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前編
十二下りの森・弐
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二人が幼い子を宥めている間も、覇白は白刃を乗せて自身の勘で歩いていた。濃い霧も、龍の目の前では意味も成さないのだ。
ずっと乗せているから、白刃も軽く感じてきた。まるで子どもを乗せているような感じ、これなら尖岩にスピード勝負で負ける事はないだろう。
そこまで考えて、それは可笑しいだろと気付く。
「ん……白刃、ちょっといいか」
声をかけると、直ぐには返答が来なかった。
「馬が、喋った……」
驚いたように声を漏らして、それは馬から飛び降りる。
「貴方、今喋りませんでした?」
今更何を言うと答えようとしたが、目の前で好奇心に満ちた目をしている白刃は、美少年といった風貌で、覇白の知っている彼より少し幼かった。
どういう事だ。確かに自分が馬として背に乗せていたのは、二十歳は過ぎた大きな大人だ。子どもでもないし、こんな身長は低くない。
「えっと、私は龍だからな」
「龍って、龍ノ川の! 実在するんだ、凄い……」
なんだか嬉しそうだ。白刃は覇白の顔に手を触れて、確認してみている。龍は馬に化ける事も出来るのかと、そう言いたげだ。
覇白が脳内の処理に追い付かずに黙っていると、それを別の物と感じたのか、白刃はぱっと手を放し、謝る。
「あ……すみません、ご無礼を」
「私は白刃、堅壁のお屋敷でお世話になっている者です。お名前、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
いつもの表面の白刃と同じように、人の好い笑顔で話す。しかし、そこから気色悪さは感じない為、少年である白刃はこれがスタンダードなのかもしれない。もしかしたら、大人になってから何かに目覚めてあぁなったのか、だとしたら時の流れは残酷だ。
そんな事を思いながら、とりあえず覇白は問いに答える。
「私は覇白。龍である」
証明として姿を龍に戻し、見せてやると白刃は一層目を輝かせた。
「師匠にお話しを聞いたことがあります、龍ノ川に住む龍達のお話。あれは本当だったんですね」
そう話してから、辺りの景色を見渡し、覇白に尋ねる。
「ところで、ここって何処ですか?」
「覚えてないか?」
「私は先程まで屋敷の皆と一緒に修行をしていました。気が付いたら馬に乗っていたので、何が起こっているのかが全く……」
「覇白さん、何かご存知でしょうか。私は何故ここにいるのですか?」
混乱しても可笑しくない状況だと言うのに、冷静に対処しようとしている。随分出来た子どもだ。
「そうだな、どこから説明したらいいか。まず、確認したいのだが、今のお前は何歳だ?」
「もう直ぐ十一になります」
「そうか。では、ここはお前からして十二年後の世界という事になるであろうな」
「十二年後……つまり、ここには大人の私もいるのですか?」
「いや、どちらかと言えば、大人のお前が何かしらでその姿になったと言う事だろうな。肉体だけでなく記憶も丸々十二年分遡ったのだろう」
ここまで伝え、覇白は気が付いた。ここは十二下りの森で、中を歩いているうちに白刃が十二歳幼くなり、この姿になった。そして記憶も共に十二年下っている。
「あぁ、そういう事か……」
十二を下ると言うのは、そういう事だ。
自身の体も十二年下っているのだろうか。しかし、何百年も生きているこの身では、十二年前も今も姿形は全く同じだ。記憶がそのままであることの説明が付かないが、それも今ここにいない三人を確かめることが出来れば分かるかもしれない。
「今、私とお前と、あと他の三人で天ノ下という超越者が住まう土地に向かっている。その最中に通った森でこうなったのだ」
「なるほど。不慮の事故という事ですか」
物分かりがよくて助かる。覇白は内心安心しながら、話を進めた。
「あぁ。どうやらその三人とはぐれてしまったようだから、まずはそっちを探そう。この感じだと、あちらも大変な事になっているかもしれんからな」
「そうですね。こちらとしても、いち早く状況の確認がしたいです」
頷くと、にこりと清らかな笑みを浮かべる。
「では、よろしくお願いします。覇白さん」
大人の白刃であれば、他人に対する装いであるが、子どもである彼にとってそれがどちらかは判別がつかない。
一つ言えることは、さん付けで呼ばれる事が非常にくすぐったいと言う事か。
「うむ……その、覇白さんは止めてくれぬか? あと、敬語」
「おや、それでは大人の私はどのように貴方と接しているのですか?」
「敬語を使ってきたのは最初だけだ。いつも呼び捨てだ。それに、少し上から目線というか」
最後のは言わなくて良かったかもしれない。言ってから心配になり、様子を伺ってみると、それは予想外にも嬉しそうな反応を見せていた。
「嬉しいのか?」
訊くと、白刃は小さく頷く。
「憧れなんです。堅壁で育っている事に文句はありません。ですが、兄弟子達や師匠とはまた違う、気軽に一緒に遊べて、お話出来る人が欲しい」
「世間ではこういうのを、友達や仲間って呼ぶそうです」
はにかみながらそう答える白刃は、何処にでもいる子どもそのものであった。なんとなく、いつもの白刃の言動の源を発見したような気がする。
「そうか」
「大人のお前がどう思っているかは分からぬが、まぁ、私達の関係はそう呼んでも間違いではないであろう」
そう答えた所で、ふと思い出した。そう言えば白刃、自分たちの事を玩具だと思っていると言っていたなぁーと。
どこかでねじ曲がったか、それとも先程予測したように目覚めたのか。どちらにせよ、覇白が目の前の彼に願う事は一つだ。
「頼む、お前はそのままで育ってくれ」
おそらく意味は成さないであろう切な頼みに、子どもの白刃は首を傾げた。
「まぁ、行こうか。おそらく、そう遠くには離れていない」
「はい」
歩こうとする白刃に、覇白は一応声をかけてみる。
「乗るか? 先程のように、馬に化ける事は出来るぞ」
「しかし、龍は自尊心が高いと聞きました。よろしいのでしょうか?」
そう、これが正当な反応だ。これが本来返されるべき答えはこれなのだ。これは何心なのだろうか、親心だか兄心だかは分からない何かが、普段は答えるべきではないはずの答えを出させた。
「構わぬぞ。長い事歩くかもしれないからな」
「では、お言葉に甘えて」
馬に化けると、背中に白刃を乗せる。やはり、子どもは軽くていい。馬として乗せるなら子どもの方が良いなと。後にも先にも龍を馬として使うのは白刃くらいだろうが。
尖岩達の気配を辿りながら、捜し歩いていると案外直ぐに合流できた。この森にいるのはおそらくこの五人だけだ、気配もそうだが龍は耳もいい。声の方向に行けば直ぐに出会えた。
同じく尖岩達もこちらを探していたようで、全体的に白いそれが目に入ると駆け寄って来る。
「おぉ覇白! と、白刃、だよな?」
「はい、白刃です。と言っても、私は貴方が知っている大人の白刃ではないのですが」
馬から降りた白刃は、なんと尖岩より身長が十センチほど低い。
「ほー、あの異様にデカい男にもこんな時期があったなんてなぁ。はは、俺の方が身長高い、すっげぇ新鮮」
「凄い。白刃の顔が見上げなくても見える」
いつも見下される側の二人は小さい白刃に感心して、その頭にぽんと手を置く。そう、置けるのだ。これは今しかできない事だから、やっておかねば。
謎に喜んでいる低身長二人に、白刃が尋ねた。
「貴方達は、見た所私より少し年上くらいですよね。そのお力、どこかの屋敷の子ですか?」
そうすると、その二人は固まり、覇白が思わず吹き出しそうになる。
今の白刃より少し年上、それはつまり、十代前半から中盤という事だ。確認しておくが、二人はこう見えてもカンスト年齢である。
彼らの反応を不思議に思っている白刃。その状況を覇白がまとめてやろうと声を出そうとしたが、その前に、山砕の体に隠れていた鏡月が体を半分出して、白刃を見つめる。
視線に気づいた白刃が、彼に目線を合わせて微笑む。
「どうかいたしましたか?」
「は、はじめまして。ぼくは、きょうげつです……」
名前を言うと、鏡月はまた身を隠す。山砕が「お名前言えていい子だな」と褒めてやると、嬉しそうに方を緩ませた。
「鏡月も元は少年くらいの年齢ではあったんだけどな、お前と同じくこの森で小さくなっちまった」
だけど、本人はその事は分かっていないし、教えても理解してもらえないだろうと尖岩が話す。その間にも、鏡月は山砕の後ろから様子を伺うようにチラチラと白刃を見ていた。
「悪い白刃、少し鏡月の相手しててくれる? 鏡月、あのお兄ちゃんも怖い人じゃないから大丈夫だから、少し遊んでもらえー」
変化していない三人で少し話し合わなければならない。山砕は鏡月に優しく声をかけると、白刃は怖い人じゃないと判定したらしく、素直に頷いた。
「では、私たちは待っていますので」
「ありがとな、白刃」
尖岩は普段の白刃とこの白刃を重ねて、その差に若干の気味悪さを感じながらも礼を言う。
人目が多い時の外面に近いが、それとはまた別の何かだと感じ取り、おそらくその誤差の違和感がこの気味悪さの正体だろう。これはあまり気にしない方がいい。
何も変化していない三人が、白刃達と数歩離れた所で話し始める。
「しかし、やはりお前等もそのままなのだな」
「やっぱり、そういう?」
「おそらく。先程白刃に年齢を聞いたら、十一歳と答えた。丁度十二年前の肉体と記憶なのだろう。となると、鏡月の方も十二年前は五歳であるからあのくらいだろうし、これは確定で良いと思う」
覇白の考えには二人も同意だ。これで十二下りの意味は分かった、ここまでは良い。
「問題は、俺達なんだよなぁ」
「うん。肉体は説明が付くけど、記憶の方なんだよな」
尖岩も山砕も、今朝の記憶はこの脳内にはっきりある。肉体に変化が見られなくとも、記憶は十二年分遡っていないと可笑しい事になる。
考えればそれらしい考えは出てくる。
「私達の共通点と言えば、なんだ? 人外な事だろうか」
覇白の言葉に、尖岩が遺憾そうに割り込んでくる。
「待て覇白、人外は語弊がある」
「そうだよ。遺脱者だけど、一応人間なんだよ」
超越者に選ばれ、人の輪から外れ人でなくなった、しかし人である者が遺脱者だ。少なからず寿命は人の物ではないが、確かに人として生まれ育った。であるから、一括りに人外とそれるのは好ましくない。
「ここでお前等を人間扱いしたら話がまとまらないのだよ。今は我慢しろ」
「まぁいいけどよぉ」
グダグダ言っていても長引くだけの為、渋々呑み込む。
「まぁ粗方あれだろ? 普通の人間にだけ効果がある術か何かだろ。そもそも俺等は肉体も記憶も戻っちゃいないって線が濃いと思うぞ」
「なるほどな。十分あり得る話だ。しかし、この森全体に術をかけるのは余程の術者ではければならないであろう。超越者なら容易いだろうが、奴はやるなら直接やってくる」
「確かになぁ。あ、あれじゃないの? 森自体の効力でそういうのがあるとか」
「あー、その線あるな。けどそんだったらさ、もっと踏み入れた時に大きな力を感じられると思うぞ。十二年の時を戻すには土地の効力にしろ術にしろすげぇ力あるはずだぞ」
「それもそうだな。ここからは秀でた力を感じぬ」
三人は考える。変化している者といない者の違いは明らかではあるが、何故それが起こっているかを考えれば、どの説でも一致しない部分が出てくる。
前提条件として、どんな方法でも肉体の時を十二年も遡らせるには力が必要だ。じゃあその力は? この森の空気は何処にでもある普通の森と同じだ。
まず子どもになってしまったこの二人をどうにかしたいのに、原因が分からなければどうも出来ない。時間経過で元通りになる事を願ってしばらくこれで連れ歩くか。となると、問題は鏡月だ。白刃は状況を理解して呑み込んでくれているが、鏡月の歳でそれは難しい。
それに、先程尖岩と山砕が「お家に帰してやる!」だなんて勢い任せに約束してしまったのだ。
唸っていると、その様子を鏡月の相手をしながら見ていた白刃が声をかける。
「あの、よろしければなのですけど、大将師匠を頼ったらどうでしょうか」
「お前のお師匠さんか?」
尖岩が訊き返すと、白刃はこくりと頷く。
「はい。あのお方は博識な方ですし、この状況も理解して解決策を出してくれるかもしれません」
「貴方達が世紀を揺るがす悪さをしたとかそういうような方でなければ、師匠は喜んで手助けしてくれるでしょう」
さながら聖人のような笑みを浮かべてそう告げた。
世紀を揺るがす悪さ、か。そう言いたげに覇白と山砕は尖岩に目をやる。あからさまにそれから逃げると、白刃は何かを察したのか、苦笑いで尋ねて来た。
「聞きそびれましたが、お二人のお名前は何というのでしょうか?」
「俺は山砕」
「あー、俺はぁそうだな。尖岩っちゅーんだけど……」
名前は少し小声勝ちになってしまったが、ばっちり聞き取られただろう。今でも名高いその名前を。
「尖岩。あぁ、数百年前に世間で大暴れした猿使いですか。かつての大悪党と名高い」
卑下をしているようでもないが、やはりあまりいい印象ではないのだろう。まず大悪党の名を持つ者にいい印象を持っている方が可笑しい。
「大悪党言うても、俺は人さえ殺さなければ遊びの範疇になるって思ってたんだよ。言うて俺、暴れたけど俺は誰も殺してないし、殺せとも指示してないぞ。魔の者が勝手に殺し始めたんだ、俺はすこーし暴れていいと言っただけなんだぜ! マジで」
弁解するように言い訳をする尖岩。しかし、嘘は言っていない。確かに自分は魔の者を誑かしたが、ちょっとした遊びに誘ったようなモノだったのだ。まさかあんなに血みどろ祭りを始めるとは考えてもいなかった。
しかしまぁ、なんだか楽しくなって便乗して暴れたのは自分であるが。
「悪さは悪さです」
「そりゃそうだよなぁー。だけどさ、俺五百年閉じ込められて結構懲りてるから、な?」
「ご安心ください、私が貴方に罰を与える資格はありませんので、特に何もしませんよ。そもそも、する術もありませんし」
まるで術さえあればしてやるとでも言いたげな雰囲気ではあるが、一応そういうのではないはずだ。しかし、どこか残念そうな顔をしているのが怖い。
そんな尖岩の内心などいざ知らず、白刃は言葉を続ける。
「まぁ大丈夫でしょう。如何なさいます?」
「まぁ、今はそこを頼るしかなかろう」
「だな。大丈夫か、尖岩」
「平気だ。もしかしたら鏡月の家も分かるかもしれねぇし」
鏡月は白刃に懐いたようで、その横で何を話しているのか不思議そうに見ている。
意見をまとめ、それではそちらに向かおうかとした時に、何かを思いついたようで山砕がニヤニヤしながら白刃に声をかけた。
「ところで白刃、ちょっと尖岩のこの輪を締める事をイメージしながらさ、手握ってみてよ」
「ちょ、まて山砕、何を教えて――」
こいつが何をしたがっているかを察して慌てるが、白刃はそれを言われると直ぐに手を握ってしまった。しかも、思いっきり。
気付かれないように極力反応は控えたが、それでも頭に走る激痛は顔に出てしまう。白刃は今何をしたかを理解した。
「なるほど、こういった術なのですか」
握っていた手を解き、尖岩が安心した所で再び一気に力を籠める。
「ふふっ、面白い……」
やはりこいつは白刃だ。十一の時に自分の癖に気が付いていなかっただけで、あの白刃なのだ。
「しらはくん、おにいさんいじめちゃダメだよ。かわいそう」
「あぁ、そうですね鏡月くん。すみません、あまりにも愉快な反応をなさるので、つい」
「尖岩くん、大丈夫ですか?」
「いつもの事だ、気にするな」
そうは答えたが、子どもと言うのは手加減を知らなくて困る。さっきの、本当に痛かった。かち割れるかと思ったではないか。
と思ったが、今朝もかち割れる程に絞められた。これだから先天的なサディストは。そう先天的なヤンチャ者がぼやいてみたりして、自身の頭をさすった。
「ところで白刃、堅壁のお屋敷って何処にあるんだ?」
「……えーっとー、正直言うと、私はこれまで屋敷の敷地内とその周りしか出た事がないものでして。その」
この時点でどのような答えかは分かる。内心あぁと声を漏らすと、白刃がきっぱりと答えた。
「知りません」
「だと思ったよ」
案の定の回答にツッコむと、尖岩はどうしたものかと考える。空を仰いで思考を巡らせると、ふと気まぐれも気まぐれな奴が脳内に声をかけてくる。
それを聞いてハッとした。そうじゃん、そうすればよかった話じゃんと。
「あぁ、そうじゃん。そうした方が何もかも速いじゃん」
「ん、どうした尖岩」
山砕が訊くと、尖岩は覇白に目をやる。
「覇白、お前に乗って空から探せば速いじゃん」
「馬は飛べぬぞ?」
当然の様に馬として乗せる気でいるようだが、覇白は馬として使われているだけで馬ではない。そもそも龍が自分に乗せると言う考えで真っ先に「馬として」が思い浮かぶ時点で大分毒されていると言うか何と言うか。
「お前は馬じゃないだろ……飛行は龍の十八番だろ?」
「そ、そうだったな」、
「龍のプライド何処に行ったんだよ、お前」
言われると確かにそうだ。自尊心とプライドが無駄に高い事で有名な龍が数日馬として使われたからと言ってそんな思考に変わっていいモノかと。そんなのだから純粋だと言われてしまうのではないかと。
「プライドや自尊心は時に邪魔でしかありませんからね、別にいいと思いますよ。純粋で、なんとも可愛らしい」
子どもの白刃にも言われてしまった。しかも可愛らしいを追加されてだ。言葉に刺された覇白の様子を見て、白刃は言葉のチョイスを誤った事に気が付く。
「私としては褒めたつもりでしたが、違いましたか」
「まぁよい。行くのであればさっさと行くぞ」
足元から風を巻き起こして、龍の姿に戻る。龍と言うのは長細いモノなので、立て並びに乗られるのだが、これは中々飛びづらいのだ。出来れば避けたいが、本来の能力を求められるのは嫌な気はしない。しかし、落としそうで怖いと言うのも本音だ。
「危ないから、しっかり掴まれよ」
一度注意をしておいてから、ゆっくり上空に浮かび上がる。最初に白刃と会った荒野辺りに行けば、必然と堅壁のお屋敷には近づくだろう。まずはそちらに向かって飛んでみる事にした。あまり、人目に付かないようにして。
ずっと乗せているから、白刃も軽く感じてきた。まるで子どもを乗せているような感じ、これなら尖岩にスピード勝負で負ける事はないだろう。
そこまで考えて、それは可笑しいだろと気付く。
「ん……白刃、ちょっといいか」
声をかけると、直ぐには返答が来なかった。
「馬が、喋った……」
驚いたように声を漏らして、それは馬から飛び降りる。
「貴方、今喋りませんでした?」
今更何を言うと答えようとしたが、目の前で好奇心に満ちた目をしている白刃は、美少年といった風貌で、覇白の知っている彼より少し幼かった。
どういう事だ。確かに自分が馬として背に乗せていたのは、二十歳は過ぎた大きな大人だ。子どもでもないし、こんな身長は低くない。
「えっと、私は龍だからな」
「龍って、龍ノ川の! 実在するんだ、凄い……」
なんだか嬉しそうだ。白刃は覇白の顔に手を触れて、確認してみている。龍は馬に化ける事も出来るのかと、そう言いたげだ。
覇白が脳内の処理に追い付かずに黙っていると、それを別の物と感じたのか、白刃はぱっと手を放し、謝る。
「あ……すみません、ご無礼を」
「私は白刃、堅壁のお屋敷でお世話になっている者です。お名前、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
いつもの表面の白刃と同じように、人の好い笑顔で話す。しかし、そこから気色悪さは感じない為、少年である白刃はこれがスタンダードなのかもしれない。もしかしたら、大人になってから何かに目覚めてあぁなったのか、だとしたら時の流れは残酷だ。
そんな事を思いながら、とりあえず覇白は問いに答える。
「私は覇白。龍である」
証明として姿を龍に戻し、見せてやると白刃は一層目を輝かせた。
「師匠にお話しを聞いたことがあります、龍ノ川に住む龍達のお話。あれは本当だったんですね」
そう話してから、辺りの景色を見渡し、覇白に尋ねる。
「ところで、ここって何処ですか?」
「覚えてないか?」
「私は先程まで屋敷の皆と一緒に修行をしていました。気が付いたら馬に乗っていたので、何が起こっているのかが全く……」
「覇白さん、何かご存知でしょうか。私は何故ここにいるのですか?」
混乱しても可笑しくない状況だと言うのに、冷静に対処しようとしている。随分出来た子どもだ。
「そうだな、どこから説明したらいいか。まず、確認したいのだが、今のお前は何歳だ?」
「もう直ぐ十一になります」
「そうか。では、ここはお前からして十二年後の世界という事になるであろうな」
「十二年後……つまり、ここには大人の私もいるのですか?」
「いや、どちらかと言えば、大人のお前が何かしらでその姿になったと言う事だろうな。肉体だけでなく記憶も丸々十二年分遡ったのだろう」
ここまで伝え、覇白は気が付いた。ここは十二下りの森で、中を歩いているうちに白刃が十二歳幼くなり、この姿になった。そして記憶も共に十二年下っている。
「あぁ、そういう事か……」
十二を下ると言うのは、そういう事だ。
自身の体も十二年下っているのだろうか。しかし、何百年も生きているこの身では、十二年前も今も姿形は全く同じだ。記憶がそのままであることの説明が付かないが、それも今ここにいない三人を確かめることが出来れば分かるかもしれない。
「今、私とお前と、あと他の三人で天ノ下という超越者が住まう土地に向かっている。その最中に通った森でこうなったのだ」
「なるほど。不慮の事故という事ですか」
物分かりがよくて助かる。覇白は内心安心しながら、話を進めた。
「あぁ。どうやらその三人とはぐれてしまったようだから、まずはそっちを探そう。この感じだと、あちらも大変な事になっているかもしれんからな」
「そうですね。こちらとしても、いち早く状況の確認がしたいです」
頷くと、にこりと清らかな笑みを浮かべる。
「では、よろしくお願いします。覇白さん」
大人の白刃であれば、他人に対する装いであるが、子どもである彼にとってそれがどちらかは判別がつかない。
一つ言えることは、さん付けで呼ばれる事が非常にくすぐったいと言う事か。
「うむ……その、覇白さんは止めてくれぬか? あと、敬語」
「おや、それでは大人の私はどのように貴方と接しているのですか?」
「敬語を使ってきたのは最初だけだ。いつも呼び捨てだ。それに、少し上から目線というか」
最後のは言わなくて良かったかもしれない。言ってから心配になり、様子を伺ってみると、それは予想外にも嬉しそうな反応を見せていた。
「嬉しいのか?」
訊くと、白刃は小さく頷く。
「憧れなんです。堅壁で育っている事に文句はありません。ですが、兄弟子達や師匠とはまた違う、気軽に一緒に遊べて、お話出来る人が欲しい」
「世間ではこういうのを、友達や仲間って呼ぶそうです」
はにかみながらそう答える白刃は、何処にでもいる子どもそのものであった。なんとなく、いつもの白刃の言動の源を発見したような気がする。
「そうか」
「大人のお前がどう思っているかは分からぬが、まぁ、私達の関係はそう呼んでも間違いではないであろう」
そう答えた所で、ふと思い出した。そう言えば白刃、自分たちの事を玩具だと思っていると言っていたなぁーと。
どこかでねじ曲がったか、それとも先程予測したように目覚めたのか。どちらにせよ、覇白が目の前の彼に願う事は一つだ。
「頼む、お前はそのままで育ってくれ」
おそらく意味は成さないであろう切な頼みに、子どもの白刃は首を傾げた。
「まぁ、行こうか。おそらく、そう遠くには離れていない」
「はい」
歩こうとする白刃に、覇白は一応声をかけてみる。
「乗るか? 先程のように、馬に化ける事は出来るぞ」
「しかし、龍は自尊心が高いと聞きました。よろしいのでしょうか?」
そう、これが正当な反応だ。これが本来返されるべき答えはこれなのだ。これは何心なのだろうか、親心だか兄心だかは分からない何かが、普段は答えるべきではないはずの答えを出させた。
「構わぬぞ。長い事歩くかもしれないからな」
「では、お言葉に甘えて」
馬に化けると、背中に白刃を乗せる。やはり、子どもは軽くていい。馬として乗せるなら子どもの方が良いなと。後にも先にも龍を馬として使うのは白刃くらいだろうが。
尖岩達の気配を辿りながら、捜し歩いていると案外直ぐに合流できた。この森にいるのはおそらくこの五人だけだ、気配もそうだが龍は耳もいい。声の方向に行けば直ぐに出会えた。
同じく尖岩達もこちらを探していたようで、全体的に白いそれが目に入ると駆け寄って来る。
「おぉ覇白! と、白刃、だよな?」
「はい、白刃です。と言っても、私は貴方が知っている大人の白刃ではないのですが」
馬から降りた白刃は、なんと尖岩より身長が十センチほど低い。
「ほー、あの異様にデカい男にもこんな時期があったなんてなぁ。はは、俺の方が身長高い、すっげぇ新鮮」
「凄い。白刃の顔が見上げなくても見える」
いつも見下される側の二人は小さい白刃に感心して、その頭にぽんと手を置く。そう、置けるのだ。これは今しかできない事だから、やっておかねば。
謎に喜んでいる低身長二人に、白刃が尋ねた。
「貴方達は、見た所私より少し年上くらいですよね。そのお力、どこかの屋敷の子ですか?」
そうすると、その二人は固まり、覇白が思わず吹き出しそうになる。
今の白刃より少し年上、それはつまり、十代前半から中盤という事だ。確認しておくが、二人はこう見えてもカンスト年齢である。
彼らの反応を不思議に思っている白刃。その状況を覇白がまとめてやろうと声を出そうとしたが、その前に、山砕の体に隠れていた鏡月が体を半分出して、白刃を見つめる。
視線に気づいた白刃が、彼に目線を合わせて微笑む。
「どうかいたしましたか?」
「は、はじめまして。ぼくは、きょうげつです……」
名前を言うと、鏡月はまた身を隠す。山砕が「お名前言えていい子だな」と褒めてやると、嬉しそうに方を緩ませた。
「鏡月も元は少年くらいの年齢ではあったんだけどな、お前と同じくこの森で小さくなっちまった」
だけど、本人はその事は分かっていないし、教えても理解してもらえないだろうと尖岩が話す。その間にも、鏡月は山砕の後ろから様子を伺うようにチラチラと白刃を見ていた。
「悪い白刃、少し鏡月の相手しててくれる? 鏡月、あのお兄ちゃんも怖い人じゃないから大丈夫だから、少し遊んでもらえー」
変化していない三人で少し話し合わなければならない。山砕は鏡月に優しく声をかけると、白刃は怖い人じゃないと判定したらしく、素直に頷いた。
「では、私たちは待っていますので」
「ありがとな、白刃」
尖岩は普段の白刃とこの白刃を重ねて、その差に若干の気味悪さを感じながらも礼を言う。
人目が多い時の外面に近いが、それとはまた別の何かだと感じ取り、おそらくその誤差の違和感がこの気味悪さの正体だろう。これはあまり気にしない方がいい。
何も変化していない三人が、白刃達と数歩離れた所で話し始める。
「しかし、やはりお前等もそのままなのだな」
「やっぱり、そういう?」
「おそらく。先程白刃に年齢を聞いたら、十一歳と答えた。丁度十二年前の肉体と記憶なのだろう。となると、鏡月の方も十二年前は五歳であるからあのくらいだろうし、これは確定で良いと思う」
覇白の考えには二人も同意だ。これで十二下りの意味は分かった、ここまでは良い。
「問題は、俺達なんだよなぁ」
「うん。肉体は説明が付くけど、記憶の方なんだよな」
尖岩も山砕も、今朝の記憶はこの脳内にはっきりある。肉体に変化が見られなくとも、記憶は十二年分遡っていないと可笑しい事になる。
考えればそれらしい考えは出てくる。
「私達の共通点と言えば、なんだ? 人外な事だろうか」
覇白の言葉に、尖岩が遺憾そうに割り込んでくる。
「待て覇白、人外は語弊がある」
「そうだよ。遺脱者だけど、一応人間なんだよ」
超越者に選ばれ、人の輪から外れ人でなくなった、しかし人である者が遺脱者だ。少なからず寿命は人の物ではないが、確かに人として生まれ育った。であるから、一括りに人外とそれるのは好ましくない。
「ここでお前等を人間扱いしたら話がまとまらないのだよ。今は我慢しろ」
「まぁいいけどよぉ」
グダグダ言っていても長引くだけの為、渋々呑み込む。
「まぁ粗方あれだろ? 普通の人間にだけ効果がある術か何かだろ。そもそも俺等は肉体も記憶も戻っちゃいないって線が濃いと思うぞ」
「なるほどな。十分あり得る話だ。しかし、この森全体に術をかけるのは余程の術者ではければならないであろう。超越者なら容易いだろうが、奴はやるなら直接やってくる」
「確かになぁ。あ、あれじゃないの? 森自体の効力でそういうのがあるとか」
「あー、その線あるな。けどそんだったらさ、もっと踏み入れた時に大きな力を感じられると思うぞ。十二年の時を戻すには土地の効力にしろ術にしろすげぇ力あるはずだぞ」
「それもそうだな。ここからは秀でた力を感じぬ」
三人は考える。変化している者といない者の違いは明らかではあるが、何故それが起こっているかを考えれば、どの説でも一致しない部分が出てくる。
前提条件として、どんな方法でも肉体の時を十二年も遡らせるには力が必要だ。じゃあその力は? この森の空気は何処にでもある普通の森と同じだ。
まず子どもになってしまったこの二人をどうにかしたいのに、原因が分からなければどうも出来ない。時間経過で元通りになる事を願ってしばらくこれで連れ歩くか。となると、問題は鏡月だ。白刃は状況を理解して呑み込んでくれているが、鏡月の歳でそれは難しい。
それに、先程尖岩と山砕が「お家に帰してやる!」だなんて勢い任せに約束してしまったのだ。
唸っていると、その様子を鏡月の相手をしながら見ていた白刃が声をかける。
「あの、よろしければなのですけど、大将師匠を頼ったらどうでしょうか」
「お前のお師匠さんか?」
尖岩が訊き返すと、白刃はこくりと頷く。
「はい。あのお方は博識な方ですし、この状況も理解して解決策を出してくれるかもしれません」
「貴方達が世紀を揺るがす悪さをしたとかそういうような方でなければ、師匠は喜んで手助けしてくれるでしょう」
さながら聖人のような笑みを浮かべてそう告げた。
世紀を揺るがす悪さ、か。そう言いたげに覇白と山砕は尖岩に目をやる。あからさまにそれから逃げると、白刃は何かを察したのか、苦笑いで尋ねて来た。
「聞きそびれましたが、お二人のお名前は何というのでしょうか?」
「俺は山砕」
「あー、俺はぁそうだな。尖岩っちゅーんだけど……」
名前は少し小声勝ちになってしまったが、ばっちり聞き取られただろう。今でも名高いその名前を。
「尖岩。あぁ、数百年前に世間で大暴れした猿使いですか。かつての大悪党と名高い」
卑下をしているようでもないが、やはりあまりいい印象ではないのだろう。まず大悪党の名を持つ者にいい印象を持っている方が可笑しい。
「大悪党言うても、俺は人さえ殺さなければ遊びの範疇になるって思ってたんだよ。言うて俺、暴れたけど俺は誰も殺してないし、殺せとも指示してないぞ。魔の者が勝手に殺し始めたんだ、俺はすこーし暴れていいと言っただけなんだぜ! マジで」
弁解するように言い訳をする尖岩。しかし、嘘は言っていない。確かに自分は魔の者を誑かしたが、ちょっとした遊びに誘ったようなモノだったのだ。まさかあんなに血みどろ祭りを始めるとは考えてもいなかった。
しかしまぁ、なんだか楽しくなって便乗して暴れたのは自分であるが。
「悪さは悪さです」
「そりゃそうだよなぁー。だけどさ、俺五百年閉じ込められて結構懲りてるから、な?」
「ご安心ください、私が貴方に罰を与える資格はありませんので、特に何もしませんよ。そもそも、する術もありませんし」
まるで術さえあればしてやるとでも言いたげな雰囲気ではあるが、一応そういうのではないはずだ。しかし、どこか残念そうな顔をしているのが怖い。
そんな尖岩の内心などいざ知らず、白刃は言葉を続ける。
「まぁ大丈夫でしょう。如何なさいます?」
「まぁ、今はそこを頼るしかなかろう」
「だな。大丈夫か、尖岩」
「平気だ。もしかしたら鏡月の家も分かるかもしれねぇし」
鏡月は白刃に懐いたようで、その横で何を話しているのか不思議そうに見ている。
意見をまとめ、それではそちらに向かおうかとした時に、何かを思いついたようで山砕がニヤニヤしながら白刃に声をかけた。
「ところで白刃、ちょっと尖岩のこの輪を締める事をイメージしながらさ、手握ってみてよ」
「ちょ、まて山砕、何を教えて――」
こいつが何をしたがっているかを察して慌てるが、白刃はそれを言われると直ぐに手を握ってしまった。しかも、思いっきり。
気付かれないように極力反応は控えたが、それでも頭に走る激痛は顔に出てしまう。白刃は今何をしたかを理解した。
「なるほど、こういった術なのですか」
握っていた手を解き、尖岩が安心した所で再び一気に力を籠める。
「ふふっ、面白い……」
やはりこいつは白刃だ。十一の時に自分の癖に気が付いていなかっただけで、あの白刃なのだ。
「しらはくん、おにいさんいじめちゃダメだよ。かわいそう」
「あぁ、そうですね鏡月くん。すみません、あまりにも愉快な反応をなさるので、つい」
「尖岩くん、大丈夫ですか?」
「いつもの事だ、気にするな」
そうは答えたが、子どもと言うのは手加減を知らなくて困る。さっきの、本当に痛かった。かち割れるかと思ったではないか。
と思ったが、今朝もかち割れる程に絞められた。これだから先天的なサディストは。そう先天的なヤンチャ者がぼやいてみたりして、自身の頭をさすった。
「ところで白刃、堅壁のお屋敷って何処にあるんだ?」
「……えーっとー、正直言うと、私はこれまで屋敷の敷地内とその周りしか出た事がないものでして。その」
この時点でどのような答えかは分かる。内心あぁと声を漏らすと、白刃がきっぱりと答えた。
「知りません」
「だと思ったよ」
案の定の回答にツッコむと、尖岩はどうしたものかと考える。空を仰いで思考を巡らせると、ふと気まぐれも気まぐれな奴が脳内に声をかけてくる。
それを聞いてハッとした。そうじゃん、そうすればよかった話じゃんと。
「あぁ、そうじゃん。そうした方が何もかも速いじゃん」
「ん、どうした尖岩」
山砕が訊くと、尖岩は覇白に目をやる。
「覇白、お前に乗って空から探せば速いじゃん」
「馬は飛べぬぞ?」
当然の様に馬として乗せる気でいるようだが、覇白は馬として使われているだけで馬ではない。そもそも龍が自分に乗せると言う考えで真っ先に「馬として」が思い浮かぶ時点で大分毒されていると言うか何と言うか。
「お前は馬じゃないだろ……飛行は龍の十八番だろ?」
「そ、そうだったな」、
「龍のプライド何処に行ったんだよ、お前」
言われると確かにそうだ。自尊心とプライドが無駄に高い事で有名な龍が数日馬として使われたからと言ってそんな思考に変わっていいモノかと。そんなのだから純粋だと言われてしまうのではないかと。
「プライドや自尊心は時に邪魔でしかありませんからね、別にいいと思いますよ。純粋で、なんとも可愛らしい」
子どもの白刃にも言われてしまった。しかも可愛らしいを追加されてだ。言葉に刺された覇白の様子を見て、白刃は言葉のチョイスを誤った事に気が付く。
「私としては褒めたつもりでしたが、違いましたか」
「まぁよい。行くのであればさっさと行くぞ」
足元から風を巻き起こして、龍の姿に戻る。龍と言うのは長細いモノなので、立て並びに乗られるのだが、これは中々飛びづらいのだ。出来れば避けたいが、本来の能力を求められるのは嫌な気はしない。しかし、落としそうで怖いと言うのも本音だ。
「危ないから、しっかり掴まれよ」
一度注意をしておいてから、ゆっくり上空に浮かび上がる。最初に白刃と会った荒野辺りに行けば、必然と堅壁のお屋敷には近づくだろう。まずはそちらに向かって飛んでみる事にした。あまり、人目に付かないようにして。
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