僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】

カシューナッツ

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ずっと待ってる『第17話』──①

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  出された茶を、手に取る。温くなり、飲み頃だ。

「邪な気持ちを抱いたと言ったな?」

    カッと顔が赤くなるのを感じた。あのときを思い出す。綺麗な顔、白い肌、『そうにいちゃん』と甘い声を出す赤い唇。恥ずかしく、小さく頷き縮こまる。

「自制心が強く、術の力の下地があり、聡明なお前すら、魅せられる。その姿を見ただけで。しかも、山神さまと空様は同じ術を使う。癒しの術だ。その力を悪用しようと……汚い虫が群がるのは一目瞭然じゃ。だから華乃様は空様を守るために『わざと』根も葉もない話を広めるよう頼み、自ら村八分になった。空様には可哀想だが、空様を守るにはそれしか道はない。空様は術は使うがひとなのだ。術は術者を殺すのよ。空様は神ではない。永遠の力は、ないのだ。心の優しい空様は人のために自らを犠牲にする。癒しの術で生命を削り、人を救う。待つのは、気を使い果たしての衰弱による死だ。空さまは、困った者を切り捨てる非情さを持てぬ。後は狛井家で世話をするか、獅子尾家で世話をするか……どちらも空様は肩身が狭い思いをするだろう。最善は神官じゃ。それから、あと一ヶ月経ったらお前の記憶を消す。まあ、空様との蜜月を楽しめ」

「どうしてですか!何で、嫌です忘れたくない!空を忘れたくない!」

「周りを見ろ!うつけが!空様の息苦しさも解らんのか!お前以外は空様の悪口三昧。『穢れた巫女の子』として空様は生きてきた。華乃様の遺言状にもあったように、空様が神官になるまで、これからずっとだ。秘密を知ったものは暗示をかける。空様が神官になった際は全てを明かすがな。空様の暮らしは、密かにお前の父に命じ、生活に困らないようにするから安心せよ。悪いようにはしない。宿命だとはいえ狛井家のこの環境は空様にはあまりに憐れだ………諦めなさい。この家は見目だけ美しい金魚鉢よ。空様を、水に返してやりなさい、蒼」

  
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