この学園には図書委員がいない!

空飛ぶ桂川

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始業式のため、昼前に放課後をむかえる。
今日は神沢と森下は学級委員の仕事があるらしく、忙しそうだったのでまっすぐ帰ることにした。
校舎を出ようとしたところで後ろから小柄な女子にタックルをされる。

「ってーな!なんだよお前は・・・。」
「なんだよ・・・ってさっき会ったばっかっすけど?」
「そうじゃなくて・・・なんで俺がお前に攻撃されなきゃならんのかを聞いてんだよ。」
「あー!わるいっす!なんとなくっすよ!でも学校イチのアイドルに触れてもらえたんだから喜ぶべきっすよ!お隣さん!」
「学校イチのアイドルなら隣の席の男子の名前くらい覚えるだろうけどな・・・。」
「ほー・・・言ってくれるっすねー・・・私が覚えてないとでも?」
「覚えてるなら俺の名前言ってみろよ。」
「・・・・・・・・ヒントは・・・?」
「覚えてるんだろ?」
「・・・・・・・・吉田君!」
「誰だよそいつは!!・・・俺は車道 行介だ。」
「なるほど・・・惜しかったっすね!」
「どこがだよ!・・・っていうかお前、俺に何の用だよ?」
「おー!そうっすよ!目的を忘れてたでーっす!車道君!私に学校を案内するっすよ!」
「・・・は?」

柴田は学校の敷地内を見てまわりたいらしく、たまたま転校初日に喋った俺を案内役として指名したのだった。
俺は仕方なくそれに付き合うことにした。
学校の敷地内を柴田を連れて歩き回る。
「ねえ・・・あの子、すごい可愛い・・・」
「顔、ちっちゃい・・・モデルかなにかかな?」
俺の後ろを歩く柴田を見て生徒達がコソコソと話しているのが耳に入る。

・・・まあ、こいつ・・・喋らなければ確かに可愛いもんな・・・
そう思いながら振り返ると柴田が顔を赤らめて下を向いていた。
・・・こいつ・・・学校イチのアイドルのくせにほめられ慣れてねーのかよ。
「っていうかお前、そんな可愛いのになんでそんなキャラやってんだ・・・?」
「・・・か、可愛い!!や、やめろっす!!からかうなっす!!」
「からかってねーよ・・・もう少し普通でいればいいのに・・・。」
「・・・だって・・・普通でいたら誰も気にかけてくれないかもしれないじゃん・・・。」
・・・なんだ・・・こいつも普通の女の子なんだな。

柴田の新しい一面を見ながら校内を歩き回ったところで担任教師にばったり会う。
担任教師の話だと柴田を何かしらの委員にいれなければいけないらしいがうちのクラスでは既に余ってるものが無いらしい。
そして、俺と一緒にいるところを見たため柴田は図書委員になることになった。
次の担当の日からは桜山と3人で委員をやらなきゃいけないそうだ・・・。

・・・ったく・・・厄日かよ今日は・・・。
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