11 / 71
10・【他者視点】王家の謝罪と第二王子
しおりを挟む
「ザナスリー公爵夫妻……この度は我が息子の愚かな所業によりミズリーシャ嬢に多大なる不名誉と、迷惑をかけてしまった。 心より詫びる。 此度の婚約破棄についてはジャスティの有責と知らしめ、慰謝料ももちろん払わせてもらう。」
「頭をお上げください、国王陛下。」
国王の私的な応接室にて、そう言って頭を下げた国王夫妻は、自分たちの正面に座っていたミズリーシャの父親であるザナスリー公爵当主ベルナルドの言葉に静かに顔を上げた。
目の前には、この国を外交面で支えてくれているザナスリー公爵夫妻が、貴族的な美しい笑顔を浮かべてそこに座っていた。
「そのような口先だけの謝罪は結構ですよ、陛下。 覚えておいでかとは思いますが、我らはこの婚約には強く反対いたしました。 それを陛下が我が子可愛さに出した王命のせいで、泣く泣く婚約者として王家へ愛娘を差し出したわけです。 その王命に従い、愛娘は背負った重責にも負けず日々研鑽し、貴方方の愚かな息子を陰に日向に支え続けた。
しかしまぁ、嘆かわしいことに、色恋にのぼせ上った貴方方の息子のせいで、私達の大切なまな娘は、すでに修道院へと入ってしまった。 最低でも3年、我らは娘に会う事も出来ない。
さぁ陛下、この責任、どうお取りになるおつもりですかな?」
にこやかな笑顔のまま、そう言いのけたベルナルドに、王も王妃も顔を強張らせた。
助けを求めるようにベルナルドの隣に座る公爵夫人ミシュエラに視線をやるも、彼女は笑顔のまま、夫を止めることなく優雅に出された茶を飲んでいる。
(よりにもよって婚約破棄に修道院への追放などと……なんてことをしてくれたんだ、あの馬鹿息子は! ちょっと浮かれているだけだと考えず、もっとしっかり叱りつけて、影を使ってでも管理しておくのだった!)
そう、心の中で叫んでも、すべては後の祭りである。
今は全力で、この公爵夫妻の機嫌を取らなければならないのだ。
王家に仕えるはずの一公爵家の当主で張るベルナルドがここまで強気に出れるのには訳がある。
妻であるミシュエラ・リンジェル・ザナスリーは、ドルディット国の南に位置するローザリア帝国の現皇帝の妹姫で、帝国に長期留学をしていたドルディット国筆頭公爵ザナスリー家嫡男だったベルナルドと恋に落ちた。
公爵家とはいえ、自国より国力の劣る国への皇女の降嫁は、当時大変な問題になった。
兄である皇帝にはすでに息子が1人あったが、1人では心もとないと彼女も皇位後継順位を持っていたからだ。
しかし本人達、特に公女であったミシュエラが『この人以外とは結婚しない』と強く結婚を希望したことと、同時期に皇妃が2人目を出産したことで、ようやくミシュエラは王位継承順位を辞退し、降嫁を許された。
現在、王位後継者は現皇帝の嫡男と次男が1位、2位を有している。 しかし、その後は子に恵まれず、前皇帝より一夫一妻制を貫き側妃も持たなかった皇帝は、皇位継承権を、ミシュエラの実子であるミズリーシャ、アイザックにも与えたのだ。
それを、国が、王家が、見逃すはずがなかった。
王家に帝国の血を入れたい。 いや、もしかしたら王家の血を帝国の皇家に入れられるかもしれない。 そんな打算的な私欲のために、現王はわざわざ王命まで出して第一王子とミズリーシャの婚約を結んだのだ。
しかし今回は仇となった。
一国の王太子ともあろうものが、皇位継承権をもつミズリーシャという婚約者がいるにもかかわらず、不貞の末、彼女に対し夜会もいう公の場で、婚約破棄を宣言し、修道院へ入れた。
こんなことを知った帝国側が、どう手を打ってくるのか……いや、もうすでに婚約破棄を言い渡してから1週間だ。 すでに帝国にもこの話は伝わっているかもしれない。
この話を早馬で聞かされた時から、その使者の到着がいつになるのか、と、王家も、貴族院も、恐れおののいていた。
「それについては、大変に申し訳なく思っている。」
普段であれば頭を下げないはずの国王も王妃も、ただひたすらに頭を下げ、必死に言い訳めいた言葉を続けるが、ただ冷たい目をしてそれを見守るのがミシュエラであり、ベルナルドだ。
「ジャスティには、言って聞かせていたのだ。 何をおいても必ずミズリーシャ嬢を大切にするように、と!」
「私たちはジャスティにも他の子供たちにも、そう言い聞かせて育てていたの……わたくしも、ミズリーシャ嬢が嫁いできてくれるのを本当に楽しみにしていたのよ?」
不出来な息子のしでかしたことの大きさに、国王と王妃はただひたすら謝る。 が。
「ほほぅ。 では、その教育の結果がこれだと言うわけですな。 まぁ、それはそうでしょう。 随分甘やかしてお育てだった様子だ。」
「そんなことはない!」
「おや? そうでしょうか?」
顔を上げて反論した国王に、ベルナルドは深い溜息と呆れた口調で返した。
「6歳で婚約者に決まり、王子妃、王太子妃教育の為に12年もの間、王家に拘束され、さらにこれから3年は修道院から出られないミズリーシャに比べると、先ほどの陛下の采配、さて、いかがでしょうなぁ。 廃嫡となったとはいえ、王籍に残ったまま。 しかも、聖女の2年間の功績によっては望みの爵位が与えられる、でしたか。 いやはや、随分と甘く、気楽なものですなぁ。」
「そ、それは……。」
王家と神殿側との様々な癒着などの事も知り含んだベルナルドの言葉に、国王も王妃も押し黙った。
「まぁまぁ、旦那様。 それ以上は陛下と妃殿下がお可哀想ですわよ。」
それまで静かにお茶を飲んでいたミシュエラが、カップを置いて扇を開いた。
「帝国と違い、この国は聖女様の奇跡によって栄えた部分もあるのです。 どうにかして可愛い息子の恋を成就させてあげたかったのでしょう。 私たちの娘を犠牲にしても。」
それは違う、と、言おうとした国王は、ミシュエラの顔を見て言葉を呑んだ。
元帝国皇女の威厳、とでも言おうか。
これ以上は何も言えない雰囲気を醸し出し微笑む姿にひるんでしまった。
そんな中、扉を叩く音がした。
「今取り込み中だ!」
そう声を荒げてしまった王の耳に届いたのは柔らかな声だった。
「シャルルです。 私も公爵夫妻への謝罪へまいりました。 どうぞ、入室をお許しください。」
失礼します。 と、次の言葉を待たず室内に入って来たのは、現在は他国への留学中で、一時帰国をしていた第二王子シャルルである。
彼は静かに礼を執って室内に入ると、両親である国王王妃へは目もくれず、まっすぐとザナスリー公爵夫妻の前に立ち、そこから静かに膝をつくと、深く、頭を下げた。
「ザナスリー公爵、そして公爵夫人。 この度は愚兄が公爵家の宝石であるミズリーシャ嬢へのあるまじき行為の数々、そして我が王家の対応の不備を心よりお詫び申し上げます。」
その流れるような美しい所作と謝罪に、ベルナルドとミシュエラはそちらに体を向けた。
「シャルル第二王子殿下には、立太子内定のお喜びを申し上げます。 しかし、兄君の事柄に対しての丁寧な謝罪に関しては、今はお受けするわけにはいきません。」
「存じております。 それを承知のうえで、わが両親と兄、ひいては王家として、心からの謝罪をさせていただきたいと考え、こちらに参じました。」
静かに顔を上げたシャルルは、流れる金の髪をそのままに、青い瞳で一度公爵夫妻を見、もう一度、頭を下げた。
「また、このような場でこのようなことを申し上げるのは大変に非常識かと存じますが、どうか公爵夫妻へ私よりお願いがございます。 私は現在留学中の身ではございますが、2年後に決まりました立太子が叶いました暁には、王家の膿を出し切り、ザナスリー公爵に認めてもらえるように努めると必ずやお約束いたしますゆえ、今から3年後の、ミズリーシャ嬢の修道院からの還俗が整われたところで、私との婚約をお許しください。」
「「なっ!? シャルル!?」」
「ほぅ。」
驚愕の面持ちで息子を見る国王王妃とは別に、面白いものを見た、とでもいった様に公爵夫妻は静かに彼を見た。
「頭をお上げください、国王陛下。」
国王の私的な応接室にて、そう言って頭を下げた国王夫妻は、自分たちの正面に座っていたミズリーシャの父親であるザナスリー公爵当主ベルナルドの言葉に静かに顔を上げた。
目の前には、この国を外交面で支えてくれているザナスリー公爵夫妻が、貴族的な美しい笑顔を浮かべてそこに座っていた。
「そのような口先だけの謝罪は結構ですよ、陛下。 覚えておいでかとは思いますが、我らはこの婚約には強く反対いたしました。 それを陛下が我が子可愛さに出した王命のせいで、泣く泣く婚約者として王家へ愛娘を差し出したわけです。 その王命に従い、愛娘は背負った重責にも負けず日々研鑽し、貴方方の愚かな息子を陰に日向に支え続けた。
しかしまぁ、嘆かわしいことに、色恋にのぼせ上った貴方方の息子のせいで、私達の大切なまな娘は、すでに修道院へと入ってしまった。 最低でも3年、我らは娘に会う事も出来ない。
さぁ陛下、この責任、どうお取りになるおつもりですかな?」
にこやかな笑顔のまま、そう言いのけたベルナルドに、王も王妃も顔を強張らせた。
助けを求めるようにベルナルドの隣に座る公爵夫人ミシュエラに視線をやるも、彼女は笑顔のまま、夫を止めることなく優雅に出された茶を飲んでいる。
(よりにもよって婚約破棄に修道院への追放などと……なんてことをしてくれたんだ、あの馬鹿息子は! ちょっと浮かれているだけだと考えず、もっとしっかり叱りつけて、影を使ってでも管理しておくのだった!)
そう、心の中で叫んでも、すべては後の祭りである。
今は全力で、この公爵夫妻の機嫌を取らなければならないのだ。
王家に仕えるはずの一公爵家の当主で張るベルナルドがここまで強気に出れるのには訳がある。
妻であるミシュエラ・リンジェル・ザナスリーは、ドルディット国の南に位置するローザリア帝国の現皇帝の妹姫で、帝国に長期留学をしていたドルディット国筆頭公爵ザナスリー家嫡男だったベルナルドと恋に落ちた。
公爵家とはいえ、自国より国力の劣る国への皇女の降嫁は、当時大変な問題になった。
兄である皇帝にはすでに息子が1人あったが、1人では心もとないと彼女も皇位後継順位を持っていたからだ。
しかし本人達、特に公女であったミシュエラが『この人以外とは結婚しない』と強く結婚を希望したことと、同時期に皇妃が2人目を出産したことで、ようやくミシュエラは王位継承順位を辞退し、降嫁を許された。
現在、王位後継者は現皇帝の嫡男と次男が1位、2位を有している。 しかし、その後は子に恵まれず、前皇帝より一夫一妻制を貫き側妃も持たなかった皇帝は、皇位継承権を、ミシュエラの実子であるミズリーシャ、アイザックにも与えたのだ。
それを、国が、王家が、見逃すはずがなかった。
王家に帝国の血を入れたい。 いや、もしかしたら王家の血を帝国の皇家に入れられるかもしれない。 そんな打算的な私欲のために、現王はわざわざ王命まで出して第一王子とミズリーシャの婚約を結んだのだ。
しかし今回は仇となった。
一国の王太子ともあろうものが、皇位継承権をもつミズリーシャという婚約者がいるにもかかわらず、不貞の末、彼女に対し夜会もいう公の場で、婚約破棄を宣言し、修道院へ入れた。
こんなことを知った帝国側が、どう手を打ってくるのか……いや、もうすでに婚約破棄を言い渡してから1週間だ。 すでに帝国にもこの話は伝わっているかもしれない。
この話を早馬で聞かされた時から、その使者の到着がいつになるのか、と、王家も、貴族院も、恐れおののいていた。
「それについては、大変に申し訳なく思っている。」
普段であれば頭を下げないはずの国王も王妃も、ただひたすらに頭を下げ、必死に言い訳めいた言葉を続けるが、ただ冷たい目をしてそれを見守るのがミシュエラであり、ベルナルドだ。
「ジャスティには、言って聞かせていたのだ。 何をおいても必ずミズリーシャ嬢を大切にするように、と!」
「私たちはジャスティにも他の子供たちにも、そう言い聞かせて育てていたの……わたくしも、ミズリーシャ嬢が嫁いできてくれるのを本当に楽しみにしていたのよ?」
不出来な息子のしでかしたことの大きさに、国王と王妃はただひたすら謝る。 が。
「ほほぅ。 では、その教育の結果がこれだと言うわけですな。 まぁ、それはそうでしょう。 随分甘やかしてお育てだった様子だ。」
「そんなことはない!」
「おや? そうでしょうか?」
顔を上げて反論した国王に、ベルナルドは深い溜息と呆れた口調で返した。
「6歳で婚約者に決まり、王子妃、王太子妃教育の為に12年もの間、王家に拘束され、さらにこれから3年は修道院から出られないミズリーシャに比べると、先ほどの陛下の采配、さて、いかがでしょうなぁ。 廃嫡となったとはいえ、王籍に残ったまま。 しかも、聖女の2年間の功績によっては望みの爵位が与えられる、でしたか。 いやはや、随分と甘く、気楽なものですなぁ。」
「そ、それは……。」
王家と神殿側との様々な癒着などの事も知り含んだベルナルドの言葉に、国王も王妃も押し黙った。
「まぁまぁ、旦那様。 それ以上は陛下と妃殿下がお可哀想ですわよ。」
それまで静かにお茶を飲んでいたミシュエラが、カップを置いて扇を開いた。
「帝国と違い、この国は聖女様の奇跡によって栄えた部分もあるのです。 どうにかして可愛い息子の恋を成就させてあげたかったのでしょう。 私たちの娘を犠牲にしても。」
それは違う、と、言おうとした国王は、ミシュエラの顔を見て言葉を呑んだ。
元帝国皇女の威厳、とでも言おうか。
これ以上は何も言えない雰囲気を醸し出し微笑む姿にひるんでしまった。
そんな中、扉を叩く音がした。
「今取り込み中だ!」
そう声を荒げてしまった王の耳に届いたのは柔らかな声だった。
「シャルルです。 私も公爵夫妻への謝罪へまいりました。 どうぞ、入室をお許しください。」
失礼します。 と、次の言葉を待たず室内に入って来たのは、現在は他国への留学中で、一時帰国をしていた第二王子シャルルである。
彼は静かに礼を執って室内に入ると、両親である国王王妃へは目もくれず、まっすぐとザナスリー公爵夫妻の前に立ち、そこから静かに膝をつくと、深く、頭を下げた。
「ザナスリー公爵、そして公爵夫人。 この度は愚兄が公爵家の宝石であるミズリーシャ嬢へのあるまじき行為の数々、そして我が王家の対応の不備を心よりお詫び申し上げます。」
その流れるような美しい所作と謝罪に、ベルナルドとミシュエラはそちらに体を向けた。
「シャルル第二王子殿下には、立太子内定のお喜びを申し上げます。 しかし、兄君の事柄に対しての丁寧な謝罪に関しては、今はお受けするわけにはいきません。」
「存じております。 それを承知のうえで、わが両親と兄、ひいては王家として、心からの謝罪をさせていただきたいと考え、こちらに参じました。」
静かに顔を上げたシャルルは、流れる金の髪をそのままに、青い瞳で一度公爵夫妻を見、もう一度、頭を下げた。
「また、このような場でこのようなことを申し上げるのは大変に非常識かと存じますが、どうか公爵夫妻へ私よりお願いがございます。 私は現在留学中の身ではございますが、2年後に決まりました立太子が叶いました暁には、王家の膿を出し切り、ザナスリー公爵に認めてもらえるように努めると必ずやお約束いたしますゆえ、今から3年後の、ミズリーシャ嬢の修道院からの還俗が整われたところで、私との婚約をお許しください。」
「「なっ!? シャルル!?」」
「ほぅ。」
驚愕の面持ちで息子を見る国王王妃とは別に、面白いものを見た、とでもいった様に公爵夫妻は静かに彼を見た。
58
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる