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59・【他者視線】建国記念及び新立太子の儀式 控えの間
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ポーン。
ポ・ポーン。
と、七色の花火は王宮の敷地内にある神殿から上げられた。
この国では、祭事が行われる日には黄色の花火があげられるのが一般的であるが、今年は立太子という大きな祭典が重なったことで、祝祭日となり、教会から上げられる花火は七色になった。
これがあげられると、王都ではいたるところで炊き出しが始まり、下賜品として食料品や記念品が騎士団によって配られ、重犯罪者以外は恩赦が与えられることになっている。
したがって、本来であれば、王都は歓喜の声であふれるのが通常である。
現に数年前に行われた、第一王子殿下の正式な立太子の重なった建国記念の式典ではそうだったのだ。
しかし、国民は首を傾げた。
何かがおかしいと、皆、声を潜める。
「なぁ、おい。 静かすぎやしないか?」
炊き出しに並ぶボロボロの身なりの男がポツリとつぶやいた言葉に、そこにいた皆が天を仰いだ。
「そういえば。」
昨年まで、建国記念の式典の日には、王都中にある教会の鐘楼につるされた祝福の鐘が、花火に合わせて鳴らされていた。
しかし、無人となった王都内の教会ではそれが鳴らされることがなく、また、疲弊した王都民は歓声も上げられなかった。
王宮へ進む馬車の音と、炊き出しに並ぶ人を整理する兵士の声。
そこに、神殿から上げられる乾いた花火の音だけが、泣き出しそうな鉛色の空に包まれた王都にむなしく響いていた。
王宮の中でも最も南に位置する、各国の要人、国内の貴族を集めて式典、祭典を行うための貴賓殿の奥にある王族控室に到着した第一王女エルフィナは、祭典の際の王族の正装である蒼白の地に金の糸で刺繍が施された衣装に身をつつみ、衣装よりも青白い顔をして俯き、ソファに座る弟・シャルルの方を見た。
彼らの他に部屋の中には祭典衣装を身に着けた従者や侍女が数名のみ。 今日の式典は、年若い第二王女は欠席が決定されているため、ここにはいない。
「シャルル。 浮かない顔ね、大切な式典の前なのよ、しっかりなさい。」
「姉上。」
名を呼ばれ、顔を上げて声の主を見つけたシャルルは、やや緊張した面持ちで、エルフィナを見る。
室内を見回し、まだ父と母が来ていない事に安堵したエルフィナは、立ち上がったシャルルの元へ歩み寄った。
「シャルル。 我が国に新王太子が立たれましたこと、心よりお祝い申し上げます。 ……貴方の事は、これからも姉として、あなたを支えていくことを誓うわ。」
部屋の端に立ち、自分たちを静かに監視している使用人たちに聞こえるように、わざと少し大きめに声を上げカーテシーを取った姉に、シャルルも静かに礼を取る。
「ありがとうございます、姉上。 身に余る光栄です。」
頭を上げたエルフィナは、静かにシャルルを抱き締めた。
「わぁ、姉上! もう、恥ずかしいですよ。」
「あら、昔はこうすると喜んでいたのに。 シャルルったら、可愛らしい。 立派になったわ。」
姉が嬉しそうに弟を抱き締め祝福し、照れ隠しに笑いながらも突き放せない弟。
そんな微笑ましい姉弟の姿を使用人たちは表面上はとても穏やかに視ている。
『――首尾は?』
『大丈夫です。 先ほど無事に王太子宮に入られました。』
二人の間にしか聞こえないそんな会話がなされているとは誰も気が付かない。
「まぁまぁ、何ですか? 二人そろって。 相変わらず仲の良いこと。 唯一の憂いも去った今、これならば私達は将来安泰ですね。」
そんな声と共に控室に入ってきたのは、同じく王族の正装である蒼白の地に金糸の刺繍をされたドレスを身に着け、頭には燦然と輝く国母のティアラを付けた王妃だった。
二人は離れ、ゆっくり頭を下げた。
「今日、この善き日を迎えられたこと、心から安堵しました。 立派になったわね、シャルル。 王太子として、しっかりこの国をよろしくね。」
「ありがとうございます、母上。」
すっと頭を下げたシャルルを満足そうに見つめた王妃は、その斜め後ろで頭を下げるエルフィナを見た。
「エルフィナもよ。 姉なのだから良く支えて頂戴ね。」
「かしこまりました、お母様。」
「皆、集まっているのか。」
静かに答え、2人が顔を上げたところに入ってきたのは、最礼装を身に纏い、国王としての冠をその頭上に携えた父親だった。
「シャルル。 私の言いつけを守り、無事立太子を果たせたな。 褒めてやろう。」
「父上。」
品位なく、どかどかと足音を立てて室内に入り、用意された豪奢な国王のためのソファに腰を下ろした父親に、シャルルは頭を下げた。
「そう硬くなるな。 お前の立太子なのだ。 儀式の後のお披露目と祝賀の会では、挨拶に来るザナスリー公爵をしっかりと捕まえるのだぞ。 一年後に修道院から出る予定のミズリーシャ嬢を、と、強く願い出るのだ。 あの狸め、宰相をやめ2年も領地へ引きこもりおって。 アイツを引きずり出すために、此度の立太子の式典は我が国の全貴族へ参加を強制しておいたのだ。 これで逃げも隠れも出来んだろう。 いいな。 必ずミズリーシャ嬢を私にくれと言い、公爵に頷かせるのだぞ。 これは命令だ。」
静かに頭を下げたシャルルの姿に、『肯定した』と受け取った国王は、満足げに何度も頷きながら笑うと、シャルルの隣で頭を下げるエルフィナを見た。
「エルフィナ、お前からも公爵に頼むのだぞ。 それから、そろそろ宰相に戻り、この国の外交を助けるようにと言って聞かせ、必ず承諾させろ。 あれが抜けてから国庫にある金の目減りが著しい。 税を上げているが焼け石に水程度だ。 いいか、お前は『無能な自分だけでは力及ばずだから助けてほしい』と、皆の前で奴に懇願するのだ。 王女であるお前が泣き落としでもすれば、周りの目もある。 石頭のアイツでも了承するだろう。 いいな、わかったな。」
「かしこまりました、お父様。」
すっと頭を下げエルフィナに、ふん、と鼻を鳴らして笑う。
「お前もようやく親に口答えすることなく素直になったな。 女はその方が良い。 成長を好ましく思うぞ! アイザックが帝国の公爵令嬢と婚約してしまったのは残念だったが、まぁいい。 そうだ、今日は近隣諸国の王子たちも来るのだったな。 隣国の第二王子はまだ婚約者がいないときく。 公爵の件が終わったら、是が非でもそれを捕まえよ。 この際、既成事実を作ってもかまわん。 これは命令だ。 我が国の益を考えて動くのだ。 わかったな。」
穏やかに笑ったエルフィナに、良し、と頷いた国王は、満足げに笑うとぽん! と膝置きを叩き、笑った。
「あの役立たずの馬鹿2人がろくでもないことをしでかしてくれた時にはどうなる事かと思ったが、それももういない。 この後病死したと発表する予定であるし、シャルルは立太子し、エルフィナは隣国へ嫁ぐ。 後はフィリアナだけだが、あれは隣国にいる、鉱山持ちで、若い娘を特に好むと有名な侯爵に、後妻として嫁がせればいいだろう。 そうすれば多額の結納金も手に入る。 うむ、これで我が国は安泰だな。」
品なく大きな声で笑う父親に、母親は穏やかな笑顔で添う。
キシッ
何かが軋む音が僅かに聞こえたが、2人以外はそれに誰も気づかぬまま、式典を管理する文官が現れた。
「儀式の間への、入場のお時間でございます。」
「では、お先に失礼いたします。」
優雅にカーテシーを取って文官の後を歩くエルフィナは、静かに唇を噛んで控室を後にした。
ポ・ポーン。
と、七色の花火は王宮の敷地内にある神殿から上げられた。
この国では、祭事が行われる日には黄色の花火があげられるのが一般的であるが、今年は立太子という大きな祭典が重なったことで、祝祭日となり、教会から上げられる花火は七色になった。
これがあげられると、王都ではいたるところで炊き出しが始まり、下賜品として食料品や記念品が騎士団によって配られ、重犯罪者以外は恩赦が与えられることになっている。
したがって、本来であれば、王都は歓喜の声であふれるのが通常である。
現に数年前に行われた、第一王子殿下の正式な立太子の重なった建国記念の式典ではそうだったのだ。
しかし、国民は首を傾げた。
何かがおかしいと、皆、声を潜める。
「なぁ、おい。 静かすぎやしないか?」
炊き出しに並ぶボロボロの身なりの男がポツリとつぶやいた言葉に、そこにいた皆が天を仰いだ。
「そういえば。」
昨年まで、建国記念の式典の日には、王都中にある教会の鐘楼につるされた祝福の鐘が、花火に合わせて鳴らされていた。
しかし、無人となった王都内の教会ではそれが鳴らされることがなく、また、疲弊した王都民は歓声も上げられなかった。
王宮へ進む馬車の音と、炊き出しに並ぶ人を整理する兵士の声。
そこに、神殿から上げられる乾いた花火の音だけが、泣き出しそうな鉛色の空に包まれた王都にむなしく響いていた。
王宮の中でも最も南に位置する、各国の要人、国内の貴族を集めて式典、祭典を行うための貴賓殿の奥にある王族控室に到着した第一王女エルフィナは、祭典の際の王族の正装である蒼白の地に金の糸で刺繍が施された衣装に身をつつみ、衣装よりも青白い顔をして俯き、ソファに座る弟・シャルルの方を見た。
彼らの他に部屋の中には祭典衣装を身に着けた従者や侍女が数名のみ。 今日の式典は、年若い第二王女は欠席が決定されているため、ここにはいない。
「シャルル。 浮かない顔ね、大切な式典の前なのよ、しっかりなさい。」
「姉上。」
名を呼ばれ、顔を上げて声の主を見つけたシャルルは、やや緊張した面持ちで、エルフィナを見る。
室内を見回し、まだ父と母が来ていない事に安堵したエルフィナは、立ち上がったシャルルの元へ歩み寄った。
「シャルル。 我が国に新王太子が立たれましたこと、心よりお祝い申し上げます。 ……貴方の事は、これからも姉として、あなたを支えていくことを誓うわ。」
部屋の端に立ち、自分たちを静かに監視している使用人たちに聞こえるように、わざと少し大きめに声を上げカーテシーを取った姉に、シャルルも静かに礼を取る。
「ありがとうございます、姉上。 身に余る光栄です。」
頭を上げたエルフィナは、静かにシャルルを抱き締めた。
「わぁ、姉上! もう、恥ずかしいですよ。」
「あら、昔はこうすると喜んでいたのに。 シャルルったら、可愛らしい。 立派になったわ。」
姉が嬉しそうに弟を抱き締め祝福し、照れ隠しに笑いながらも突き放せない弟。
そんな微笑ましい姉弟の姿を使用人たちは表面上はとても穏やかに視ている。
『――首尾は?』
『大丈夫です。 先ほど無事に王太子宮に入られました。』
二人の間にしか聞こえないそんな会話がなされているとは誰も気が付かない。
「まぁまぁ、何ですか? 二人そろって。 相変わらず仲の良いこと。 唯一の憂いも去った今、これならば私達は将来安泰ですね。」
そんな声と共に控室に入ってきたのは、同じく王族の正装である蒼白の地に金糸の刺繍をされたドレスを身に着け、頭には燦然と輝く国母のティアラを付けた王妃だった。
二人は離れ、ゆっくり頭を下げた。
「今日、この善き日を迎えられたこと、心から安堵しました。 立派になったわね、シャルル。 王太子として、しっかりこの国をよろしくね。」
「ありがとうございます、母上。」
すっと頭を下げたシャルルを満足そうに見つめた王妃は、その斜め後ろで頭を下げるエルフィナを見た。
「エルフィナもよ。 姉なのだから良く支えて頂戴ね。」
「かしこまりました、お母様。」
「皆、集まっているのか。」
静かに答え、2人が顔を上げたところに入ってきたのは、最礼装を身に纏い、国王としての冠をその頭上に携えた父親だった。
「シャルル。 私の言いつけを守り、無事立太子を果たせたな。 褒めてやろう。」
「父上。」
品位なく、どかどかと足音を立てて室内に入り、用意された豪奢な国王のためのソファに腰を下ろした父親に、シャルルは頭を下げた。
「そう硬くなるな。 お前の立太子なのだ。 儀式の後のお披露目と祝賀の会では、挨拶に来るザナスリー公爵をしっかりと捕まえるのだぞ。 一年後に修道院から出る予定のミズリーシャ嬢を、と、強く願い出るのだ。 あの狸め、宰相をやめ2年も領地へ引きこもりおって。 アイツを引きずり出すために、此度の立太子の式典は我が国の全貴族へ参加を強制しておいたのだ。 これで逃げも隠れも出来んだろう。 いいな。 必ずミズリーシャ嬢を私にくれと言い、公爵に頷かせるのだぞ。 これは命令だ。」
静かに頭を下げたシャルルの姿に、『肯定した』と受け取った国王は、満足げに何度も頷きながら笑うと、シャルルの隣で頭を下げるエルフィナを見た。
「エルフィナ、お前からも公爵に頼むのだぞ。 それから、そろそろ宰相に戻り、この国の外交を助けるようにと言って聞かせ、必ず承諾させろ。 あれが抜けてから国庫にある金の目減りが著しい。 税を上げているが焼け石に水程度だ。 いいか、お前は『無能な自分だけでは力及ばずだから助けてほしい』と、皆の前で奴に懇願するのだ。 王女であるお前が泣き落としでもすれば、周りの目もある。 石頭のアイツでも了承するだろう。 いいな、わかったな。」
「かしこまりました、お父様。」
すっと頭を下げエルフィナに、ふん、と鼻を鳴らして笑う。
「お前もようやく親に口答えすることなく素直になったな。 女はその方が良い。 成長を好ましく思うぞ! アイザックが帝国の公爵令嬢と婚約してしまったのは残念だったが、まぁいい。 そうだ、今日は近隣諸国の王子たちも来るのだったな。 隣国の第二王子はまだ婚約者がいないときく。 公爵の件が終わったら、是が非でもそれを捕まえよ。 この際、既成事実を作ってもかまわん。 これは命令だ。 我が国の益を考えて動くのだ。 わかったな。」
穏やかに笑ったエルフィナに、良し、と頷いた国王は、満足げに笑うとぽん! と膝置きを叩き、笑った。
「あの役立たずの馬鹿2人がろくでもないことをしでかしてくれた時にはどうなる事かと思ったが、それももういない。 この後病死したと発表する予定であるし、シャルルは立太子し、エルフィナは隣国へ嫁ぐ。 後はフィリアナだけだが、あれは隣国にいる、鉱山持ちで、若い娘を特に好むと有名な侯爵に、後妻として嫁がせればいいだろう。 そうすれば多額の結納金も手に入る。 うむ、これで我が国は安泰だな。」
品なく大きな声で笑う父親に、母親は穏やかな笑顔で添う。
キシッ
何かが軋む音が僅かに聞こえたが、2人以外はそれに誰も気づかぬまま、式典を管理する文官が現れた。
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「では、お先に失礼いたします。」
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