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第二章 落日のエクバターナ
シハーブの計略
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三人は数日前からシハーブ領内に入っていた。
シハーブに案内された屋敷で、サジャーンは奇妙な違和感を感じていた。
その屋敷はシハーブの私邸のようだった。彼の身なりから軍人か貴族だろうとは察しがついていたから、広い屋敷を持っていることにはそれほど驚かなかった。この時まだサジャーンは、シハーブの出自を詳細に知らされてはいなかったので、その屋敷がイシュラヴァール随一の領地を誇るシハーブ領主が住むにしては広さも人員も小規模で、シハーブ家の本宅ではないことには気付かなかった。
屋敷には、三~四人の若い女性がいた。
三~四人、というのは、正確に何人いるのかわからなかったからだ。もしかしたら四~五人、いや、それ以上かもしれない。全員一度に姿を表すわけではないから、意識して数えないと何人いるのかわからない、というのもある。
だが何より、皆よく似ているのだ。この際その美しさは問題ではない。北部に多く見られる、白い磁器のような肌に、切れ長の目、すっと通った鼻筋。そして全員、薄い金色の、流れるような髪を持っていた。
女たちはシハーブの妻らしい。
(こういう女が好みだったのか)
と、なんとなく納得しようとしたが、それでも何かしっくりとこない。
短い期間だがこれまで共に旅をしてきて、シハーブの人となりはなんとなく理解していた。謹厳実直、浮ついた言動はなく、夕食時にサジャーンと酒を飲んでいるときでも顔色一つ変えない。そんな面白みのないところを除けば、シハーブは同じ男から見てもいい男だ。若くはないが整った顔立ちに、精悍で品のある佇まいで、浅黒い肌に白い長衣がよく映える。市場や宿で色目を寄越してくる女も少なくなかったのに、彼は見向きもしなかった。無論、商売女を買うこともなかった。
確かに、家内にこれだけ美しい妻が幾人もいれば、そんな気も起こらぬのかもしれない……とも思ったが。
(そんな男が、こう何人も女を囲うかね?)
イシュラヴァールは一夫多妻が認められているとはいえ、実際に二人以上の妻をもつのは大商人か貴族だ。それもせいぜい二人か、多くて三人。後宮や、嘗て好色で名を馳せたジャヤトリア辺境伯なぞを除けば、五人も六人も妻をもっているのは余程身分の高い者に限られるだろう。シハーブの屋敷は丁寧な造りではあったが、特別贅を凝らしたという様子もなく、軍人の家系らしい堅実さを感じる家だった。
屋敷の周囲は厳重に警備されていた。出入りの商人は皆付き合いが長いらしく、使用人たちとも打ち解けている。そのほかにも、様々な書面を携えた人々が屋敷を訪れる。
その報せをもたらした者は、北東の方角からやってきた。中庭に面した一室で、シハーブがただならぬ様子で話し込んでいる。その部屋の前をたまたま通りかかったサジャーンは、うっかり聞き耳を立ててしまった。
「イシュラヴァールの軍艦、少なくとも二十艦が、テビウス沖に展開しています。サキルラート公が首都を離れられないので、スラジャ殿がテビウスでの陣頭指揮を執っていますが、いつまでもつか……」
「リアラベルデ海軍は、確かマルス・バセル殿のアルナハブ行きに」
そう言ったのは、シハーブの声だ。
「はい。キャプテン・ドレイク率いる海賊船団と、サキルラート公から借りた軍艦10艦が現在アルナハブの南岸につけています」
「その手薄を狙われたか」
「現在キャプテン・ドレイクが船の半数を率いてテビウスへ戻っていますが、半島を回り込むのに5日はかかるかと。マルス様も21ポイントを陥落し、急ぎアズハルへ向かっています」
「アズハル湾には今、我が軍の艦はいくつ停泊している?」
「確認しますが、六艦ほどかと。それと――もうひとつ、スカイ殿から、内密の件が」
使者は声を潜めた。
「スラジャ殿がご懐妊されたと」
「では……陛下の……!?」
使者が頷く。シハーブは険しい顔で何事か考えていたが、やがて意を決したように言った。
「……我々もアズハルで合流するぞ。湾内の軍艦の状況を確認し、兵を集めろ」
そこまで聞いて、サジャーンはそっとその場を離れた。
会話の内容から、シハーブが前王マルスの側近であることはサジャーンにもわかった。
「参ったな……そんな大物だったとは」
サジャーンは頭を掻いてひとりごちた。サジャーンとしては、前王と新王の玉座を巡る争いに思うところがないわけでもなかったが、徒に争いに巻き込まれるつもりもなかったので、どちらかを支持することはしないできていた。
話の内容を聞くに、シハーブは海戦の応援に向かうのだろう。ふと視線を巡らせると、中庭に差し込む陽光の下で駆け回る子供たちが目に入った。恐らく、例の奥方たちが産んだのだろう、淡い金髪の子供たちが無邪気に遊んでいる。その中に、銀の髪のレグルスもいた。
「……あ?」
サジャーンの頭の中で何かが繋がった。中庭を駆け回る子供たち。薄い色の髪の、同じ年頃の。
「こりゃあ……まるでレグルスの――」
兄弟のようだ――という言葉を、サジャーンは飲み込んだ。
違和感の正体が晴れた。と同時に、苦い嫌悪感がどうしようもなくこみ上げてきた。
互いによく似たシハーブの妻たち。彼女たちは、レグルスにこそ似ていたのだ。
「サジャーン」
突然背後から声をかけられて、サジャーンはびくっとして振り向いた。いつからいたのか、そこにはシハーブが立っている。
「残念ながら、お別れのようだ。明朝私はこの屋敷を出ます」
サジャーンは返答に困った。彼がアズハル湾に行くことは先程の会話からすぐに分かった。どうして、と尋ねるべきか。立ち聞きしていたことは気付かれていないのか。口中が乾いて、うまく言葉が出ない。
そんなサジャーンの心中を知ってか知らずか、シハーブは続けた。
「頼みがある。あなたにレグルス様を託します」
「えっ……?」
「レグルス様を戦場には連れていけない。ここの警備も万全とは言い難い。彼を危険に晒すことは許されない。だからどうか、あなたが、連れて行ってください。レグルス様を、安全な場所へ」
「……安全?」
「国外がいい」
「あんた、いい加減に」
いい加減にしろ、と言いかけたサジャーンの言葉を、シハーブが早口で遮った。
「シャルナクの治安は安定している。あそこなら敵の手も届きにくいはず。商人のあなたなら、レグルス様を連れて入国できるでしょう。彼のことは息子でも、奴隷の子とでも言って」
「おい、あんた、さっきから勝手に話を進めてるがな。そもそも何で俺が?あんたには腕の立つ部下が山程いるだろうが」
「あなたが一番信用できるからだ!」
真っ直ぐに見据えられて、サジャーンは言葉を飲んだ。
「お願いです。彼の生命と――がかかっている!」
サジャーンは反論を諦めた。これ以上何を言っても、シハーブが意思を曲げることはないだろう。
中庭ではまだ子供たちが遊んでいる。
「あんた……怖え男だな」
サジャーンが言った。
「否定はしない」
シハーブは短く答えた。その静かな黒い瞳に、彼の背負った宿命に対する覚悟を垣間見て、サジャーンは胸が苦しくなった。
「絶対に、死なせるな」
シハーブが言った。
「ああ、引き受けた」
サジャーンは先程のシハーブの言葉を思い返していた。そしてそれは、この先幾度も思い返すことになる。
――彼のいのちと、イシュラヴァールの未来がかかっている、と。
シハーブに案内された屋敷で、サジャーンは奇妙な違和感を感じていた。
その屋敷はシハーブの私邸のようだった。彼の身なりから軍人か貴族だろうとは察しがついていたから、広い屋敷を持っていることにはそれほど驚かなかった。この時まだサジャーンは、シハーブの出自を詳細に知らされてはいなかったので、その屋敷がイシュラヴァール随一の領地を誇るシハーブ領主が住むにしては広さも人員も小規模で、シハーブ家の本宅ではないことには気付かなかった。
屋敷には、三~四人の若い女性がいた。
三~四人、というのは、正確に何人いるのかわからなかったからだ。もしかしたら四~五人、いや、それ以上かもしれない。全員一度に姿を表すわけではないから、意識して数えないと何人いるのかわからない、というのもある。
だが何より、皆よく似ているのだ。この際その美しさは問題ではない。北部に多く見られる、白い磁器のような肌に、切れ長の目、すっと通った鼻筋。そして全員、薄い金色の、流れるような髪を持っていた。
女たちはシハーブの妻らしい。
(こういう女が好みだったのか)
と、なんとなく納得しようとしたが、それでも何かしっくりとこない。
短い期間だがこれまで共に旅をしてきて、シハーブの人となりはなんとなく理解していた。謹厳実直、浮ついた言動はなく、夕食時にサジャーンと酒を飲んでいるときでも顔色一つ変えない。そんな面白みのないところを除けば、シハーブは同じ男から見てもいい男だ。若くはないが整った顔立ちに、精悍で品のある佇まいで、浅黒い肌に白い長衣がよく映える。市場や宿で色目を寄越してくる女も少なくなかったのに、彼は見向きもしなかった。無論、商売女を買うこともなかった。
確かに、家内にこれだけ美しい妻が幾人もいれば、そんな気も起こらぬのかもしれない……とも思ったが。
(そんな男が、こう何人も女を囲うかね?)
イシュラヴァールは一夫多妻が認められているとはいえ、実際に二人以上の妻をもつのは大商人か貴族だ。それもせいぜい二人か、多くて三人。後宮や、嘗て好色で名を馳せたジャヤトリア辺境伯なぞを除けば、五人も六人も妻をもっているのは余程身分の高い者に限られるだろう。シハーブの屋敷は丁寧な造りではあったが、特別贅を凝らしたという様子もなく、軍人の家系らしい堅実さを感じる家だった。
屋敷の周囲は厳重に警備されていた。出入りの商人は皆付き合いが長いらしく、使用人たちとも打ち解けている。そのほかにも、様々な書面を携えた人々が屋敷を訪れる。
その報せをもたらした者は、北東の方角からやってきた。中庭に面した一室で、シハーブがただならぬ様子で話し込んでいる。その部屋の前をたまたま通りかかったサジャーンは、うっかり聞き耳を立ててしまった。
「イシュラヴァールの軍艦、少なくとも二十艦が、テビウス沖に展開しています。サキルラート公が首都を離れられないので、スラジャ殿がテビウスでの陣頭指揮を執っていますが、いつまでもつか……」
「リアラベルデ海軍は、確かマルス・バセル殿のアルナハブ行きに」
そう言ったのは、シハーブの声だ。
「はい。キャプテン・ドレイク率いる海賊船団と、サキルラート公から借りた軍艦10艦が現在アルナハブの南岸につけています」
「その手薄を狙われたか」
「現在キャプテン・ドレイクが船の半数を率いてテビウスへ戻っていますが、半島を回り込むのに5日はかかるかと。マルス様も21ポイントを陥落し、急ぎアズハルへ向かっています」
「アズハル湾には今、我が軍の艦はいくつ停泊している?」
「確認しますが、六艦ほどかと。それと――もうひとつ、スカイ殿から、内密の件が」
使者は声を潜めた。
「スラジャ殿がご懐妊されたと」
「では……陛下の……!?」
使者が頷く。シハーブは険しい顔で何事か考えていたが、やがて意を決したように言った。
「……我々もアズハルで合流するぞ。湾内の軍艦の状況を確認し、兵を集めろ」
そこまで聞いて、サジャーンはそっとその場を離れた。
会話の内容から、シハーブが前王マルスの側近であることはサジャーンにもわかった。
「参ったな……そんな大物だったとは」
サジャーンは頭を掻いてひとりごちた。サジャーンとしては、前王と新王の玉座を巡る争いに思うところがないわけでもなかったが、徒に争いに巻き込まれるつもりもなかったので、どちらかを支持することはしないできていた。
話の内容を聞くに、シハーブは海戦の応援に向かうのだろう。ふと視線を巡らせると、中庭に差し込む陽光の下で駆け回る子供たちが目に入った。恐らく、例の奥方たちが産んだのだろう、淡い金髪の子供たちが無邪気に遊んでいる。その中に、銀の髪のレグルスもいた。
「……あ?」
サジャーンの頭の中で何かが繋がった。中庭を駆け回る子供たち。薄い色の髪の、同じ年頃の。
「こりゃあ……まるでレグルスの――」
兄弟のようだ――という言葉を、サジャーンは飲み込んだ。
違和感の正体が晴れた。と同時に、苦い嫌悪感がどうしようもなくこみ上げてきた。
互いによく似たシハーブの妻たち。彼女たちは、レグルスにこそ似ていたのだ。
「サジャーン」
突然背後から声をかけられて、サジャーンはびくっとして振り向いた。いつからいたのか、そこにはシハーブが立っている。
「残念ながら、お別れのようだ。明朝私はこの屋敷を出ます」
サジャーンは返答に困った。彼がアズハル湾に行くことは先程の会話からすぐに分かった。どうして、と尋ねるべきか。立ち聞きしていたことは気付かれていないのか。口中が乾いて、うまく言葉が出ない。
そんなサジャーンの心中を知ってか知らずか、シハーブは続けた。
「頼みがある。あなたにレグルス様を託します」
「えっ……?」
「レグルス様を戦場には連れていけない。ここの警備も万全とは言い難い。彼を危険に晒すことは許されない。だからどうか、あなたが、連れて行ってください。レグルス様を、安全な場所へ」
「……安全?」
「国外がいい」
「あんた、いい加減に」
いい加減にしろ、と言いかけたサジャーンの言葉を、シハーブが早口で遮った。
「シャルナクの治安は安定している。あそこなら敵の手も届きにくいはず。商人のあなたなら、レグルス様を連れて入国できるでしょう。彼のことは息子でも、奴隷の子とでも言って」
「おい、あんた、さっきから勝手に話を進めてるがな。そもそも何で俺が?あんたには腕の立つ部下が山程いるだろうが」
「あなたが一番信用できるからだ!」
真っ直ぐに見据えられて、サジャーンは言葉を飲んだ。
「お願いです。彼の生命と――がかかっている!」
サジャーンは反論を諦めた。これ以上何を言っても、シハーブが意思を曲げることはないだろう。
中庭ではまだ子供たちが遊んでいる。
「あんた……怖え男だな」
サジャーンが言った。
「否定はしない」
シハーブは短く答えた。その静かな黒い瞳に、彼の背負った宿命に対する覚悟を垣間見て、サジャーンは胸が苦しくなった。
「絶対に、死なせるな」
シハーブが言った。
「ああ、引き受けた」
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