僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】

カシューナッツ

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蒼の術〖第41話〗──①

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    不思議そうに、空は蒼に尋ねる。

「飼い主の所へ帰ったな。手負いの獣は捨てられるのを解ってないな。もう、気配はないから心配ないよ、空。怖かったろう」

「怖くないよ。そうにいちゃん、すごい!格好いい! ………あ!爪、真っ赤だよ。痛くない?」

「痛くないよ。相手の血だ」

「僕なら、生きてない………人質になっちゃう。やっぱりすごい。旦那様だ。僕の旦那様。さっきのは?僕を隠すのに枝で地面に円を書いたけど、そうにいちゃん、あれは術?」

「あれは簡易的な結界だ。よく解ったな。空を相手から見えなくした」

「あの円の中に居たから僕が見えなかったんだね。相手も、透明だったでしょ?空中を爪で掻いてた。何で解るの?」

「勘だな、こんな風に」

    空を思いっきり正面から裂いた。浮かび上がるのは黒い覆面の男。

「何故……」

「お喋りが過ぎたな。違和感があった。返り血だらけの俺を見て、まず空は『格好いい』とは言わない。それと俺は空にあの円に関して一言も言っていないし、まず空は円など知らないだろう。約束したら空は必ず守る。目を瞑っているのに、知るわけがない。さっきの円の簡易結界には空は入っていないしな。居るとしたら敵だけ。囮の結界だ。誰が黒幕だ!言え!」

「誰が、言うか……」

    奥歯に仕込んだだろう毒薬で男は自害した。取り敢えず空の術を解く。印を組み、足を二回踏み鳴らした。すぐ傍の陰の結界から空は姿を表し、泣きながら蒼にしがみついた。

「そうにいちゃん、怪我はない?手が真っ赤だよ!待ってて、治してあげるから!」

    蒼は苦笑した。

「全部刺客の血だ。そうにいちゃんは、大丈夫だから」

「本当?僕、何にも出来なくて。雷も、見えない相手じゃ落とせない。つむじ風もそうにいちゃんのお家が壊れるだけ………そうにいちゃんが死んじゃうかと思った。透明な敵なんて。しかも五人も。僕はお荷物だ。何の役にもたてない」
    
 空は肩を落として言った。蒼は苦笑いする。

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