異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価

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66話 国王登場

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サカネさんの家に行ってから五日間が経過した。
ティラノがここにサカネさんとそのご家族をカミノに連れてきてくれた。
カミノ城の一室でレイニーに今までの流れを説明。

「という訳でサカネさんがここにいます」

 ベッドで跳ねて遊ぶサンタくん。
 ちなみにレイニーの、である。
 何という度胸、でも子供だからこそ相手が王子とか良く分かってないのかも。

「子供が私の部屋のベッドで跳ねていた時は何ごとかと思いましたよ」
「そんでウチここで暮らす訳やし国王様に挨拶したいねんけど」
「許可は私が出しますが、その役目を〈与えられた〉魔物は地下で寝ていまして」
「レイニーが国王を名乗れば良かったんちゃうんけ?」
「あとで話しますよ」

せっかくなので俺すら初対面の国王に会わせてくれるとレイニー。
地下に案内されればなんと鉄の檻に閉じ込められていた。
国王は〈封〉とかかれた布でぐるぐる巻き。

「寝てるっていうかこれ封印……じゃねぇの?」
「起きてくださーい」

布がシュルシュルと音を立てて解けていく。その姿に思わず驚きの声を出した。
中から出てきたのは人型でどうみても若い女性だったからだ。
いや、魔物って言ってたからこれも変身だろう。

「えっ」
「トルマリンやんけ!?」
「知り合いなのですね」
「ノアが一番頼りにしとった魔物やな」

 急にトルマリンが近づいきた。

「オマエ何者ダ」

言葉が電子音に聞こえる。まるでテレビのニュースで声をかくす時に使うボイスチェンジャーのようだ。ボーカロイドが喋っていると言われても納得。

「異世界転生者でカドマツと申します」
「ナゼゴシュジンサマノ……『ノア』の匂イガスル?」

この世界に転生してから時間がかなりの時間があったのにまだ匂うの?
身体洗う石鹸、変えようかな。

「久しぶりやな」
「サカネ、元気ソウデナニヨリダ」
「なんで封印されてたんや?」
「コレハタダノ布団ダ」

布団ならややこしいからデザインを変えてほしい。

「んなわけあるかい」
「騙サレナイカ、ジョーダンダ」

騙されました。
俺のチョロさを心配するウルフさんの気持ちが少し分かった。

「ほんまのところは?」
「ワタシノ〈ムユウビョウ(夢遊病)〉デ、国民ヲ傷ツケナイタメダ」
「暴れて大変やったもんな……〈カード〉に戻れへんの?」
「シュジンガ死ンデカラハ戻レテイナイ」

レイニーに〈カード〉とはスキルカードのことかと聞けば、ノアのスキルは魔物を小さなカードに変化させることができた。だから必要がない時は魔物たちを鞄の中に入れていたそうだ。

「この魔物と共にカミノ王国を復活させたのです」
「復活?」
「カミノ王国は1度滅びて人間が1人もいなくなり、彼と私で1からもう一度国を作りました」

 国王とか王子の話にかーなーり違和感があったのはこういうことなのか。
 いつまでも顔を表さない国王に、好き放題している王子。
 不思議に思うことはまだある。

「それ国民全員が魔物な必要あったか? それに国王はレイニーがやれば良かったじゃん」
「まず私は国を作る気など当時はなく、魔物は全員を逃がすつもりでした」

かつてレイニーは人がいなくなった荒地で魔物たちを閉じ込めていたカードから解放したらしい。
 そこでトルマリンが国を作るから手伝ってほしいとレイニーに依頼した。
 主人が遺した遺言のためにはレイニーの力がいる……と。

「国王は嫌だと言ったら王子でもいいから、と彼に王子を任命されました」
「でも、結局この国を治めることに成ったわけか」
「滅んだ国を復活さして全員が魔物って聞いたねんから悪いこと企んでるて思ってたわ」
「……泣きますよ?」

 本当に泣いちゃったら国が沈むからやめてほしい。
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