蒼薔薇と禁忌の果実〖完結〗(黒将軍と蒼薔薇の庭とは話が少し異なります)

カシューナッツ

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〖第18話〗

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 私は街で流行っている髪染めをして、金色の髪を黒色に染めました。もう、目立つことはありません。

 この髪でエリアラ様の再来などと呼ばれることもなくなりました。面倒なのは2月に1度染めないと、また金色の髪に戻ってしまうと言うことです。だから私は1ヶ月半たったら街で髪を染めます。

 いつの間にか毎日炊き出しを行ううちに、村の人たちから『炊き出しの場には女神がいる』と言われるようになっていきました。炊き出しの皆は男女問わず雑魚寝ですが、やさしいおじいさんがまるでボディーガードのように守ってくれます。

 かつての戦乱の世、ジルベルト様が怪我をされたらと、ジルベルト様のおびただ本の蔵書がある図書室で薬草や外科的処置、リハビリを学びました。

 今は志高い少年、少女にそれを教えています。勿論、学びたい人は誰でも歓迎しました。私自身、もっと学びたい。東の国では『医食同源』と言う言葉があるといいます。

 いい香りの香水、美しいドレスもいりません。どれくらい時間がたったでしょう。

 ある日、ジルベルト様から、『学校を作る』と言うお触れが出ました。続きがありました。

『学費は学校が休みの時、料理を我が妻に習って欲しい。炊き出しの女神に』

 いつも親切にしてくれたおじいさんが被り物を取り、顔についた泥を取りました。

「帰りましょう。奥様。ジルベルト様はあれから何度もお忍びでいらっしゃり、着るものを変えて、身体を泥で汚して、砂で髪を汚してまでイル様をご覧になるためにいらっしゃっています。広場の隅で、ただ、見つめておられました。そして、この前仰っておりました。『私は美しい鳥を傷つけ、籠にいれ、鳥は悲しみに耐えきれず逃げていってしまった。愛しかたを間違っていた。ただ、大切にするだけでよかったのに』この前の差し入れの林檎ジャムはジルベルト様に自ら作られて。ジルベルト様のしたことは確かに一番してはいけないことです。ですが、今やつれるくらい、イル様に会いたがって。お願いします。戻ってきてください」
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