやりと数えているうちに木々は二千を数えてなお郭は広がっていた。
 いかにも化かされたという印象のままに木々の梢を目指して登った。
 しかし、ある高さから急激に木が育ち始めたというかこちらが縮み始めたというか、或いは単に登った気にさせられているというか、そう云う状態で梢まで登り切るのを断念した。
 森から元の戸口までは運動の脈が落ち着き汗が引くまでという距離で、小一時間歩いて木を登ってという距離にはとても思えない近さだった。
 なんだか分からないが、化かされていることは明らかだった。
 探ってみるまでもなくどこからか見られている印象はあって、段平を鞘ごと引きずって音と手応えを頼りに歩いてみた感触では戸口から十キュビットかそこいらに何やら手応えの変わる空間があって、魔法の結界があるとしてそのくらいの高さ広さがあるだろう、森と言ってせいぜいが二階まで通じる吹き抜けという程度の作りであることがわかったところで、突破の方法は思いつかなかった。
 突破に至らない方法ではあるが、瞬間的に看守を困らせる方法が十ばかり思いついたところで試すか試さないかを思い巡らせてみて散策は中断だった。
 この手の貴人用の座敷牢はどうあっても定まった弱点があるもので、いずれ試すこともあるだろうが、短期的な話題として急いで出る必要がなさそうであるなら用のないことである。
 飲み物や食べ物の類に仕掛けがあるとして、どのみち食事にも注文をつけてしまったことであるし、水と干果物を食べるくらいは構わないことにして郭の中を記憶を辿って歩いてみたが、どうやら何やら組み替えられたらしく登りたい階段がなかったことで諦めた。
 ここを先に訪れた者たちが全員円満な理由で来たというわけもなく、あちこちに年号と日付のようなモノが刻まれ日記と署名のような意味のあるものもある。
 中には何やら誰それの罪の告発であったり、自らの冤罪の恨み言や無実の証明であったりと生々しいものもある。
 そういうものを巡って回って午後のひとときを過ごした。
 全く気の毒な人々が先人の努力に触発されて何やら文言を残さなくてはならないと義務感に駆られ、時を越え額を寄せ合うように自らの思いを書き記すという想像は、一種の割れ窓症候群のようなもので他人のそう云う努力を見て何やら意識に目覚めるという雰囲気はこの建物の真剣な目的を上回るおかしさがあった。
 少なくともあちこちに刻まれている文言は迷宮の材料が不磨不滅のものではない証拠であって、云ってしまえばこの迷宮の管理の限界をも示している。
 ここに閉じ込められた者としてこれを笑わず喜ばずしてなにを笑うのかということでもある。
 もちろんこの手の迷宮一般の話題として支払える時間と努力と手持ちの様々のうちで必要な時間のうちに迷宮を脱せるのかという話題があるわけで、具体的に明日の十時頃には出ることが定まっているマジンにとってその脱出がどれほど容易かという話題は全く別物であるわけだが、つまりはそういうことであった。
 そういうわけでマジンも先人に習ってポケットの十徳ナイフの千枚通しでゴリゴリと署名をすることにした。
 ひどく堅い材料で高い位置にある署名の不自然さは、全くこの迷宮の不完全というかここを使うことをあまり真剣に考えていなかったことを示唆するものではあったが、だからといって突破が容易というわけでもあるまいし、ということであろうか。


 家具と段平の鞘を足場にして少々不自然な位置にマジンが署名を施していると胸がズクリと傷んだ。
 なんだかそう云う仕掛けかと逗留の事由を書く手を諦めて床に降り立つと、リザの気配がした。
「決闘って聞いたけど、どこでなにやっているの?大丈夫なの」
ステアの声が突然耳元でしたような気がして振り返ったが誰もいない。
「なにやっているのか分からないけど、生きているのはわかった」
「ステアか。これは魔法なのか」
 尋ね返すと気配が動いた。
「あ、つながった」
「どうやってるんだ。というか、なんで魔法でボクと話せるんだ」
 リザというべきかステアというべきか彼女らがある程度の魔法を使えるのは知っていたが達人というわけでもなく、魔力は大きいとかあるとか言われても全くピンとこないマジンにとっては魔法などというものは全く他人事でしかなかった。
「マリールが出掛けにメダルを首から掛けとくように云ってたでしょ。戦争征ってない人たちの分も作るようにせがんでたし」
「ああ、まだ全員分はできてないけど半分くらいか。十日もあれば出来るが、マリールが退役するとかで逓信院に呼ばれる騒ぎになってた挙句に、こっち来ちゃったからな。帰ったら続きをやるよ」
「今は他の人の分の話はいいんだけど、アナタが首からかけてたから色々やってたら引っかかったって感じ。魚釣りみたいな感じね。今サルート様に魔法のコツというか、使い方を教わってるんだけど、流派の違いというかそういうのを感じているわ。それでなにをやっているの。決闘って聞いたけど」
「なにって云うとアレだけど、迷宮に軟禁保護されている。決闘の儀礼みたいな感じらしいな。静かに過ごせってところなんだろう」
 言葉にするとかなり荒い印象だが、ステアには無事が伝わって安心した様子だった。
「必要な物とかやっといてほしいこととかはない」
「端艇とステアが無事なら、ボクの身はおよそ安全だよ。それだけ確かめて欲しいかな。他のことは今はいい。オマエとイチャイチャ過ごしたい気もするけど、当然監視されているからこちらのお城の方々に覗かれ放題ってのは、少し気が進まないかな」
 少し呆れたようなステアの雰囲気が伝わる。
「本当に元気そうね」
「軟禁と云って身ぐるみ剥がれたわけでもないし、口輪に拘束服というわけでもないから、手を尽くして牢破りができないわけでもなさそうだけど、お前たちの身が危なくないなら、こちらに心配かけてまで無理やり出るのもどうかと思うって感じかな」
「それは良かった。じゃぁちょっと船の方を見てこさせればいいかしらね」
 状況に納得がいった雰囲気のステアは落ち着いた様子で尋ねた。
「中は腐れ物もないし、外に兵隊が取り巻いてなければそれでいいと思う」
「わかったわ。うちの子達にもそう伝えておくわね。……黒弾要らないわよね」
 秘書たちの持っている小口径機関拳銃は青球と黄球のカクテルで喧嘩や警笛がわりに気軽に使いやすいが、力技で戸口や壁を抜くようなものではないし人を殺せるようなものでもない。多少威力の高い黒弾でも拳銃ではたかが知れてもいて、大型自動車相手では弾倉ひとつまるごと使うつもりでないと意味のないような代物だったから、騎士団が本気でかかってくるようなら一回たじろがせるのが関の山というところだろう。
「三人は日頃持ってると思うけど、ボクが決闘に応じる限り、こちらのお家は味方のはずだ。ボクが軟禁されているからといって慌てることじゃない。心配しないでこちらの方々にお任せしろ。日用品とご挨拶の品はむこうのお城においてきちゃったから、本当に必要ならマリールに頼むかステアを見にゆくついでに取ってくればいいさ」
 聞いておいて判断が一致したことで落ち着いた雰囲気がどこかむこう側から伝わった。
「マリール……。あの娘、魔法つながったはずなのに無視してんのよね。決闘騒ぎ、あの娘のせいなんでしょ」
 話題がズレるに連れて明らかにステアの声だったものに印象や話し方にリザが混ざってくる。
「ボクも疑ってるけど、そのへんはよくわからない。昨日の対応からして地元の武張った権力者としての立場もあるみたいだし、そこに乗ったっていう感じかな。両天秤に載せられてちょっと頭に来たけど、ボクもお前とウチの女たちをひとまとめにして秤に架けているようなものだから、人のことは言えないな」
 呆れたような黄色味がかった灰色の雰囲気がステアの魔法の色に乗った。音のような影のような魔法は色合いを持つらしい。
「アナタ、マリールに甘いわねぇ。どうせあの娘、アナタと決闘して盛り上がって子作りとか、どうせそんな感じのことを考えているんでしょ」
 全く同じことを決闘の申し入れの際には思いついたのだが、少し時間を置いて冷静になるとそれだけでは説明に足りない状況が多すぎた。
「そうも考えたんだけど、それだけじゃ邦一番の騎士が伝令に使いだてられるとも思えないだろう。決闘騒ぎがどう決着するかわからんが、およそ昨日の舞台だてからしてマリール一人の仕込みとも思えない。むしろマリールの母上辺りに聞いたほうが早かったのかもしれないな。マリールのお母上には一昨日のうちから仕込める時間があったからね」
「言いたいことはわかったわ。アナタお昼一緒じゃなかったから流石にちょっと気になってね」
「よほど心配なら一緒に軟禁されていればいいさ。こっちも外の様子が分からなくて退屈なのを除けば悪くない。お庭もきれいで珍しい仕掛けもある」
 鼻で笑ったような雰囲気がしてステアの魔法の気配が立ち去った。
 突然色を失った様な空間にマジンは本当に初めて魔法というものの存在を目で見たように感じた。
 スルリと消えたステアの気配に胸にかけたメダルを指先で叩いてみたり押し付けてみたりしたが、特段に何かが起きるというわけではない。またひとつ知らないことがあることがわかったというだけのことで、誰もいない薄暗くあちこちの狭間から光が刺す廊下を居間に向けて歩いた。
 居間にはいくつかの部屋が直接つながっていて寝室や風呂或いは便所というものもそれはそれは見事に磨かれ整理されていて掃除が行き届いていた。
 七つ穴の撞球台が据えられた遊戯室があり、異国の文字で書かれた書籍木簡のたぐいが蓄えられた書庫があったりと、座敷牢ではあっても別段死刑を定められた者を預かる場所でないことはわかる。
 要するに新鮮な食事だけが足りない。そう云う作りだった。


 風呂の浴槽の様子を確認するついでに一風呂浴びていると居間の方で気配がした。
 覗くとリザが来ていた。
「退屈しのぎに軟禁されに来たわよ。なかなか立派な牢屋ね。座敷牢っていうんでしょ、こういうの」
「む、ん。まぁそうだろうが、他の連中は大丈夫なのか」
「あの子たちはこちらの奥方様たちにおあずけすることにしたわ」
「魔法の修行は」
「修行っていうか、コツを教わってたんだけど、匙を投げられたというか、焦らずやりなさいと言われたわね。ちょっと真面目にやらないと身につかないくらいにダメな生徒らしいわ」
 照れたようにリザが言った。
「上手くゆかなかったのか」
「夫の様子が心配だったから集中できなかったのよ。わかれ」
 キッとした顔で指でっぽうを突きつけられ、ぐうの音も出ないマジンの顔をしばらく睨んで、リザは表情をゆるめた。
「――大丈夫そうなのは、魔法でわかったけどね。流石にちょっと決闘とか軟禁とかさ、急展開でついて行けない感じだったのよね。マリールにはなんだか無視されているみたいだし。なんか怒らせることしてたかしらね」
 少し心配そうな顔をしていたリザの顔を覗き込むと彼女はイタズラっぽい顔になった。
「――なぁんてね。お風呂あるのね。食事はそこの時計の脇の扉から配膳されるってことだったわよ」
「聞いてるよ。マリールのことは気にしないでいいと思うよ」
「気にしないわけでもないけど、まぁそっちはいいわ」
 そう云うとリザは服を脱ぎ始めた。
「気にしてもしなくても明日には状況がわかるだろう。決闘とやらはなんだか不愉快な成行きだがまさか命のやり取りってこともないだろうしな」
「アナタも大概呑気さんね」
 リザは借り物のドレスをトルソーに掛けてシワを整えていた。
「仕方ないだろう。アーシュラを人質に取るようなことを言われちゃ」
 リザは下着姿になってマジンが脱ぎ捨てた腰のものやら外套やらをトルソーに集めてかけていた。
「身柄を押さえられたわけじゃないんだから、こっちでやりようはいくらもあったじゃない。どうせ、御当地流の決闘とやらを受けてみたくなったんでしょ。――ちょっとあなたコルセット解くの手伝ってよ。ドレッサーのメイドさん、なんか複雑なことやってくれたらしくて、どの紐引いたら解けるのか、わっかんないわよ」
 四葉の形に編まれた組紐はつまり二組のハトメを交互に締めあげていたということであるらしく、紐を解くこと自体は簡単だったがその先がまだあった。
 紐を解いただけではコルセットは解けなくて、複雑に編みあげられたテンションをハトメを追って緩めてゆく作業は、指先だけでおこなうなら相当にやわらかな体が必要で、堅いコルセットに締め上げられたままおこなうとすれば、それは熟練の技か専用の道具が必要になる。
「貴婦人の生活ってのも大変そうだな」
「なぁに言ってんのよ。誰のためだと思ってるのよ。奥さん美人だと旦那は嬉しいもんなんでしょ」
 次第に緩んでゆくテンションに背骨を左右に揺するようにしながらリザが笑った。
「まぁ女の好みなんて見てよし、膝に乗せてよし、抱いてよし、語らってよしと色々あるわけだけどね」
「色々あるからいっぱい欲しくなるわけか。納得いったわ」
 つい理屈っぽくなったところでリザが噛み付いた。
「オマエわざわざ嫌な言い方をするなよ」
「素直に美人の奥さんがいて嬉しいなぁって言わないからよ」
「ああ。うん。美人の奥さんがいて嬉しいなぁ」
「ああ、やっぱり。アレだけ締められると肌に布地の目が食い込んでる。なんか変なところにシワが残らなければいいけど」
 リザがスリップをめくってあちこちについた布地の跡をなぞった。
「美人の奥さんがいて嬉しいなぁ」
「台詞の練習は終わったのかしら。お風呂入りましょ」
「ん。ああ」
 リザの身体は魔族と言って眼の色髪の色以外は特段に以前と変わりがあるわけではない。リザの肌を湯の中でこすると垢が溢れて浮かんだ。
「何。おっぱい触りたいの。いいわよ」
「む。まぁそれはそうなんだが、魔族と云ってあんまり変わんないなと」
 リザの乳房の間の骨をなぞり汗と垢を擦り出す。
「そうね。私も云われてもピンと来ないわ。ただリザじゃないしステアでもないって感じはする。じゃぁ誰なんだって聞かれると結構困るんだけど、あなたの奥さんってことでいいんじゃないかしらっていうところでは結構落ち着くのが不思議な感じよ。何なのかしらね」
「食事とか便所とかどうなんだ。なにか変わった印象はないか。睡眠とか」
 マジンは前々から気になっていたことをリザに尋ねてみた。
「あったら自分で大騒ぎしてるんだけどね。一時みたいに服破ったり食器壊したりもしなくなったし、なにが変わったっていうか、なんか落ち着いたって感じかしら。計算が早くなったとか威張ってもいいのかもだけど、変わった所ってまぁそんな感じかしらね。自分で云うのも何だけど、嫉妬とか性欲とかアナタ絡みは前々からなんか変な感じだったし、気にした方がいいのかどうでもいいのかわかんないわ。どう思う」
 自覚があったほうがいいのかないほうがいいのか迷う様子でリザが尋ね返した。
「おっぱいが張っているような、妙に胸に張りがあるような気がするんだが、痼がある風でもないんだよな」
「むう。気がついてた。おしりもなんか骨で座ってる感じがしなくなったのよね。太ってないかしら」
「月のものは」
「ああ。全然来ない。まぁ、一回死んじゃったってことだし魔族になったってことだし、であんまり気にしてなかったけど、妊娠したってことかしら。魔族も子供産めるって云ってたわよね」
「そういうのはわからないのか」
「わかんないわ。そう云う自覚があったら流産なんかしませんでした。……なんかやっぱり怒ってる?子供産めないかもって」
「二人いればそれはいいだろ。子供は他にいっぱいいるし。オマエは産みたかったか」
 夫に言われてリザは少し真面目に考える様子を見せた。
「産みたかったかも。産みたいかも。よくわかんないわ。そう云う感じは。云われて言わされてる感じはする。ステアもリザも産み残ってるから、ちょっと気にしてるのよね。たぶん。でも妊娠するくらいあなたとイチャつきたい。軍隊関係なくなって会社もアナタがまぁいいやって云うなら本当に引っ付いて暮らしたい」
「そんなことになったらマリールはうるさいだろうな」
 仮にそんな生活をしていればマリールがおミソになって我慢ができるとは思えない。
「マリール。むう。アナタ。たっぷりイチャコラしましょ」
 リザは伸し掛かるように腹の中に咥え込み、奇妙にリザかステアかのツボをついたらしい。
 余計なことを云ったかと思ったが、リザは全く容赦なく日が沈んでもトグロを巻くように絡まり続けその日を過ごした。
 途中、様子を見に来たショアトアが呆れ返りながら食事の世話をしたりという出来事があり、ともかく食事はしたが、せっかくの肉と卵とチーズの食事も冷えてしまっていた。
 夕餉の豆粥も朝の麦粥も冷えてはいたが、ともかくショアトアの世話によって頂いていた食事をしないという事態は避けられた。


 ショアトアがやってきたという事実は、城内の何処かでこの座敷牢の状態が監視されていたという状況を示唆するもので、マジンとしては推測の傍証が増えたということであったが、既に予測されていた事態でもあって、いずれかの意図もあったリザは全く機嫌よくマジンの精を絞り続けた。
 その様子は全く聞きしに勝る好色ぶりと、決闘の段取りを伝えるために現れたダビアス老とその従騎士を大笑いさせた。
 その後、女中たちががマジンを風呂に入れて装束をどうするか、得物を何にするかと色々云われたが、素手かせいぜい木剣の積もりでいたマジンとしてはそれほど難しく考えるようもなかった。
「木剣か。まぁそういうのもアリだが、郷の流行りは、無手勝にてお好きに、というものが多い」
「それは、得物はなんでも宜しい、という果たし合いですか。例えば拳銃でも小銃でも」
「まぁそういうことだ。およそ引きずらずに試合場に持ち歩けるものならなんでも宜しいという建前だ」
「共和国軍では機関小銃が普及しているのをご存知ですか」
「知っている。理屈の上ではそれもアリということになる。使われるか」
「決闘というよりも決死の上で巻き添えが出ると思いますが」
「相手の得物を見て降参するのも別段恥というわけではない。ご承知と思うがこの決闘、受けない時の条件は定められているが、勝って負けてになにがかかっているというわけでもない。まぁ決闘に何かを賭けるとして相手が死ぬときに何かを受け取れるとも限らんからな。およそ名誉屈辱の気晴らしよ。だが、その振る舞いは人々に残る。故に勝っても卑怯愚劣と邪道を謗られることもある」
「人狩りを生業にしている賞金稼ぎには向かない闘いですな」
「まぁそうだな。辞するかね」
「なにを今更。辞するとして相手に星を投げ下れば宜しいのでしょう」
「まぁ、勝ち負けに拘らないとしてそうなる。だが前座はそうもゆかんようだ」
「前座とは」
 そう尋ねられてダビアス老人は多少困った顔をした。
「むこうの城ではこの決闘とマリール嬢ちゃんの婿探しをくっつけとる」
「それはどういうことです」
「決勝の場に立てないと不戦敗したと同じことになるということだろうな」
「それは相手も同じですよね」
「まぁそうだが、十五人の勝ち抜きで三回勝ち抜かないと決勝に至れない」
「なかなかの罰ゲームの様相を呈していますな。こういう騙し討ちは決闘の席において多いのですか」
「ないわけではない。だが、ここまで露骨なのは少ない。普通は土地の者が諍いの成行きを衆目に晒した上でおこなうものだからな。行儀の良し悪しで云えばかなり悪い。だが作法の上で何ら障りがあるものでもない。我が婿殿の好みとも思えんが、知らぬ訳もあるまいな」
「先日の無礼に相当腹を立てておられるということでしょうか」
「それもあるだろうし、様々絡んだというところだろう。マリール嬢ちゃんはゆきおくれという年ではあるが、子持ちで側室や後添えにはちょうどよいし、何よりここしばらくの東部戦線の動きを気にしている者は多い。そういう意味ではオヌシの名前くらいは知っているものもそこそこおるじゃろな」
「マリールは遊び相手の女としてならともかく、側室向きの気性とも思えませんが」
「様々に役目はある。特に軍事に通じている女というのは引く手あまたでな。槍働きは迷惑千万だが、兵粮采配の面倒は軍将一人のひらめきではどうにもならない水車小屋のような地道さと格がいる」
「この邦は女抜きに戦ができないということですか」
 ダビアス老はマジンの皮肉を子供の生意気を褒めるような顔で微笑んだ。
「戦の影働きで女どもの手配りがなければ、騎士共が立ちゆかなかっただろう戦は何度もある。郷の男であれば、男に子は孕めん、と開き直るところじゃろうな」
「マリールの武勲の噂はそこまで広まっているということですか」
「武勲そのものはともかく、共和国の軍学校に娘を入れて軍に進めその後に嫁に出すというのは、実のところそこそこに流行りでもある。ジャジャ馬が放牧先で仔馬を産んで帰ってきたというところだろう。ところでお主、マリールとは結婚を定めてもいないのだろう」
「デカートでは重婚は許されておりませんので、そこはそうですが」
「いい女を欲張るな、というお郷の理屈はわかる。そういうことであればマリールの婿探しをこちらでおこなうのもスジの上だ。娘子を妾と扱わせて喜ぶ男親はおらん」
「つまり、妾にたかる相手を払いのけるだけやってみせろと、そういうことですかな」
「やる気になったかね」
「事後にマリールを折檻してやる楽しみができました」
「結構」
「それでこの装束は」
 細かな絞り込みのあるかなり強く伸び縮みをする生地は蛇腹のような固く重たい板を首元から腹まで背骨にそって張り付くように支え覆っていた。心もとないが軽く動きやすい。
「胴の正中線だけ背腹守れるようになっとる。軍場では気休め以上にならんが、手足が飛んでも即死しなければ、命を永らえさせるくらいの役には立つ。心臓と背骨を貫かれなければ、治療の手がないわけではない。決闘の場であればな。首から上は固めると差し支えることも多いしで一対一の決闘の場では難しいが、大事なところを自分で守るのは生きる者の責務だ」
「手足が飛ぶこともありますか」
「得物によってはな。木剣にしたところで達人同士の立会であれば寸止めも難しい。突きで喉や胸が破られることもあるし、一刀に変わらぬ風に肩が砕かれもげることもある。どういう相手を考えているか知らんが、我らは帝国軍を退け続けてきた一族ぞ。寸止め無傷で全て切り抜けられるなどとは考えんほうがいい」
 ダビアス老は軟弱を叱るように言った。
「死なず死なせず済めば宜しいとは考えております。マリールについては特に」
「無論、決闘と云って別段に人死を望んでいるわけではない。だが挑む以上は死ぬ覚悟もある。侮ってはくれるなよ」
「決闘での魔法魔術の扱いはどうなりますか」
「有り体にどうにも出来んな。そうでなければ魔法魔術とは云えん。物言いは付けられるがそれで何かが覆ることはない。せいぜい間をとるくらいだ」
「やはりいるのですね」
「戦いのその場に向く向かないは別にして魔法を使えない騎士武人はおよそ郷にはいない。魔術魔道の奥義は振るう者そのものだ。たとえ徒手空手であっても星を落とし野を焼き山を砕く者もかつてあったし、またいずれ現れる」
「なるほど、機関小銃くらいは得物のうちと言いのけるだけのことはある」
「暗器の類もそれと仕込まれて立会で見極めるのは相当の手練でも難しい。ヌシの重たげな外套はまるごと暗器と云われて不思議はない。シャツの袖口や襟内に延し金の薄板が入っているのはちょっと身分があるものであれば当たり前でもあるし、そういう流れで言えば腰布一枚髪留めひとつで殺しの凶器には十分じゃ。魔法を気にするまでもなかろうよ」
「うん。多少、気合が入ってきた。無辜の民草を悪党から守るのが務めの賞金稼ぎとしては御法に触れぬ護民を旨とす騎士様とやりあうのに気後れをしていたんだ。なりふり構わぬチンピラと同じことを相手がやってくれるなら気が楽だ」
「気構えが出来たところで流れを説明しよう。――」
 脇でリザがコルセットを締められ装いを整えてゆく中で老人が今日の式次第を説明した。
「神前奉納がどうのうと云うのは何やら儀式めいている様子だけどなんなのかしらね」
「結納じゃからのう。リウドウそれからエイギアからは棄権したが、十七家門で嫁探しをしている配下騎士が名乗りを上げている。お義理で出しているところもあるし、義理とはいえ本気のところもあるが、一種のお祝儀のようなところでもあるからな、内々の出来レースのところにうちの席を使って珍客が混じったことでリウドウとエイギアは手を引いた。ルテタブルの手の内を見たいというところは誰もがあるだろうが、用事があって忙しい間に合わない、という家は騎士を出さなかった。思惑はそれぞれだろうが、世間の話題としては十年越しでルテタブルがジャジャ馬を嫁に引き取れるか、他所に攫われるかというところだな」
「それは、……ひょっとして相手の方ルテタブル卿にしてみれば針の筵なのでは」
「まぁ、この十年奴には全く針の筵だったろうさ。婚約者が共和国軍を救う戦功を引き換えに戦死同然となり、手も失くしていたところをひょっこりと生き返り、異種族の男と子をなして郷に帰ってきたとなればな」
「それは、必勝を求められる立場としては気の毒な。ダビアス様はすっかり楽しんでいらっしゃいますね」
「そりゃそうだ。土地での家格はともかく、鉄道の主であれば一党として実力の上では十七家門と変わりない。それに気の毒とはいうが、筆頭騎士というものは勝つことを求められる立場御役目よ。針の筵も別段今更という男であろうし、気分矜持はともかく祭りの勝ち負けひとつで立場のなにが揺らぐわけでもない。本命でもあるし、お主との決闘の話があるから、ある程度手の内は見せて圧し勝つつもりだろうな」
「ルテタブル卿は三戦ですか」
「そんなわけはない。式事主家だからな。当然ひとつ余計にやらせていただくだろう。ウチも家格が許さんので他所より少ないことはありえない。オヌシは当家の預かり騎士ということになる。楽をするのが勝負の人狩りとしては不服だろうが、祭りじゃ。汗をかけ」
「マリールに決闘を申し込んだのはマズかったでしょうか」
「なんでじゃ。女に決闘を申し込むというのは、惚れた男の恋文代わりだ。決闘相手の婚約者によくぞ、と城の者は驚いていたが、経緯を考えれば納得もできる。おかげで奇妙に盛り上がってもいる。相手がルテタブル卿でオヌシの勝利を信じる者は少ないが、皆楽しみにしてもいる。肉も求めてくれたしな」
「アナタの挑戦がお祭りの因縁にわかりやすく花を添えたってことね」
 昨日とは装いの違う重たげな様々な色質の赤と黒の薄物を重ねたドレスを纏ってリザが言った。
「そういうことだ。――しかしまぁふたりともよく似合っているな。嫁入り衣装と云うにはふたりとも本性を出し過ぎだが、こういう祭りの席にはよろしかろう」
 ショアトアは白い表地の下に黄色と緑を透かせた作りのふわふわとしたドレスを着せられていた。ふたりともこれでは座れまいと思っていると、腰のところに杖のようなものがあって、それをおろして椅子のように休むことが出来るらしい。
「祭りですか」
「なんじゃ、大家の党首かと思えば、祭りは嫌いか」
「祭りで武芸というのはどうも、なにやら」
「球投げ鞠蹴り駆け競と何等変わらんよ。まぁ名誉の舞台で一芸披露とあらば不真面目というわけもないだろうし、珍客をなぶってやろうかくらいに考えている者達はいるだろう。だが呼ばれた者共は義理のついでじゃ。因縁を思えばオヌシとマリール嬢ちゃん程も誰もが死力に頼るとは思えん。試武に名を連ねる者の殆どは有力中堅で功名はあるがルテタブルに迫るほどの武芸者ではない。ルテタブルの武芸は百般おしなべて優れてはおるが、郷に比肩するものがおらぬというわけではない。奴とマリール嬢ちゃんの因縁を知らぬ者がこの場に関わりを持つわけもないからオヌシにとってはだまし討同然でも、……なんじゃ、また気合が削れた顔して」
「見事に十重二十重に策をめぐらされた方がいらっしゃると思いまして。最初からこの流れをご老人はご存知でしたね」
「そうなの」
「いくつかオプションがあってのことだと思うが、そうでなければ孫が帰ってきたと娘に知らされたご老人がだよ、船着場に一人伴もなしに平服で佇んでいらっしゃるはずもない。あちらのお城で不調になる可能性を考えての配置だったのさ」
「狩人が他人の思惑を踏んだので不満顔か。他にはどういう動きがあると思ってそう云った」
「この決闘を切り抜けた後はご家来に組み込んでマリールとの婚礼を挙げる、とか」
「重婚じゃない」
「まぁ、そうなんだが、共和国の結婚は各州国に戸籍が預けられている関係で州国ごとに籍を置くような手口で戸籍を増やし、それぞれで結婚する手口があるんだ。財産隠しの手口にも使われている。隣接した別の州の土地の財産として登記したりしてね。財産を男にしか認めていない土地も多いし、その対策で法性別なる法律上の性別を設定している土地もある。税金を収めている女性を男性として権利を認めるというような制度だな。或いは寡婦や未婚女性を法人と結婚させるという制度を布いている土地もある。財産や立場のある女性を守ろうという動きなんだが、すぐ分かる通りややこしい問題もあって、解剖学上女性の男性を大量に作ることになるし、戸籍の性別差し替えに伴う煩雑化や、女同士の結婚とか、旅券手形のない女性の往来を禁ずる土地とか、そもそも女性がいないことにしてしまうとかね」
「国民の往来の妨害って共和国協定違反じゃない」
「まぁ一言で云えばそうなるんだが、その根拠はグレーゾーンだがある。そういうグレーゾーンの更なる抜け道として短期間の結婚とかそういう斡旋とかがあるんだが、抜け道が成立する経緯として、婚姻の管理が杜撰であることや戸籍の確認が事実上ない事などがあって、協定上のグレーゾーンが懸念する州をまたいだ犯罪事件、幾つかの州で結婚して重婚をおこなったり、州をまたがって制度上の保護措置を受けたり財産を隠したり、という事件が起きている。もちろん詐欺事件や搾取にもつながってる。今のところ鉄道の中は一種の治外法権或いはボク個人の邸宅またはデカートの商館の延長という扱いで強弁しているけど問題も多い。事実ボクや会社が共犯者幇助者として扱われる例もないわけではないし、税務上の重点調査をしばしば受けて業務が妨害されたりもしている。鉄道と電話が明らかにした共和国の悪しき風習で法務部やロゼッタが様々整合を着けるべく色々やっているが、そのうち力技が必要になる。法務部の研究によれば共和国協定の中に各州における戸籍の問い合わせと開示に関する協定を加える必要がある、ということになっていて犯罪の追跡や身分経歴資料として必要だっていう動きもある。デカートでは技術的にはやればできる体制が整い始めていて、いずれそういう話を津々浦々まで通してゆくことになる。そう云う中でデカート州の元老たるボクが率先して法を跨ぐのはどうかと思うんだが、踏んではいませんよ、と知らん顔してこちらの州国の籍を重ねることは出来る。ボクはあちこちに土地や資産を持っている関係上名前と戸籍と財産登記の管理は人を使ってかなり丁寧にやらせているが、なかなかのすさまじい状況であるらしい。好ましい状況ではないが、法人格を認めない土地では必要に迫られて戸籍も複数持っている。やりたければ事実上の重婚もできる」
 詐欺や言い訳のスジを説明するマジンをダビアス老は困った顔で眺めた。
「なるほど、大会社の社主というのは信じられる話しぶりよな。少々神経質ではあるが、考え方はわかる。家臣というか、養子にしたらどうかと娘は言い出しておった。……まぁマリールとの婚姻をする気があってのことじゃがな」
「マリールを妾扱いと言って蹴りだすつもりも影に囲って不自由させるつもりもありませんが」
「オヌシとそちらの奥方とのイチャツキぶりには牢の守役があてられる有様だからな。その言葉が信用できるはずもないが、言葉通りであって欲しい。だが、そういうのとはまた別に様式と関係と気分というものがある。頼もしい親族縁者というものは武家ならいつでも欲している。機関小銃や戦車という物品も魅力的だ」
「兵站の苦労はお立場からご存知と思いますが」
「知っている。だから鉄道も欲しい」
「腸を抜かれることになってもですか」
「腸を抜かれることになっても、だ。だが、それはあくまで利害欲求や魅力の一面で物事の順列筋道を通した見解方針での一致というわけではない。決闘の決着次第、そしてさらに後の事次第だ。オヌシの無事がまずはひとつめの前提になる。その上で衆人がどう見るかだ。――段平と拳銃。馴染みの得物はこの辺のもので一揃えかな。この外套は暗器といったが見た目よりだいぶ重たいな。こんなものを着ているのか。金か鉛かなんぞ袖口だけでなく裏地に仕込んでいるな。銃弾よけにはなりそうだが。これで段平を抜き打ったというのか。華奢とも思えんが見た目骨勝ちの割には力もある」
 およそ子供二人分の様々を織り込んだ外套は財布代わりであり、道具箱であり、武器庫でもあった。ウッカリ外套を着たまま馬に乗ると気が付かないままに馬の身を削っていることも多い。
「長竿、と云って刺又と弓が舟にありますが、持っていったほうがいいですか」
「弓、か。アレは土地の色、人々の色が強い得物だけに好きなモノは多い。拳銃は手の大きさと膂力握力でおよその形と威力が定まるので面白みが欠ける。刺又はまぁ流行りではないが使って見せれば喜ぶものも多い。捕物などでは腕の善し悪しがはっきりと出るものだしな。持ち込みの得物はそれぞれの陣屋で衆目に晒すが、異論はないな」
「本当に祭りなんですね」
「まぁ、暗器の類を見せたがらないものもおるし、実際見せずに持ち込むことも多いし、得物を定めない無手勝自在の立会は奇計手妻の類で有耶無耶に決することも多いが、果たし合いでない限りは暗器の類も見せるし暗器の類を牽制以上にわかるように使うこともない。含み針や投げ分銅、裾剃刀のようなものを使うとして見せてわかるような形で仕込んでおっては使うほうが危ないし使いにくい。折れ釘や穴あき金貨或いは軟膏膠の類でも暗器としては十分だしな。そういうわけでおよその暗器も使う使わないにかかわらず晒されることが多い。見せたほうが牽制になることもある。暗器と見せてただの財布襟巻きなどということも当然にある。布一枚紙一切れで人が殺せるのはオヌシも知っての通りだから別段暗器といえないというわけでもないが、その辺は見せ方使い方次第だ。展示に晒したとしてうちの衛士が立ち会う。触る程の物知らずはいない」
 ダビアス老は陣羽織の見立てをしながら、軽い様子で請け負った。
「紙一束で三十の殺しが出来て一人前の武芸者という物語のアレですか。どうもトンチのような屁理屈のような物語のように思えますが」
「なにを読んだか知らんが、十や二十は儂も思いつく。儂の手の者でもそういうのを得意にしている者もいる。いくらでももっとマシな得物があるのは知っているし、正面切っての戦いに向くとも思えんが、そう云う左道の知恵が必要なときもある。オヌシは外のものらしく魔法をバカにしている様子だが、初見であるからには油断するなよ。軍場で使い物になるかはまた別だが、わずかわずかの手妻と知恵に魔法が加わるだけで驚くべき武芸に変わる」
「バカにはしていませんが、魔法というものを日用したことがないので、利便も用途もわからないというところでして」
「……これだから錬金唯物の徒は。いい機会だ。武芸というものがどうあるか学んでゆけ。祭りの座だ。幾人かは見栄えのする芸人代わりを送り込んでいる気の利いた家もあるだろう。負けた後はその後で考えろ。共和国軍の歩兵が着ていた当世作りの甲冑と機関小銃と機関銃に戦車に乗ってきた飛行船とその他様々、オヌシのところにはこちらの興味を惹くモノがいくらもある。鼻薬にと鼻に詰めるには大きすぎるが、手打ちのスジは後で算段するとして、まずはオヌシの男前を見せびらかすのが先だ。無様は晒してくれるなよとは言わんが、我が家の打手名代であることを忘れてはくれるなよ」
 弱り顔のマジンに発破をかけるようにダビアス老は肩をたたいた。
「――ほう。弱気の口の割には気合は入っておるな。結構。参ろうか」
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