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父と子〖第49話〗──②
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「解った。さがってよい。今日のところは、空様、有難うございました。蒼、つらかったろう。弟……お前の叔父には追って沙汰を下す」
つらかったろうなんて、初めて言われた。幻術なんじゃないかとまた疑う。指で空につつかれ見ると、空はふふっと苦笑しながら言う。
「本物だよ」
「え?」
「素直に信じてあげて。お義父さん、叔父さんに我慢の限界みたい。そうにいちゃんが怪我したって聞いたとき、顔が変わったよ。『お父さん』の顔してた」
「お父さん、か」
部屋に戻り、荷ほどきをする。お弁当は一つ一つに手間がかかった料理だった。空と『美味しい!』を繰り返し食べた。
林檎を絞ったじゅうすを寒天で固めたのは、プルプルしていて甘くて初めての食感に驚きながら食べた。
風呂敷袋には『農園でとれたものです』と林檎や、柿、蜜柑など豊富に果物が入っていて『頂き物ですみません』と、林檎じゅうすと、寒天でじゅうすを固めるというあの美味しい甘味の作り方が書いてある紙も入っていた。
空が薫と話していて「甘いものが大好きで」と洩らしたからだろうな、と思った。
「細やかな気遣いのひとだね。僕も頑張らなきゃ」
「あまり無理はするな。あと三日で珠合わせの儀式、五日で婚礼の儀だ。簡単に言えばお披露目だな。忙しかったな。ゆっくりしよう。夜になったら神泉にでも行くか?一ヶ所だけ狛井家の敷地内に湧いているんだ。この近くだ」
夜に露天風呂になっている神泉へ行った。外だと中々空の髪が乾かなくて風邪を引いてしまうと思い爺と二人がかりで結い上げた。
「ちゃんと上がったか?こっちを向いてみろ」
不安気に振り返る空は、可愛らしい、と言うより、美しい。
爺と共に絶句した。青白く細い首筋。肌を滑る後れ毛。まるでこの世のものではないような。
「変………なの?」
「あんまり綺麗だから、見惚れた」
「お美しいです、空様」
流石の爺も、これには見惚れたと後で聞いた。
「嬉しいけど……恥ずかしい」
そう言い恥じらいながら顔を横に向け、片手で首をさわる仕草が色っぽい。
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