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めぐり会う幸せに〖第28話〗──②
しおりを挟む翠は、本気だ。あの「義兄」の話をされたときの傷ついた顔は本物の恋をしている顔だ。そして、叶わないと解っている。期待を持たせては可哀想だ。諦めきれなくなるかもしれない。
「何で?家族でしょ?翠くんは、家族じゃないの?」
空が家族に憧れがあるのは知っている。ずっと独りだった。いつまで経っても来ない蒼を待ち続けた。ただずっと、ひたすらに。けれど同じ部屋に布団を並べて翠と空がいるのは嫌だ。子供じみた嫉妬だとは解っている。そして、翠は空が好きだが、流石に兄として空にそれは言えない。………悩んだ末、許可した。
「一晩だけだからな!」
翠はニヤリと笑うのかと思いきや『ありがとう、兄さん』と静かに言った。
翠と空は二人で将棋を指している。空はかなり上手い。翠の『待った』と『もう一局』と言う声が何回も部屋に響く。空の嬉しそうな声も。
「詰め将棋と棋譜をみることしかなかったんだ。だから誰かと指すのは楽しいよ」
「嘘だろ?こんなに強いのに」
空は笑う。
「ずっと独りだったから、本が友達」
「独り?独り暮らし?」
「村八分で小さい頃は母さんと二人暮らしだった。母さんを亡くしてから、独り暮らしだったよ」
空がサラリとそう言い、翠は驚いた。
「兄さんとはどうやって知り合ったんだ?」
「母さんを亡くして、食べるものもなくなって、普段出ることを禁止されてる外へ出たんだ。そうにいちゃんは村の子供に石と泥団子を投げられているところを助けてくれた。ずっとお風呂に入ってなかった僕をお風呂で洗ってくれた。蜜柑もくれた。ずっと欲しかったものを、そうにいちゃんは全てくれた。心の中で想い描いていた幸せを、温もりを、願いを、全て叶えてくれた。本当に幸せだった」
また廻り逢ってそうにいちゃんは僕を見つけてくれた。幸せだよ。生きててよかった──。
そう言う空の瞳に涙が浮かぶ。あの頃の僕に教えてあげたい、幸せは、そうにいちゃんはちゃんと来てくれるよって。そう言い目を伏せると空の瞳から涙が落ちた。
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