氷雨と猫と君〖完結〗

カシューナッツ

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〖第22話〗

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 いつの間にか、時間は過ぎる。金曜日になっていた。今日で、あの散々な雪の日から一週間経とうとしていた。

 電話は、鳴らない。着信がないと言うのは、つまりそういうこと。所詮、私は忘れられた存在だと言うことだ。だから、メールはしない。忘れられたなら、その程度の楽しいアクシデント。珍しい体験をした、それでいい。

───────────

 一方、別れてから直樹は直樹で、私を『何でも話せる友達扱い』にする。まあ、今更どうでも良いので、気遣いなく話かけられるのは構わない。けれど、ものには限度がある。

「ころっと心変わりして、しかも運命なんて言い出して私を振って、今度は恋愛相談?馬鹿言うんじゃないわよ。ここの会計全部と相談料五千円払うなら話を聴いてあげてもいいけど」

 いつものマスターのお店。いつもの席。何で私が直樹の恋愛相談に乗っているのか。でも、つい乗ってしまうのは未練等ではなく、相談料の為だ。

 腹を立てながら、直樹の聴きたくもない恋愛相談を断る理由に、適当に相談料を提示したが、高額な相談料にも関わらず直樹は食いついた。

 友人の中で私以外に、彼女の年齢をカミングアウトできなかったらしい。『流石に大学生は確かにロリコン扱いされるわね。二十歳超えていてもね』と苦笑いしたくなる気持ちを飲み込んだ。

 カンパリを重ねながら、素敵な朝ご飯をご馳走してくれた、アラスカンマラミュートに似た聡い瞳の笑顔が、素敵なあの子がよぎった。

 スマートフォンで検索したら色々な記事が出てきた。『新進気鋭の画家』と書いてある記事もあった。

 私が後もう少し若いときに出会いたかった。今、犯罪にならない年齢なんだからいいと思うし言う人もいるだろう。

 でも、もし私が二十代の素敵な男の子の隣を歩くことがあったなら、ヒモかツバメ。世間はそう見る。

 真波が嫌な想いをするし、私は整った容姿の彼の隣を歩きたくない。彼に会ってから、自分に自信が持てない。自信を持てるときは、プレゼンや、新しい企画をチームで詰めてるときくらいだ。後は能率を維持しての打ち込みくらいか。

誰か私に若さと美しさを下さい。あのシャム猫みたいな可愛い女の子みたいな、可愛くて、どんな我儘も許されるような華やかな容姿を下さい。

鏡を見て、あの日からそう思ってしまう。
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