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憧れの君は遠くから見つめてたいの

アレンくんの崇拝者です。

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行く当ても無く廊下を歩きながら

アレンくんのことを見ると、
そして考えると身の程知らずにも感じてしまう熱を逃がすように

深くゆっくりと呼吸をした。


ものすごく憧れていてはいるが、
甘い妄想をするのすらおこがましい相手に対して、巷で話題の『スるまで出れない部屋』に2人閉じ込められてしまう妄想をしてしまった以上ファンはやめるべきだと思う。


ただの美し過ぎる芸術作品として見れる様になるまでは、距離を取ろうと思っていた。

それにすぐに忘れると思っていた。

それなのに未だに妄想した時のリアルな感覚や熱を完全に持て余している。


実に甘美で、今でも時折火照るほどには身体は求めているみたい。

でも現実的に、そして理性的に考えてもう1度起こるなんてあり得ない。

あってはいけない。
許されない。


本来妄想の中で誰にも伝えず、
表にも出さず、
不快な気持ちにさせないのならば、

私は幾ら妄想しようと構わないと思っている。

それが驚愕的な変態行為であっても、誰の迷惑にもならなければ構わないと考える。

あと現実と妄想の区別がつくのならば。


しかし、
私はアレンくん大勢いるうちのファン、危なくないストーカー、信者、崇拝者。

そのような立ち位置の私が対象に対して淫な妄想をするなんて到底許されることではない。

と私は思っている。

私は私にアレンくんに対して身の程知らずな思いを向ける、セックスはもちろん、キスや手繋ぎなどの微かであっても性的接触を妄想をするのは許してない。しないと自分に課している。


烏滸がましいにも程がある。

私は常にアレンくんの影の存在であるべきだと考えている。

遠く離れた地で、ただ一心にアレンくんが幸せに生きることを願うのが、

本当は理想的。


そうなると今度は
『なぜ普段挨拶等の接触があるのか?』と思うかもしれない。

建前としては、同じ学校に所属しているのを生かして、アレンくんの自尊心を直接上げるために接触している。

本音としては、完全に下心なのだが、これは私にとってのご褒美。日々の癒し。


繰り返しになるが、私は挨拶しか自分に許してない。

そのため自分の中にあるこの大罪的なものを封印し、消すまでは積極的な交流は避けたいと考えている。


彼は何故か最近自分から挨拶して来る様になった。

これまでは私が挨拶するまで決して声かけてくれなかったのに。

というか、
無視することも多かったのに。


うん、ほぼほぼ無視されてた。
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