この学園には図書委員がいない！

glass:42

地獄のような借りもの競争が終わり、お昼休憩の時間になった。
俺は森下と柴田の気迫に未だに恐怖を抱いているため、2人を避けるように1人でグラウンドから離れ昼食をとる。

「あんた・・・こんなとこで何してんの？」
声の方に顔を向けると桜山がそこにいた。
「お前こそこんなところで何してんだよ・・・。」
「別に・・・グラウンドにいると皆に囲まれて気楽にご飯食べれないからここにきただけ・・・。」
スター選手にはスター選手ならではの悩みがあるんだな・・・。
「なるほどな・・・お前、そういうの苦手そうだもんな。」
「余計なお世話よ。・・・それであんたはなんでこんなとこにいるわけ？」
「別に・・・大勢でいるのが好きじゃないだけだよ。」
「・・・実にあんたらしい答えね。」
「・・・余計なお世話だ。」
そして、桜山が俺の隣に座り弁当を食べはじめる。

「・・・それにしてもお前があんなに足速いって知らなかったよ。」
「本が好きな女の子が皆運動できないと思ったら大間違いよ。私、本の方が好きってだけでそれなりに運動するのも好きだから。」
「お前といい神沢といい・・・なんでもできる奴が多すぎて自分が情けなくなるよ。」
「そう？あんたにも良いところはあると思うけど・・・。」
「な、なんだよ・・・。らしくないこと言うなよ。」
「べ、別に・・・私は思ったこと言っただけだし・・・。」
滅多に俺のことをほめない桜山にほめられたからか少し気恥ずかしかった。

「・・・あ、あのさ・・・」
「ん？なんだよ？」
「私・・・最後のクラス対抗リレーでも走るから・・・そ、その・・・見ててね。」
「いや、俺はもうただ座ってるだけだから言われなくても見るよ。それに友達が頑張ってるところはさすがの俺でも見るに決まってるだろ・・・。」
「そっか・・・あ、ありがと・・・。」
なんか・・・こいつ今日・・・変だな・・・。
なんてことを思いつつ、お昼休憩が終わるので俺と桜山はグラウンドに戻った。

「車道君！どこ行ってたの！？探したんだよ！」
「私を置いてどこかへ行くとはいただけないっすねー！」
いや、お前らがそんな感じだからどこかへ行ったんだよ・・・。
休憩後はいくつか競技を観戦し、最後のクラス対抗リレーがはじまろうとしていた。
クラス対抗リレーは男子が最初に・・・そして男子のリレーが終わったら女子のリレーになる。

俺たちのクラスの女子のクラス対抗リレーは運動神経抜群のくせに俺が出ないからという理由でほとんど競技に参加しなかった柴田がアンカーで走ることになっている。
最後の競技だけ出るところが目立ちたがり屋の柴田らしい。

第1走者からバトンが渡っていき、アンカーの番になる。
1番最初にバトンを受けとった柴田が走りはじめる。
・・・こいつもこいつで速いんだな。
と思っていたが、2番目にバトンを受けとった桜山が距離を縮めていく。
そして、最後の最後で桜山が柴田を追い抜き桜山のクラスがまたもや1位をとる。

このとき、心の中で何故か桜山を応援してた気がするのは友達だから・・・なのだろうか・・・。