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芽生え
桜
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時間が経つのは早く、もう卒業式の日になってしまった。
先輩が卒業するとき、泣いている人もいれば笑って写真を撮っている人もいた。
僕は伊集院君達部活の子と一緒に、部活の部長と副部長に挨拶に行くと、2人は写真部をもっと盛り上げて、廃部なんて言葉知らない部活にしてくれと僕たちに頼んだ。
最後、一緒に写真を撮ってから解散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰ると先生がいた。
「あれ、先生。今日仕事は…」
「あったが、もう終わった」
そう言いながら、テレビのリモコンを操作してテレビをつける。ちょうど桜の見頃をアナウンサーが解説していた。
「そういえば、写真部の方で春休み中に何か一枚写真を撮ってきてと言われました」
「何でもいいのか?」
「はい。でも、出来れば春らしい写真を撮りたいなと思いまして」
そこまで言うと、先生は目の前に映っている桜をチラリと見て、全てを察したようだ。
「春休み中、いろんな場所を巡るか」
「はい!」
ニッコリと元気よく返事をする僕に、先生はわしゃしわしゃと僕の頭を撫でた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「烏坂、休みが取れた。遊び行くぞ」
朝、急に言われて僕は訳が分からずフリーズする。その間にも先生はバッグを肩にかけて、車の鍵を用意する。
「行かないのか?」
「い、いや、今ですか!?」
「今じゃなきゃいつ行くんだよ」
「ま、待ってください。まだ何も用意してません!」
「ああ、待ってるから用意してこい。カメラ忘れんなよ」
どこに行くかも分からなかったが、とりあえずマシな服に着替えてから、外出用のポーチに必要なものを入れて部屋を出る。
勿論、カメラも忘れずに首から下げている。
駐車場に向かうと、もう先生は車を出していた。
「行くぞ、乗れ」
助手席に乗って、しっかりとシートベルトをしたことを確認すると、先生は車を出した。
「先生、急に何処に行くんですか?」
「桜見に行って海見に行く」
「えっ、」
僕は急いでいた為、白のシフォンワンピースを着てきてしまった。だってワンピースは上と下分かれてないし、素早く着れて楽なのだ。
「ぼ、僕、今日ワンピースで来ちゃいましたよ」
「別にいいだろ。それとも、海入りたかったか?」
「いえ、そういうわけではないんですけど…」
海に行くのだったら、もっと動きやすいズボンなどにしたのに。
「いいじゃねえか。似合ってる。その服、俺好きだぜ」
「うぇっ、あ、あり、がとう、ございます…」
選んだのは先生だから、先生が好きなのは当たり前なのだが。似合ってると言われると照れる。
何分か車を走らすと、桜並木が見えてきた。かなり立派なのに、人は少ない。というか、僕たちしかいない。
「ここ、結構穴場なんだぜ。知る人ぞ知る、桜並木だ」
「綺麗……」
思わず感嘆の声が出る。大きな桜の木が何本も連なって桜のアーチを作り、小道と近くの川には、桜の花びらがヒラヒラと落ちて、桜の絨毯を敷いている。
花びらや枝の間から光が差し込んで、より幻想的な世界を形創っている。
カメラを構えてパシャリと一枚撮る。
素材が良いからか、結構良い出来だ。
先生も隣でスマホを構えてパシャパシャと写真を撮っている。
「綺麗です。現実世界じゃないみたい」
「あまりに綺麗すぎるからか?」
「はい。こんなに綺麗な桜並木、見たことありません」
僕は桜から目を離さずに言う。僕の視界は今桜色で埋め尽くされている。空も地面も何もかもが桜だ。
フワリと少し強めの風が吹き、桜の花びらが舞い上がる。
その瞬間を僕はカメラに収める。
「さっきの、すごく綺麗でしたね!」
僕は先生に問いかける。先生もスマホを構えていて、僕と同じく写真を撮っていたようだ。
先生はその美しさに心奪われたように、独り言のように呟く。
「ああ、綺麗だ」
先生の目には桜と僕の姿が映っていた。
先輩が卒業するとき、泣いている人もいれば笑って写真を撮っている人もいた。
僕は伊集院君達部活の子と一緒に、部活の部長と副部長に挨拶に行くと、2人は写真部をもっと盛り上げて、廃部なんて言葉知らない部活にしてくれと僕たちに頼んだ。
最後、一緒に写真を撮ってから解散した。
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家に帰ると先生がいた。
「あれ、先生。今日仕事は…」
「あったが、もう終わった」
そう言いながら、テレビのリモコンを操作してテレビをつける。ちょうど桜の見頃をアナウンサーが解説していた。
「そういえば、写真部の方で春休み中に何か一枚写真を撮ってきてと言われました」
「何でもいいのか?」
「はい。でも、出来れば春らしい写真を撮りたいなと思いまして」
そこまで言うと、先生は目の前に映っている桜をチラリと見て、全てを察したようだ。
「春休み中、いろんな場所を巡るか」
「はい!」
ニッコリと元気よく返事をする僕に、先生はわしゃしわしゃと僕の頭を撫でた。
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「烏坂、休みが取れた。遊び行くぞ」
朝、急に言われて僕は訳が分からずフリーズする。その間にも先生はバッグを肩にかけて、車の鍵を用意する。
「行かないのか?」
「い、いや、今ですか!?」
「今じゃなきゃいつ行くんだよ」
「ま、待ってください。まだ何も用意してません!」
「ああ、待ってるから用意してこい。カメラ忘れんなよ」
どこに行くかも分からなかったが、とりあえずマシな服に着替えてから、外出用のポーチに必要なものを入れて部屋を出る。
勿論、カメラも忘れずに首から下げている。
駐車場に向かうと、もう先生は車を出していた。
「行くぞ、乗れ」
助手席に乗って、しっかりとシートベルトをしたことを確認すると、先生は車を出した。
「先生、急に何処に行くんですか?」
「桜見に行って海見に行く」
「えっ、」
僕は急いでいた為、白のシフォンワンピースを着てきてしまった。だってワンピースは上と下分かれてないし、素早く着れて楽なのだ。
「ぼ、僕、今日ワンピースで来ちゃいましたよ」
「別にいいだろ。それとも、海入りたかったか?」
「いえ、そういうわけではないんですけど…」
海に行くのだったら、もっと動きやすいズボンなどにしたのに。
「いいじゃねえか。似合ってる。その服、俺好きだぜ」
「うぇっ、あ、あり、がとう、ございます…」
選んだのは先生だから、先生が好きなのは当たり前なのだが。似合ってると言われると照れる。
何分か車を走らすと、桜並木が見えてきた。かなり立派なのに、人は少ない。というか、僕たちしかいない。
「ここ、結構穴場なんだぜ。知る人ぞ知る、桜並木だ」
「綺麗……」
思わず感嘆の声が出る。大きな桜の木が何本も連なって桜のアーチを作り、小道と近くの川には、桜の花びらがヒラヒラと落ちて、桜の絨毯を敷いている。
花びらや枝の間から光が差し込んで、より幻想的な世界を形創っている。
カメラを構えてパシャリと一枚撮る。
素材が良いからか、結構良い出来だ。
先生も隣でスマホを構えてパシャパシャと写真を撮っている。
「綺麗です。現実世界じゃないみたい」
「あまりに綺麗すぎるからか?」
「はい。こんなに綺麗な桜並木、見たことありません」
僕は桜から目を離さずに言う。僕の視界は今桜色で埋め尽くされている。空も地面も何もかもが桜だ。
フワリと少し強めの風が吹き、桜の花びらが舞い上がる。
その瞬間を僕はカメラに収める。
「さっきの、すごく綺麗でしたね!」
僕は先生に問いかける。先生もスマホを構えていて、僕と同じく写真を撮っていたようだ。
先生はその美しさに心奪われたように、独り言のように呟く。
「ああ、綺麗だ」
先生の目には桜と僕の姿が映っていた。
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