灰色に夕焼けを

柊 来飛

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学校

体育祭

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 開会式が終わり、早速競技が始まる。 
 
 最初は応援合戦からで、6つの団体がそれぞれダンスや掛け声を披露する。どの団もカッコ良かったが、僕の団は特に気合いが入っていた気がする。
 ダンスの時は3年生がバク転で移動したり、団長は各団にアドリブで宣戦布告をして副団長に止められていたり、あまりにも声が大きいので先生からマイクを切られたり、ハプニングもたくさんあったが楽しかった。

 その次は僕が出るクラス100m対抗リレーだ。クラスメイトに見送られながら、僕は招集場所に行った。
 周りは皆運動部で速そうな人ばかりで、僕が縮こまっていると同じ代表の陸上部の男の子がにっこりと太陽のように笑って大丈夫と励ましてくれた。
 最初は男子からなので、まずはその男の子を応援する。彼は陸上部の中でも速い方らしく、見事1位を取っていた。

 ついに女子の番が来て、僕もスタート位置に立った。名前が呼ばれ、返事をするとクラスメイトのみんなが名前を呼んで歓声をくれる。ヒラヒラと手を振ると、うおおおおおと盛り上がってくれたクラウチングスタートの姿勢をとって、ピストルが鳴るのを待つ。

 パンという発砲音と同時に、選手が一斉に走り出す。僕は反射神経も良い方で、スタートダッシュは完璧だった。女子だけでなく、男子を合わせても良い順位に来る僕だ。そのまま勢いに乗って2位と差をつけてゴールした。
 男女ともに1位を獲得した僕たちは、応援席に戻るとよくやったと拍手をもらった。男子からはせいぜいハイタッチくらいだったのだが、女子からは大勢から抱きつかれた。女子は皆抱きつくのが主流なのだろうか?そんなことを考えている間にも競技は始まっていく。
 
 大玉転がしでは3位、玉入れでは5位という結果になった。写真を撮ることが仕事の僕は、転がってくる大玉や飛んでくる玉に気をつけながら、その勇姿を写真に収めた。
 
 お昼休憩前最後の種目は障害物競走。僕は平均台の上を渡った後、走ってタスキを渡す役割だ。最初の人がラケットの上でボールを落とさないように運んだ後、僕にタスキが渡る。
 
 みんなが平均台の前で一度ストップして慎重に渡る中、僕はスピードを落とさずにその勢いのまま平均台の上に飛び乗ってその上を駆け抜けた。みんながゆっくり歩いている中、僕は全力疾走。あっという間に差を縮めて1位に躍り出る。みんなが驚きの歓声をあげる中、僕はアンカーにタスキを渡した。
 アンカーの人は野生動物のように素早くハードルの下を潜り抜けた後、麻袋に入って飛びながらゴールテープを切った。
 この種目での結果は1位。最後みんなで集まって伊集院君に写真を撮ってもらった。1番走者とアンカーの子が僕をすごく褒めてくれて、誇らしい気分だった。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ついにお昼休憩となり、お腹すいたーと声があちらこちらから聞こえる。隣にいる彩葉と一緒に椅子を机にしてお弁当を広げて食べようとしたその時、後ろからもう聞き慣れた声が聞こえた。

「よお、烏坂」

 先生が僕の顔を覗き込むように見下ろす。

「せ、先生…」

 またの先生の登場に、クラスメイトはざわつき始める。

「リレーと障害物競走、凄かったな。どっちも1位じゃないか」  

「お、おかげさまで。みんなのおかげです」

 先生の腕には役員の腕輪が付いている。なんの役員かは知らないが、こんなところで油を売っていて良いのだろうか。

「ご飯、食べないんですか?」

「食べるさ。ただ、水筒の中身の確認だ。あれで足りるか?」

「水筒の中身…は…、」

「もう無いんだな」

「…はい、無い、です」

 僕が持ってる水筒は小さめの方だ。運動部でも無いし、日常生活ではこれで足りるのだが、今日は体育祭。これでは少し無理がありすぎたようだ。

「だと思って、差し入れだ」

 そう言って先生は僕の額に冷たい何かを当てる。受け取ってみると、500mlの冷えた水のペットボトルだった。

「わ、あ、ありがとうございます!」

「熱中症、気をつけろよ」

 先生はクラスメイトの方に視線を移すと、「君たちもな」と一言言ってから去っていた。 

 少しの間、沈黙の時間が流れた。それを破ったのは、クラスの男子たちだった。

「うわあああああ!!!俺たち、あの人に話しかけられたぜ!!」

「なぁ烏坂さん、あの人のこと、先生って呼んでんの?」

「う、うん」

「へー!確かに、なんでも知ってそー!」

 その会話を皮切りに、女子たちも話し始めた。
 
「やばい、ほんとにかっこいい」

「いやそれな、惚れちゃうでしょあんなの」

「烏坂さんよく普通でいられるね」

 いや、僕も頑張って普通に見せてるだけで、心臓が爆発しそうなのだが。

 僕のクラスの昼休みは、先生の話で持ち切りだった。




 
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