悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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距離感

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 私たちは晴れて婚約者同士となった。わけなのだが、

「あの、エヴェレット様」

「なんだ?」

「その、は、離れて貰っても…」

「は?何故だ、今婚約者同士になっただろう。距離は取らなくて良いと言ったそばだぞ」

「わっ、私の心臓が持たないのです!」

 私は羞恥心など捨てて叫ぶ。エヴェレットの手を自分の胸に当て、鼓動を伝わらせる。

「分かりますか、エヴェレット様。私、今こんなにも心臓が煩いのです。これ以上は、本当に死んでしまいそうです」

 エヴェレットの手をもっと胸に押し当てると、エヴェレットがピクリと反応する。

「お前な…。いくら何でも疎いぞ…」

「?、何のことです?」

「あー、まぁ良い、全て俺が教えると言ったしな」

 エヴェレットはパッと手を離す。そして、次はエヴェレットが私の手を取り自分の胸に当てる。

「レイア、分かるか?」

「あ、の、」

 エヴェレットの心臓は私と同じくらいに激しく鼓動している。バクバクとその力強さが伝わってくる。

「俺は、今こんなにも舞い上がっているんだ。お前だけじゃ無い、俺だって、死んでしまいそうだ」

 エヴェレットは少し顔を赤らめて言う。
 その顔に私も釣られてもっと赤くなる。
 2人して顔を赤らめていると、ドアをノックされる。

「っ!はっはい!」

「私です、ルイス・ベル・アレクサンダーです。レイアお嬢、入っても?」

「あ、えっと、すっ、少し待って下さりますか?」

「ええ」

 私はパチンと両頬を叩く。こんな赤くて抜けた顔をお見せするわけにはいかない。

「どうぞ。お待たせしました」

「いえ。全く待っていませんよ」
 
 そう言いながら、ガチャリとドアを開けて団長が入ってくる。

「全く、エヴェレットがすぐ連れ去ってしまうから傷の具合が確認できなかったじゃ無いか」

「すみませんね」

 エヴェレットは形だけの謝罪を口にする。

「レイアお嬢、今はもう犯人も捕まって事情聴取中です。ご協力、ありがとうございました」

「いえ、騎士団の皆様のおかげです。こちらこそ、ありがとうございました」

 私と団長は頭を下げる。

「その、では私はもう家に帰ると言うことですか?」

「ええ、家には帰れますが…その…、ご両親が亡くなった家でこれから生活されるおつもりで?使用人も今は居ないのでしょう?」

「……ええ…、しかし私には、そこしか居場所がありませんので」

 私は目を伏せたまま話す。まだまだ問題はあるのだ。家に帰ったとしても、これからどうすれば良いのだろうか。
 まずは浴槽を掃除して、両親の遺品整理、それら土地の管理や使用人への対応なども私がこれからしなくてはならないのだ。
 しかし、私は使用人全員の連絡先を知らない。名簿がある筈だが、それがどこにあるかもわからない。まずはそこからなのだ。

「レイア、今日は家に帰らず俺の家に来い」

「え?し、しかし、やることが沢山ありますし、ご迷惑では…」

「迷惑ではないし、もうお前だけの問題じゃ無いんだ。とにかく、今日はこっちでこれからのことを話そう」

「………あっ!そう言うこと、」

 このやりとりを見ていた団長が納得したような声を出す。

「おめでとう。エヴェレットにその影が無さすぎて父親じゃ無いのに勝手に心配していたんだよ」

 団長が言う。私は訳が分からなかったが、エヴェレットが嫌そうに眉を顰める。

「団長、」

「いやはや、ふむ、あのエヴェレットがリリー家のお嬢さんとね…へぇー…」

「団長!」

「あ、あの…?」

「良い知らせを待っていますよ、レイアお嬢。結婚式を挙げるなら是非、呼んでくださいね」

 私はそこまで聞いてようやく理解する。さっきまで落ち着いてきた体温がまた一気に上がっていく。

「あっあの、えっ!?な、何故…」

「はっはっはっ!エヴェレット、良い人を持ったな」

「………」

 エヴェレットは黙って団長を睨む。団長はハラハラと手を振って部屋を去る。私とエヴェレットは黙ったまま数分が経過する。先に沈黙を破ったのは私だった。

「…………あ、あの、」

「何だ?」

「その、では、今日はエヴェレット様の方にお邪魔させていただきます」

「ああ、そうしてくれ。じゃあ俺は馬車を呼んでくるから待っててくれ」

「いえ、私もご一緒します」

「…そうだな、行き先は同じだからな」

 エヴェレットは私の手を取り外に出る。

「エヴェレット様、あの、」

「離さないからな」

 私が言おうとしていたことを見越してエヴェレットが言う。私はエヴェレットに手を引かれ、皆の視線を浴びながら馬車を呼ぶために敷地を移動した。
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