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国軍尉官期
9 ゲームと今の話です
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「違和感?」
「そう。たとえば“レミー”なら、なぜか傭兵団の見習いになっていたり、国軍に入隊してわずか三日で大尉になったりね」
「ああ……」
確かに心当たりがある。
「それで思ったのだけど、もしかしたらサポーター全員が転生者かもしれないの」
「全員が?」
「ええ。“レミー”と“ユナ”は微妙だったけど、“アカネ”は確実ね。積極的に攻略対象に近づいているのは別にいいとして、問題なのは分もわきまえずアピールしていることだわ」
「それはまずいですね……」
サポーターは、偶然そこにいたからなるわけではない。
たとえば私なら、女性軍人であることと個人としての戦闘能力が、アリアなら身分と、おそらく情報収集能力が、というように必要だと思われる部分があったからこそ、主人公の側に置かれたのだ。
話を聞く限り、“アカネ”は問題児扱いされているらしい。このままでは和ノ国で“聖女”の世話係にはなれないだろう。下手をしたら主人公が和ノ国に召喚された際、サポーターなしの『超ハードモード』になるかもしれない。
「もし転生者だったら、お互いに協力したいと思っていたのだけど、始めに訪ねたのがあなたで正解だったわね」
「それ以外に選択肢がありませんしね」
“アカネ”は論外として“ユナ”は地ノ国の諜報部隊所属という設定持ちだ。彼女が国に報告する可能性がある以上、軽々しく会いに行くことかできない。
その点、“レミー”なら、多少のお茶目は見逃してくれそうだしね……。
「私は協力するつもりですが、他の2人はどうしますか?」
「そうね……次は“ユナ”に交渉に向かうつもりだけど、その前に“アーロン”と“ロペス大将”に会わせてくれないかしら?」
「どうして大将には役職名を付けるのに、国主には敬称を付けないんですか……」
「他国のキャラは身近にいない分、どうしても『ゲームの中の人』っていう印象が抜けないのよね……」
小首を傾げるアリアの説明に納得しつつも、一つ息をついて返答をする。
「ロペス大将への面会は、多分すぐにできますよ。アーロン様の方は、私も片手で数えるほどしか会ったことがないですし、手続きとかを考えると早くても明日の昼までは面会できないでしょう」
「それでもいいわ。あなたを借りる許可を貰うだけだから。でも、できるだけ早く手続きをしてちょうだいね」
「分かりました。それなら、有能な部下がいるので、彼に任せましょう」
「それって、オリバー?」
「いえ、彼はまだ入隊してないですよ。この国にしては珍しく、頭の使える部下がいるんです」
「それは頼もしいわね。期待しているわ」
有能な部下の仕事が増えた瞬間だった。
「そう。たとえば“レミー”なら、なぜか傭兵団の見習いになっていたり、国軍に入隊してわずか三日で大尉になったりね」
「ああ……」
確かに心当たりがある。
「それで思ったのだけど、もしかしたらサポーター全員が転生者かもしれないの」
「全員が?」
「ええ。“レミー”と“ユナ”は微妙だったけど、“アカネ”は確実ね。積極的に攻略対象に近づいているのは別にいいとして、問題なのは分もわきまえずアピールしていることだわ」
「それはまずいですね……」
サポーターは、偶然そこにいたからなるわけではない。
たとえば私なら、女性軍人であることと個人としての戦闘能力が、アリアなら身分と、おそらく情報収集能力が、というように必要だと思われる部分があったからこそ、主人公の側に置かれたのだ。
話を聞く限り、“アカネ”は問題児扱いされているらしい。このままでは和ノ国で“聖女”の世話係にはなれないだろう。下手をしたら主人公が和ノ国に召喚された際、サポーターなしの『超ハードモード』になるかもしれない。
「もし転生者だったら、お互いに協力したいと思っていたのだけど、始めに訪ねたのがあなたで正解だったわね」
「それ以外に選択肢がありませんしね」
“アカネ”は論外として“ユナ”は地ノ国の諜報部隊所属という設定持ちだ。彼女が国に報告する可能性がある以上、軽々しく会いに行くことかできない。
その点、“レミー”なら、多少のお茶目は見逃してくれそうだしね……。
「私は協力するつもりですが、他の2人はどうしますか?」
「そうね……次は“ユナ”に交渉に向かうつもりだけど、その前に“アーロン”と“ロペス大将”に会わせてくれないかしら?」
「どうして大将には役職名を付けるのに、国主には敬称を付けないんですか……」
「他国のキャラは身近にいない分、どうしても『ゲームの中の人』っていう印象が抜けないのよね……」
小首を傾げるアリアの説明に納得しつつも、一つ息をついて返答をする。
「ロペス大将への面会は、多分すぐにできますよ。アーロン様の方は、私も片手で数えるほどしか会ったことがないですし、手続きとかを考えると早くても明日の昼までは面会できないでしょう」
「それでもいいわ。あなたを借りる許可を貰うだけだから。でも、できるだけ早く手続きをしてちょうだいね」
「分かりました。それなら、有能な部下がいるので、彼に任せましょう」
「それって、オリバー?」
「いえ、彼はまだ入隊してないですよ。この国にしては珍しく、頭の使える部下がいるんです」
「それは頼もしいわね。期待しているわ」
有能な部下の仕事が増えた瞬間だった。
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