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狸と狐のピーチとオレンジのキャンディ
ファジーネーブル〖2〗改
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声をかけられた所が周囲から目立たない所だったことが救いだった。手渡された肉まんに罪はない。
罪なのはお腹が減ってる私に肉まんを差し出してしまうあなたよ、木津根くん。パクッと食べると秋を感じ自然と私は目を細めてしまう。急いで食べよう。
自分よりスラリとしたイケメン木津音くん。女子に大層人気がある。こういう人とは仲良くしない方に限る。やっと、自分のクラスの立ち位置を見つけた。
《勉強はできるけど、ぽっちゃりした、いじられ担当の引き立て役の脇役》
キラキラ系男子、木津音くんと仲が良かったら女子は敵に周り、男子は質の悪い、からかいにまわる。
早く立ち去りたい。お礼をいって消えたい、走り去りたい。
「立貫さん、いつも難しい本読んで、静かで、格好いいよね。すごく知的で」
笑ってしまう。格好いい?馬鹿なの?クラスメイトの、度が過ぎた、からかいにNOとも言えずに、薄ら笑いを浮かべて、良く解らないふり。
その私の最後のバリケードが本なのに。拙い懸命な褒め言葉ありがとう。
私みたいな、誰かに恋する資格もないような女子に対するイケメン男子の紳士的な残酷さ。でもここで嫌そうに下を向くのは、クラスでの私の陽気な鈍いキャラじゃない。
「わー!ありがと。肉まん大好き!でも、私自身が肉まんみたいだからー!ウケるー!」
困った表情の綺麗な顔。踏みつけてやりたくなる。ほら、笑いなよ。
笑わないなら真実を突きつけられた困った苦い半笑いをしなよ。
こっちが身を削って笑いたくもないのに笑ってんだから!
私の心は傷だらけ。
誰かを呼んでる。泣きながら呼んでいるのに。
『助けて』
って誰かを。誰もいないのに。
罪なのはお腹が減ってる私に肉まんを差し出してしまうあなたよ、木津根くん。パクッと食べると秋を感じ自然と私は目を細めてしまう。急いで食べよう。
自分よりスラリとしたイケメン木津音くん。女子に大層人気がある。こういう人とは仲良くしない方に限る。やっと、自分のクラスの立ち位置を見つけた。
《勉強はできるけど、ぽっちゃりした、いじられ担当の引き立て役の脇役》
キラキラ系男子、木津音くんと仲が良かったら女子は敵に周り、男子は質の悪い、からかいにまわる。
早く立ち去りたい。お礼をいって消えたい、走り去りたい。
「立貫さん、いつも難しい本読んで、静かで、格好いいよね。すごく知的で」
笑ってしまう。格好いい?馬鹿なの?クラスメイトの、度が過ぎた、からかいにNOとも言えずに、薄ら笑いを浮かべて、良く解らないふり。
その私の最後のバリケードが本なのに。拙い懸命な褒め言葉ありがとう。
私みたいな、誰かに恋する資格もないような女子に対するイケメン男子の紳士的な残酷さ。でもここで嫌そうに下を向くのは、クラスでの私の陽気な鈍いキャラじゃない。
「わー!ありがと。肉まん大好き!でも、私自身が肉まんみたいだからー!ウケるー!」
困った表情の綺麗な顔。踏みつけてやりたくなる。ほら、笑いなよ。
笑わないなら真実を突きつけられた困った苦い半笑いをしなよ。
こっちが身を削って笑いたくもないのに笑ってんだから!
私の心は傷だらけ。
誰かを呼んでる。泣きながら呼んでいるのに。
『助けて』
って誰かを。誰もいないのに。
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