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〖第18話〗オレを覚えていてくれて、ありがとう
しおりを挟む直垂姿の木常に、手を掴まれ胸に触れさせられる。僅かなやわらかな膨らみがあった。オレは顔が沸騰するほど熱くなる。
「おなごが、こんなことをしては、いけないっ!」
そう言い放って、オレは木常の手を振り払って、顔を真っ赤にした。木常はオレに飛び付くように抱きついた。それから身体を離し、二人でと顔を見合わせ笑った。
一頻り笑うと、気が緩み、オレは木常の肩を借りて泣いた。大声で泣いた。木常が、抱きしめて背中を撫でてくれた。その手が温かで、柔らかで、いい香りがして、益々、涙を誘った。
「誰も……誰もいなくなっちまうと思った……この術は記憶のサイコロを振り出しに戻す禁術だから……最初からやり直し。記憶をなかったことにする。オレだけいなかったことにする……カナエちゃんと、もうやり直す気はないけれど……。流石の神の眷属には効かなかったか。木常。有難う、木常。オレを覚えていてくれて有難う」
オレは木常をぎゅっと抱きしめた。
「ごめん、暫くこうさせてくれ。甘えて、最低なのは解ってる。お前の気持ち踏みにじってるの解ってるんだ。もうここには来ないから」
「……来なよ。ううん、此処にいてよ。私も巫女さんをやってお守りを売る。カナエちゃんが辞めたら、私は巫女さんで、あなたは神職でお守りを売るの。田貫、あなたがあの子の視線を追いかけたように、私もあなたの視線の先を追いかけた。田貫。狸さん、太白……。私は、あなたが好きだったよ。ずっと好きだった。本当に、苦しかったんだよ……。田貫。自分だけがつらかったと、つらい片想いだった何て思わないで欲しいの。私も、つらかったのよ」
木常の衣から焚き染めた香と甘い木常の匂いが混じる。
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