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狸と狐のピーチとオレンジのキャンディ
ファジーネーブル〖8〗
しおりを挟むまあ、そうだよね。シャーペンの芯くれたり、席替えで隣になったのも、全部グループ絡みで仕組まれたこと。
木津音くんは教科書忘れの常習犯って設定で『見せて』って笑ってた。ぎこちなく、あたふたして舞い上がるような私を、クラスのヒエラルキーの上のグループと馬鹿にして楽しんでいたってことだ。
木津根は立貫になんて本気になるはずがないのに、と。
私はいつの間にか木津音くんの頼みごとを断れなくなっていた。他にも、たくさん、たくさん、あの笑顔に騙されてきたんだな………。
でも私みたいな、こんな女子でも夢を見てしまうものだ。『もしも』なんか、ないのに。私は『もしも』を想って浮かれてた。
木津音くんが、私を好きなら──何も知らなかったあの頃なら嬉しかっただろうな。そして今日、騙されていたことを知って、過去のパンドラの箱も空いて、たくさん、たくさん泣いて、学校辞めて巫女になって、山神さまに嫁いだかもしれない。
あと、男子って綺麗な女の子には絶対しない。こんなからかう趣味の悪いゲーム。告白どっきり。必ず企画はカースト上位の女子。私がいくら本気で怒ったとしても、
「あんたみたいな奴に誰が本気で木津根くんが『好きです』て言うと思った?」
綺麗な顔に嘲笑を浮かべ、私を見下し平気な顔をして言い笑う。なんて、残酷なゲームなんだろう。標的になるのは、怒らせても傷つかないと思われてるヘラヘラ振る舞う私のような女子。
勉強は人並みに努力して上の上。でも、今回の中間で、五教科を木津音くんに全部負けて、学年二位になった。
運動は下の上。どんくさいっていわれる。外見は木津音くんに、朝のニュース番組に出てたちょっとふっくらした色白の可愛いアナウンサーに似ていると言われて嬉しかった。きっとお世辞なのだろうけれど、やはり嬉しい。
私は視力が弱いし、立貫家は結婚しないと化粧禁止なので自分の顔なんてよく知らない。今はそんなことどうでもいい。
ただ思うのは、馬鹿にされたくないくらい綺麗になりたかった。綺麗に、なりたかったなあ。
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