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神降り〖第37話〗──①
しおりを挟む「生意気な忌み子が!穢れた巫女を『穢れた』と言って何が悪い!だからお前もろくに術が使えんのだ。何処の馬の骨とも解らぬものと交わり、忌み子をなして、この村に住み着くとは。まるでダニのようなものだな。ああ痒い痒い。誰ぞ、部屋を浄めぬか」
「お母さんに、謝って!お父さんにも謝ってよ!蒼様にも!」
空は泣きながら怒鳴った。ここまで感情をあらわにする空を見たのは五年前のあの日以来だ。晴れ渡っていた空にゴロゴロと雷の音が聴こえ始めた。
「叔父上が俄に信じられない気持ちは解ります。ただ、この屋敷に雷を落とされたくなければ、不用意な言葉を撤回して頂きたい」
フンッと鼻で笑い叔父は言う。
「どうして、私が。ただの偶然だろう。こんな、忌み子を選んだお前も解らぬわ。流石、穢いもの同士は解るのか。汚れた黒い尻尾が出ておるわ。汚い汚い」
叔父がそう言った瞬間だった。雨も降っていないのに玄関に雷が落ちた。屋敷の者達の悲鳴が上がった。
『これは、ほんの挨拶。次はこの部屋。宜しいか』
明らかに別人のような空に、蒼は戸惑う。顔つきも、声音も違う。これが『神降り』………?
「ふんっ……た、ただの偶然ではないか」
空は首を左右に振り、フーッとため息をつく。
『阿呆はこれだから困る。この屋敷が粉塵と化す前に素直に謝ればいいものを』
部屋を囲う硝子戸がパリンッパリンッと一つづつ音をたてて粉々に砕けていく。空はその様子を満足そうに見ていた。
「も、も、も、申し訳ございませぬ。空様」
『何が悪かったか解らぬ者は何回でも同じ過ちを繰り返す。さあ、口を開け。お前の頭上に雷を落としても良いのだぞ』
「そ、そ、そ、空様を侮辱したこと、母君を侮辱したこと、山神さまの子ではないと、疑ったこと」
空はクッと笑って、
『足りぬわ、うつけが』
パシッと部屋に小さな雷が落ちる。叔父の目の前の梅を生けた花瓶が砕けた。
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