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〖第27話〗
しおりを挟む期限つきの恋愛だ、と思う。傷ついて終わることは解っている。危ない橋は渡らない。みすみす傷つきたくない。
彼は随分と気儘だ。芸術家とはこういうものなのか。単に彼が我儘なのか。私は溜め息をついた。そして、このうら若い男の子に迂闊にもひっかかりつつある自分を恥じた。彼の家でつい、苛々してしまったことは、彼の年齢や、発する言葉だから苛々するのではなく、『彼』だから苛々した。
私は彼に好意を持ち始めている。いや、正直持っている。けれど、好きこのんで、こんなおばさんを描くだなんて馬鹿げてる。質の悪い冗談じゃないのかと思えてしまう。
有り得ない。私には真波を引き付ける魅力なんてない。
「あなたなら、綺麗で若い、可愛い子なんて、よりどりみどりでしょう?はっきり言うわ。迷惑よ。二度と電話しないで」
「俺は美雨さんしか要らない。俺はさ、照れ屋で、笑顔が魅力的な美雨さんが描きたい。俺、美雨さんが好きだよ、俺は美雨さんを泣かせたりしないよ、直樹さんみたいに、嘘もつかない」
私は過去にしたはずの彼の名前を持ち出され私はカッとなる。
「真波は解らないよ。男はね、結局若くて、か弱く装うのが上手い、20歳も過ぎて夢なんか語る現実なんか見えてない女が好きなのよ」
真波は、私の剣幕に黙った。
「男は皆そうよ。まあ、悪いとは言わないわ。若さは財産で武器だから。真波が、私が描きたいなんて思ったのは珍しいからよ。好きだからなんかじゃないわよ。照れ屋で、笑顔が魅力的?付き合った男の人は皆私をそう言ったわ。褒めるところがないから。全部自分でも解ってるのよ。私はただの可愛げの無いおばさん。それに、真波。本心に聞いてごらん。あなたは面白半分で腐りかけの木の実を描いてみたくなっただけよ」
私は惨めだな、と思いながら話を続けた。
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