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緑虫

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3 若旦那x丁稚からの叩き上げ受け/お江戸BL(2023.6.23)

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とあるお江戸の卸問屋に十の時に丁稚奉公にきた受け。

仕事にも大分慣れた頃、病弱だった母親が死亡した。

薮入りに帰る先がなくなり卸問屋に残っていた受けを見た少し年上の若旦那は、受けを部屋に呼んで火鉢に当たらせる。

引っ込み思案だった若旦那が珍しく受けには自分から話しかけるということで、受けは若旦那の話し相手に抜擢された。

お店者として少しずつしっかりしていく受けをみて、若旦那も頑張るように。

ある日お宮参りに出かけた若旦那と受け。長いこと願い事をしている受けに「何をお願いしたの?」と尋ねると、

「若旦那が立派な主人となれますようにです」

と答える受けに、若旦那は、

「私は受けといられますようにと願った」

と思いを吐露。

若旦那をそういう目で見ていなかった受けだったけど、実は大好きだったことを自覚していく。

二人で出かける度に舟屋に寄り、逢引きをするようになった。

若旦那は、受けを抱く時に意外なほどの執着をみせる。

「受けは一生私だけのものだ! 他の誰にも触れさせはしない!」
「若旦那、嬉しい……っ」

逢引きの度にぐちょぐちょに抱かれる受け。お店の若旦那とこんなことをしていていいのかと理性が言うが、「今だけは若旦那は自分のもの……!」と思うと、止めることができなかった。

勿論、若旦那の言う通り、このまま一生若旦那に仕えたい。だけど、若旦那は跡継ぎでいつかは内儀を迎えることも理解していた。

ひとときの夢だと知っているからこそ、受けは若旦那に溺れていった。

そんなある日、若旦那に縁談が舞い込む。相手は格上の商家の一人娘で、◯◯小町と呼ばれる別嬪さん。

断れる状況じゃないことを理解していた受けは、これ以上若旦那の隣にいない方がいいんだと悟った。

丁度番頭さんが暖簾分けしてもらうことになったので、新しいお店についていくことに。

若旦那は、

「いやだ、縁談なんか断る!」

とごねたけど、若旦那の為だ、と心を鬼にして別れを告げる。

暫くして、若旦那が祝言を挙げたと聞いた受け。自分で選んだことなのに、悲しくて毎晩枕を濡らして過ごしていた。

どうしても忘れられない。だったら忙しくしていれば考えなくて済むと思い、がむしゃらに働くことに。

ある日、若旦那夫婦の間に男児が生まれたと聞く。

やっぱりショックを受けてしまい、噂が耳に届いてしまうここにいたら自分はダメになる、と店を辞めることを決めた。

江戸から離れ、東海道沿いの宿場で働き始めた受け。

ここなら若旦那の話は聞こえてこない。

ようやく穏やかな気持ちになれた受けの前に現れたのは、やつれた様子の若旦那だった。

「探した……!」と受けに抱きつく若旦那。

「どうしてここへ!? 妻子を置いて来てはなりません!」

若旦那を追い返そうとすると、若旦那は「生まれた子は自分の子ではなく、お店乗っ取りを計画した手代と新妻の間にできた子だった」と話した。

「そんなこと、なんでわかるんですか……!」

詭弁だと思って怒る受けに、受け以外には勃たないのだと告白する若旦那。

「だからあり得ない。私が抱いたのは、受け、お前ただ一人だ。これまでも、これから先も」
「若旦那……!」

本来なら、手代たちは不義密通罪で斬り殺されても文句は言えない。それでも殺すのは忍びなかった為、二人は店から追い出され、江戸に二度と戻ってくるなと言い渡されているらしい。尚、子どもは元妻の生家に引き取られたそうだ。

若旦那は主人に訴えた。

「受けとなら、店を盛り立てていけます」と。

未来の主人が男色家など問題だと反対した主人だったが、若旦那は粘り強く説得。最終的に、血縁から養子を取ることで了承を得た。

「で、でも…」

とまだ遠慮する受けに対し、若旦那は、

「受けは元々働き者だったから、主人も皆もいなくなったことを惜しんでいたんだ」

と伝えた。

受けは明るくて気働きがよく、若旦那が執着しまくっていたのも知っていたので、若旦那のやる気が出るなら、と認めた形だ。

「だから頼む、この通りだ。私と共に店に戻り、生涯を共にしてほしい」

 頭を下げる若旦那を見て、受けは号泣する。

「若旦那、寂しかった……!」
「私も苦しかった」

禁欲していた若旦那は、ここぞとばかりに仲直りという名目で受けを抱きまくった。

ヘロヘロになった受けが回復した後、二人は一緒に江戸へ戻る。

約束通り懸命に働いて、大店にした二人。受けは番頭まで上り詰め、元若旦那が隠居する時に一緒に隠居していった。

二人は死ぬその時まで仲睦まじく暮らしましたとさ、というお江戸BL。
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