灰色に夕焼けを

柊 来飛

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学校

あくまでも、「借り物」競走なので

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 昼休みが終わり、午後の部が開催される。
 競技の前に、毎年恒例らしい先生と保護者、そして生徒が競う借り物競走が始まった。

 代表生徒は各団の団長、先生の方では体育教師と教頭先生、そして校長先生が代表として出ていた。
 保護者の人たちの方は、お母さん方ではなく、お父さん方が出ていた。
 誰が出ているのかよくわからなかったが、1人だけ、僕にはわかった。

「あれ!?烏坂さんの先生出てるじゃん!!」

 先生が出て来た時、全体は驚きに包まれていた。ただでさえ背が大きいのに、あんなに恵まれた体格をしていたら、誰の親だかみんな気になるに決まっている。
 ザワザワとみんなが憶測を立てる中、僕のクラスだけは違った。

「烏坂さん!烏坂さんのこと、呼び捨てで呼んでいい!?」

 急にクラスメイトの男の子に聞かれ、うんと返事をすると、

「烏坂の先生ー!!!頑張ってくださーーい!!!おーえん、してまーーーす!!!」

 それを聞いた人がみんなこちらに視線を送る。しかし、クラスメイトはそれに構わずみんな先生に応援を送る。

「夕ちゃんのせんせー!!頑張ってくださーーい!!」

 熱い声援を浴びた先生は、メガホンを持ってこっちを向くと

「言われなくても勝つさ!」

 そう、高々に宣言すると、グラウンド全体が熱気を帯びた歓声に包まれる。 
 クラスメイト達はファンサ貰ったぜ!と喜んでいる。
 先生、いつの間にかアイドル的存在になってますよ。

 盛り上がる僕たちを先生達は宥めながら借り物競走が始まった。
 まずは走って目の前に落ちている紙切れの中から一つ選び、そこに書かれているものを審判の方に持っていく。
 それで審判が合格判定を出したら次の人にバトンパスされる。
 計6人のチームで、先に6人全ての人が合格判定をもらったら勝ちだ。
 順番を見ると、先生はアンカーだった。
 紙に書かれているお題は、メガネやスポーツ飲料、髪を結んだ人など色々あった。
 自分よりも背が高い人という紙を取った人がいて、この紙を先生が取らなくて本当に良かったと思う。

 3チームほぼ同時でアンカーにバトンパスされる。すばやく先生が紙を拾って、中を確認すると、真っ直ぐ僕たちがいる方に向かって走ってくる。

「烏坂!来てくれ!」

「え、わっわわ!」
 
 先生に腕を引っ張られ、そのまま2人で審判の方に走っていく。
 後ろからは何か盛り上がっている声が聞こえる。
 先生が審判に紙を渡すと、審判が紙に書かれていたお題を読み上げる。

「お題は苗字か名前に動物が入っている人!さて、君の名前は?」

「か、烏坂、です」

「鳥も動物だし、合格!」

「やったな、烏坂」

 借り物競走は保護者チームが優勝した。
 これは得点が入らないから勝ち負けは関係ないのだが、よく盛り上がっていたと思う。
 借りたものを本人に返しに行くとき、先生が僕を応援席まで送ってくれた。
 
「先生の名前にも、鷹が入ってるから先生自身でよかったのでは?」

「あくまで競走だからな」
  
 応援席まで来たとき、男の子が先生に話しかける。

「烏坂の先生!ほんとに勝っちゃいましたね!」

「言ったろ、言われなくても勝つと」

 笑いながら答える先生は、強者そのものだった。帰り際、

「烏坂、午後の競技も楽しみにしてる」

 その言葉を残して先生は去って行った。

 

 
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