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桜亮
諦念
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何も喋らず、淡い微笑みを浮かべて従順に何でも命令に従う桜亮を、篤太郎も屋敷の他の者も、もう以前程は折檻しなくなった。
相変わらずほとんど毎夜のように矢幡家の者たちに犯され、矢幡家の取引先の男達にも奉仕させられる、地獄のような生活は変わらなかったが、暴力が減ったぶん桜亮の身体はほんの少し楽になった。
桜亮はもう、身体を弄ばれる事にいささかの抵抗もしなくなった。どうせ好きにされるなら、快感を覚えた方が楽だ。自己防衛本能が、痛みをも快楽に変えた。男達は、声を出せない桜亮が息を弾ませて惚けたように顔を赤らめる様を悦んだ。桜亮の身体は快感を覚えるとほんのりと上気して赤らみ、消えずに残った折檻の痕が白い肌に紅く浮かび上がって、まるで花弁を散らしたようだった。ますます美しく成長した桜亮の身体は、男達をよろこばせた。自ら望んで身体を弄ばれているかのように振る舞わさせられているうちに、桜亮自身も、自分はこれをされたいのかも知れないとすら、思うようになった。自分の身体を他人が好きにする事に、慣れてしまった。
篤太郎の妻順子は気位の高い女だった。昔は全国的にも名高かった老舗の旅館の娘で、実家の旅館への融資と引き換えに、売られるようにこんな田舎の離島に嫁がされた事が嫌でならなかった。夫や息子達と桜亮との爛れた夜を知らないはずもなく、嫉妬も相まって桜亮を忌み嫌った。
桜亮も、順子のその気持ちは理解できた。桜亮が望んだわけではないが、桜亮は彼女の夫を寝取ったようなものだから。それに、どうやら篤太郎は桜亮の母親に懸想していたらしい。そうした憎しみを、頬を打たれたり殊更に屈辱的な事を言いつけられたりしてその身に受ける事を、桜亮はもう当然の事として受け止めた。勝気で意志の強かった桜亮はもう死んでしまった。
順子は鬱憤が溜まると桜亮を旅館の空き部屋に呼び付け、使用人の中の最も粗暴な男に桜亮を甚振らせた。その男は少し知能が低く、そのせいか酷く乱暴だった。その男は自分の性器で乱暴に桜亮を犯すだけでなく、桜亮の肛門に様々な玩具を押し込んだ。それは順子が命じた事なのかも知れない。その男は行為の間ずっと、ただ無表情だった。無表情に桜亮を見下ろし、本能のままに桜亮の身体を甚振った。
耐えがたい苦痛に意識が沈みそうになると、桜亮は翔太の顔を思い浮かべた。身体は痛みと疲労でガクガクと痙攣し、更なる痛みを加えようとする男への恐怖に気がおかしくなりそうで、桜亮は必死で翔太との思い出を瞼の奥に描いた。
順子は全て終わった時にやってきて、ボロボロにされた身体で蹲る桜亮を見下ろし、罵倒する。桜亮は身を縮こませて頭を地面に擦り付け、声にならない謝罪を繰り返した。
二月か三月に一度訪れるその順子の癇癪を、篤太郎は仕方ないと黙認した。桜亮は2日程休みをもらうと、また元のように篤太郎や篤太郎が貸し出す男達に犯された。
「あの男にまたやられたいのか?」
そう脅されると、桜亮は媚びた笑顔を貼り付けて首を振り、必死で男達に奉仕した。
全てを諦めた桜亮は、ただひたすら翔太との空想の中にだけ、救いを求めた。授業中や、稀に一人で寝る事が許される夜は、桜亮は何時間でも天井を見つめて翔太との会話を楽しんだ。白昼夢を見ているようなその時間だけ、桜亮の顔から張り付いた微笑みが消えた。
そうして中学を卒業し、桜亮は高校生になった。高校に行かせてもらえるとは、桜亮は思っていなかった。高校は本土にしかなく、同級生のほとんどは本土で寮生活を送って高校に通う。桜亮は、自分はもう二度とこの島から出られないのだと思い込んでいた。本土に行くのは男達に貸し出される時だけで、その時はずっと田代が桜亮を見張っていた。
だから、中学を卒業したら自分は、屋敷で一日中働きながら身体を差し出す毎日を送るのだと思っていた。
しかし篤太郎は桜亮を、本土でもさらに都会の街で生活を送っている息子に下げ渡した。二次性徴を迎えて少年から青年の身体つきに近づく桜亮に、篤太郎が次第に興味をなくしていったのもあるが、一番の理由は、息子達が矢幡家の為に尽くすための飴として、桜亮を渡したのだった。
篤太郎は息子達が自分の目を盗んで桜亮を抱いているのに気付いていた。だから、それぞれの大学や高校の進学を機に、息子達を島から遠ざけた。
そして今、篤太郎は街で勉学に励む息子達への褒美として、そして、行く行くは島に戻り矢幡家を盛り立てていく、その錨として、桜亮を贈った。その街で、上の征太郎は大学に通い、下の亮二は高校に通っていた。2人は父親の所有する豪奢なマンションで生活していて、桜亮はそのマンションで家事と2人の性処理をする奴隷となった。桜亮は亮二の通う私立高校ではなく、その近くの工業高校に通う事になった。全ては篤太郎が決め、桜亮は黙って従った。
高校の教師は桜亮が話せない事を知ると、学校で無用なトラブルを避ける為にと、『話す事が出来ません』と書かれたバッヂを付けるようにと言った。晒し者になったような気持ちがしたが、桜亮は黙って渡されたバッヂを付けた。
相変わらずほとんど毎夜のように矢幡家の者たちに犯され、矢幡家の取引先の男達にも奉仕させられる、地獄のような生活は変わらなかったが、暴力が減ったぶん桜亮の身体はほんの少し楽になった。
桜亮はもう、身体を弄ばれる事にいささかの抵抗もしなくなった。どうせ好きにされるなら、快感を覚えた方が楽だ。自己防衛本能が、痛みをも快楽に変えた。男達は、声を出せない桜亮が息を弾ませて惚けたように顔を赤らめる様を悦んだ。桜亮の身体は快感を覚えるとほんのりと上気して赤らみ、消えずに残った折檻の痕が白い肌に紅く浮かび上がって、まるで花弁を散らしたようだった。ますます美しく成長した桜亮の身体は、男達をよろこばせた。自ら望んで身体を弄ばれているかのように振る舞わさせられているうちに、桜亮自身も、自分はこれをされたいのかも知れないとすら、思うようになった。自分の身体を他人が好きにする事に、慣れてしまった。
篤太郎の妻順子は気位の高い女だった。昔は全国的にも名高かった老舗の旅館の娘で、実家の旅館への融資と引き換えに、売られるようにこんな田舎の離島に嫁がされた事が嫌でならなかった。夫や息子達と桜亮との爛れた夜を知らないはずもなく、嫉妬も相まって桜亮を忌み嫌った。
桜亮も、順子のその気持ちは理解できた。桜亮が望んだわけではないが、桜亮は彼女の夫を寝取ったようなものだから。それに、どうやら篤太郎は桜亮の母親に懸想していたらしい。そうした憎しみを、頬を打たれたり殊更に屈辱的な事を言いつけられたりしてその身に受ける事を、桜亮はもう当然の事として受け止めた。勝気で意志の強かった桜亮はもう死んでしまった。
順子は鬱憤が溜まると桜亮を旅館の空き部屋に呼び付け、使用人の中の最も粗暴な男に桜亮を甚振らせた。その男は少し知能が低く、そのせいか酷く乱暴だった。その男は自分の性器で乱暴に桜亮を犯すだけでなく、桜亮の肛門に様々な玩具を押し込んだ。それは順子が命じた事なのかも知れない。その男は行為の間ずっと、ただ無表情だった。無表情に桜亮を見下ろし、本能のままに桜亮の身体を甚振った。
耐えがたい苦痛に意識が沈みそうになると、桜亮は翔太の顔を思い浮かべた。身体は痛みと疲労でガクガクと痙攣し、更なる痛みを加えようとする男への恐怖に気がおかしくなりそうで、桜亮は必死で翔太との思い出を瞼の奥に描いた。
順子は全て終わった時にやってきて、ボロボロにされた身体で蹲る桜亮を見下ろし、罵倒する。桜亮は身を縮こませて頭を地面に擦り付け、声にならない謝罪を繰り返した。
二月か三月に一度訪れるその順子の癇癪を、篤太郎は仕方ないと黙認した。桜亮は2日程休みをもらうと、また元のように篤太郎や篤太郎が貸し出す男達に犯された。
「あの男にまたやられたいのか?」
そう脅されると、桜亮は媚びた笑顔を貼り付けて首を振り、必死で男達に奉仕した。
全てを諦めた桜亮は、ただひたすら翔太との空想の中にだけ、救いを求めた。授業中や、稀に一人で寝る事が許される夜は、桜亮は何時間でも天井を見つめて翔太との会話を楽しんだ。白昼夢を見ているようなその時間だけ、桜亮の顔から張り付いた微笑みが消えた。
そうして中学を卒業し、桜亮は高校生になった。高校に行かせてもらえるとは、桜亮は思っていなかった。高校は本土にしかなく、同級生のほとんどは本土で寮生活を送って高校に通う。桜亮は、自分はもう二度とこの島から出られないのだと思い込んでいた。本土に行くのは男達に貸し出される時だけで、その時はずっと田代が桜亮を見張っていた。
だから、中学を卒業したら自分は、屋敷で一日中働きながら身体を差し出す毎日を送るのだと思っていた。
しかし篤太郎は桜亮を、本土でもさらに都会の街で生活を送っている息子に下げ渡した。二次性徴を迎えて少年から青年の身体つきに近づく桜亮に、篤太郎が次第に興味をなくしていったのもあるが、一番の理由は、息子達が矢幡家の為に尽くすための飴として、桜亮を渡したのだった。
篤太郎は息子達が自分の目を盗んで桜亮を抱いているのに気付いていた。だから、それぞれの大学や高校の進学を機に、息子達を島から遠ざけた。
そして今、篤太郎は街で勉学に励む息子達への褒美として、そして、行く行くは島に戻り矢幡家を盛り立てていく、その錨として、桜亮を贈った。その街で、上の征太郎は大学に通い、下の亮二は高校に通っていた。2人は父親の所有する豪奢なマンションで生活していて、桜亮はそのマンションで家事と2人の性処理をする奴隷となった。桜亮は亮二の通う私立高校ではなく、その近くの工業高校に通う事になった。全ては篤太郎が決め、桜亮は黙って従った。
高校の教師は桜亮が話せない事を知ると、学校で無用なトラブルを避ける為にと、『話す事が出来ません』と書かれたバッヂを付けるようにと言った。晒し者になったような気持ちがしたが、桜亮は黙って渡されたバッヂを付けた。
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