指先だけでも触れたかった─タヌキの片恋─〖完結〗

カシューナッツ

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〖最終話〗本当の初恋のおわり

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「カナエちゃん!」

 倒れないよう、しっかりと、カナエちゃんの手を握る。そう言えばカナエちゃんに触れるなんて初めてだった。今のオレには、色々な、あげられるものができたけど、オレは今までの感謝の代わりに沢山の『陽の気』を分けた。

「またいらしてください。夏は冷たい甘酒も出しますので」

 オレは泣きそうになった。声が潤むのを隠してニッコリ笑った。不思議そうにカナエちゃんはオレを見る。オレは音もなく大粒の涙を流していた。オレの初恋。祭神様の言った通りだ。ああ、やっと終わったんだ。

「木常、ありがとう」

「お疲れ様。今日は甘酒でも飲もうか。まだ冷えるから暖かい奴。作ってあげる。勿論生姜入りのな。なあ、田貫」

「ん?」

「今までも、これからも、太白が好きだよ。ずっとずっと、傍にいて」

**********
                                                       
………カナエちゃんはヒトのカタチも取れなくなるくらい、クルマにはねられた傷の回復に妖力を使い果たした汚れた雑巾みたいなオレをやさしく洗った後、ご飯をくれて、ドライヤーをかけながら言った。

「君みたいな子は初めて見るよ。綺麗なタヌキさんだね。最初ハクビシンかと思った。ドライヤー暖かくて好き?栄養状態は悪いけど、怪我もないね。先生の所へ行ったら元気になるよ。私はまだ獣医でも、ヒヨコなの。危ないから人里には来ちゃいけないよ?君は毛が真っ白なんだね。すごく綺麗ね。狸の王子様なのかな?元気になるんだよ。神社の守り神になって欲しいけどな。なんてね。お稲荷さん。お狐さま一体じゃ、なんだか寂しそうだから────」
 
                                                                                 





◇◆おわり◆◇
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