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第一章 乱世到来
共和国元首との問答
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海洋国家リアラベルデ共和国は、シャルナク帝国を擁する西方大陸の海の玄関口である。内海を挟んで南東の対岸にはイシュラヴァール王国のレーの港があり、古くから盛んに海洋貿易が行われてきた。
リアラベルデの首都リアラスに置かれた首長府をマルスが訪れたのは、ルビーが港町テビウスの館で結婚を宣言した半月後のことだった。テビウスからリアラスまでは陸路で四日もあれば着く。だが共和国元首であるサキルラートの多忙な政務と、開戦準備で慌ただしいマルスの折り合いがようやくついたのがこの日だった。
「お待ちしておりました――イシュラヴァール国王陛下」
「不甲斐なくも、玉座を奪われて久しい。この縁に免じ、どうぞマルスと」
マルスは翁サキルラートに手を差し伸べて言った。
「では遠慮なく、マルス殿」
サキルラートは握手に応じ、それからマルスの後ろに控えていたルビーと抱き合った。
ルビーことスラジャ・サキルラートの父サキルラートは、共和制をとるリアラベルデにおいて長く元首の地位にいた。大国に挟まれながらも安定した政治を行うことで国内外の信頼の厚い人物である。
「跳ねっ返りでしょう、この娘は」
父の言を聞いて遺憾だ、という顔をしてみせたルビーの横で、マルスは穏やかに微笑んだ。
「聡明で大胆、何より美しい……御令嬢は素晴らしい女性ですな」
「恐れ入ります」
老獪なサキルラートは、娘よりも自分に近い年齢の花婿に、顔色ひとつ変えずに答えた。
(なるほど、スラジャが惚れたわけだな)
そもそもサキルラートは、この末の娘とイシュラヴァールの第一王子マルス・バセルとの縁談を目論んでいた。年をとってからできた娘は格別かわいく、ねだられるままになんでも与えた。膨大な書物や各国からの教師、馬に銃に船、長じては港町の市長の座すらも。サキルラートは賢く利発なバセル王子に好感をもち、互いに相応しい縁談だと踏んでいたのだが、この日マルスと会ってなぜ娘が彼を選んだのか得心せずにはいられなかった。
(玉座を追われて尚、王者の威厳を失っていない――光り輝くような気迫が、彼を包んでいる)
この男の放つ光輝に、娘は抗えなかったのだろう。たとえそれが平安な道ではないとしても。翁サキルラートの中の親心が、小さく諦めの息を吐いた。
「結婚に際しては、花嫁に相応しい宮城を用意したい。式も盛大に行わなければ」
「それは喜ばしいことですな。して、その宮城は――ララ=アルサーシャに?」
マルスは怜悧な笑みを浮かべて頷いた。
「いかにも。反逆者どもの手垢のついた旧い王宮など、花嫁にふさわしくない。早々に取り壊して新たに建て直すつもりですよ」
サキルラートの眼つきが険しくなった。
つまりマルスは、第二王子バハルとその一派に奪われた王宮を破壊してでも、王都アルサーシャを取り戻すつもりなのだ。
「ついては新しい王宮建設ために兵をお貸しいただきたい――義父上殿」
海に突き出した半島の南端に位置するリアラベルデ共和国は、年間を通して穏やかな気候で、オリーブやぶどうの樹が生い茂っている。明るい陽光に、家々の美しい白壁が眩しい。国土の大部分が砂漠であるイシュラヴァールとは全く違う風景だ。
「旧く――文明の黎明期より、この地は民主政の礎を築いてきた。議会を設け、民の代表が政治を行う。政が道を逸れれば、元首はその座を降り、また新たな代表を選び直す」
サキルラート翁は、マルスを伴ってリアラスの街を案内していた。ルビーは旅の疲れが出たのか、少し横になりたいと言って、宿泊していたサキルラート家の屋敷に残った。
「美しい都ですな、サキルラート公。近代的で発展した、豊かな街だ。民の表情が明るく、貧民がいない」
「この国では経済が社会の発展の基盤になっています。様々な規制や税を管理し、国民全体が富を享受できるように調整する。豊かな社会では犯罪が減り、教育が行き届き、民の一人ひとりが知識と意志を持って暮らしているのです」
素晴らしい、と賛辞を贈り、マルスは自国に思いを馳せた。
確かにイシュラヴァールの中でも、ララ=アルサーシャは豊かな都だ。だが、一歩砂漠に踏み出せば、庶民の生活はすなわち過酷な自然との闘いだ。その日使う水を手に入れるのに何時間もかけて井戸へ行くなど、上下水道の発達したリアラスでは考えられないだろう。
「砂漠は貧しい土地です。どんなに耕してもとれる作物はわずか。ただでさえ少ない水が、ちょっとした気候の変化や事故などで涸れれば、それは死を意味する。砂漠の民は、個人の力では動かしがたい条理の中で、生きて死ぬ。そういう者たちがどうやって生きる希望を見出すと思われますか」
「神か」
サキルラートの言葉に、マルスは頷いた。
「砂漠は――古い土地です」
都市はさておき、オアシスの村や遊牧民の生活は千年前とさほど変わらない。リアラベルデのように栄えるなど、どだい無理な話なのだ。
「砂漠の民は、強い、絶対的な力に導かれて、今日を生きている。かつては信仰が異なる部族をまとめていた。が、ある時代に異教の国々との交わりが活発になり、神への絶対的な信仰は崩れ去った。それから数百年、王家が神無き世界をまとめてきた」
正確には、遊牧民の一部に信仰深い部族はいる。が、イシュラヴァール王国は国教を掲げていない。それを理由に、王家へ反感を抱く部族もあった。彼らに強く押されれば、今の新政府であればなし崩しに国教を制定してしまうかもしれない。だがそれは根本的な解決にはならないとマルスは考えていた。
「民自身が自らの代表を選ぶ、それは素晴らしい理想です。だが、砂漠には多数の部族が住んでいる。それら部族の連帯は強固で、民主政を掲げたところで結局は数の多い部族同士の争いになる。部族によって掟や慣習も違う。教育は千差万別、知識は偏り、意志は簡単に覆る。一方にとってよい法が、他方では不利益を生む。残念ながらイシュラヴァールの人民は、個人個人が万人をあまねく見渡せる視野を持てるほどには、成熟していない。部族の代表者が集まったところで、議論は平行線、争いの火種しか産まぬ――砂漠に、議会制民主主義はそぐわない」
「今はそうでも、国も民も成長する。将来そこに向かうことはできないのですか」
サキルラートがそう提案したのには理由がある。リアラベルデ共和国は多くの国々と国交がある。それらの国々は、分権政治を行うシャルナク帝国を筆頭に、共和制をとる国家が主流となっていた。王政は古く、差別的で、野蛮な国家形態だという認識が一般的になりつつあるのだ。
「それは王国の終焉を意味する」
だが、マルスはサキルラートを見据え、きっぱりと言い放った。
「部族同士、互いに相容れないのであれば、それぞれが独立して国を作ればよいのだ。イシュラヴァール王国は滅亡し、小国が勃興するにまかせればよい。だが若い国同士は争うだろう。血で血を洗う戦争が続くだろう。そしていずれ、大国に飲み込まれる」
マルスの口調はいつしか、婿としてではなく王としてのそれになっていた。生まれ持った威厳が揺るぎない信念をまとい、老獪な共和国元首を圧倒した。
「私はそれを受け入れることはできない。私は王だから。小国に散じてしまわぬよう、砂漠をまとめなければならぬ。大国に隷属させられぬよう、強い力でもって導かねばならぬ。それが砂漠の平和なのだ」
リアラベルデの首都リアラスに置かれた首長府をマルスが訪れたのは、ルビーが港町テビウスの館で結婚を宣言した半月後のことだった。テビウスからリアラスまでは陸路で四日もあれば着く。だが共和国元首であるサキルラートの多忙な政務と、開戦準備で慌ただしいマルスの折り合いがようやくついたのがこの日だった。
「お待ちしておりました――イシュラヴァール国王陛下」
「不甲斐なくも、玉座を奪われて久しい。この縁に免じ、どうぞマルスと」
マルスは翁サキルラートに手を差し伸べて言った。
「では遠慮なく、マルス殿」
サキルラートは握手に応じ、それからマルスの後ろに控えていたルビーと抱き合った。
ルビーことスラジャ・サキルラートの父サキルラートは、共和制をとるリアラベルデにおいて長く元首の地位にいた。大国に挟まれながらも安定した政治を行うことで国内外の信頼の厚い人物である。
「跳ねっ返りでしょう、この娘は」
父の言を聞いて遺憾だ、という顔をしてみせたルビーの横で、マルスは穏やかに微笑んだ。
「聡明で大胆、何より美しい……御令嬢は素晴らしい女性ですな」
「恐れ入ります」
老獪なサキルラートは、娘よりも自分に近い年齢の花婿に、顔色ひとつ変えずに答えた。
(なるほど、スラジャが惚れたわけだな)
そもそもサキルラートは、この末の娘とイシュラヴァールの第一王子マルス・バセルとの縁談を目論んでいた。年をとってからできた娘は格別かわいく、ねだられるままになんでも与えた。膨大な書物や各国からの教師、馬に銃に船、長じては港町の市長の座すらも。サキルラートは賢く利発なバセル王子に好感をもち、互いに相応しい縁談だと踏んでいたのだが、この日マルスと会ってなぜ娘が彼を選んだのか得心せずにはいられなかった。
(玉座を追われて尚、王者の威厳を失っていない――光り輝くような気迫が、彼を包んでいる)
この男の放つ光輝に、娘は抗えなかったのだろう。たとえそれが平安な道ではないとしても。翁サキルラートの中の親心が、小さく諦めの息を吐いた。
「結婚に際しては、花嫁に相応しい宮城を用意したい。式も盛大に行わなければ」
「それは喜ばしいことですな。して、その宮城は――ララ=アルサーシャに?」
マルスは怜悧な笑みを浮かべて頷いた。
「いかにも。反逆者どもの手垢のついた旧い王宮など、花嫁にふさわしくない。早々に取り壊して新たに建て直すつもりですよ」
サキルラートの眼つきが険しくなった。
つまりマルスは、第二王子バハルとその一派に奪われた王宮を破壊してでも、王都アルサーシャを取り戻すつもりなのだ。
「ついては新しい王宮建設ために兵をお貸しいただきたい――義父上殿」
海に突き出した半島の南端に位置するリアラベルデ共和国は、年間を通して穏やかな気候で、オリーブやぶどうの樹が生い茂っている。明るい陽光に、家々の美しい白壁が眩しい。国土の大部分が砂漠であるイシュラヴァールとは全く違う風景だ。
「旧く――文明の黎明期より、この地は民主政の礎を築いてきた。議会を設け、民の代表が政治を行う。政が道を逸れれば、元首はその座を降り、また新たな代表を選び直す」
サキルラート翁は、マルスを伴ってリアラスの街を案内していた。ルビーは旅の疲れが出たのか、少し横になりたいと言って、宿泊していたサキルラート家の屋敷に残った。
「美しい都ですな、サキルラート公。近代的で発展した、豊かな街だ。民の表情が明るく、貧民がいない」
「この国では経済が社会の発展の基盤になっています。様々な規制や税を管理し、国民全体が富を享受できるように調整する。豊かな社会では犯罪が減り、教育が行き届き、民の一人ひとりが知識と意志を持って暮らしているのです」
素晴らしい、と賛辞を贈り、マルスは自国に思いを馳せた。
確かにイシュラヴァールの中でも、ララ=アルサーシャは豊かな都だ。だが、一歩砂漠に踏み出せば、庶民の生活はすなわち過酷な自然との闘いだ。その日使う水を手に入れるのに何時間もかけて井戸へ行くなど、上下水道の発達したリアラスでは考えられないだろう。
「砂漠は貧しい土地です。どんなに耕してもとれる作物はわずか。ただでさえ少ない水が、ちょっとした気候の変化や事故などで涸れれば、それは死を意味する。砂漠の民は、個人の力では動かしがたい条理の中で、生きて死ぬ。そういう者たちがどうやって生きる希望を見出すと思われますか」
「神か」
サキルラートの言葉に、マルスは頷いた。
「砂漠は――古い土地です」
都市はさておき、オアシスの村や遊牧民の生活は千年前とさほど変わらない。リアラベルデのように栄えるなど、どだい無理な話なのだ。
「砂漠の民は、強い、絶対的な力に導かれて、今日を生きている。かつては信仰が異なる部族をまとめていた。が、ある時代に異教の国々との交わりが活発になり、神への絶対的な信仰は崩れ去った。それから数百年、王家が神無き世界をまとめてきた」
正確には、遊牧民の一部に信仰深い部族はいる。が、イシュラヴァール王国は国教を掲げていない。それを理由に、王家へ反感を抱く部族もあった。彼らに強く押されれば、今の新政府であればなし崩しに国教を制定してしまうかもしれない。だがそれは根本的な解決にはならないとマルスは考えていた。
「民自身が自らの代表を選ぶ、それは素晴らしい理想です。だが、砂漠には多数の部族が住んでいる。それら部族の連帯は強固で、民主政を掲げたところで結局は数の多い部族同士の争いになる。部族によって掟や慣習も違う。教育は千差万別、知識は偏り、意志は簡単に覆る。一方にとってよい法が、他方では不利益を生む。残念ながらイシュラヴァールの人民は、個人個人が万人をあまねく見渡せる視野を持てるほどには、成熟していない。部族の代表者が集まったところで、議論は平行線、争いの火種しか産まぬ――砂漠に、議会制民主主義はそぐわない」
「今はそうでも、国も民も成長する。将来そこに向かうことはできないのですか」
サキルラートがそう提案したのには理由がある。リアラベルデ共和国は多くの国々と国交がある。それらの国々は、分権政治を行うシャルナク帝国を筆頭に、共和制をとる国家が主流となっていた。王政は古く、差別的で、野蛮な国家形態だという認識が一般的になりつつあるのだ。
「それは王国の終焉を意味する」
だが、マルスはサキルラートを見据え、きっぱりと言い放った。
「部族同士、互いに相容れないのであれば、それぞれが独立して国を作ればよいのだ。イシュラヴァール王国は滅亡し、小国が勃興するにまかせればよい。だが若い国同士は争うだろう。血で血を洗う戦争が続くだろう。そしていずれ、大国に飲み込まれる」
マルスの口調はいつしか、婿としてではなく王としてのそれになっていた。生まれ持った威厳が揺るぎない信念をまとい、老獪な共和国元首を圧倒した。
「私はそれを受け入れることはできない。私は王だから。小国に散じてしまわぬよう、砂漠をまとめなければならぬ。大国に隷属させられぬよう、強い力でもって導かねばならぬ。それが砂漠の平和なのだ」
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