33 / 128
芽生え
桜
しおりを挟む
時間が経つのは早く、もう卒業式の日になってしまった。
先輩が卒業するとき、泣いている人もいれば笑って写真を撮っている人もいた。
僕は伊集院君達部活の子と一緒に、部活の部長と副部長に挨拶に行くと、2人は写真部をもっと盛り上げて、廃部なんて言葉知らない部活にしてくれと僕たちに頼んだ。
最後、一緒に写真を撮ってから解散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰ると先生がいた。
「あれ、先生。今日仕事は…」
「あったが、もう終わった」
そう言いながら、テレビのリモコンを操作してテレビをつける。ちょうど桜の見頃をアナウンサーが解説していた。
「そういえば、写真部の方で春休み中に何か一枚写真を撮ってきてと言われました」
「何でもいいのか?」
「はい。でも、出来れば春らしい写真を撮りたいなと思いまして」
そこまで言うと、先生は目の前に映っている桜をチラリと見て、全てを察したようだ。
「春休み中、いろんな場所を巡るか」
「はい!」
ニッコリと元気よく返事をする僕に、先生はわしゃしわしゃと僕の頭を撫でた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「烏坂、休みが取れた。遊び行くぞ」
朝、急に言われて僕は訳が分からずフリーズする。その間にも先生はバッグを肩にかけて、車の鍵を用意する。
「行かないのか?」
「い、いや、今ですか!?」
「今じゃなきゃいつ行くんだよ」
「ま、待ってください。まだ何も用意してません!」
「ああ、待ってるから用意してこい。カメラ忘れんなよ」
どこに行くかも分からなかったが、とりあえずマシな服に着替えてから、外出用のポーチに必要なものを入れて部屋を出る。
勿論、カメラも忘れずに首から下げている。
駐車場に向かうと、もう先生は車を出していた。
「行くぞ、乗れ」
助手席に乗って、しっかりとシートベルトをしたことを確認すると、先生は車を出した。
「先生、急に何処に行くんですか?」
「桜見に行って海見に行く」
「えっ、」
僕は急いでいた為、白のシフォンワンピースを着てきてしまった。だってワンピースは上と下分かれてないし、素早く着れて楽なのだ。
「ぼ、僕、今日ワンピースで来ちゃいましたよ」
「別にいいだろ。それとも、海入りたかったか?」
「いえ、そういうわけではないんですけど…」
海に行くのだったら、もっと動きやすいズボンなどにしたのに。
「いいじゃねえか。似合ってる。その服、俺好きだぜ」
「うぇっ、あ、あり、がとう、ございます…」
選んだのは先生だから、先生が好きなのは当たり前なのだが。似合ってると言われると照れる。
何分か車を走らすと、桜並木が見えてきた。かなり立派なのに、人は少ない。というか、僕たちしかいない。
「ここ、結構穴場なんだぜ。知る人ぞ知る、桜並木だ」
「綺麗……」
思わず感嘆の声が出る。大きな桜の木が何本も連なって桜のアーチを作り、小道と近くの川には、桜の花びらがヒラヒラと落ちて、桜の絨毯を敷いている。
花びらや枝の間から光が差し込んで、より幻想的な世界を形創っている。
カメラを構えてパシャリと一枚撮る。
素材が良いからか、結構良い出来だ。
先生も隣でスマホを構えてパシャパシャと写真を撮っている。
「綺麗です。現実世界じゃないみたい」
「あまりに綺麗すぎるからか?」
「はい。こんなに綺麗な桜並木、見たことありません」
僕は桜から目を離さずに言う。僕の視界は今桜色で埋め尽くされている。空も地面も何もかもが桜だ。
フワリと少し強めの風が吹き、桜の花びらが舞い上がる。
その瞬間を僕はカメラに収める。
「さっきの、すごく綺麗でしたね!」
僕は先生に問いかける。先生もスマホを構えていて、僕と同じく写真を撮っていたようだ。
先生はその美しさに心奪われたように、独り言のように呟く。
「ああ、綺麗だ」
先生の目には桜と僕の姿が映っていた。
先輩が卒業するとき、泣いている人もいれば笑って写真を撮っている人もいた。
僕は伊集院君達部活の子と一緒に、部活の部長と副部長に挨拶に行くと、2人は写真部をもっと盛り上げて、廃部なんて言葉知らない部活にしてくれと僕たちに頼んだ。
最後、一緒に写真を撮ってから解散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰ると先生がいた。
「あれ、先生。今日仕事は…」
「あったが、もう終わった」
そう言いながら、テレビのリモコンを操作してテレビをつける。ちょうど桜の見頃をアナウンサーが解説していた。
「そういえば、写真部の方で春休み中に何か一枚写真を撮ってきてと言われました」
「何でもいいのか?」
「はい。でも、出来れば春らしい写真を撮りたいなと思いまして」
そこまで言うと、先生は目の前に映っている桜をチラリと見て、全てを察したようだ。
「春休み中、いろんな場所を巡るか」
「はい!」
ニッコリと元気よく返事をする僕に、先生はわしゃしわしゃと僕の頭を撫でた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「烏坂、休みが取れた。遊び行くぞ」
朝、急に言われて僕は訳が分からずフリーズする。その間にも先生はバッグを肩にかけて、車の鍵を用意する。
「行かないのか?」
「い、いや、今ですか!?」
「今じゃなきゃいつ行くんだよ」
「ま、待ってください。まだ何も用意してません!」
「ああ、待ってるから用意してこい。カメラ忘れんなよ」
どこに行くかも分からなかったが、とりあえずマシな服に着替えてから、外出用のポーチに必要なものを入れて部屋を出る。
勿論、カメラも忘れずに首から下げている。
駐車場に向かうと、もう先生は車を出していた。
「行くぞ、乗れ」
助手席に乗って、しっかりとシートベルトをしたことを確認すると、先生は車を出した。
「先生、急に何処に行くんですか?」
「桜見に行って海見に行く」
「えっ、」
僕は急いでいた為、白のシフォンワンピースを着てきてしまった。だってワンピースは上と下分かれてないし、素早く着れて楽なのだ。
「ぼ、僕、今日ワンピースで来ちゃいましたよ」
「別にいいだろ。それとも、海入りたかったか?」
「いえ、そういうわけではないんですけど…」
海に行くのだったら、もっと動きやすいズボンなどにしたのに。
「いいじゃねえか。似合ってる。その服、俺好きだぜ」
「うぇっ、あ、あり、がとう、ございます…」
選んだのは先生だから、先生が好きなのは当たり前なのだが。似合ってると言われると照れる。
何分か車を走らすと、桜並木が見えてきた。かなり立派なのに、人は少ない。というか、僕たちしかいない。
「ここ、結構穴場なんだぜ。知る人ぞ知る、桜並木だ」
「綺麗……」
思わず感嘆の声が出る。大きな桜の木が何本も連なって桜のアーチを作り、小道と近くの川には、桜の花びらがヒラヒラと落ちて、桜の絨毯を敷いている。
花びらや枝の間から光が差し込んで、より幻想的な世界を形創っている。
カメラを構えてパシャリと一枚撮る。
素材が良いからか、結構良い出来だ。
先生も隣でスマホを構えてパシャパシャと写真を撮っている。
「綺麗です。現実世界じゃないみたい」
「あまりに綺麗すぎるからか?」
「はい。こんなに綺麗な桜並木、見たことありません」
僕は桜から目を離さずに言う。僕の視界は今桜色で埋め尽くされている。空も地面も何もかもが桜だ。
フワリと少し強めの風が吹き、桜の花びらが舞い上がる。
その瞬間を僕はカメラに収める。
「さっきの、すごく綺麗でしたね!」
僕は先生に問いかける。先生もスマホを構えていて、僕と同じく写真を撮っていたようだ。
先生はその美しさに心奪われたように、独り言のように呟く。
「ああ、綺麗だ」
先生の目には桜と僕の姿が映っていた。
0
あなたにおすすめの小説
婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~
ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」
中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。
そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。
両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。
手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。
「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」
可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。
16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。
13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。
「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」
癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる