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〖第23話〗
しおりを挟むふと、泣きたくなった。直樹は『ほら』とハンカチを差し出した。
「ありがと」
「妬いてんの?」
私は話にならないと溜め息をつく。
「あんたといる時間はね、おはぎとだいふくの為よ。今年の冬用の猫ごたつと、あんか、クリスマスの二匹にとっては迷惑な可愛い服と新しい爪とぎの為よ」
「美雨、口悪くなったな」
「腹が立つの。あんたとこんな馬鹿みたいなこと話して、貴重な金曜の夜を無駄話につきあってる自分自身にね。私はね、おはぎとだいふくの為に働いてるの。あと老後のための貯蓄。天涯孤独のババアが体壊したとき、お金がなきゃ困るでしょ」
私は笑った。
「そんな強がるなよ。お前、綺麗だな。こんなに綺麗だったのに、俺、気づかなかった。それに………こんなに強がってたのなんて、何で気づかなかったんだろうな。こんな健気だったのになあ」
「何よ、今頃。おだてても何も出ないよ」
「そうだな。そうなんだよな。随分遠くまで、来たんだなあ………」
そう言い、直樹は寂しそうに微笑んだ。
──────────
「ただいま。今日も疲れた。おはぎ、だいふく、ごめんね。お腹空いたね。ご飯にしようね」
みゃあ、みゃあと嬉しそうに二匹の可愛い子が鳴いて足にじゃれてご飯を待つ。額を撫でてあげると、ゴロゴロと喉を鳴らす。人の言葉が解るみたいに、二匹は私の問いに可愛らしい声で答える。きっと頭の良い子達なんだと思う。
二匹はマンションの入口に段ボールにいれて捨てられていた、『みぃ、みぃ………』と、か細く鳴く声があまりに切ない、汚れて毛のこごった真っ白い仔猫と真っ黒い仔猫。
見過ごすことは、できなかった。仔猫と目があった。あの瞳をしている。私はもうあの哀しみが凝固したようなあの瞳は見たくなかった。
薄汚れた段ボールを抱えて、家の近くの動物病院へ行った。衰弱していた仔猫は、腕のなかの段ボールで、ずっと不安げに、か細く鳴いていた。
一緒に暮らそう?暖かいお家で、美味しいご飯を食べて。私は仔猫たちを見つめた。
か細く鳴くいたいけな二匹にいとおしさが込み上げた。大切にするよ。どんなことからも守ってあげる。だから、家族になろう?
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