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君と密室に閉じ込められたけど拒まないで
2回戦-3
しおりを挟むアレンくんの寂しそうだが、一生懸命なその姿にホワホワとした感情を抱いた。
身体を舐めまわされてるだけなのになんだか……可愛い……。
可愛いといえば、アレンくんは、思いを表す時は、リリアナさんではなく、リリアナと呼び捨てにしてたみたいだったな。と何気なく思った。アレンくんは可愛い面もある。
この瞬間、初めてアレンくんに対して可愛いと思った。
美しいと思った事はあっても、可愛いという感情は抱いたことがなかった。ただの1度もなかった。
壊れ物を扱うような優しい手付きで時間をかけてゆっくりと服を脱がそうとしていた手が微かに手が震えていたのも可愛いかった。何て思った。
「あっ、もっ、ふぅ」
声が漏れる。自分でも恥ずかしくなるくらいに甘い声。
快楽の波から抜け出せず、抜け出したかと思うと押し戻された。アレンくんの優しい抽送によがりながらもボンヤリと考えてた。
やっぱり、優しい。
貧相な胸を慈しむように丹念に舐める姿や、特別手入れしている訳でもない美しくもない肌を宝もののように撫でるアレンくんに対して深い感謝の念も抱いた。
もっと欲しい。可愛い慈しみたい。
そんな気持ち以上にありがとうとも思った。
あぁ、この名称のわからない気持ちを伝えたい。
「ねぇ、アレンくん。
ごめんなさい、そしてまたこうやって触れてくれてありがとう。」
そっと呟くとアレンくんは驚いたように私のことを見上げた。
透き通った瞳を見つめていると底知れない愛おしさに包まれた。
この愛おしさに後押しされている間に思いを伝えてしまおう。
「アレンくん、私も触れていい?」
まだ驚き固まっているアレンくんのことを、もう少しだけ驚かせたくてほんの少しだけ首を上げて言った。
恥ずかしさを始めとした桃色の感情が入り乱れて瞳が潤む。
私の言葉にアレンくんはぎこちなく頷いた
「今度は私にアレンくんの服を脱がさせて欲しい。」
だって、私だけが全裸だなんて恥ずかしい。
そして、アレンくんの体が見たい。
見て触れて貰える幸せもアレンくんに共有したかった。
多分この幸せは、私がアレンくんのことがどうしようもなく好きだから感じてしまうんだろう。
初めて、アレンくんのことを好きだと心から認められた気がした。顔が綻ぶ。止めようとしても口角が自然と上がっていく。
さっきまでは、アレンくんが好きって気持ちを拒んで恐れていたのに、今は受け止めている。求めるのも怖くて仕方がなかったが、認めてしまえばまた違った感情が生まれてくる。
アレンくんのことを求めるとか、知り尽くしたい、感じたいそんなある種の自分本位な気持ちよりも、アレンくんのことを私の奥で全てを受け止めたいという包み込むような気持ちになっていた。
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