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〖第12話〗
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懐かしい白昼夢を見ていた。帰り道、飯坂線に乗って鯖湖湯に入っていこうと思った。
叔父さんはチヨさんを自分の身内のようにとても大事にしている。まるで年の離れた恋人のように。僕の立ち入る領域ではない。
「パソコン、通じる?私もチヨさんもこっち系はてんで駄目でね。業者さんにやって貰ったんだけど、ほとんど使ってないんだよ」
「問題ないよ。Wi-Fiも飛んでる」
僕と言えば、電子機器の環境を整えて貰い、塾の授業を消化し、レポートをまとめている。気を遣わせてしまった。パソコンと、スマートフォン、それにWi-Fi。
何の不備もない環境で勉強もはかどるけれど、授業以外でパソコンやスマートフォンを使う気は、不思議と此処では起こらない。ここは特別な場所な気がする。
東京の家にいた頃は、空いた時間でずっと理由もなくスマートフォンに触っていた。
それなのに『退屈』だった。
「惣介はここには大分慣れた?暇じゃないかい?」
「ううん。楽しいよ」
僕は大人に対して何処か身構える癖がある。握った手の平の中の信頼を見せて良い相手なのか。叔父さんは良い人だけど、僕のことは子供扱いだ。
懐かしい白昼夢を見ていた。帰り道、飯坂線に乗って鯖湖湯に入っていこうと思った。
叔父さんはチヨさんを自分の身内のようにとても大事にしている。まるで年の離れた恋人のように。僕の立ち入る領域ではない。
「パソコン、通じる?私もチヨさんもこっち系はてんで駄目でね。業者さんにやって貰ったんだけど、ほとんど使ってないんだよ」
「問題ないよ。Wi-Fiも飛んでる」
僕と言えば、電子機器の環境を整えて貰い、塾の授業を消化し、レポートをまとめている。気を遣わせてしまった。パソコンと、スマートフォン、それにWi-Fi。
何の不備もない環境で勉強もはかどるけれど、授業以外でパソコンやスマートフォンを使う気は、不思議と此処では起こらない。ここは特別な場所な気がする。
東京の家にいた頃は、空いた時間でずっと理由もなくスマートフォンに触っていた。
それなのに『退屈』だった。
「惣介はここには大分慣れた?暇じゃないかい?」
「ううん。楽しいよ」
僕は大人に対して何処か身構える癖がある。握った手の平の中の信頼を見せて良い相手なのか。叔父さんは良い人だけど、僕のことは子供扱いだ。
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