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第一章 乱世到来
夜の食堂
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下っ端の少年兵は大部屋で寝る。馬小屋や倉庫には見張りが配置されている。タリファは、とにかくひと気のないところを探して、食堂の長いベンチにアディを横たえた。
夜の食堂はがらんとして薄暗い。高い場所にある窓から差し込む月光が、整然と並んだ長机とベンチを青白く照らし出し、昼間とはまったく様子が違っていた。
「アディ、大丈夫か?」
タリファが濡らした布巾を頬に当ててやると、アディは力なくそれを払った。
「さわるな……」
「でも……拭かないと」
うろたえるタリファから、アディは布巾を奪い取った。
「自分でやる」
だが、手に力が入らずに、アディは布巾を取り落としてしまった。
「……くそっ」
「むりだよ……アディ、そんなんじゃ」
タリファは布巾を拾い上げて言った。アディは見るからに辛そうだった。カーに酔ったせいですべての動きが緩慢で、表情も虚ろだ。
「……そんなに俺のからだを拭きたいの?」
「えっ……?」
タリファは、アディが何を言っているのかわからずに聞き返した。
「……俺が、汚いから?」
「アディ、そんなことないよ……汚いだなんて、思ってない」
タリファは必死で言った。
「それとも俺にさわりたい?」
アディは口の端を歪めて、小さく笑った。
「え?アディ、何を言って……」
「お前にも同じことをしてやろうか……?」
「アディ、なんで、やめ……っ」
言い終わる前に、アディがタリファの唇を塞いだ。
「んっ……!」
「気持ちよくしてやるよ……お前も、知ったらいい――」
――お前も、堕ちてくればいい――。
アディの手がするりとタリファの服の間に滑り込み、なめらかな肌に触れた。指先が乳首に当たり、思わずタリファはぴくんと身体を震わせた。
「や……っ、アディ……!やめ……」
ふたたびアディはタリファに口づけし、そのままベンチに押し倒した。腰紐を解いて性器を引っ張り出し、性急にしごく。
「んん!」
タリファは喉の奥で叫んで、背を弓なりに反らせた。見上げた食堂の窓から月光が差し込んで、アディの艷やかな黒髪を柔らかく照らしている。幼い頃から見慣れたはずの友人の顔は、いつの間にか成長して、端正で中性的な顔になっていた。まっすぐな鼻筋が美しく、頬はなめらかな曲線を描いて、長いまつ毛に縁取られた大きな目はいつまで眺めていても見飽きない。
(こいつ……こんなに綺麗な顔だったっけ……)
一瞬、我を忘れてそんなことを思ってしまう。
アディは抵抗をやめたタリファの下半身に唇を滑らせた。柔らかく握った掌の中で少しだけ固くなった性器を口に含む。
「ちょ……!やめろ……っ、アディ!そんなこと……っ!」
「気持ちいいだろ?ほら、勃ってきた……」
ちろちろと、亀頭のくびれの周囲を舌が這い回る。
やがて先端から透明な粘液が滲み出し、アディはそれを音を立てて啜った。
「ひぃ……んっ――!」
びくん、とタリファがのけぞった。内腿を震わせて耐えるタリファを、アディは喉奥まで咥えこんで激しくしゃぶり出した。静か過ぎる食堂に、じゅぶじゅぶと淫猥な音が響く。
「あ、や、あっ……もう……っ、だめっ……」
押し寄せる波に飲み込まれ、身を委ねそうになる。
(このままじゃ、アディの口の中に……っ)
我に返ったタリファは、アディの頭を両手でつかみ、必死で股の間から引き剥がした。
「――いやだよ!アディ!」
「……タリファ?」
「アディ……ごめん……でも、俺……っ」
「タリファ、泣いてるの……?」
いつの間にか、タリファの頬は涙でびしょびしょに濡れていた。
「悪かったよ……もうしない」
アディはタリファから身体を離し、上着を着直した。そして、
「……汚れるのは俺一人で十分だよな」
と、ぽつりと呟いて、食堂を後にした。
「アディ!そんなつもりじゃ……!」
タリファはアディを追うべきなのか、ひとりにしたほうがいいのかわからず、ベンチから動けないまま通路の闇に消えていくアディを見送った。
広い食堂に一人きりになると、夜気の冷たさが一層感じられた。身体の奥から、先程のアディの余韻が熱を持って蘇ってくる。頬に当たる吐息、胸に食い込んだ爪の感触、性器を這う舌――。
気づくと、タリファはアディの余韻を辿って自分の身体に手を這わせていた。
「…………っ」
どうしてこうなってしまったんだろう――。
タリファは、ひんやりと固いベンチの上で身体を折り曲げ、泣きながら射精した。
夜の食堂はがらんとして薄暗い。高い場所にある窓から差し込む月光が、整然と並んだ長机とベンチを青白く照らし出し、昼間とはまったく様子が違っていた。
「アディ、大丈夫か?」
タリファが濡らした布巾を頬に当ててやると、アディは力なくそれを払った。
「さわるな……」
「でも……拭かないと」
うろたえるタリファから、アディは布巾を奪い取った。
「自分でやる」
だが、手に力が入らずに、アディは布巾を取り落としてしまった。
「……くそっ」
「むりだよ……アディ、そんなんじゃ」
タリファは布巾を拾い上げて言った。アディは見るからに辛そうだった。カーに酔ったせいですべての動きが緩慢で、表情も虚ろだ。
「……そんなに俺のからだを拭きたいの?」
「えっ……?」
タリファは、アディが何を言っているのかわからずに聞き返した。
「……俺が、汚いから?」
「アディ、そんなことないよ……汚いだなんて、思ってない」
タリファは必死で言った。
「それとも俺にさわりたい?」
アディは口の端を歪めて、小さく笑った。
「え?アディ、何を言って……」
「お前にも同じことをしてやろうか……?」
「アディ、なんで、やめ……っ」
言い終わる前に、アディがタリファの唇を塞いだ。
「んっ……!」
「気持ちよくしてやるよ……お前も、知ったらいい――」
――お前も、堕ちてくればいい――。
アディの手がするりとタリファの服の間に滑り込み、なめらかな肌に触れた。指先が乳首に当たり、思わずタリファはぴくんと身体を震わせた。
「や……っ、アディ……!やめ……」
ふたたびアディはタリファに口づけし、そのままベンチに押し倒した。腰紐を解いて性器を引っ張り出し、性急にしごく。
「んん!」
タリファは喉の奥で叫んで、背を弓なりに反らせた。見上げた食堂の窓から月光が差し込んで、アディの艷やかな黒髪を柔らかく照らしている。幼い頃から見慣れたはずの友人の顔は、いつの間にか成長して、端正で中性的な顔になっていた。まっすぐな鼻筋が美しく、頬はなめらかな曲線を描いて、長いまつ毛に縁取られた大きな目はいつまで眺めていても見飽きない。
(こいつ……こんなに綺麗な顔だったっけ……)
一瞬、我を忘れてそんなことを思ってしまう。
アディは抵抗をやめたタリファの下半身に唇を滑らせた。柔らかく握った掌の中で少しだけ固くなった性器を口に含む。
「ちょ……!やめろ……っ、アディ!そんなこと……っ!」
「気持ちいいだろ?ほら、勃ってきた……」
ちろちろと、亀頭のくびれの周囲を舌が這い回る。
やがて先端から透明な粘液が滲み出し、アディはそれを音を立てて啜った。
「ひぃ……んっ――!」
びくん、とタリファがのけぞった。内腿を震わせて耐えるタリファを、アディは喉奥まで咥えこんで激しくしゃぶり出した。静か過ぎる食堂に、じゅぶじゅぶと淫猥な音が響く。
「あ、や、あっ……もう……っ、だめっ……」
押し寄せる波に飲み込まれ、身を委ねそうになる。
(このままじゃ、アディの口の中に……っ)
我に返ったタリファは、アディの頭を両手でつかみ、必死で股の間から引き剥がした。
「――いやだよ!アディ!」
「……タリファ?」
「アディ……ごめん……でも、俺……っ」
「タリファ、泣いてるの……?」
いつの間にか、タリファの頬は涙でびしょびしょに濡れていた。
「悪かったよ……もうしない」
アディはタリファから身体を離し、上着を着直した。そして、
「……汚れるのは俺一人で十分だよな」
と、ぽつりと呟いて、食堂を後にした。
「アディ!そんなつもりじゃ……!」
タリファはアディを追うべきなのか、ひとりにしたほうがいいのかわからず、ベンチから動けないまま通路の闇に消えていくアディを見送った。
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気づくと、タリファはアディの余韻を辿って自分の身体に手を這わせていた。
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