僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】

カシューナッツ

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あきにいちゃんの病〖第45話〗──①

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「俺、駄目かもしれねぇ。空、こっちに来てくれ。五年ぶりだな。綺麗な花婿さんになるな。蒼を支えてやってくれ。こいつ、こう見えて、繊細なんだ」

    空が暁の手を握った瞬間、部屋の空気にピリッと電気が走るような緊迫した雰囲気になった。

 空は急に静かに怒ったような表情になった。緊張した面持ちで見つめる蒼に空は小さく耳打ちする。

「そうにいちゃん。あきにいちゃん、邪術にかかってる。それに、あのおじさん変だ。家に長くいたはずなのに、握手したとき手が冷たかった。火のないところで隠れて『何か』してる」

「暁の親父さんが?」

「うん。僕は初対面だから解らなかったけど、そうにいちゃんが見た目で判断できないなら変化の術も使ってる。僕、怪しいなって嘘を言ったら、引っかかったの。昔のこと、覚えてる?そうにいちゃんがあきにいちゃんと家に来た日」

    忘れるわけがない。蜂蜜生姜湯をもらって、三人で将棋をやって、空に怪我をさせて……。

「解った?」

「ああ」

    空の機転には驚かされる。ちらっと見る。冷静な様子だけれど、空の瞳に燻るような怒りが見える。

「『本当のあきにいちゃんの父親』の得意は囲碁。あのとき、あきにいちゃんは『家の家系は将棋が弱い』って言っていたよね?」

    空は続けた。

「術師は、あきにいちゃんのお父さんに化けてる。幻術と邪術を使う術師だね。捕まえるのは簡単だけど術を解除されなかったら、あきにいちゃんの命が危ない。それに変化の術を解かずに居直られたり、自害されたら、本物のあきにいちゃんのお父さんに濡れ衣がかかっちゃう。あきにいちゃんのお父さんは監禁されているんだろうと思う。この子に探してもらおう」

    フッと空の肩から姿を表したのは星影だった。

「星影、ありがとう。寒くないか?」

    蒼の言葉に、今度は蒼の肩にとまってパタパタと羽を閉じたり広げたりする。どうやら大丈夫みたいだ。それから蒼の周りを飛び、七色の燐粉を落とす。

「ん?どうした?」

「気遣いが嬉しいんだよ」

    空は星影の言葉が解るみたいだ。

「頼む、星影」

    あっという間に姿が消える。輝く燐粉で光を反射するみたいだった。

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