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刺客!〖第40話〗──①
しおりを挟む「あきにいちゃんの病気、嫌な予感がする」
遠くを見る空の瞳に、緊張感があった。急にザワリと怖くなる。こういう分野で自分が出来ることは少ない。術は幻術か暗示くらいだ。狛井家の十八番のこの術では、今となっては自分の右に出るものはいない。
けれど、空の力は、ほぼ山神さまに近い。小さな身体を守ってやらなければならないのに、もしものときに自分は守られる立場だ。
空は蒼の伏したままの瞳で、蒼の気持ちが解ったらしく、精一杯の背伸びをして、蒼を抱き寄せ、蒼の頬に悪戯っぽく口づけた。
「旦那様。僕は知らないひとが怖いの。これから、沢山の人に会わなければならないんでしょ?僕は術と力だけ。身体は人間だし神降りなんかしたら洒落にならない。色んな人に迷惑をかけちゃう。色々、頼りにしてるんだよ?」
そう、空に頼りきりの自分が言われる。情けない。こんなに気を遣わせて。空はいつも自分のことを考えてくれる。それでも、何もできない無力な自分が嫌だ。空はじっと、零れそうな瞳で蒼を見つめる。こんなに顔をさせているのは、他でもない、蒼だ。
笑顔を守るんじゃなかったのか。幸せになるんじゃなかったのか。蒼は手を握りしめる。空は蒼に縋りつき、切ない声で言った。
「僕を見て、お願い。そうにいちゃんがいるから僕はここにいるんだよ。お願い、ちゃんと僕を見て。悲しい顔しないで。笑ってよ。そうにいちゃんがいなくなったら僕は死んじゃう。悲しくて悲しくて………死んじゃうよ。頼りにしてるんだよ?必要なんだよ?そうにいちゃん」
「好きだから?」
少し嫌味が混じる。言いたいことと裏腹に。
『空の力になるよ。空と一秒でも一緒にいたいから。これから、何があるか解らない』
そう言いたかった。
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