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37話 俺と少女

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「☆さすがに騙しとおせねぇか……☆」
「俺は別にアンタら敵だと思っちゃいない」
「☆えっ……でも、俺らは敵、で★」
「何かあってこの俺の、いや身体の女の子守ってんじゃないか?」

 たとえばSFっていうかファンタジーでよくある頭打ってしまい入れ替わる。
 何かあって俺は入れ替わってしまい、でどうもクロノに欲情されてる気配。
 つまり元々は彼女とかで例えば――そうさっきの化け物に何かされた。

「☆……カナちゃん、真実を言うから落ち着いてきいてほしい☆」
「おう」
「☆異世界転生、彼女はそう言っていた☆」
「は?」

 あれ、SFって異世界転生系とはジャンルが離れてねーか?
 つーか異世界転生なら何で俺には記憶が無い?
 というか異世界転生って俺の知るかぎり前世でこう不満がある奴がなる――

「☆もう失いたくないんだよクロノは、だから強硬手段しかなかった☆」
「強硬手段?」
「☆お前の記憶を消したのは俺たちだ☆」
「はぁ!?」
「☆ただ、お前はこの世界に絶望して自殺しかけたんで本当に仕方なく!!☆」

 あ、それはこのカナって子が悪いわ。
 いやそれ俺か、自殺するほど追い詰められてたってことか。
 宇宙規模の化け物が、もしかして愛って求婚とかそういう。

 もしかして厄介なストーカーあっち(ミコ・テンシ)か!?

「なるほど、さっき外にいたミコ・テンシって化け物に俺は追い詰められてた――か?」
「☆俺はクロノを一度、裏切っちまった……だからアイツが穏やかに生きるために何でもする☆」
「……俺を部屋に戻してくれ」

 クロノを落ち着かせるべきだなまずは。俺が監禁部屋に戻れば多少でも安心するだろ。

 部屋に戻って待っているとクロノが慌てて部屋の扉をあけた。

「カナちゃ」
「……えっち」

 水着だったから着替えている最中である。
 裸の俺に慌てクロノ。
 タコ足が全部あわあわしているのがよく分かる。

「ッごめん!!」
「ノックぐらいしろよな、ほら着替え終わったから」
「……カナちゃん?」

 伸びてくるタコ足、なんか変だな、気持ち悪いと思えない。
 いやちがう【美味しそう】に見える。
 紅くそまって、より美味しそうで。じゅるり、という交換が自分の口から聞こえる。

「え、俺――なに?よだれ出る病気か?」
「……カナちゃん美味しそうに食べてたもんね」
「その足は絶対に切るなよ」
「食べないの?」
「で、クラゲとプーくんは大丈夫なのか?」
「んぎ、g、ぷぅグは元から損傷が激しくてね……地球語で例えるなら、麻酔かけて手術中なのに無理やり起きて病院を出ちゃった子」

 それは怒鳴りたくもなるわ病院に戻れ。
 でも、確信した、こいつ俺の――カナに害成す気がない。
 逃げ出すとか俺がしないかぎりは多分大丈夫だな。
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